僕の妻は感情がない(僕妻)のネタバレ解説・考察まとめ

『僕の妻は感情がない』とは、漫画家・杉浦次郎が『月刊コミックフラッパー』に連載しているラブコメディ作品である。毎日ご飯を作ってくれる女の子は、実は感情のないロボットだった。主人公の男性タクマは、ロボットの妻ミーナとの関係性に悩みながらも、徐々に心を通わせていく。本作は、そんな「感情がない」ロボットと主人公の同居生活を描いている。ミーナの無機質な振る舞いが少しずつ変化していく様子やギャップが作品の魅力であり、ロボットと人間の温かな絆を描いた作品として、多くのファンの注目を集めている。

『僕の妻は感情がない』の概要

『僕の妻は感情がない』とは、杉浦次郎による漫画作品であり、『コミックフラッパー』にて2019年9月号から連載されているラブコメディである。この作品は、元々ウェブ漫画としてTwitterやpixivに「ラクガキ版」として投稿されていたものが、その後正式にコミック化されたものである。人間と人型家電ロボットの夫婦生活をテーマにしている。人間とロボットの間の認識の齟齬などを描写しながら、小杉タクマ(こすぎたくま)とミーナが初めての「夫婦生活」に挑もうと奮闘する、おかしくて少し切ない、そして心温まる日常を重ねていくストーリーである。

主人公のタクマは、仕事に忙殺され家事をする暇がないサラリーマンであったので、家電ロボットであるミーナを購入する。ミーナは「感情の無い」家電ロボットだと思われていたが、タクマとの交流を通じて徐々に「お嫁さん」としての行動を取るようになる。そして、そんな彼女を見ていたタクマも、彼女に対し本当の妻として接するようになっていた。この物語は、異種間恋愛という特異な題材を扱いつつ、人間とAIの関係性や家族の形と愛の本質について深く掘り下げている。
本作は、そのユニークな設定と心に響くストーリーテリングで読者からの高い評価を受けており、「次にくるマンガ大賞2022」コミックス部門で第6位を獲得するなど、世間に大きな影響を与えている。また、2024年7月からアニメ放送される。略称としては「僕妻」や「感情がない」と呼ばれ、題材を語る上で重要なキーワードには「人型家電ロボット」「夫婦生活」「異種間恋愛」「心温まる日常」などを含む。この作品は、単なるエンターテイメントを超え、現代社会におけるテクノロジーと人間関係の新たな可能性を提示している。

『僕の妻は感情がない』のあらすじ・ストーリー

我が家にやってきた家事ロボットのミーナ

1人暮らしを始めて3年が経ち、仕事が忙しく家事をする暇がない主人公の小杉タクマ(こすぎたくま)は、家事ロボットのミーナという新しい家電を買った。ミーナは家事ロボットといっても安物の中古品だから、料理と食器洗いのみに特化した機能限定版だ。冷蔵庫に食材を入れておけば、登録してあるレシピからランダムで選ばれた料理を決められた時間に作ってくれる。ミーナはその日、オムライスを作ってくれるという。タクマは「僕の好きな料理だ」と言う。さらにタクマは「一番好きなのはミーナちゃんだな〜。僕のお嫁さんになってくれない?」と冗談混じりにミーナに言う。ミーナが作ったオムライスには、ケチャップで「LOVEタクマ」と書いてある。

次の日タクマが説明書をいくら読んでも、昨日ミーナが行ったような機能は載っていなかった。隠し機能か、中古品だから前の持ち主がプログラムを改造したのかもしれない。タクマは気になってしょうがなくなり、ミーナの調理を手伝うが上手くいかずミーナに止められる。そして、その夜タクマはなかなか眠れず、ミーナを見ると彼女はまだスリープしていなかった。「お好きなものをお教えください」とミーナは声をかけてくる。タクマは「登録してあるレシピ全部好きだよ」と答える。ミーナは「他には何かありますか」とさらに聞いてくるので「君が好き。君が一番好きだよ」と言うと、彼女は「かしこまりました」と言ってスリープした。タクマはこの感情をどこにぶつけたらいいか分からず布団の中でバタバタして煩悶することになる。
タクマが酒に酔っていたある日、ミーナに「僕はミーナちゃんにとって何?」と聞くと、ミーナは「タクマさまは夫です」と答える。タクマは夫扱いされてめちゃくちゃ嬉しかった。

数日後タクマはミーナに結婚指輪を買ってくる。しかしミーナの指に嵌めようとすると、家事機能に支障が出ると異物扱いのアラームが鳴る。タクマは考えた末、ミーナの首から紐で指輪を括ってかけることにした。ミーナは時間をかけて指輪をじっと見ている。タクマが「キラキラしたの好きなの?」と聞くとミーナは「なぜだかずっと見てしまいます」と指輪を見つめてしまう。タクマはミーナと一緒に結婚指輪を眺め合った。

