『さよならミニスカート』とは、牧野あおいによる少女漫画。集英社の少女漫画雑誌『りぼん』で2018年9月号から連載を開始。アイドルとして輝いていた雨宮花恋はもういない。ある襲撃事件をきっかけにグループから脱退した花恋は、アイドルであること、女の子であることを捨てた。女子生徒の中で唯一スラックスで高校に通う神山仁那の秘密とは。『りぼん』には、男女の恋のときめきや切なさを描いている作品が多い中で、スラックスを履いた元アイドルの女子高生が主人公という点が異例であり、多くの読者を惹きつけている。
『さよならミニスカート』の概要
『さよならミニスカート』とは、「このまんがに、無関心な女子はいても、無関係な女子はいない」というキャッチコピーのもと、SNS上で大反響を呼んだ、牧野あおいによる少女漫画。『りぼん』にて2018年9月号から連載を開始。
2019年、第23回「手塚治虫文化賞」マンガ大賞最終候補作品に選出される。「みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞2019」第10位、「このマンガがすごい!」2020オンナ編で1位を獲得。
主人公の雨宮花恋(あまみや かれん)はかつて、人気5人組アイドルグループPURE CLUBの不動のセンターとして活動していた。しかし、握手会イベントで刃物を持った男に右手首を切りつけられてしまう。犯人はいまだに捕まっていない。心身ともに深い傷を負った花恋はPURE CLUBを脱退。
トレードマークだったロングの黒髪を切り落とし、アイドル時代に売りにしていたミニスカートをはくことを拒否。花恋は神山仁那(かみやま にな)という本名に戻り、男子の制服を身にまとい、誰も知り合いのいない高校に編入する。
そこで同級生の堀内光(ほりうち ひかる)と出会う。仁那がかつてPURE CLUBのセンターだった雨宮花恋であることにいち早く気づいた光は、何かと仁那を気にかけ、守ろうとする。
光に少しずつ心を開いていく仁那だったが、光が握手会イベントの犯人なのではないか、との疑念が生まれる。
犯人は一体誰なのか、そして仁那は、本当にアイドルを辞めてしまうのか。
男性の漫画雑誌の表紙はなぜいつも女子の身体なのか、なぜ男子の部活にだけ女子のマネージャーがいるのか、短いスカートをはいているから、見ても良いのか触っても良いのか、世に蔓延る若い女性への性の搾取が根底のテーマにある。
日本のアイドルにつきまとうイメージや女らしさなど、日本社会に無意識のうちに根付いている固定観念を露わにし、疑問を投げかける強烈なインパクトがある。
少女漫画でありながら、年齢や性別を超えて多くの人の心を掴み、考えさせる力のある作品である。
『さよならミニスカート』のあらすじ・ストーリー
アイドルを目指す仁那
母親と再婚した父親と3人で暮らしていた神山仁那(かみやま にな)。仁那は、再婚した夫との子どもの出産を控えた母親から、弟か妹だったらどちらが欲しいかと尋ねられる。本当はどちらも欲しくない、もっと自分を見て欲しいという本音を隠して、仁那は笑顔で弟が欲しいと答える。仁那は家族の中に自分の居場所を見つけられず、さみしい想いを抱えていた。そんな仁那を励まし、笑顔をくれたのがテレビの中のアイドルだった。仁那は母親に、大きくなったらアイドルになってフリフリのスカートをはきたい、かわいいものを見るとみんなが元気になれるから、と言う。そんな風に人を笑顔にしたいと強く願った仁那は本気でアイドルを目指し、やがて5人組アイドルグループPURE CLUBのセンター雨宮花恋(あまみや かれん)としてデビューする。
雨宮花恋の運命を変える事件
花恋は売れるため、下着姿のグラビア撮影にも挑んだ。黒髪ストレートのロングヘアを決して変えず、罵声を浴びせるファンにも笑顔で応対し、誰一人切り捨てずに大切にしていた。徹底したアイドルとしての信念を持つ花恋は、不動のセンターに成長する。
握手会の会場で長蛇の列を作る花恋のレーン。その中に、全身ずぶ濡れの男がいた。花恋の前に立った男に心配と感謝の言葉をかける花恋。花恋が手を差し出した瞬間、男が刃物で花恋の右手首を切りつけ、花恋は病院へ搬送される。犯人は10代後半から20代の175cm前後の男性。警備員を投げ飛ばし逃走し、いまだ逮捕されていない。花恋はこの時、犯人の脇腹に3つ並んだほくろがあることを目撃している。
