新米錬金術師の店舗経営(米経)のネタバレ解説・考察まとめ

『新米錬金術師の店舗経営』とは、いつきみずほによる、漫画化・アニメ化されたライトノベルである。2018年から『小説家になろう』で連載され、イラストはふーみが担当し、富士見ファンタジア文庫にて2019年に刊行された。孤児院育ちのサラサが、錬金術師の資格を取得し、譲り受けた店舗を立て直すため奮闘する物語である。彼女は店舗を立て直す中で、村人たちと協力しながら成長していく。アニメ版は2022年に放送され、ENGIが制作を担当した。豊富な知識と高い魔力を駆使し、困難に立ち向かうサラサの姿が魅力である。

『新米錬金術師の店舗経営』の概要

『新米錬金術師の店舗経営』とは、いつきみずほによる、漫画化やアニメ化がされたライトノベルである。『小説家になろう』にて2018年11月1日から2021年9月11日まで連載され、イラストはふーみが担当し、富士見ファンタジア文庫にて2019年9月20日に刊行されている。刊行後に『カクヨム』でもウェブ版が掲載された。物語は孤児院育ちのサラサ・フィードが錬金術師として辺境の村で店舗を経営する姿を描いている。略称は「米経」。題材の特徴として、錬金術と店舗経営という異色の組み合わせが挙げられる。サラサが高い魔力と豊富な知識を駆使し、村人たちと協力しながら成長していく姿が魅力である。
アニメ版は2022年10月3日から12月9日まで放送され、ENGIが制作を担当した。アニメ化により、作品はさらに多くのファンを獲得し、世間に大きな影響を与えた。
『新米錬金術師の店舗経営』の漫画版もあり、2020年12月からウェブ版の『コミックヴァルキリー』にて連載され、kireroが作画を担当している。
孤児院育ちのサラサは、錬金術師の資格を取得し、師匠から譲り受けた店舗を立て直すために辺境の村へと向かう。彼女は村人たちと協力しながら、錬金術の知識と魔力を駆使して困難に立ち向かい、成長していく。

『新米錬金術師の店舗経営』のあらすじ・ストーリー

サラサ・フィードが錬金術師になって初めて持った店舗

両親を盗賊の襲撃に遭い亡くしていたサラサ・フィードは、孤児院で育ち、錬金術師に会うことで自分も錬金術師を目指すようになった。サラサは孤児も認められた王立錬金術師養成学校に入学し、勉学と実習とアルバイトの繰り返しに明け暮れる。卒業試験も見事こなし、錬金術師の資格であるアルケミーライセンスも授与された。500万の金貨を貯めて、錬金術師が持つのは当然とされる錬金術大全も師匠のオフィーリア・ミリスの伝手で安く手に入れる。ついでに店舗の面倒まで見てくれた。ところがその店舗はサラサが今いる王都から一カ月ほどもかかる田舎のヨック村にある。サラサは客も見込めずどうやって生計を立てようかと困っていると、オフィーリアはそこで採れる錬金術の素材を送ってくれれば買い取ってくれるという。それが目当てなのじゃないのかとサラサは思いつつも、行くことを決めたのであった。

サラサがヨック村について店舗となる場所へ来てみると、荒れ放題になっている。サラサは廃墟へ入り込み、使えるものを点検し、ヨック村の雑貨屋へ行くと店の娘のロレアが対応してくれた。ロレアはサラサにどこから来たか聞き、サラサが王都だと答えると、お菓子やファッションの話を聞きたいという。ちょうどサラサの家の隣人となるエルズが通りかかり、ロレアがサラサに紹介する。エルズがヨック村の案内を買ってくれた。大工のゲベルクは孫より幼い者から金を取ることはできないと、ベッドをタダでくれることになった。サラサは鍛冶屋のジズドや村長、宿屋兼食堂のディラルと会い、知り合いとなる。けれどもサラサは特に誰とも仲良くなれず、不安なまま一夜を明かす。
次の日オフィーリアが訪ねてきた。3日でやってこれたと軽い調子だ。剣の稽古もつけてくれ、サラサが「本当は何の用で来たんですか」と尋ねると、描いた場所同士を繋ぐ転送陣を作りにきたという。
日を跨いで、外が騒がしいので目覚めて家から出てみると、村人たちが集まっている。サラサが村人たちに聞くと、家の修繕を手伝ってくれるという。食堂でサラサが「土もいいし、風も心地よいこの村が好きです」といったのを村人たちが聞いていて、いても立ってもいられずやってきたという。ロレアはサラサと一緒に布団の綿を詰めてくれたがその日のうちに終わらず、サラサが「泊まっていく?」と聞くと喜んで泊まることにしてくれた。
その晩、サラサが「店番がいてくれたら」と言うと、ロレアが「私じゃダメですか」と立候補してくれた。サラサは「分からないことは教えるから、お願いできるかな」と快諾する。
店の準備は整い、晴れて開店となったのであった。

