べしゃり暮らし(森田まさのり)のネタバレ解説・考察まとめ
『べしゃり暮らし』とは2005年より森田まさのりが『週刊少年ジャンプ』で連載を開始し、2007年から2019年まで『週刊ヤングジャンプ』で連載された、お笑いをテーマにした漫画作品である。「学園の爆笑王」として高校生活を過ごしていた上妻圭右。上妻のクラスに転校してきたのは元芸人の辻本潤だった。上妻は自分のお笑いを貫こうとするが、本物のお笑いを知っている辻本に刺激を受ける。そんな中、上妻は辻本とコンビを組み芸人を目指すこととなる。実際のお笑い芸人やお笑いファンからも絶大な支持を得ている作品である。
『べしゃり暮らし』の概要
『べしゃり暮らし』とは2005年より森田まさのりが集英社『週刊少年ジャンプ』で連載を開始し、2007年から2019年まで『週刊ヤングジャンプ』で連載された、お笑いをテーマにした漫画作品である。作者の森田まさのりは代表作に『ろくでなしBLUES』や『ROOKIES』などがある。作中において実在するお笑い芸人の風貌や特徴などが模倣されて描かれていることで、お笑いファンを中心に好評を得ている。
「学園の爆笑王」として高校生活を過ごしていた上妻圭右は、常に周囲から笑われることだけを考えていた。ある日、上妻のクラスに転校してきたのは元芸人の辻本潤だった。上妻は自分のお笑いを貫こうとするが、本物のお笑いを知っている辻本にしだいに刺激を受ける。そして、上妻は辻本とコンビを組み芸人を目指すこととなる。上妻と辻本はお笑い養成所に入所し、様々な芸人たちと知り合い衝突しながら幾多の困難を乗り越えていく。そんな中、最高峰のお笑いショーレース「NMC(ニッポン漫才クラシック)」に出場する。お笑い養成所を舞台に、人を笑わせることに命をかけている上妻とお笑いに厳しく真摯に向き合う辻本が衝突しながらも日本一のお笑いコンビの夢を追い求めていくハートフルなコメディー作品。作中のお笑いショーレース「NMC(ニッポン漫才クラシック)」は架空の大会ではあるが、実際のお笑いショーレース「M-1グランプリ」をモチーフにしているところも作品の人気の特徴である。
『べしゃり暮らし』のあらすじ・ストーリー
学園の爆笑王
ある日の体育の時間。サッカーの試合で盛り上がっている高校生たちの中、上妻圭右(あがつまけいすけ)はゴールキーパーをしながら1人腕を組んで皆を笑わせることを考えていた。上妻は玉木春馬(たまきはるま)がシュートをしたボールを顔面でセーブをして大爆笑をかっさらった。上妻は、思い通りにいってガッツポーズ。
放送部の上妻は昼休みには校内放送で相方の竹若明浩(たけわかあきひろ)と軽快なトークをしていた。しかし、すぐに下ネタを話すことから幼馴染みで放送部部長の土屋奈々(つちやなな)から強制終了される始末だった。
部員は他に、友人の子安 蒼太(こやすそうた)がいて、台本を考えることに長けていた。
そんな中、上妻たちの高校に元芸人の辻本潤(つじもとじゅん)が転校してきた。
上妻は関西人の辻本を面白がり、笑いで挑発するが辻本は全く乗ってこない。
それならばと昼の校内放送に無理やり連れていくと、上妻は辻本がめちゃくちゃ面白い奴だと知る。しかし、その一方で今まで自分が校内で一番面白いと思っていただけに大きな嫉妬をしてしまう。上妻は、「学校一の爆笑王は俺だ」とモヤモヤしていると、辻本が元芸人だと聞いてさらに闘争心を抱く。しかしその反面、辻本は上妻は面白い奴だと感じ始めていた。
辻本祭りが始まる
ある日、学校紹介のテレビ放送でスキンヘッドを披露した上妻。体を張った笑いに辻本も参ったの一言だった。上妻と徐々に仲が良くなっていく辻本だったが、電話で「お前とはもうコンビをやっていけない」という話を奈々に聞かれてしまう。辻本は以前、男女コンビを組んで劇場を中心に漫才をしていた。
