虚淵玄の新たな代表作! 遅ればせながら映画「楽園追放」を見てみました!

監督・水島精二、脚本・虚淵玄のコンビで贈るフルCGアニメ「楽園追放」。上映劇場数わずか13館にも関わらず驚異的な売り上げを記録した本作、果たしてその出来栄えやいかに。虚淵玄特有の暗くて黒い展開で進むのか、それとも……? 今回は映画「楽園追放」の魅力をご紹介したいと思います。

あらすじ・ストーリー

ナノマシン技術の暴走で地上文明が崩壊してしまった「ナノハザード」[2]により、廃墟と化した地球。人類の98%は地上と自らの肉体を捨て、データとなって電脳世界「ディーヴァ」で暮らすようになっていた。西暦2400年現在、そのディーヴァが異変に晒されていた。謎の存在「フロンティアセッター」によるディーヴァへのハッキングを地上世界から受け、生身の身体・マテリアルボディを身にまとって地上世界へ降り立った捜査官アンジェラは、現地の地上捜査員ディンゴと共に謎のハッカー・フロンティアセッターと世界の謎に迫る。

出典: ja.wikipedia.org

虚淵玄らしくないが、同時に虚淵玄らしくもある

虚淵玄の個人的印象は「まどマギ」や「ギルティクラウン」に見られる、胸に突き刺さるような暗い展開を好む脚本家、というかシナリオライターだなという感じです。他の作品を観てもちょっとその傾向が強いと思っていたのですが、この「楽園追放」に関しては少なくとも鬱展開と呼ばれるものはありません。理不尽に人が死ぬこともないですしね。しかし、やはり舞台設定や展開には虚淵らしさが随所に見られ、特に「サイコパス」に見られたような人類の未来を、また全く別の形で見せてくれたことで彼の懐の深さを感じました。

ロボットものの側面もありましたが、個人的にガンダムシリーズが好きな私にとってはちょっとロボットがカッコ悪すぎましたね。スピード感とか迫力はさすがフルCGだけあってかなりの臨場感だったのですが、いかんせんロボのデザインが……。好みは人それぞれですが、少なくとも私は好きではありませんでした。登場人物のキャラクターなどは好きだったので、そこだけがちょっと残念です。

「楽園追放」の意味

タイトル自体に特に深い意味はありませんでしたね。そのまま楽園(社会)からの追放という意味です。しかし、重要なのはそこは本当に楽園だったのか、という部分です。電脳化された人間は有限のメモリの中で生活する。生活水準を上げるには実績を上げ、使えるメモリの量を増やしていかなければならない。これ、現代でいう「成果主義」のことなんですよね。実績を上げられない人間は存在しないも同然。社会の行きつく先を暗に示しているようにも思えました。

また、アニメ「サイコパス」で見られたような全てを管理される社会。それもこの舞台設定の中に盛り込まれているようです。肉体という檻を抜け出した先に待っていたのは、社会という、より大きな檻だった。ディンゴがこのようなセリフを言っていました。虚淵玄は最近このような、社会の未来を暗示させるような脚本を多く世に送り出していて、変に凝った映画よりも奥深いアニメに仕上がっています。

まとめ

虚淵玄の新たな可能性を垣間見た気がしました。フルCGや、豪華な声優陣に目が行きがちですが、それに頼らない厚みのあるストーリーも見どころです。一応続編を作れる余地は残っていますので、観たい気もしますが、同時にこれで終わってほしい気もします。蛇足になりそうな空気がプンプンしますし。まあ出たら出たで観るんですけどね。

暗い展開を心配している方は大丈夫です。ラストもきっちり綺麗に終わります。ぜひご覧ください。

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