サラサの初仕事と村の防衛

ヘルフレイムグリズリーに襲われそうになったロレア(右)を守るサラサ(左)

サラサの最初の仕事は、突如として運ばれてきた採取者アイリス・ロッツェの治療であった。片腕が千切れ、毒が回り重症だ。サラサはお金がかかることを仲間のケイト・スターヴェンに言うと、ちゃんと払うから助けてと懇願してきた。サラサはロレアとアイリスの仲間のケイトにも手伝ってもらいながら惜しみなく薬を使い、腕をつなげ、毒を中和していく。治療は滞りなく行われ、アイリスとケイトは念のため泊まっていくことになった。その晩サラサはロレアに治療の時はいっぱいいっぱいだったことを明かし、錬金術と採取者とお金は必要不可欠の関係なのでタブーはありえないと言う。それでもケイトがお金を払えないといっても治したかもしれないとサラサは打ち明け、この関係の難しさをロレアに示唆する。
次の日サラサはアイリスとケイトから怪我を負った原因であるヘルフレイムグリズリーの出現場所を聞く。サラサ1人で討伐と素材採取しようとしたのだが、アイリスとケイトに心配され、大勢で行ったのだがサラサが1人で素手で倒してしまった。サラサが素材を採取していて、グリズリーの目が赤いことに気づく。サラサたちはヨック村に帰り、サラサは村長にグリズリーの目が赤いのはエサとなる火炎石が足りないためで飢えて理性を失い狂乱状態になっていると伝える。さらに近いうちに大勢で村を襲うだろうと予測する。できる範囲でなんとかしようとサラサが行動しようとすると、村人たちも協力してきてくれた。具体的には柵を作り、1箇所に火炎石を置いておびき寄せ、一気に仕留める。ボスクラスのグリズリーも現れたが、サラサがうまく立ち回り仕留めた。店にいたロレアもグリズリーに襲われたが、サラサが追いつき、倒す。
ヨック村は助かったのだ。

ついに始まった店舗経営

サラサの本格的な店舗経営が始まった。
アイリスとケイトには借金と、少しでも経費を浮かせてもらうため住み込みの採取者となってもらう。ロレアは店番と料理担当だ。サラサはヘルフレイムグリズリーの素材を売るために、身体強化の魔法をかけて隣街サウス・ストラグまで出掛けた。そこの錬金術師レオノーラと適正な良い取引をして親しくなる。サラサは魔法の力で動く魔導コンロや井戸水を汲み上げる水汲みポンプを作りながら、何か新商品になるものはないかと、採取者たちと北の洞窟まで行き、ヒョウガコウモリの牙を採取する。それを使い、サラサは冷蔵庫や被ると身体全体が冷える帽子を作り、売り出す。サラサはヨック村全体が豊かになって欲しいと考えていた。考えた末、例えば帽子の部分を村人に外注し、魔法が必要な部分はサラサが賄うことによって、ヨック村に収入が入る仕組みを作った。売れ行きは好評で、サラサも村人もwin-winの関係となった。

悪徳商人とロッツェ家の借金返済

よそ者の商人がヨック村で家を借りて商売を始め、ヒョウガコウモリを高く買い取っているという。採取者のアンドレが様子を見にいくと、盗賊らしき相手と話し込んでいたらしい。サラサはこちらも高く買い取る手に出た。それでも損失はまだ出ないという。すると、向こうも買い値を釣り上げてきた。どうやら相手はサラサを標的にしているらしい。サラサは自らも参加してヒョウガコウモリを狩ることで、相手に大量に売りつけ、資金の底をつかせる作戦に出た。相手はダブついた分を隣街のサウス・ストラグで捌き始めたが、サラサはレオノーラにも手を回していた。もし商人がやってきたらよく見ておいて欲しいと頼み込んでいたのだ。サラサがレオノーラのところへ行ってみると、案の定商人は相場がかなり下がっているにも関わらず売りに来ていた。レオノーラが独自に調べたところによると、商人の名前はヨク・バール。サウス・ストラグでバール商会を商っているという。扱っている商品は錬金術関連。錬金術師に借金を背負わさせて雇い入れ、こき使っているのだ。盗賊も雇っている。ヨク・バールの目的は新米錬金術師に借金を背負わさせ、強引に雇い入れてこき使うつもりだったのだ。サラサは帰り道に盗賊たちに襲われた。サラサは両親を盗賊に襲われた過去を思い出し、徹底的に叩き潰す。
後日ヨク・バールは村から出ていくことをサラサに伝えてきた。ヨク・バールはヒョウガコウモリを買い取って欲しいと言ってきたが、サラサは非常に安い価格でしか取引できないとわざとらしく言う。ヨク・バールはそのわずかな売値で逃げるようにヨック村を出ていき、その後どうなったかはよくわからなくなった。サラサはヨク・バールに雇われていた錬金術師の借金を肩代わりし、救済にあたった。
こうしてこの一件は片付いたのだった。