辻本は上妻を劇場に誘い、金本浩史(かねもとこうじ)と藤川則夫(ふじかわのりお)のお笑いコンビであるデジタルきんぎょに上妻を紹介する。上妻は楽屋で金本に自分が書いたお笑い台本を見せるが、「おもんない。自分センスないわ」と言われてしまう。
辻本はその劇場で相方の鳥谷静代(とりたにしずよ)に出くわす。辻本は以前、SHIZU-JUNというコンビを静代と組んでいたが、解散して東京に転校してきた。コンビは解散したが、静代はまだコンビを続けたいと思っていた。
2人が再会したことで劇場で漫才をすることになったが、レベルの高さに上妻は衝撃を受ける。そして、学校でしかウケていない自分が小さく感じてしまう。SHIZU-JUNはお互い恋愛感情があった。
2人の漫才を見て凄さを知った上妻だったが、逆に無理してやっていると感じる。
上妻は辻本に「少なくとも俺は自分が笑いてーから昼の放送やってんだ」と伝える。
上妻の言葉を聞いてなのか、普段から仲が悪いデジタルきんぎょが本番前にネタ合わせをする。
少し自信をなくした上妻だったが、辻本は上妻とコンビを組みたいと密かに思っていた。
きそばAT
上妻は、SHIZU-JUNの漫才を目の当たりにして学校でウケを狙えなくなっていた。
そんな中、奈々は子安に上妻の実家である蕎麦屋について話をする。昔は、売れない芸人が集まる蕎麦屋だったが、若手芸人が店を衛生的にいじったネタをテレビで披露したことで客が少なくなっていった。そのため、上妻の母がパートの掛け持ちをして体を壊し他界してしまう。以後、父である上妻潔(あがつまきよし)はお笑いが大嫌いになってしまった。
上妻は文化祭で漫才コンテストに出ることを父に知られ大喧嘩をするが、構わず辻本と出ることにする。
コンビ名は蕎麦屋から取って「きそばAT」と名付けた。
本番は、玉木が上妻たちのネタをパクってしまうが、上妻と辻本はアドリブ漫才を披露して文化祭は大盛り上がりとなった。きそばATは優勝を逃したものの、父にその姿を見せることができ、上妻は辻本に芸人を目指すことを伝える。
裸の爆笑王
NMC「日本漫才クラシック」に出ることにした上妻と辻本だったが、上妻は学園祭で大うけしたことにすっかり味をしめていた。
上妻は辻本が台本を読めと言っても読まずに、さらにはネタ合わせもしようとしない。
辻本はデジタルきんぎょの金本に相談したところ、上妻は現実を思い知ることになると予想した。
1回戦の会場では周りの若手芸人が緊張する中、上妻だけは余裕の表情だった。
しかし、舞台に出ると学祭の時のようにアドリブ漫才では客は笑わず、あろうことか、マイクに頭をぶつけた天然事故で笑われてしまう。実力で笑いをとりたかった上妻は、漫才中にキレて帰ってしまう。その後、辻本とも大喧嘩になり殴り合ってしまう。結果は、1回戦敗退となった。
金本が昔の自分たちの漫才DVDを辻本経由で上妻に渡した。そこには、笑わない客にキレる金本が映っていた。
デジタルきんぎょも昔はこうだったと知り、コンビニでバイト中の辻本の所に行き、これからの心意気を語る。
上妻は、実家の蕎麦屋で客がそばの食べ方で揉めているのを見て、客の自由だと気づく。
ド天然
上妻は辻本とお笑い養成所の入ることを決める。
そんな中、玉木が注目されたいために昼の放送の台本を子安に書かせ、結果として大爆笑を得た。
子安は、デジタルきんぎょのラジオで頻繁に採用される、ラジオネーム「ハニカミ工場長」だった。
子安は密かにお笑い作家になることを夢見ていた。
上妻は子安がハニカミ工場長だと知り、養成所の作家コースを勧める。
子安は、成績優秀で大学進学予定だったが、上妻に後押しされ進路指導でお笑い作家になることを話した。
NMCの3回戦。上妻は今までとは違う雰囲気に圧倒されるがワクワクしていた。
その横で辻本は、上妻が関西弁を話す癖より自然体の方が面白いと思っていた。
上妻は楽屋挨拶でも先輩芸人に、変な関西弁を指摘される。
デジタルきんぎょの藤川からも、「その作った関西弁やめや、面白さが半減するで」と言われる。辻本は藤川にそれは言わないようにしていたと告げるが、「コンビで遠慮はあかん。もっとぶつからな」と言われる。
