怪異と乙女と神隠し(とと神)のネタバレ解説・考察まとめ
『怪異と乙女と神隠し』とは、ぬじまによる漫画、および漫画原作のアニメ作品。ウェブコミック配信サイト『やわらかスピリッツ』で2019年より連載を開始した。書店員として働く小川董子が『逆万引きの本』を手にしたことにより、同僚である化野蓮、その妹の乙や周囲の人間と共に様々な怪異事件に巻き込まれていく。作中に登場する怪異は、マイナー寄りだったり比較的歴史の新しい”現代の怪異”が登場したりすることが多いのが特徴。
怪異と対峙するミステリー要素、登場人物達の関係性など人間ドラマを掛け合わせた点が魅力。
人に飼われていた白猫すずが寿命を迎えた後に化け猫と化し、修行を経たことで猫の王となった。
猫の尊厳を奪う人間を嫌い、猫の王の自分と一緒にいれば長生きが出来るとして、飼い猫たちを誘い出して部下としていた。
董子の提案で100年前の家族の墓参りをする。そこで、家族のひとり娘で老婆となったおねえちゃんと再会し、再び家族になることが出来た。
『怪異と乙女と神隠し』の用語
逆万引きの本
逆万引きの本とは、万引きの逆であり、いつ、誰が、どうやって、なぜ置いたかわからないまま増えている出所不明の本のことをいう。
作中に出る逆万引きの本は、蓮によると声に出して読んではいけない呪いの本で、本質は歌のため呪歌という表現の方が正しいとのこと。
見たことのない文字や図が多く並んでいるが、ひらがななどもありところどころ読むことが可能。
月読の変若水(つくよみのをちみず)
月読の変若水は条件がそろって初めて効果が表れるレアな呪歌であり、呪いが発動すると姿が若い頃へと変わる。
その条件とは、「深夜0時丁度」「月明かりの下で読む」「28歳以上」「読み手が生娘」である。
姿が若い頃に変化するため若返ったと思いがちだが、実際は骨や肉などを無理やり子供の形に押し固めているだけの状態であり、そのままの状態が続けば抑えきれなくなった自分自身の肉が破裂して死に至る。
この歌が添えられた別の呪歌『長歌』を月明かりの下で読むことで、元の身体に戻ることが出来る。
きさらぎ駅
インターネットの掲示板で書き込みされた異界駅で、日本では非常に有名な都市伝説。蓮によると、本作に登場するきさらぎ駅は都市伝説に登場する駅と厳密には同じではないらしい。
きっぷうりばにいる血まみれの首つり縄の姿をした駅係員に、怪異や呪物を見せると異界駅の切符と交換してくれる。蓮は駅係員と会話が可能だが、董子は駅係員が何を言っているのか理解することができなかった。
『怪異と乙女と神隠し』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
緒川董子「これは私、緒川董子と口の減らない友人・化野蓮の、ささやかな友情と別れに関する記録だ。」
怪異と乙女と神隠し初回にて、緒川董子のモノローグのセリフ。
初回で董子と蓮の関係性やキャラクターについて描かれた後、笑顔の二人を背景に「これは私、緒川董子と口の減らない友人・化野蓮の、ささやかな友情と別れに関する記録だ。」とモノローグが挿入される。
このモノローグからこの二人に別れが待っていることを予感させ、これからの展開にぐっと興味を惹きつけられるセリフとなっている。
漫画・アニメ共に使用されているキャッチコピー「これは、数々の怪異をめぐるささやかな友情と別れの物語」は、董子のモノローグが元となっていると思われる。
化野乙「ごめんなさい。董子さん。巻き込んでごめん、なさい。危ない事に。私、あなたに、関わって、ごめんなさい。甘えて、ごめんなさい。もう、もういいです。ありがとうございました。董子さん。」
河川敷で猫の王に襲われた後、乙から董子へ向けられたセリフ。
猫の王から逃げた先、時空のおっさんであるタナカに導かれた余白の世界で、乙と董子は日常に戻れる最後のチャンスだとタナカに言われる。
乙が泣きながら「ごめんなさい。董子さん。巻き込んでごめん、なさい。危ない事に。私、あなたに、関わって、ごめんなさい。甘えて、ごめんなさい。もう、もういいです。ありがとうございました。董子さん。」と伝え突き放そうとしたものの、「突き放すくらいなら巻き込め、蓮は大丈夫」と董子に励まされた。
いつもは董子を団地妻と呼んでいる乙だが、この時は董子を名前で呼んで境界線を引こうとした。
このことから、自分たち兄妹のために命を張らせるような危険に董子を巻き込んでしまったことを悔やみ、表には出さなかったものの信頼し感謝している様子がうかがえるシーンとなっている。
緒川董子「これで君は私の“ファーストキスの相手”だ。関係性(しがらみ)としちゃ相当だろう?」
花火大会の日に董子から蓮へ向けられたセリフ。
度重なるダメージによって限界を迎え消滅しかかっていた蓮は、董子の肩にもたれかかりながら「人も怪異も関係性により実存が保たれるが、自分という楔はもう消える」と話す。
董子に告白し存在が消滅する寸前で、董子のファーストキスを頬に受ける。「これで君は私の“ファーストキスの相手”だ。関係性(しがらみ)としちゃ相当だろう?」と董子がはにかみながら語り、新しい関係性を結んだことで蓮は持ち直す。
