魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?(まどめ)のネタバレ解説・考察まとめ

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』とは、手島史詞によるライトノベルおよび、それを原作としたアニメ・漫画作品。強大な力を持つ孤独な魔術師ザガンが、オークションで売られていたエルフの少女ネフェリアに一目惚れしたことをきっかけに始まるラブコメディだ。女性とまともに接したことのないザガンが初めての恋に翻弄される姿や、少しずつザガンに心を開いていくネフィリアの姿が見どころの作品。2人を取り巻く個性豊かなキャラクターたちのやり取りも高く評価されている。

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』の概要

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』とは、2017年2月よりHJ文庫から刊行されているライトノベル作品、およびそれを原作としたアニメ作品・漫画作品である。略称は「まどめ」。2018年2月よりウェブサイト『コミックファイア』にてコミカライズが連載されており、またサブキャラクターを主人公としたスピンオフ漫画が、2021年より同サイトにて連載されている。2024年4月にはTVアニメがスタート。監督は『私がモテてどうすんだ』『境界のRINNE』『デュエル・マスターズ』シリーズなどでも監督を務めた石踊宏が担当している。
物語の舞台となるのは、魔法や魔術、そして魔王と呼ばれる者たちが存在している世界。主人公のザガンは、強大な力を持つ名の通った魔術師だ。彼は悪友に誘われて参加したオークションで、エルフの少女ネフィリアを見つけ一目惚れ。衝動的に彼女を買い、自身の住む廃城で共同生活を送り始める。悲惨な生い立ちが原因で、生きる希望を失っていたネフィリアは、不器用で口の悪いザガンが垣間見せる優しさに癒やされ、少しずつ彼に心を開いていく。本作は、数々の事件を通して絆を深めていくザガンとネフィリアにスポットを当てたファンタジーラブコメディだ。また、それぞれの理由で自分の殻に閉じこもっていたザガンとネフィリアが、お互いの存在を支えに外へと目を向け、様々な人と関わりながら成長していく物語でもある。

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』のあらすじ・ストーリー

ザガンとネフィリアの出会い

オークションにかけられていたネフェリア

森の中にある廃城を根城としている魔術師ザガンは、魔術の研究を行いながら、時折領内に侵入してくる賊を排除するという日々を送っている。この日もザガンは、自身の領内で教会に属する少女を襲っていた賊を片付けていた。そこに、ザガンの悪友であり同じ魔術師でもあるバルバロスが現れ、ザガンを魔王の遺産が出品されるというオークションへと誘う。

オークション会場で、ザガンは魔法封じの首輪をつけた状態で売られていたエルフの少女ネフィリアを発見した。彼女は元々、魔王マルコシアスに納品される予定だったという。ネフィリアに一目惚れしたザガンは、大金をはたいてネフィリアを落札。彼女を自分の所有物として廃城へと連れて帰る。

始まった2人の共同生活

これから共に暮らしていくうえで必要な物は多くある。ザガンはネフィリアを連れ街へ買い物に行くことにした。ザガンはまずネフィリアを服屋に連れて行って彼女の服を買い、次に鍛冶屋でネフィリアの首輪が外せるものなのかどうか訊ねた。鍛冶屋の答えは、魔術の道具であるため鍛冶屋のスキルではどうにもならず、また正しい手順で外さないとネフィリアの命が危ないということだった。

ひとまず首輪のことは保留とし、ザガンとネフィリアは食事を摂ることにする。ネフィリアは飲食店で食事をした経験がなかった。戸惑いながらも食事をするネフィリアを見て、彼女の過去に思いを馳せるザガン。ネフィリアはそんなザガンの役に立ちたいと願うようになる。ザガンはネフィリアの願いを受け入れ、2人はひとまず主従という関係になった。

聖騎士たちの襲来

仕事熱心なネフィリアのおかげで人らしい生活を送れるようになったザガンは、より一層魔術の研究に励んでいた。ネフィリアは魔術に興味を持ち、ザガンに様々な質問をぶつけるようになる。ネフィリアの質問に答えていたザガンは、彼女に魔術のセンスがあることに気がついた。賢く飲み込みの早いネフィリアに、嬉々として魔術の知識を教えていくザガン。その時、ザガンは自身の領内に何者かが侵入したことに気がついた。

ザガンが外に出ると、そこには聖騎士シャスティル・リルクヴィストとその部下たちが待ち構えていた。シャスティルたちは、近頃頻発していた誘拐事件の犯人だと目されている魔術師ザガンを討伐するため、教会より派遣されたのだ。ザガンはシャスティルと戦闘になるのだが、実は彼女にザガンを討伐する気はなかった。シャスティルは賊に襲われていたところをザガンに救われたことがあり、恩を感じていたのだ。彼女はザガンに「私に殺されたふりをすることはできるか」と問いかける。ザガンは死んだのだとシャスティルが報告すれば、教会はザガンを追わなくなるだろう。しかし、ネフィリアを城に置いた状態で殺されたふりをし逃げることはできない。ザガンがどうするべきか考えていると、騒ぎを聞きつけたネフィリアが城内から出てきた。

