『イン・セキュリティ 危険な賭け』とは、2013年に公開されたアメリカのクライムコメディ映画。脚本を務めたマット・ワイングラスの実体験に基づいて制作されたフィクションで、脱力するようなシーンと、シリアスでショッキングなシーンが絶妙なバランスで織り交ぜられた手法で話題となった。治安が良すぎる地域で警備会社を営む二人の男が、会社の再建のために自作自演の強盗事件を企てたことで大きな犯罪に巻き込まれていく姿を描く。
『イン・セキュリティ 危険な賭け』の概要
『イン・セキュリティ 危険な賭け』(イン・セキュリティ きけんなかけ)とは、2013年に公開されたアメリカのクライムコメディ映画。脚本を手掛けたマット・ワイングラスの実体験に基づいて制作されたフィクションだが、俳優が台本にないセリフを即興で加え、リアリティがあるリアクションを引き出す工夫も凝らしていたことが明かされている。
脱力するような軽妙なジョークの掛け合いと、シリアスでショッキングなシーンが絶妙なバランスで織り交ぜられたストーリー展開が話題となり、カルト的な人気を誇っている。
中年男性二人組のブルースとケヴィンは、高校時代から唯一無二の親友同士。彼らはともに警備保障会社「ホーム・セキュリティー」を立ち上げて経営するも、彼らの住む街は至って平和であることから契約を取ることができず、常に閑古鳥が鳴く会社は倒産の危機にあった。ある日、見積営業に行った富豪にバカにされ、気晴らしに入ったバーではライバル会社に務める男たちにもバカにされた2人は、「警備をしてもらいたいと思ってもらうために、治安を悪くすればいい」という考えに至る。
そして彼らは自分たちをバカにした富豪の家へ強盗に入ることを決意するが、それはこの後起こる事件の序章にすぎなかった。
『イン・セキュリティ 危険な賭け』のあらすじ・ストーリー
平和な街の警備会社
とあるバーで、スカイダイビングでパラシュートを出しそびれて大けがを負ったという男が、自身の体験談を語っていた。酒の席の話のネタとして、男たちは自身に降りかかった様々なエピソードを語り草として楽しんでいる。
そんな中、バーテンダーの男はある二人の男たちの話を語り始める。
とある街で警備保障会社「ホーム・セキュリティー」を営む、無二の親友のブルースとケヴィン。しかし街の治安が良いことが裏目に出て業績は振るわず、社長のブルースはただネットゲームに興じ、ケヴィンは同棲中の恋人であるレナに転職を迫られる日々を送っていた。
ある日、街の富豪であるブルームホールから、自宅に取りつける防犯機器の依頼を請け負った2人は張り切って現場へ赴き、実演を交えたセールストークを繰り広げるが、結果は振るわなかった。悔しさを胸にしながら気晴らしに繰り出したバーで、彼らは大手の警備会社に務めるライバルとケンカに発展してしまう。
下がり続ける業績と、ライバルに小馬鹿にされたことで憤りを覚えたブルースは、「治安が悪くなれば防犯機器が売れる」と考えるようになる。
悪事のはじまり
ブルースがはじめに企てたのは、自分たちをバカにしたブルームホール宅への侵入と窃盗だった。これを無事に成功させた2人の元をブルームホールが訪れ、一番高いプランを契約してくれることになる。これに味をしめた彼らは「会社が黒字になるまで」と、見積もりを出しに行った家での強盗を繰り返し、その効果で着実に顧客を得ていく。
この一方、ケヴィンは恋人のレナとすれ違いが続いていた。レナはそもそもブルースを良く思っておらず、自分の恋人と彼が仕事を共にしていることを良しとはしていなかったのだ。
そんなある日、営業に行った帰り道で彼らは大手警備会社に務めるライバルの2人組に遭遇する。街で一番の豪邸で契約を取れた様子の彼らに苛立ちを覚えたブルースは、「これを最後にする」と強引にケヴィンを誘い、強盗に入ることを決める。
翌日、その家からの盗品を整理していた彼らは、大きなボストンバッグいっぱいに詰まった札束を盗んできてしまったことに気が付いた。さらにブルースはその金の近くには大量のドラッグもあったと話し、ケヴィンは不穏なものを感じ取って怯えてしまうのであった。
さらにその日、頻発する強盗事件と彼らの羽振りの良さに関連を見出した刑事が事務所を訪ね、明らかに疑った様子で彼らと話をして帰っていく。ブルースは盗品を安全な場所に移動することを決意し、協力者に連絡を取るのであった。
麻薬ディーラーの登場
ブルースが協力者として連絡をとったのは、毎日一緒にネットゲームで通信対戦に興じている友人である、ラミロという若者だった。ラミロは実家暮らしだが、地下に広い自室を持っており、盗品を隠しておくにはうってつけの環境を持っていたのだ。明らかに不審な依頼にも関わらず、気持ちばかりの金銭を支払うことで、彼は二つ返事で場所を提供してくれることになった。
さらにラミロはレナが出ていってしまって気落ちするケヴィンに対しても彼を鼓舞する言葉をかけ、彼らの仲間として信頼を得ていくようになる。
しかしラミロの正体は、新進気鋭のドラッグ密売人だった。彼はとある豪邸を訪れ、そこで料理をしていた男性に大量のドラッグの仕入れを依頼する。膨大な仕入れ値は「最近もらった家電や宝石で支払う」と話したラミロは、証拠品として一台のノートパソコンを取り出した。
