伝染るんです。(漫画・アニメ・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『伝染るんです。』(うつるんです)は、吉田戦車が1989年から1994年まで小学館の『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載していた漫画、およびそれを原作としたアニメ作品、実写による動画作品である。従来の起承転結の常識を覆した4コマ漫画で、現実の枠を超えた奇妙な設定や状況、不可解なキャラクターたちによるシュールでナンセンスなギャグを特徴とする。その独特のギャグとキャラクターが受け、多くのフォロワーを生んだ。「不条理ギャグ」と呼ばれるジャンルを確立したパイオニア的作品とされる。

『伝染るんです。』の概要

『伝染るんです。』とは、1989年から1994年まで吉田戦車が小学館の『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載していた漫画、およびそれを原作としたアニメ作品、実写による動画作品である。単行本全5巻の累計発行部数は300万部以上を記録している。1991年に第37回文藝春秋漫画賞を受賞。1992年にはタカラよりファミリーコンピュータ用ゲームソフト『伝染るんです。かわうそハワイへ行く』が発売された。
4コマ漫画の常識である起承転結を覆し「不条理ギャグ」というジャンルを確立させたパイオニア的な作品。それまでにないシュールな作風が受け、多くのフォロワーを生み、社会現象となった。
作品には特定の主人公はなく、「かわうそ君」「かっぱ君」「しいたけ」「こけし」「斎藤さん」「山崎先生」など、独特なキャラクターたちと奇妙な設定による不可解なストーリーが4コマで描かれる。基本的に1話完結だが、連作となっているものも複数存在する。主要人物であるかわうそが発する「下の人などいない」というギャグは、後の「中の人」というインターネットスラングの元になった。これらの主要キャラクターは、テレビ番組やCMなどにも採用された。吉田戦車の『殴るぞ』『山田シリーズ』といった他作品と世界観を共有しており、キャラクターの一部が登場する。
2012年には18年ぶりの新作となる「伝染るんです。外伝『サラマンダー』」が『ビッグコミックスピリッツ』に掲載された。2021年からは東京新聞の土曜と日曜の朝刊で『かわうそセブン』と題したカラーの4コマ漫画の連載を開始。2022年からはWEB連載となり、2024年に連載が終了した。

『伝染るんです。』のあらすじ・ストーリー

かわうそ君とかっぱ君

「ふり」にハマりだすかわうそ

かわうそとかっぱは仲がよく、普段から一緒に行動している。しかし、かっぱは傍若無人なかわうその行動に常に振り回され、たびたび暴力を受けていた。

海外旅行に憧れるかわうそは、かっぱがハワイに行ったことがあることを知り、妬むあまりハワイに執着するようになる。また、かっぱに姉がおり、しかもボインであることを知ったかわうそは、かっぱの姉とボインに執着をみせる。その後、かっぱの父が紫色だという妄想にとらわたかわうそは、そのことに執着するようになる。以降も「栄養」「カニ」「呪い」など、様々なものに執着をみせ、かっぱやかえるを困惑させるのだった。

お年寄りからは人気があるかわうそだが、若者に憧れるあまり、お年寄りに冷淡な態度をとる。ある老人から「中学生の持つ『ただそこにいる感じ』によう似とる」と言われ、中学生をより憎むようになった。

ある日を境にかわうそは「下の人」に乗り、行動するようになる。「下の人」の活躍により周囲から喝采を浴びることもあるが、そのたびに「下の人などいないっ!」と激昂する。そのうち「下の下の人」「下の人たち」「上の人」「下の犬」とバリエーションが増えていった。

かわうそは「働くふり」など、様々な「ふり」を始める。そのためにどんどんやつれていくかわうそ。しまいには「下の人」が驚くほどやせてしまうが、この状況を活用し、普段はやせているが人助けをするときだけ元の体型に戻るヒーローとなった。

