出禁のモグラ(江口夏実)のネタバレ解説・考察まとめ

『出禁のモグラ』とは江口夏実による漫画。2021年より『モーニング』で連載している。文学部の大学生、真木栗顕と桐原八重子は百暗桃弓木と名乗る仙人に関わり、今まで見えなかったものが見えるようになる。彼は刑罰としてあの世に行くことを禁じられている。あの世に行くためには道標となる“灯”を霊から集めなければならない。その行く先で彼らが不可思議な現象に出会う姿を描いた物語。登場人物の作り込みが細かく、人間の拗れを上手く描いている。地獄の存在が仄めかされているが、前作『鬼灯の冷徹』との関係性は不明。

霊が起こすことのできる現象の一つ。物体を浮かす力のこと。マギーくんが使える能力であり、マギーくんはかなりの重量を操る。

人魚様

八重子出身の島の言い伝え。人魚様に魅入られると海にさらわれるというもので、それを鎮めるための祭りがある。ただの言い伝えかのように思えたが、巨大な霊の集合体として島の周辺を漂っている。最終的に猫附家の化け猫、イケブクロとナベシマに祓われた。

その他の用語

ブーギーmanクラッシュ

漫画内で登場するシューティングゲームのこと。ぶすくれレッサーを操作し僵尸を倒すという内容。ブーギークラッシュの怪はこのゲームの開発者の霊が中心となって引き起こしていた。

猫附家

猫附家は代々、化け猫憑きである。その影響で短命でもある。化け猫を操ることで除霊をする。猫附梗史郎はまだ未熟といわれており、タダで祓ってくれる。猫附家はモグラに恩があり、できる限りでなんでもする。

『出禁のモグラ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

百暗桃弓木「改めてどうも 世にも珍しい仙人です 知り合って御愁傷さん!」

第2話で、真木たちはモグラに見舞いの品を持っていったのだが、ちょうどその時霊が現れてしまった。本来なら真木たちのような一般人に霊など見えるはずがない。しかし、真木たちは見舞いをしに行くほど、モグラに関わってしまった。
真木たちが霊をしっかりと視認したとき、モグラがすかさずカンテラを取り出し、霊を追い払った後、「改めてどうも 世にも珍しい仙人です 知り合って御愁傷さん!」と言った。モグラに出会ったことで霊が見えるようになった真木と八重子が初めて霊をしっかりと視認した印象的なシーンでの、物語の幕開けを指す一言である。

百暗桃弓木「話し相手ってのは人生において必要以上に大切なんだよ」

モグラの身の上話の後、「話し相手ってのは人生において必要以上に大切なんだよ」と一言。モグラの話は長い。他者との会話をそれだけ必要としているのだ。長く生きてきたであろうモグラだからこそ説得力のある言葉になっている。後に真木は八重子との会話の中で、この言葉を思い出し、「俺は今、相当良い時間をすごしているのかもしれない」と振り返っている。

熊谷誠治「いつだって一番欲しいものは手に入りません 3番目くらいに欲しいものの方が何故か手に入りやすいです 皆それはわかっていて それに対する対応の仕方が多分 人生の分かれ目です」

熊谷誠治は毒繭アケロンティアの中の人で、霊体でありながらもVTuberをしている。呪いのゲームの開発者が仮想空間で浮雲に抵抗しようとしたときだった。熊谷誠治はゲームの開発者を説得しにゲームの世界に入る。熊谷誠治自身の死因を語った後「いつだって一番欲しいものは手に入りません 3番目くらいに欲しいものの方が何故か手に入りやすいです 皆それはわかっていて それに対する対応の仕方が多分 人生の分かれ目です」と言った。熊谷誠治には息子がいたが早世だった。対してモグラは生きたくないが生きている。この対比が熊谷誠治の人生観を表している。熊谷誠治の説得のおかげで呪いのゲームの開発者の少年は抵抗せずに祓われた。

『出禁のモグラ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

作者が大学生の時に構想されていたモグラのキャラクター

日本の小説家、妖怪研究家である京極夏彦との対談で、モグラは作者の大学時代からいたキャラクターであることが明かされた。『鬼灯の冷徹』の世界に出すには人間味がありすぎて鬼灯に負けしてしまう。相殺してしまうキャラ性だなと思ったので前作には出さなかったようだ。この発言に対し、京極も「鬼灯には敵わないでしょうしねえ」と言葉を返していた。

江口 モグラというキャラクターは実は大学時代からいました。ただ、『鬼灯の冷徹』の世界に出すには人間味がありすぎて鬼灯に負けちゃうな、相殺してしまうキャラ性だなと思ったので出さなかったキャラクターです。

京極 鬼灯には敵わないでしょうしねえ。

出典: gendai.media

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