A Tribe Called Quest(ア・トライブ・コールド・クエスト)の徹底解説まとめ

A Tribe Called Quest(ア・トライブ・コールド・クエスト)とは、1988年に結成されたアメリカのヒップホップグループ。通称「ATCQ」。5枚のアルバムをリリースした後、1998年に1度解散するも、2006年に再結成を果たした。USのみならずヒップホップ史を紐解く際に、必ず言及されるカリスマ・グループである。デ・ラ・ソウルやジャングル・ブラザーズと並びネイティブ・タン(Native Tongues)の中核グループのひとつ。

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A Tribe Called Quest(ア・トライブ・コールド・クエスト)の概要

A Tribe Called Quest(ア・トライブ・コールド・クエスト)とは、1988年に結成されたアメリカのヒップホップグループ。通称「ATCQ」。5枚のアルバムをリリースした後、1998年に1度解散するも、2006年に再結成を果たした。USのみならずヒップホップ史を紐解く際に、必ず言及されるカリスマ・グループである。デ・ラ・ソウルやジャングル・ブラザーズと並びネイティブ・タン(Native Tongues)の中核グループのひとつ。

ヒップホップの始まりはクール・ハークによるブレイク・ビーツの発明だが、そこから1985年までがオールド・スクールという流れになっている。オールド・スクーラーはパーティ・ラップを中心にパフォーマンスしていたが、中にはGrandmasterFlash with furious fiveの「Message」のように政治的な主張をこめた楽曲もあった。
その後、RUN-DMCが「Walk This Way」でスターダムにのし上がり、ヒップホップ第二世代"ミドル・スクーラー”が誕生。「Message」で撒かれた種が萌芽するように、KRS-ONEが攻撃的で力強いメッセージ・ソングを出すなど、多様性が出てくる。

そのタイミングでニューヨークはクイーンズ出身の若者たちがシーンを席捲していく。
A Tribe Called Questの魅力といえば、サンプリングの巧みさとナード感だ。それまで鼻息を荒げるような力強い、言わば男性的なラッパーたちが活躍してきたが、A Tribe Called Questはそれをせず、特にQ-Tipに代表されるような緩急つけたフロウでライミングしている。音も柔らかく、どこか曇らせたようなトラック・メイキングも魅力である。
またキャノンボール・アダレイ、ゲイリー・バーツ、ロイ・エアーズなどをサンプリングし、ジャズの価値観を再構築したことも大きな功績だと言える。

A Tribe Called Quest(ア・トライブ・コールド・クエスト)の活動経歴

A Tribe Called Quest(ア・トライブ・コールド・クエスト)の結成

1988年、MCのQティップ(当時はMC Love Childと名乗っていた)とDJのアリ・シャヒードのデュオに、ファイフ・ドーグとジェロビが加わり、A Tribe Called Questを結成。ジャングル・ブラザーズやDJレッドアラートの後押しを受け、1989年にシングル「Description Of A Fool」でデビュー。
翌年、ファースト・アルバム『ピープルズ・インスティンクティヴ・トラヴェルズ・アンド・ザ・パスズ・オブ・リズム』をリリース。サンプリングにキャノンボール・アダレイやロイ・エアーズの素材を用いるなど、ジャズの要素を絡めた作品になっている。同年にリリースされた3枚目のシングル「Can I KIck It?」がナイキのCMに使用され、徐々に人気が高まる。

グループの成功とネイティブ・タンの隆盛

1991年の『ロウ・エンド・セオリー』は、ジャズ・ベーシストのロン・カーターを迎えて制作され、ジャズに影響されたサウンドを展開した。本作は商業的にも成功し、『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500』の153位にランクイン。
1993年の3rdアルバム『ミッドナイト・マローダーズ』 も大きな成功を収め、プラチナ・ディスクを獲得。本作にはグループ史上最大のヒットである「Award Tour」も収録されており、名盤として高く評価されている。
A Tribe Called Questが中心となって結成されていたヒップホップポッセ、ネイティブ・タンも隆盛を極める。ネイティブ・タンとは、A Tribe Called Questに加え、De La Soul、Jungle Brothersなど「非マッチョイズム」のヒップホップポッセ=(集団)である。彼らはそれまでヒップホップを支配していた「銃」や「拝金主義」とは違い、ヒップホップをより音楽的、文化的に捉えていた。
その姿勢は「文系ラップ」として日本のスチャダラパーなどへも受け継がれる。

解散後も絶大な人気

1998年、『The Love Movement』をリリース後、A Tribe Called Questは解散するものの、2006年再び活動を再結成。2013年に再び解散。2015年11月にはテレビ出演のために一時的に再結成した。
活動再開後にアルバムはリリースしていないが、2024年4月21日、米国・Rock & Roll Hall Of Fameより、『2024年度ロックの殿堂 パフォーマー部門』での殿堂入りが発表された。

A Tribe Called Quest(ア・トライブ・コールド・クエスト)のメンバー

Qティップ(Q-Tip)

ニューヨーク・クイーンズ区出身。
MC担当、プロデューサー。グループ解散後はソロ活動しており、俳優としても活動している。

ファイフ・ドーグ(Phife Dawg)

ニューヨーク・ブルックリン地区出身。MC担当。
グループ加入以前はバスケットボール選手になることを目指していたため、大のバスケファン。高校バスケのスカウトとしても働いていた。
遺伝性の1型糖尿病を患っており、糖尿病による合併症のため、2016年3月23日死去した。

アリ・シャヒード・ムハマド(Ali Shaheed Muhammad)

ニューヨーク・ブルックリン地区出身。
DJ担当、プロデューサー。

ジェロビ・ホワイト(Jarobi White)

1989年に加入。1stアルバム発表後に脱退するが、2006年の再結成で復帰した。

A Tribe Called Quest(ア・トライブ・コールド・クエスト)のディスコグラフィー

アルバム

『ピープルズ・インスティンクティヴ・トラヴェルズ・アンド・ザ・パスズ・オブ・リズム』 - People's Instinctive Travels and the Paths of Rhythm

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