しかし、そこでその男性はそのパソコンを起動するためのユーザーパスワードを正確に言い当て、突然ラミロの指を切り落として拷問を加え始める。その男性は、ブルースとケヴィンが強盗に入った豪邸の家主だったのだ。
頑なに口を割らないラミロのポケットから、ブルースとケヴィンが見積依頼の記念品として配っている唐辛子スプレーを見つけた男は、この会社と自身の家に入った強盗に関連があると見抜いたのであった。
ホーム・セキュリティーの最後の戦い
その頃、レナとの破局の危機を乗り越え、ぎこちないながらも関係を再構築しようと努力を重ねていたケヴィンだが、ブルースと些細なことで大喧嘩に発展してしまい、事務所を飛び出してしまう。
ひとり残されたブルースの元を、ラミロを暴行したドラッグディーラーの男が訪れる。彼はハンクと名乗り、防犯機器の必要性こそ感じないものの下見に訪れた、と語り、ブルースと世間話をしながら彼とケヴィンの名前を聞きだしていた。
ハンクは、警備内容に銃を加えようとしているブルースを、自身の営む民間の軍事会社の訓練を見に来るように誘って店から連れ出してそのまま拉致。盗んだ金の在処を突き止めるように迫り、彼にも拷問を加えるのであった。
いなくなったブルースがハンクに拉致されたことを知ったケヴィンは、レナに事情を説明する。警官の衣装に身を包んでハンクの家に侵入することに成功するが、すぐに正体を見破られて銃撃戦に発展してしまった。
ブルースがゲームで培った射撃能力を発揮したことで辛くも勝利するが、彼は撃たれて致命傷を負ってしまう。ケヴィンとレナはブルースに促されてその場から離れ、ブルースは駆け付けたライバル警備会社の男2人を射殺し、命を落とすのであった。
ここまでの顛末を語り終えたバーテンダーは、話を聞きに集まってきた人々の質問攻めに遭い、しどろもどろになっていた。
バーテンダーこと、アロハシャツに身を包んだケヴィンはへらへらと笑い、ここまでの顛末が本当か嘘か、明かすことは終ぞなかった。しかし、彼の傍らではウェイターとして生き生きと働くブルースの姿があった。
『イン・セキュリティ 危険な賭け』の登場人物・キャラクター
ホーム・セキュリティーの関係者
ケヴィン(演:イーサン・エンブリー)
本作の主人公のひとり。ブルースとは高校時代に共にホッケー部に打ち込んだ頃からの無二の親友で、共に警備保障会社の「ホーム・セキュリティー」を立ち上げるが、街の治安が良すぎることから業績は振るわず、恋人のレナから転職と結婚を迫られている。会社では主に事務を担当し、いつも経費が赤字であることに悩んでいる。
ブルース(演:マイケル・グラディス)
本作の主人公のひとり。ケヴィンの高校時代からの親友で、悪友でもある。ケヴィンと共に警備保障会社の「ホーム・セキュリティー」を立ち上げるものの、治安が良すぎるせいで業績が振るわないのをいいことに、毎日ラミロと共に通信でネットゲームに興じている。会社では主にエンジニアを担当し、テレビCMに出演するなどの広報活動も担っている。どちらかというと無鉄砲な性格で、いつもケヴィンを振り回している。
レナ(演:クレア・デュヴァル)
ケヴィンの恋人で、彼やブルースとは高校の同級生だった女性。結婚を視野に入れているためか、収入のない仕事をしている彼らを快く思っていない。衣装制作を請け負って生計を立て、ケヴィンのことも懸命に養っている。ブルースに対しては悪感情を抱いていたものの、ハンクに拉致された彼のために自身も作戦の最前線で体を張るなど、肝が据わっている一面もある。
麻薬密売の関係者
ジョシュア/ハンク(演:ケイリー・エルウィス)
目次 - Contents
- 『イン・セキュリティ 危険な賭け』の概要
- 『イン・セキュリティ 危険な賭け』のあらすじ・ストーリー
- 平和な街の警備会社
- 悪事のはじまり
- 麻薬ディーラーの登場
- ホーム・セキュリティーの最後の戦い
- 『イン・セキュリティ 危険な賭け』の登場人物・キャラクター
- ホーム・セキュリティーの関係者
- ケヴィン(演:イーサン・エンブリー)
- ブルース(演:マイケル・グラディス)
- レナ(演:クレア・デュヴァル)
- 麻薬密売の関係者
- ジョシュア/ハンク(演:ケイリー・エルウィス)
- ラミロ(演:ガブリエル・モラレス)
- その他の人物
- ブルームホール(演:アダム・アーキン)
- ホール刑事(演:ヴィング・レイムス)
- ラファティ(演:ジョージ・ワイナー)
- 『イン・セキュリティ 危険な賭け』の用語
- ホーム・セキュリティー
- 『イン・セキュリティ 危険な賭け』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ブルームホール「ありがとう、ステーキに使うよ」
- 『イン・セキュリティ 危険な賭け』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 脚本家のマット・ワイングラスの実体験に基づいて作られた本作の原案
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