花火大会のエピソードは幕間となっているが、蓮の怪異寄りの存在の在り方や董子と蓮の関係の進展など非常に重要な要素を含んでおり、読者からも「神回」と称賛されるほどに高い評価を得ている回である。
『怪異と乙女と神隠し』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
「幼い時にだけ行けた場所がある話」のエピソードは董子の口調を読者に受け入れてもらうための回
古書店・玉心堂での書籍姫のエピソードについて、ザテレビジョンマンガ部からのインタビューで語られている。
編集と短編の話を描こうということになった時に、董子の口調に抵抗を感じていた読者が少なくなかったため、キャラクターの背景・由来・理由などを伝え、読者に受け入れてもらいやすくするために描かれた話であった。
作者のぬじま曰く、文語調で話す女性キャラが大好きなので普及したいという願望の産物でもあるとのこと。
『怪異と乙女と神隠し』のモデルとなった場所は神奈川県川崎市
連載を始めるにあたり、作品の舞台に実在する場所をモデルにする提案があったため、作者のぬじまが勤めていた書店があった街、神奈川県川崎市をモデルにしている。
川崎市は近年大きくなった街であり、古い伝承などが少ないことをベースとして「新しく生まれた街、新しい土地には新しい神が宿る」という作中の設定に活かしている。
また、モデルとした書店やビル、店には現存していないところも多く、そんな消えゆくものたちを作品に描くことで残しておこうという考えもあると作者は語っている。
こちらはwebムーでのアニメ化記念インタビューで語られた。
『キュアメイドカフェ』と『青鬼ONLINE』とのアニメ化記念コラボレーション
アニメ放送期間中に、メイド喫茶『キュアメイドカフェ』とのテイクアウトコラボカフェが、期間限定で開催されることになった。作中でシズクがメイドカフェの店長をしていることから、コラボ企画が立ち上がったものと考えられる。
また、それに先立ってスマホ用ゲーム『青鬼ONLINE』とのコラボも発表され、作者のぬじまがX(旧Twitter)にてお知らせのポストをしたが「安心してください、俺も何故と思っています」と語っている。
『怪異と乙女と神隠し』の主題歌・挿入歌
OP(オープニング):遊遊『ハザードシンボル』
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目次 - Contents
- 『怪異と乙女と神隠し』の概要
- 『怪異と乙女と神隠し』のあらすじ・ストーリー
- 小説家の卵と呪書
- 化野兄妹と怪異の末裔
- 混ざりものの怪異
- VTuberと画霊
- 猫の王、そして花火大会
- 『怪異と乙女と神隠し』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 緒川董子(おがわ すみれこ)
- 化野蓮(あだしの れん)
- 化野乙(あだしの おと)
- コオネ女学院
- 畦目真奈美(うなめ まなみ)
- 天地のどか(あめつち のどか)
- 赤根珠緒(あかね たまお)
- 宇佐美エリカ(うさみ えりか)
- 桑島麻里(くわしま まり)
- その他登場人物
- 早見シズク(はやみ しずく)
- トモコ
- 花村美甘(はなむら みかも)
- 皆川咲良(みながわ さくら)
- 皆川恭一朗(みながわ きょういちろう)
- 怪異
- きさらぎ駅駅係員
- タナカ
- 玉心堂書店の店員
- 姫魚よるむん(ひめうお よるむん)
- すず
- 『怪異と乙女と神隠し』の用語
- 逆万引きの本
- 月読の変若水(つくよみのをちみず)
- きさらぎ駅
- 『怪異と乙女と神隠し』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 緒川董子「これは私、緒川董子と口の減らない友人・化野蓮の、ささやかな友情と別れに関する記録だ。」
- 化野乙「ごめんなさい。董子さん。巻き込んでごめん、なさい。危ない事に。私、あなたに、関わって、ごめんなさい。甘えて、ごめんなさい。もう、もういいです。ありがとうございました。董子さん。」
- 緒川董子「これで君は私の“ファーストキスの相手”だ。関係性(しがらみ)としちゃ相当だろう?」
- 『怪異と乙女と神隠し』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 「幼い時にだけ行けた場所がある話」のエピソードは董子の口調を読者に受け入れてもらうための回
- 『怪異と乙女と神隠し』のモデルとなった場所は神奈川県川崎市
- 『キュアメイドカフェ』と『青鬼ONLINE』とのアニメ化記念コラボレーション
- 『怪異と乙女と神隠し』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):遊遊『ハザードシンボル』
- ED(エンディング):大渕野々花『朱く染めて心臓』
- 挿入歌
- 天地のどか(会沢紗弥)『エール送ってる』
- MOKA☆『おっちょこちょい節』