ネフィリアに隠された力

ネフィリアを見たシャスティルの部下は、彼女がザガンの仲間だと判断。ネフィリアに攻撃を仕掛けた。ザガンはそれを庇って負傷してしまう。怪我をしたザガンを見たネフィリアは我を忘れ、森そのものを操るという不思議な力で聖騎士たちを追い詰める。人知を超えた圧倒的な力を前に、聖騎士たちは戦意を喪失。シャスティルたちは撤退していった。

城に戻ったザガンは、ネフィリアに傷の手当てをしてもらいながら、先ほどの現象に関する説明を受けていた。ネフィリアが使った力は、魔術ではなく魔法。魔法は魔術と違い、あるかどうかもわからないとされる奇跡の力だった。魔法を使えたネフィリアはエルフの里で「呪い子」と恐れられ、迫害を受けてきた。エルフの里が人間に襲われたとき、ネフィリアはその力で里を守るよう命じられたが、彼女はそれに応じず自ら人間に捕まったのだという。ネフィリアが自分の力を恐れていることを知ったザガンは、ネフィリアに自身の弟子となって魔術を学ばないかと提案する。魔術を学べば、魔法の制御も可能になるかもしれない。制御できなくとも、魔術が使えれば自分の身を守れるだろうという考えでの提案だった。ネフィリアはそれを受け入れ、2人は主従であり師弟という関係になった。

ザガンが魔王になる

ネフィリアが城にやってきて半月が経ったある日、ザガンは12人の魔王から呼び出しを受けた。魔王とは、魔術を極めた一握りの者に与えられる呼称。魔王たちがザガンを呼び出した理由は、彼を13人目の魔王に据えるためだった。魔王になれば強大な力を得ることができるが、暗い世界にネフィリアを巻き込むことになる。ザガンは魔王になるべきか悩むが、ある条件と引き換えに魔王の地位を受け入れることにした。

城に戻ったザガンは、ネフィリアに魔王になったことを告げ、持ってきた鍵でネフィリアの首輪を外した。ザガンが魔王の地位に就く代わりに要求したのは、ネフィリアの首輪の鍵だったのだ。首輪が外れたことを喜ぶネフィリアに、ザガンは「魔王の俺にはもうネフィリアは必要ない」と告げ、冷たく突き放す。こうして、2人の共同生活は唐突に終わりを迎えた。

拐われたネフィリア

ザガンに突き放され、街へとやってきたネフィリア。彼女はそこで聖騎士シャスティルと服屋のマニュエラに遭遇し、2人に慰められる。そのおかげで元気を取り戻したネフィリアは、拒絶されてもザガンの支えになりたいのだという自身の気持ちに気づき、城に戻る決意を固めた。しかし彼女は、シャスティルと共に何者かに拐われてしまう。誘拐の瞬間を目撃したマニュエラは、急いでそれをザガンに報告。マニュエラからネフィリアの気持ちを教えられた彼は、ネフィリアを救出し傍に置き続ける覚悟を決めた。ザガンはマニュエラと、シャスティルの身を案じる彼女の部下たちをつれて、犯人と思われる者のもとに向かう。

ネフィリアとシャスティルを拐った犯人は、ザガンの悪友である魔術師バルバロスだった。バルバロスがネフィリアを狙った理由は、特殊な魔力を持つネフィリアを使って「扉」を開け、12人の魔王たちに自身の力を見せつけて次期魔王となるためだった。ザガンが魔王の座を継承したことを知らなかったバルバロスは、ネフィリアからその事実を伝えられて激昂し、ネフェリアに暴力を振るう。そこに、ネフィリアを救出にきたザガンが現れた。

再び始まる共同生活

ザガンはバルバロスを圧倒し、瞬く間に降参させた。2人の戦いの影響でバルバロスが準備していた魔術が発動し、魔族が召喚されかけるというアクシデントがあったものの、それもザガンが魔王になっていたおかげで無事に解決。ザガンはネフィリアと共に帰還することになる。

皆と別れ、ネフィリアと2人きりになったザガン。彼はその場でひざまずくと、ネフィリアに主従でも師弟でもない関係になりたいと告げ、さらにネフィリアは死んでも自分のものだと宣言する。ネフィリアはザガンの言う関係がどのようなものかわかっていなかったが、ずっとザガンの傍にいられるということは理解し、笑顔で頷いた。ネフィリアはザガンとの繋がりの証として、再び首輪をつけることを望み、ザガンもそれを承諾。首輪はエンゲージリングの代わりのように、ネフィリアの首に収まった。こうして、ザガンとネフィリアはまた一緒に暮らし始めることになる。

やってきたウォルフォレ

ザガンとネフィリアが暮らす城に幼い竜の少女・ウォルフォレがやってきた。魔術師でもあるウォルフォレが現れた理由は、魔王になったばかりであるザガンの力を奪うためだ。何のために彼女が力を求めるのかはわからないが、ひとまずザガンは、ウォルフォレを城に置くことを決める。生活を共にするうちに、ウォルフォレはザガンとネフィリアに心を開き、3人は家族のような関係になっていた。