この事件で深く傷ついた花恋は、アイドルをやめると宣言。PURE CLUBから脱退することになる。
仁那と光の出会い
PURE CLUBを脱退した後、東京を離れアイドルだった自分を捨てた仁那。髪を短く切り、本名の神山仁那として、あえて男子の制服を着て高校生活を送っていた。仁那は、人と距離を取り、クラスでも浮いた存在だった。
そんな中、同級生で柔道部員の堀内光(ほりうち ひかる)と出会う。光には、担任教師からのセクハラを受け、引きこもりになってしまった妹がいる。妹を守れなかった自分のふがいなさや後悔を心の奥に秘めている。妹を守るため強くなりたくて柔道部に入部した。光は妹がPURE CLUBの大ファンだったこともあり、仁那がかつてのPURE CLUBの雨宮花恋であることにいち早く気づく。仁那を気にかけているが、人と距離を置いている仁那と話すきっかけをつかめずにいた。同級生の長栖未玖(ながす みく)が下校中に変質者に太ももを触られるという事件があり、クラス内で、短いスカートをはいているのは男に媚びを売るためだという男子生徒からの声があがる。それに対し、スカートは男のためにはいているわけではないと怒りを露わにする仁那。それを聞いた未玖は、太ももを触られるくらい大したことではないと主張する。未玖に対し、本当にそれでいいのか、と問う仁那だったが、未玖に嫉妬しているだけだと男子生徒に詰め寄られ逃げ出す。そんな仁那を光が追いかけ、仁那が雨宮花恋であることに気づいていることを伝える。自分がかつてミニスカートを売りにしたアイドルだったことを否定したい仁那に、光はアイドルになって妹を救ってくれたことに感謝を伝える。このことがきっかけとなり、仁那は光に心を開き始める。
光への疑念と誤解
花恋の所属している事務所に、仁那の写真が匿名で送られてくる。PURE CLUBのメンバーであるサラは、握手会事件の犯人は光なのではないかと詰め寄る。
犯人と光には耳をかく癖があるという共通点がある。また、柔道部員の光であれば警備員を投げとばして逃走することもできる。
決定的な証拠として、光のリュックから事務所に送られてきたものと同じ仁那の写真が出てきた。しかし仁那は優しく接してくれた光を信じ、彼と共に逃げ出した。
のちに光は握手会襲撃の当日、高校の入試を受けていたことが判明。さらに仁那の写真については、未玖が入れたものであることが明らかになる。
光を連れて逃げ出した仁那は、光に問われ、犯人の脇腹に3つ並んだほくろがあることを明かした。光は裸になり、ほくろがないことを証明した。
六花の引き込もりとその真実
光の妹の堀内六花(ほりうち りっか)は、バスケ部顧問である担任からセクハラを受けた。クラスメイトから六花が先生を勘違いさせたと陰口を言われたことも六花を追い詰めた。この出来事をきっかけに不登校になり、部屋に引きこもるようになる。そんな六花にとって、短いスカートで堂々とステージに立ち、どんな時も笑顔で女子を崩さないアイドルの存在は、自分が女子であることを許してくれる存在であり心の支えだった。
のちに、この出来事の真実が明かされる。初心者でバスケットボール部に入部した六花は、周りからバカにされていたことに思い悩んでいた。そんな時、顧問に気に入られるとスタメン入りできるという噂を耳にする。周りに認められたかった六花は顧問に好かれるように自分が仕向けたことを告白する。女子であることを武器に使った罪悪感と、信じてくれている家族を裏切ってしまったことで、より深い苦しみを抱えていることが明かされる。
未玖の暗躍と仁那が抱える葛藤
容姿端麗で学校のマドンナである未玖。光に好意を寄せる未玖は、いつも仁那を気にかける光にやきもきしている。未玖はストーカー事件をでっちあげたり、アイドル時代の仁那のグラビアポスターをクラスに貼って仁那を貶めたりする。光は妹が担任の教師からセクハラを受けた際の憤りから、仁那に対して汚いと言い放った未玖を責めた。
未玖の戦略により、未玖と光のキスシーンを見せられた仁那。さらに未玖に煽られた仁那が思わず未玖の頬を叩くところを、未玖は光に見せつけるのだった。