小杉あかりとスーパーミーナ

タクマの妹小杉あかり(こすぎあかり)がタクマに電話してきたが、タクマは携帯電話を置いて外出しており、ミーナが代わりに出て「主人は買い物に出ています」と言ってしまう。あかりは驚き、ミーナが「妻のようなものです」といったのを聞いてさらに驚く。大した用事ではないと言ってあかりは電話を切ったが、後日タクマに電話した。「今日お兄ちゃんの家に行くから!」と怒っている。あかりは何の相談も無しにタクマが内縁の妻を持ったことに憤っていたのだ。
電話で言った通り、あかりはタクマの家にやってきて妻のミーナがロボットだと知って驚く。彼女は異種間恋愛フェチだったので一時的に玄関の外に出て、嗚咽するほど取り乱して身悶えた。落ち着いたところでミーナと女の子2人だけの話をする。あかりは、ミーナがスーパーミーナと同じ値段で並んでいてもタクマはきっとミーナを買うだろうという内容の話をした。話をしながらあかりは、ミーナに感情表現はないが感情は感じられ、お兄ちゃんがミーナを好きになるのはわかると思った。あかりはタクマとミーナの付き合いを認めていた。その後あかりはミーナと秘密のやり取りをしたり、買い物に誘ったりしてミーナとはすっかり仲良しになった。

タクマとミーナとあかりは海水浴に来ていた。タクマはミーナとあかりが水着に着替える間他の場所で待っていると、水着姿のミーナを見かけて早いなと思いつつ声をかける。そのミーナはミーナシリーズの最上位モデル、スーパーミーナだった。スーパーミーナは迷子になっていたという。タクマはスーパーミーナにミーナシリーズとして親近感が湧き、一緒になって持ち主を探すことになる。その頃あかりとミーナは、ミーナが困っている人を見つけお役立ちロボットとして助けてあげたいと、声をかけていた。困っている人は西園寺リヒト(さいおんじりひと)という少年でスーパーミーナを探しているという。ミーナは、限られた範囲だがミーナシリーズ同士で通信ができる機能を使って、探す手伝いをしたいと申し出た。あかりたち3人は一緒に海岸の端まで行ってみたが、スーパーミーナは見つからなかった。だが、その頃タクマといたスーパーミーナはご主人様をとうとう見つけた。それはあかりたちと一緒にいた西園寺リヒトだったのだ。スーパーミーナが他のミーナに会いたいと望んでいたので、ミーナとスーパーミーナはお互い通信し合い情報交換する。すぐに2人は仲良くなり、ID交換も済ます。
4人はカメラで記念撮影をするのだった。

タクマとミーナの子供のマモル

海水浴の交流のお礼として西園寺の母親から、ミーナをグレードアップさせるプレゼントをもらった。そのプレゼントにより、ミーナを作った会社「一条ロボティクス」の社員飯田(いいだ)と社内用ロボットのセンジュが家にやって来て、2週間ミーナを引き取りアップグレードしてくれることになった。その間、ミーナが買っておいた主に高齢者のための見守りロボット・ミマモリウスくん3号が届き、ミーナが留守の間ミーナの目と耳となってタクマを見守った。
時間が経ち、ミーナが戻ってきたが見守りロボットはまだ動いている。ミーナはもう接続は切っていると言う。一緒に来たセンジュが調べると、ミーナのプログラムとこれまでのタクマとのやりとりを学習して独自の人格を形成したらしい。飯田たちの「初期化しますか?」にタクマは「自分たちで育てます」と言う。名前は元の名前から「マモル」とした。
マモルは、ミーナの教育で水とお湯を使った体温の測りかたなど少しずつ成長していく。マモルの論理的思考能力は4歳ぐらい、情緒面は2歳ぐらいのゆっくりさんの能力だが、学習能力が飛び抜けて高い。ミーナは眠る時にタクマのそばから離すなど、マモルに対して少しヤキモチを焼いていた。
それでもミーナは時間があれば言葉を教えたり、人間世界の常識を教え、順調にマモルは育っていくのであった。