ザガンとネフィリアとの生活に安らぎを見出すウォルフォレ。しかし彼女は、その生活に浸ってはいられなかった。ウォルフォレがザガンから力を奪おうと考えた理由は、復讐を果たすためだ。ウォルフォレの父・賢竜オロバスは、聖騎士に裏切られて死んだのである。ザガンとネフィリアのもとにいては復讐を忘れてしまう。そう考えたウォルフォレは城を出ていくのだが、出ていった先で聖剣メタトロンを持つ最恐の聖騎士ラーファエル・ヒュランデルと遭遇してしまう。そこに、ウォルフォレを追いかけてきたザガンが合流した。

ウォルフォレは、ラーファエルが竜の血肉を目当てに父竜を裏切り殺して食ったと思っていたが、真相は違った。かつて、ラーファエルとオロバスは共に魔族と戦い、その際にオロバスが戦死。ラーファエルは死地を生き延びるため、やむなくオロバスの血を啜り命を繋ぎ止めたのだという。真相を知り、またラーファエルの父に対する敬意を知ったウォルフォレの復讐心は消えていった。ウォルフォレはラーファエルを見逃し、ザガンと共にネフィリアの待つ城へと帰った。

ネフィリアと同じ顔のエルフと魔王ビフロンス

ある日、ウォルフォレと共に街で買い物をしていたネフィリアの前に、ネフィリアと同じ顔をしたエルフが現れる。謎のエルフはネフィリアたちを襲うと、黒い手紙を残して消えた。その手紙は、魔王ビフロンスから魔王ザガンに宛てられた夜会の招待状だった。招待状には、ネフィリアやウォルフォレ、先の一件で負傷したため聖騎士を辞めザガンの執事となったラーファエル、そしてシャスティルも連れてこいと書かれていた。ザガンは仲間たちを連れ、ビフロンスの夜会へと出かける。

夜会の会場である船の上には、元魔王候補である魔術師・妖婦ゴメリや黒刃の異名を持つキメリエスなど、高名な魔術師たちが集結していた。その中に紛れていた密航者を名乗る小柄な少年の正体が魔王ビフロンスだった。ビフロンスには、ネフィリアと同じ顔をしたエルフ・ネフテロスが付き従っている。ビフロンスがザガンたちを呼んだ目的は、かつて魔神が戦ったという湖に2つの魔王の刻印が揃ったとき、何が起こるのかを観察するためだった。刻印を持つザガンとビフロンスが湖上に揃った結果、刻印に反応して魔神の残留思念が呼び起こされ、夜会の会場はパニック状態となる。自らの力がネフィリアより優れていることを主であるビフロンスに証明するため、ネフテロスが残留思念を抑えようとするも失敗。逆に残留思念に取り込まれそうになったネフテロスを見捨て、ビフロンスはその場から消えた。その様子を見ていたネフィリアは、ザガンにネフテロスを救ってほしいと懇願する。ネフィリアの願いを聞き入れたザガンは、同行者たちやその場にいた魔術師たちと力を合わせ、ネフテロスを救うことに成功した。行くあてのないネフテロスはひとまずビフロンスのもとに帰り、ザガンたちも日常へと戻っていった。

ネフィリアの里帰り

ネフィリアが自身のルーツを知りたがっていることに気づいたザガンは、ネフィリアとウォルフォレ、そして夜会の一件がきっかけで仲間になったゴメリとキメリエスを連れ、エルフの隠れ里へと向かった。何故か先に里があった場所に到着していたバルバロス、シャスティル、ネフテロスも加わり、一行は里を探索していく。

その夜、ネフィリアが魔王の刻印を持つオリアスという人物に襲われた。ネフィリアは子供の姿になり、記憶も幼少時まで戻ってしまう。調査の結果、かつてエルフの隠れ里には悪魔と呼ばれる存在がいて、その悪魔がネフィリアを襲ったオリアスと同一人物である可能性が浮上した。さらに、ネフィリアの母親がかつて魔王オリアスに挑んで返り討ちに遭った「妖精王」タイタニアであることが判明する。

一通り調査を終え、里を後にすることしたザガンたち。彼らの前に、ネフィリアを襲ったオリアスが立ちはだかる。戦いの末オリアスを破ったザガンたちは、オリアスを名乗っていた人物の正体がタイタニアであることを知った。タイタニアは魔王オリアスを倒したあと、エルフのしがらみを捨て去るためにオリアスの名を使って生きていたのだ。エルフの里に現れてネフィリアを小さくしたのは、娘であるネフィリアに、彼女が子供時代に味わえなかった楽しい時間を過ごさせるためだった。タイタニアは早く大きくなりたいというネフィリアの願いに応え、彼女を元の姿に戻す。元に戻ったネフィリアに、ザガンはようやく自分の想いを伝えた。ザガンとネフィリアに恋人という新たな肩書きが加わり、ネフィリアの里帰りは幕を閉じる。

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