かわうそは様々な約束をし、守ることで報酬を得る「約束屋」を始める。バイト君や地蔵を雇い「憶測」や宅急便など、次々と商売を変えていく。

ある日突然、かわうそはロボット研究の博士に「機械のかわうそ」を作られる。機械のかわうそは本人より20%ほどよく作られており、かわうそはそのことを周囲から指摘されるたびにショックを受ける。そんなかわうそをなぐさめるかっぱとかえる。しかし彼らにも20%いい「機械のかっぱ」「機械のかえる」が作られていたのだった。

カブトムシの斎藤

浪人生であるカブトムシの斎藤は、ちょっとしたことでもショックを受け、泣きながらどこかに飛んでいってしまう。試験のプレッシャーから、手作りマヨネーズを作り始める斎藤。やがて試験に合格するが、すぐに授業に出なくなってしまう。にも関わらずコンパには必ず顔を出すことを同級生から揶揄されるのだった。

やがて好きな人ができた斎藤は、告白するがふられ、そのショックで養子を迎える。斎藤が所属する部活の試合やコンパの席でいい働きをする養子だが、斎藤はそれが気に入らない。

ある日、崖から落ちそうになった養子は、斎藤に助けを求める。その際「お父さん」と呼ばず、「さいとう」と呼びかける養子に、斎藤はショックを受けるのだった。しばらくして、養子はようやく斎藤のことを「お父さん」と呼ぶようになった。しかし斎藤は嬉しさのあまり三日三晩ぶっ通しで「お父さん」と呼ばせ続け、養子を衰弱させる。一方、斎藤の母は斎藤が養子をとったことをくやしがり、人間の夫婦の養女となった。

やがて斎藤はサラリーマンになるため、就職活動としてタクシーの順番待ちの練習や、満員電車で痴漢と間違われないようにする練習を始める。しかし海賊に就職しまった斎藤は、そのサラリーマンとのあまりの違いに愕然とする。その後、海賊に嫌気がさし、猿に転職した。

『伝染るんです。』の登場人物・キャラクター

主要人物

かわうそ(演:古田新太)

CV:茶風林
かわうそと称されているが、太った男性が着ぐるみを着たような格好をしており、直立歩行し言葉をしゃべる謎の生き物。かっぱやかえると仲が良く、よく行動を共にしている。傍若無人で意味不明な言動で周囲を振り回すことが多い。物事に執着する性格で、ハワイ、かっぱの姉とボイン、かっぱの紫色の父、栄養、カニ、呪いなど、様々なものに執着をみせる。近所に住む老人たちからは慕われているが、本人は若者に憧れを抱いているため、老人に対して冷淡な態度をとる。また、男子中学生を嫌う。約束屋、憶測屋、かわうそ急便など、様々な商売を行なう。本人より20%よく作られた機械のかわうそがいる。

カブトムシの斉藤(カブトムシのさいとう/演:カンニング竹山)

CV:カンニング竹山
苦学生のカブトムシ。シークレット奥さんの家の庭の木を借りて住んでいる。ことあるごとにショックを受けては、泣きながら飛んでいく。やがて試験に合格し、学生となる。サラリーマンになるために就職活動を始めるが、海賊に就職してしまい、猿に転職する。サナギの弟と幼虫の妹、斎藤が養子を得たのに対抗して人間の養子になった母がいる。

山崎先生(やまざきせんせい)

CV:関智一
短い足と円筒状の胴を持ち、イルカのように突き出た口で喋る奇妙な風貌をした中学校の英語教師。女子バスケットボール部の顧問も務める。人間以外の生物のようであるが、その実態は謎。生徒たちからは「なんなんだろう」と思われており、直接問いかけられることもあるが、まともに答えることはない。教育熱心で一見理想的な教師だが、奇矯な振る舞いが多く、周りを困惑させる。

しいたけ

CV:坂本頼光
いつも恨めしそうな目をしているしいたけ。直立歩行し言葉をしゃべる。いつもマフラーを巻いている。人間に美味しく食べられることを望み、しいたけを嫌う人間たちを憎み、しばしば暴行を加える。肉に対抗意識を持ちつつ、憧れのような感情も抱く。人間に好かれよう、食われようと様々な努力をするが、報われることはない。

かわうその仲間

かっぱ

reiasuka
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@reiasuka

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