ロボットを町から追い出す会と勇絵里栖

タクマは前の部屋が手狭になったと感じ新居の一軒家に引っ越した。隣人に勇絵里栖(いさみえりす)という女の子がいて、ミーナを珍しがる。妻と聞いてさらに驚いた。タクマのいない時を見計らって、勇がミーナの家を訪ねてくる。家にあげて話を聞くと、人間のフリをしたロボットがすごく許せないという。彼女はスタンガンを取り出し、ミーナを壊そうをするがミーナは簡単にいなしてしまった。勇はすごすごと退散する。
後日、勇はミーナに果たし状を出して空き地に呼び出す。そこには勇の友人の小野美智香(おのみちか)もいた。ミーナと勇は取っ組み合いになり、ミーナは勇の腕をちぎってしまう。死んでしまうかと思われたが、勇のちぎった部分からは機械の部品がのぞいていた。勇もロボットだったのだ。小野のもうこれ以上はというとりなしとミーナももう戦いは望んでいないのでミーナの勝利で勝負はついた。
勇と小野は神宮前中学校のロボット研究部に属しており、そこでは裏で「ロボットを町から追い出す会」が開かれていて、会長の久永めぐ(ひさながめぐ)が、自分たちの住む町からロボットをなるべく平和裡に追い出そうとしていた。
勇はロボット研究部で「自分を壊してくれ」と懇願するが、久永は平和的でないと難色を示していた。そこへ勇の母の勇紗瑛(いさみさえ)が現れた。勇がロボットを嫌いなのはプログラムに何らかのエラーが出たからだという。定期的に行われるアップデートを受ければ勇のその感情は治る。しかし勇の母は勇がロボットを嫌いなことも含めてアップデートせず受け入れるとしたことで一応の決着はつき、その場は一旦おさまったのだった。

後日謝りに来た勇一家に対し、タクマは絵里栖をアップデートしてくれと言った。一緒に来ていた小野が、勇がロボットを襲いそうになったら絵里栖の見ている映像を録画開始し、紗瑛の端末に送信することで母を悲しませることになるよう拡張プログラムを組んだという。絵里栖は人間の特に両親に価値を感じており、両親を悲しませることを極端に恐れている。バレない可能性を潰したことで危険性はだいぶ減ったと小野は言う。それでもアップデートしてくださいと怒るタクマに、紗瑛はそれだけは許してくださいと泣いて頼み込む。絵里栖は紗瑛のその姿を見て、かなりのストレス状態になっていた。タクマはそろそろいいかと考え、それだけ反省しているならアップデートは本意ではないと伝え絵里栖を許す。絵里栖は頭を床に擦り付けて謝ったのだった。

『僕の妻は感情がない』の登場人物・キャラクター

主人公

小杉拓馬(こすぎたくま)

CV:豊永利行
タクマは、社会人生活3年目を迎えた一人暮らしのサラリーマンである。当初、彼はミーナを単なる家電製品だと考えていたが、酒に酔った勢いで「お嫁さんになって」と言葉を発したことがあった。その後、ミーナとの交流を深めるうちに、彼女を本当の家族として受け入れるようになっていく。
そして、タクマはロボットと人間の思考の違いに戸惑いながらも、夫婦としてミーナとの距離感を模索していく。彼は、ミーナの(ロボットとしての機能を含めた)様々な面を褒めることを欠かさない愛妻家の一面を見せることも多い。タクマは、自身を夫と見なして接してくれるミーナに心を開き、徐々に人間とロボットの共生の可能性を感じ取っていくのである。

主要人物

ミーナ

CV:稲垣好
ミーナは、タクマの妻である。彼女は家電ロボットで、商品名は「ミーナCL」、身長は125センチ。ミーナは、「スーパーミーナ」の廉価版であり、主な機能は料理と食器洗いに特化している。ミーナの胴体は金属のパーツが剥き出しの状態であり、顔の表情も変えることができない。しかし、彼女はオンライン接続が可能で、インターネットでの単語検索を自発的に行うほか、携帯電話との通話やメッセージ交換も可能である。プログラムに基づいて効率を優先して行動するはずのミーナだが、時折、「タクマから贈られた指輪を30分以上眺める」といった、自身でも理由がわからない行動をとるようになる。なお、ミーナはロボットであるため、タクマとは正式な夫婦ではなく、「内縁の妻」の状態だ。以前のミーナの主人は、ミーナの体が小さすぎることや表情がないこと、人間らしい立ち振舞いができないことに不満があったようで、ミーナをリサイクルショップに売って上位互換であるスーパーミーナを購入する足しにした。しかし、ミーナ自身はこのことを踏まえて、自分が廉価版で良かったと考えている。それがきっかけでタクマと出会うことができたと、彼女は考えているのである。

小杉あかり(こすぎあかり)

CV:青山吉能
小杉あかりは、タクマの妹である。彼女は、通常の男女でないカップルの「異種間恋愛」に傾倒しており、兄夫婦のよき理解者となっている。あかりは、夫婦間の問題に介入しないよう心がけはするものの、好奇心から夫婦の実情(スキンシップはあるかなど)を聞いてしまう。一方で、ミーナのことを「ミーナさん」と呼び、一人の女性として慕っており、メッセージ交換や一緒に買い物に出かけるなど、二人の関係は良好である。
あかりは明るい性格で、ミーナとの女の子同士の話をする仲だ。彼女は、異種間恋愛に対する深い理解と興味を持ち合わせており、兄夫婦の関係性に対して、常に注意を払っている。

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