人を笑顔にしたい、家族に認められたい一心でアイドルになった仁那。有名になるため、与えられた仕事を必死にこなしていた。人を元気にし、応援されることで自分も勇気をもらうアイドルという職業に誇りを持っていた。
しかし仁那は、アイドルである個々の能力で勝負することに自信を持てず、女子であることを武器にしてしまった。さらに、脱退した自分の代わりにグラビアをメンバーにやらせてしまったことにも強い罪悪感を抱いていた。
仁那と光、それぞれの想い
女子は自分の生きる世界で、自分の価値を認められたくて必死だ。正解が分からず、目の前で自分の価値を認めてくれる人間にしがみつきたくなるのは当然のこと。問題は、それをやらせているのは、一体誰なのかということ。光はそれをやらせているのは自分たち男であると言う。その後ろめたさを隠すために、彼女たちを汚いと指摘するその他の女子たちを悪者にしたてあげ、女子同士を対立させ、孤立させる。そうやって、女子をおもちゃにして遊んでいる。自分はそんな男にはなりたくない、男である前に自分でいたいと叫ぶ。
襲撃事件をきっかけに握手会ができなくなり、また花恋の不在により人気も低迷しているPURE CLUBだったが、オンラインでファンと交流する方法を模索していた。メンバーと本音で話し合う中で、女を使って下着のグラビアで売れたこと、それなのにアイドルでいることが怖くなって逃げたこと、アイドルに戻りたくても戻れない自分も全て受け入れてアイドルに戻りたいと気持ちを伝える。そう思えたのは、光という大切な存在がいるからだと仁那は言う。
『さよならミニスカート』の登場人物・キャラクター
主要人物
神山 仁那(かみやま にな)
主人公の高校1年生。かつてアイドルグループ「PURE CLUB」のセンター、雨宮花恋として活動していた。
握手会イベントでの襲撃事件をきっかけにグループを脱退。東京を離れ、アイドルだった自分を隠し、高校生活を送る。女子生徒の中で唯一スカートではなくスラックスをはき、人と距離をおいている。襲撃事件をきっかけに男性恐怖症に陥るも、光に出会い、徐々に距離を縮めていく。
雨宮 花恋(あまみや かれん)
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目次 - Contents
- 『さよならミニスカート』の概要
- 『さよならミニスカート』のあらすじ・ストーリー
- アイドルを目指す仁那
- 雨宮花恋の運命を変える事件
- 仁那と光の出会い
- 光への疑念と誤解
- 六花の引き込もりとその真実
- 未玖の暗躍と仁那が抱える葛藤
- 仁那と光、それぞれの想い
- 『さよならミニスカート』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 神山 仁那(かみやま にな)
- 雨宮 花恋(あまみや かれん)
- 堀内 光(ほりうち ひかる)
- 長栖 未玖(ながす みく)
- 高校の同級生
- 正暉(まさき)
- 辻(つじ)
- 沖田(おきた)
- PURE CLUB
- サラ(さら)
- 山岸 美由(やまぎし みゆ)
- らむ
- ありか
- 登場人物の家族関係者
- 翔太(しょうた)
- 堀内六花(ほりうち りっか)
- 長栖 成弥(ながす せいや)
- その他の人物
- 傷害事件の犯人(本名不明)
- 『さよならミニスカート』の用語
- ミニスカート
- PURE CLUB
- 『さよならミニスカート』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 仁那「スカートはあんたらみたいな男のために履いてんじゃねえよ」
- 仁那「私 誰かに喜んでもらうためにアイドルになったんだった」
- 光「俺は「男」なんか」じゃない。俺は俺になりたいんだよ。…全部俺たちがやらせてることだ。だったらやめられるのも俺たちだけだ そうだろ」
- 『さよならミニスカート』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 異色の物語設定の漫画を選んだ『りぼん』新編集長の覚悟
- 「少年ジャンプ+」や「LINEマンガ」でも掲載
- 5年間の連載休止を経て再開
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