しあわせのしるし
デジタルきんぎょには昔から確執があった。
金本1人が売れて、相方の藤川の仕事はコンビの時だけだった。
しかし、金本は藤川の家族のことも考えてピンでの仕事をなるべく断っていた。
藤川はマネージャーからも金本の引き立て役呼ばわりされ、とても悔しい思いをしていた。
藤川は金本がアメリカでの仕事中、ピンとして漫談を始めた。漫談の中での「死んだらええねん」という強い言葉が逆に世間から受けてブレイクした。
しかし、そこから金本や自分の子供との関係が悪くなっていった。
NMCの準決勝を藤川の妻と息子は見にいった。上妻も会場に行くがチケットが無く中に入れない。迷子になっていた藤川の息子をたまたま保護したことで、上妻は藤川の家族と会場内に入る。しかし、藤川の息子は見ないと言う。上妻は藤川の息子を肩車して、「父ちゃんを見たくないなら、お客さんを見とけ」と言う。その光景は、観客が大爆笑している光景だった。息子は唖然として父を面白いと思った。その後デジタルきんぎょは決勝に進出し、報告を受けた藤川は酔った勢いで服を脱ぎ雪の降る外を裸で歩いた。そして、公園のベンチで凍死する。
真夜中心中
藤川の死は、瞬く間に世間に知れ渡った。
上妻と辻本は相変わらず上妻の関西弁について揉めていたが、藤川の訃報を知り一旦病院へと向かった。病院では家族が見守るなか、藤川は既に帰らぬ人となっていた。
金本は藤川が死ぬ前に「ぜったいおまえをわらわしたる」というメールをもらっていた。
金本は病院に出向き、藤川に対して「しょーもない。どこがおもろいねん」と声をかけた。それを見た上妻は金本に対して激怒するが、金本からタクシーに乗らされラジオ放送局に向かった。そして、金本は上妻を藤川の代わりに目の前に座らせて泣きながらラジオの仕事をした。
金本は年の暮れに、上妻の実家の蕎麦屋でNMCの決勝を見ていた。
一方、上妻は藤川の遺言として辻本に関西弁を使わないと誓う。
陽春遠く
上妻の姉の上妻しのぶ(あがつましのぶ)は、父の潔に内緒でお笑い芸人の「ネズミ花火」の根津(ねづ)と付き合っていた。
根津には女の悪い噂があった。上妻はそれを知って根津を殴ってしまうが、それは漫才のネタによるものだった。
ネズミ花火は既に解散していて、相方の花田(はなだ)だけ少し売れていた。ネズミ花火は以前、上妻の蕎麦屋によく来ていたが漫才のネタで店をイジった過去があった。2人とも潔にずっと謝りたいと思っていた。
2人は解散後、溝ができていたが決心して店に謝りに行く。潔はすでに気持ちは許していて、2人を応援していた。
根津は芸人を辞めて、しのぶとのことも改めて挨拶に行くと言うと、潔から「帰れ」と言われてしまう。
売れない芸人を応援していた頃のきそば上妻が昔のように戻りつつあった。
桜の前に
上妻と潔は、蕎麦屋の今後についてしこりがあった。
潔は、上妻に店を継いでもらいたいと思っていたが、芸人の夢も叶えてほしいと思っていた。
ネズミ花火の解散ライブが行われ、途中のアクシデントできそばATが場をつなぐことになった。
潔は息子の精一杯の漫才を見て覚悟が決まったのか、会場の根津に「しのぶのこと好きか。蕎麦屋を継ぐ気はあるか」と問う。
ネズミ花火は最後のライブで昔、蕎麦屋をイジったネタをした。そして、根津は舞台の上から忍にプロポーズをした。
根津が店を継ぐことになり、上妻は本格的に芸人を目指すことになった。コンビ名を「べしゃり暮らし」に変更した。
子安は志望大学に受かったことで、養成所に入ることにした。
上妻と辻本が3人トリオの話を持ちかけるが、子安は葛藤する。
相方選びも芸のうち
静代は友人の江草はるか(えぐさはるか)と「ニップレス」と言う新しいコンビを組んでいた。
しかし、辻本とのコンビが諦めきれずとりあえずコンビ組んで東京に出て来ていた。
養成所の面接当日。上妻は「げんこつロデオ」の岩隈将大(いわくままさひろ)と初日から衝突して問題を起こす。