ある日サラサの店にアイリスの父親アデルバート・ロッツェと彼に仕えるケイトの母親のカテリーナ・スターヴェンがやってきた。アデルバートは飢饉が起きた時領民を助けた弊害で多額の借金を背負うことになった。準男爵のヨクオ・カークが代わりに用立ててくれたのだが、此度残りの多額の残金を返済して欲しいという。困っていたところにホウ・バールという商会を仕切る青年がアイリスとの結婚を条件に借金を肩代わりすると言ってきた。話を聞いていたサラサはホウ・バールがかつて絡んだバール商会の者だと知り、この話はおかしいのでよく調べてから決めてくださいとアデルバートに忠告する。
村長の娘エリンがサラサにヘルフレイムグリズリーの狂乱の原因を調べて欲しいと頼んでくる。サラサと採取者たちは山まで行って、溶岩トカゲの大量発生が火炎石を溶岩トカゲに取られ、ヘルフレイムグリズリーを狂乱に追い込んだことを突き止める。さらにサラマンダーにも遭遇する。サラマンダーは地震の原因にもなっており、山を噴火させるかもしれないという。サラサはロッツェ家の借金返済と、村の安全を確保するため、サラマンダーを倒すことを決意する。
2週間かけて高熱に対する対策の品をしっかり準備し、いざサラマンダーの元へ向かった。サラサとアイリスとケイトは前来たとは別のルートでサラマンダーと対峙する。サラサはリミッターとしていたネックレスを外し、アイリスとケイトが時間稼ぎしてくれている間に全魔力を使った魔法を時間をかけて詠唱する。苦戦したが、密かに来ていたオフィーリアの励ましの言葉を支えに、サラサは魔法を最大限放出しサラマンダーを氷漬けにできた。
サラマンダーの素材を売ったお金でロッツェ家の借金を全額返済し、アイリスは結婚しなくてよくなったのだった。

王都から、サラサの両親がつくったフィード商会がなんとか立ち直ったのでぜひ加わってほしい内容の手紙がサラサの元へ届いた。サラサは考えた末、ヨック村の店舗経営に専念することを選択した。

サラサは今日も、ヨック村で村人と協力して店舗を経営しているのである。

『新米錬金術師の店舗経営』の登場人物・キャラクター

主人公

サラサ・フィード

CV:高尾奏音
本作の主人公であり、15歳の新米錬金術師。この世界では15歳で成人とみなされる。ショートカットが特徴。 8歳の時に両親を盗賊に奪われ、孤児院で育った。錬金術師を志し、王立錬金術師養成学校に入学。在学中は学業とアルバイトに専念し、交友関係は限られていた。奨学金や報奨金を目指して努力した結果、実質的に首席に近い成績で卒業した。
新米ながら、錬金術師としての才能は非常に高い。在学中にマスタークラスの錬金術師オフィーリアの店でアルバイトをし、卒業時にオフィーリアからヨック村の店を譲り受けた。オフィーリアを師と仰ぎ、開店後も弟子として可愛がられている。
サラサは膨大な魔力を持つが、それを自力で制御することは困難である。そのため、オフィーリアから贈られた錬成具アーティファクトのネックレスがリミッターの役割を果たしている。このネックレスがなければ、魔力のコントロールが効かず、錬金や魔法の使用時に周囲に危険が及ぶ恐れがある。​​​​​​​​​​​​​​​​

主要人物

ロレア

CV:木野日菜
ヨック村の雑貨屋の娘で、サラサより2歳年下である。ツインテールが特徴。幼い頃から家業の雑貨屋で店番を務めていたため、読み書きや計算の能力を身につけている。この経験を買われ、サラサの開いた錬金術の店で店番として雇用されることとなった。
サラサの店兼住居の台所が整備されると、ロレアの役割は拡大した。店番の仕事に加えて、料理の担当も任されるようになった。彼女の実務経験と家事の能力は、サラサの店の運営に欠かせない存在となっている。若いながらも責任ある立場で働くロレアは、サラサの良きパートナーとして店を支えている。​​​​​​​​​​​​​​​​

アイリス・ロッツェ

CV:大西沙織
採取者として活動していたが、ある日ヘルフレイムグリスリーに襲われ、瀕死の重傷を負った。危篤状態でサラサの店に運び込まれ、高価な錬成薬によって命を取り留めた。しかし、その代償として多額の借金を背負うこととなった。借金返済の負担を軽減するため、サラサの提案により、相棒のケイトとともにサラサの店の2階に住み込むことになる。これにより家賃の節約が可能となった。アイリスは真面目な性格だが、同時におっちょこちょいな一面も持ち合わせている。そのため、しばしば悪いタイミングで失敗を犯し、周囲にトラブルを巻き起こしてしまうことがある。彼女の善意と不器用さが相まって、思わぬ騒動の火種となることも少なくない。​​​​​​​​​​​​​​​​青い長髪が特徴。

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