ろくでもないやつしかいねえ! 映画「ゴッド・タウン」の魅力をどどっとご紹介!

「“ゴッズ・ポケット”の男たちは単純だ。働き、野球を観戦し、結婚をして子供を持つ、町を出るものはいない。ほぼ全員が盗みの経験者で、子供の頃、人の家に放火、戦うべきときわれ先にと逃げ出す連中。イカサマが好きで親は子供を殴る。何があっても町を離れないし誰も変わることはない。町を出ることだけは、決して許されないのだ」今回は、ろくでもない街のろくでもないやつらを描いた映画「ゴッド・タウン」をご紹介します。

あらすじ・ストーリー

1980年代、フィラデルフィア郊外の町ゴッドポケットには、労働者階級の人々が多く暮らしていた。そんな中、ろくでもないチンピラ中年であるミッキーの息子レオンが死亡する。レオンは妻ジェニーの連れ子で、いつもナイフを持ち歩く職場の嫌われ者だった。レオンは怒らせた相手の黒人に撲殺されたのだが、職場の人間たちが犯人をかばい事故死とされた。ミッキーはレオンの葬儀を執り行おうとするが金が足りず、やがて地方記者のリチャードが事故の取材を始める。

原題と邦題の違いにびっくり。なぜ変えたし。

原題は街の名前をそのまま取って「God's Pocket」なのに、邦題になるとどうして「ゴッド・タウン」になるのでしょうか。意味がわかりません。また、邦題のサブタイトルも、私が借りたDVDでは「神なきレクイエム」なのに、ちょっと調べると「裁かれる街」なんてのも出てきたりします。もう訳がわかりません。翻訳した人はタイトルを変えないとお金がもらえなかったんでしょうかね。

内容はまあ、ろくでもないやつらの群像劇といったらいいのでしょうか、とにかく酒飲んで悪さして、酒飲んで議論かまして、酒飲んで運転してと、もう何をやるにも酒がエネルギーになっています。ほんとろくでもないなあ、と失笑しながらもなんだかその退廃的な雰囲気はどこかノスタルジックです。結局ラストは、余所者はさようなら、というエンドで終わります。

ちなみにTSUTAYAのレンタルコーナーではミステリーと分類されていますが全くミステリーではないです。解くべき謎はありません。最初は街を出ていけない理由に何かあるのかなとも思いましたが、ただみんなろくでなしだからその街以外では生きていけないだけなんでしょう。ゴッドポケット。ろくでなしの街。まあある意味良い街ですよね、寛容で。

評点:57点/100点

主演であるミッキーを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンは、映画が公開されてすぐだったそうです。つまりこれが遺作だったわけですね。そんなバックグラウンドを知った後だと、何やらこの映画が墓標のように思えてなりません。これは死後の世界だったりするのかなあ、なんて。みんな死んだら神様のポケットに堕ちて、自堕落な生活を送っている。うん、こんな解釈もありっちゃありですかね。奇天烈ですが。どちらにせよご冥福をお祈りいたします。

ストーリー性はあってないようなものでしたが、彼らのろくでもない生き方を見ているだけでもなかなか面白かったです。アメリカに本当にこんな街がありそうな気さえしてきます。日本ではちょっとありえないですけどね。余所者を排除するという点だけ見れば、世界各国で問題になっていたりしますが、この映画がそこまで深いテーマを持っているのかどうかは謎です。多分、持ってないんじゃないかなあと私は思いますね。

まとめ

主演の遺作という煽りに誘われて手を伸ばした今作でしたが、思っていたよりかは悪くなかったです。煽りがなければ手にも取らなかったでしょうが。ふと思ったのですが、サブタイトルの「神なきレクイエム」って主演の方が亡くなってからつけられたのかもしれませんね。レクイエムの意味は「安息を」、往々にして日本語で「鎮魂歌」「葬送曲」とも訳されることがあります。そう考えると、翻訳者の株はちょっとだけ上がりますね。

さて、観るか観ないかはあなた次第。やっぱり映画は実際に観てみなきゃ評価はくだせません。どうぞご鑑賞あれ。

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@keeper

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