面接が不合格になるところだったが、謝罪して無事に入学した。
養成所の授業が始まり、げんこつロデオも実力を持っていて早速、上妻たちのライバルとなった。
子安は、3人トリオは養成所の間の一時的なトリオだと思っていた。しかし、2人からこれからもトリオでやっていこうと言われ、思わず号泣してしまう。
ネタ見せ
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目次 - Contents
- 『べしゃり暮らし』の概要
- 『べしゃり暮らし』のあらすじ・ストーリー
- 学園の爆笑王
- 辻本祭りが始まる
- きそばAT
- 裸の爆笑王
- ド天然
- しあわせのしるし
- 真夜中心中
- 陽春遠く
- 桜の前に
- 相方選びも芸のうち
- ネタ見せ
- FACTORY
- 笑顔のために
- 虚勢
- おかんの祈り
- 蛤 -ハマグリ-
- 忘却の人
- 家族の肖像
- お前を笑わす
- 笑いの空
- 『べしゃり暮らし』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 上妻圭右(あがつまけいすけ)
- 辻本潤(つじもとじゅん)
- 上妻の関係者
- 子安蒼太(こやすそうた)
- 土屋奈々(つちやなな)
- 上妻潔(あがつまきよし)
- 上妻しのぶ(あがつましのぶ)
- 竹若明浩(たけわかあきひろ)
- 梅垣望(うめがきのぞむ)
- 玉木春馬(たまきはるま)
- 杉内(すぎうち)
- 沢尻ひとみ(さわじりひとみ)
- 吉竹高校校長(よしたけこうこうこうちょう)
- 矢田(やだ)
- 辻本の関係者
- 辻本仁美(つじもとひとみ)
- 中西富美男(なかにしふみお)
- お笑い関係者
- 金本浩史(かねもとこうじ)
- 藤川則夫(ふじかわのりお)
- 金田しげお(かねだしげお)
- 榎本兆治(えのもとちょうじ)
- 稲尾潤三(いなおじゅんぞう)
- 鳥谷静代(とりたにしずよ)
- 江草はるか(えぐさはるか)
- 岩隈将大(いわくままさひろ)
- 内川修一(うちかわしゅういち)
- 北川千尋(きたがわちひろ)
- 堀内泰示(ほりうちたいし)
- 成瀬智也(なるせともや)
- フリーバイト
- ねずみ花火
- サボテンミサイル
- ロッテンマイヤーズ
- るのあーる
- ワラッテーナ
- 弾丸メタル
- アライバタ
- その他の関係者
- 下柳(しもやなぎ)
- 野村(のむら)
- 本家爆笑王(ほんけばくしょうおう)
- 藤川尚美(ふじかわなほみ)
- 葛城(かつらぎ)
- 矢野(やの)
- 久保田はるみ(くぼた はるみ)
- 関本(せきもと)
- 『べしゃり暮らし』の用語
- 昼の放送
- きそば上妻
- デジきん
- アドリブ
- NMC
- アグレッシぶぅ
- はにかみ工場長
- ゴッデス
- 『べしゃり暮らし』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 上妻「少なくとも俺は自分が笑いてーから昼の放送やってんだ」
- 上妻「俺はおやじが必死こいて守ってきたこの店を誇りに思ってんだよ」
- 金本「2LDKにしとけ」
- 金本「やっとホンマのコンビになれた気がするわ」
- 潔「あきらめるな。しがみつけ」
- 子安「最後にこんな景色が見られたんだから」
- 辻本「相方て隣で笑ろてる人のことなんですね」
- 『べしゃり暮らし』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作中の芸人モデルは実在のお笑い芸人
- M-1グランプリのポスターは「べしゃり暮らし」
- べしゃり暮らしの原型作品は「芝犬」と「スベルヲをイトワズ」
- コミックス帯紙のコメントは歴代M-1チャンピオン
- べしゃり暮らし作家の森田まさのりが組んだコンビ名は「漫画家」