手持ちカメラ映像で臨場感バツグン!モキュメンタリー映画5選
数年前、『パラノーマル・アクティビティ』というホラー映画がブームになりました。この作品が注目された理由として、「家庭用ビデオカメラで撮影された実際の映像」という設定で低予算で面白い映画を作ることに成功したことが挙げられます。今回はこのような「手持ちカメラ映像」風に作られた映画を紹介します。
モキュメンタリーとは
モキュメンタリー映画とは、主に「POV」という手法を用いて作られたフェイクドキュメンタリー映画のことをいいます。
POVとは「Point of View」の略で、カメラの視線を登場人物の視線と合わせる、いわゆる「一人称視点」の映像・撮影手法を言います。
このような手法で作られた映画には「これは実際の映像である」という宣伝文句でドキュメンタリー風の作品に仕上げられたものが多く、それらの映画は事実を真似る(mock)ドキュメンタリー映画、通称「モキュメンタリー」と呼ばれています。
『パラノーマル・アクティビティ』シリーズ
2007年のアメリカのホラー映画です。
POV方式の映画がブームになるきっかけとなった映画と言えます。この作品の大ヒットをきっかけに、様々なジャンルでこの手法を用いた映画が数多く作られることになりました。
この作品自体も、その興行的成功から5作目まで続編が製作され、スピンオフ作品も製作されています。
POV撮影が生み出す本当の出来事のようなリアリティもさることながら、わずか150万円の製作費で100億円以上の興行収入を叩き出したことでも話題になった本作は、この撮影方式が映画に大ヒットをもたらす大きな可能性を秘めていることを示したと言えます。
作品の怖さも評判を呼び、イタリアではこの映画のCMを見てパニックになる子供が続出したそうです…。
『グレイヴ・エンカウンターズ』シリーズ
2011年のカナダのホラー映画です。
もう予告編のサムネイルからして怖そうです。
廃墟となった精神病院に潜入したホラー番組のスタッフたちが行方不明になり、後に発見された撮影隊のカメラに彼らが心霊現象に襲われる様が映し出されていたという設定です。
先ほどの『パラノーマル・アクティビティ』が徐々に日常が壊れていく様をじっくり描くタイプの作品だとすると、本作は心霊スポットで次々と恐ろしい現象が畳みかけてくる、「観るお化け屋敷」のような映画です。
まるで遊園地のアトラクションのように、驚いたりハラハラする演出が続きます。
『クローバーフィールド/HAKAISHA』
2008年のSFアクション・パニック映画です。
ニューヨークのマンハッタンが謎の巨大生物に襲撃された様を、偶然現場に居合わせた市民がビデオカメラで撮影した、という設定で物語が進みます。
ゴジラのような巨大怪獣が大都市を破壊していく様をその足元の小さな人間の視点から描く映像は、まるで自分が大災害の中にいるような圧倒的な臨場感を感じさせます。大作パニック映画で描かれる大破壊の真っ只中に自分がいたらどんな光景かを観ることができる映画です。
この作品の公開に合わせてYoutube上に怪獣に関する偽のニュース映像・機密情報が流出した風の映像が流されるなど、モキュメンタリーとしての演出にも強いこだわり、工夫を見せた映画です。
『トロール・ハンター』
2010年 ノルウェー
北欧の伝説に登場する妖精トロールが実は本当に存在しており、その姿を撮影していくという物語です。
手持ちカメラで撮影される巨大なトロールの質感・存在感には目を見張るものがあります。
「ノルウェーの山中にやたらと送電線や電柱が多いのはトロールを森に閉じ込めておくための柵代わりだ」と語るシーンや実際のノルウェーの首相が「わが国にはトロールがいるから~」と発言するシーンがあるなど、映画を現実と絡めて偽のドキュメンタリーとしても面白い作りになっています。
『クロニクル』
2012年のアメリカのSF映画です。
偶然超能力を手にした少年たちが、その様子をビデオに記録していく、というストーリーです。
最初は面白がって超能力で遊んでいた少年たちが、力のコントロールに悩み葛藤したり力に溺れていく様子を描きます。
ドッキリ番組のようないたずらシーンや徐々に主人公が暴走していく様子、そして終盤の派手なアクションなどPOVの手法を最大限に活かした作りになっています。
冴えない主人公の学校生活や家庭トラブルなど、年頃の少年のリアルな悩みや葛藤が超能力という形で抑えきれなくなっていく心情描写も見どころです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
このようにPOVの手法を用いたモキュメンタリー映画は今では良作が大量に作られています。今回紹介したのもそのほんの一部です。
どの映画もこの撮影手法ならではのリアリティによって、見応えのある臨場感・迫力が作り出されています。
是非ご覧ください!