喧嘩商売(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『喧嘩商売』(けんかしょうばい)とは、木多康昭による漫画作品。格闘技を題材としているが、修行したり実際に殴り合ったりする以外の戦術的な駆け引きを重視した内容が特徴。基本的にはシリアスな内容だが、ギャグ漫画家としてデビューした木多らしい強烈な下ネタやパロディが時折描かれる。
いじめられっ子からの脱却を目指して喧嘩に明け暮れていた高校生の佐藤十兵衛は、工藤優作という喧嘩屋に敗れ、大きな屈辱を味わう。これを払拭するため、十兵衛は工藤との再戦を目指して表の裏の格闘技界に乗り込んでいく。

田島彬(たじま あきら)

世界的に有名な総合格闘家。様々な格闘技に精通しており、ボクシング技術だけでプロボクシングのヘビー級王者を打ち倒すなど、恐るべき実力の持ち主である。
強敵との戦いで消耗していた入江文学を不意打ちして植物状態にした張本人であり、文学からは「父の仇」として強い敵意を向けられている。意図は不明ながら、「あらゆる格闘技の中で何が最強なのか決める」という名目で陰陽トーナメントの開催を発表する。

金田保(かねだ たもつ)

柔道の100kg超級の金メダリスト。世間に対しては模範的なスポーツマンであるように装っているが、性格は獰猛かつ狡猾。学生時代からの友人をも自分の名誉と利益のために利用していた。
総合格闘家に転身して表格闘技の世界で一稼ぎしようとするが、十兵衛に「自分を売り出すのにちょうどいい相手」と目されて彼と戦うこととなる。下剤を盛る、密かに筋肉増強剤を服用するなどの卑劣な手で十兵衛を叩きのめそうとするが、その全てを見抜かれ、逆に利用する形で敗北した。

石橋強(いしばし つよし)

WBO世界ランキングの1位に位置するヘビー級プロボクサー。田島がエキシビジョンマッチでWBO王者を倒してしまったため、試合する相手がいなくなってしまう。代わりに田島を倒そうと考え、彼が開催した陰陽トーナメントへの出場を承諾した。
「ボクシングこそ最強の格闘技」と固く信じる一方、ヘビー級未満の階級のボクサーを「わざわざ体重を落として弱くなってから戦うコロポックル」と嘲笑する傲慢な性格。ボクサーとしては非常に高いレベルで完成しており、ヘビー級の中でも特に優れた打撃力と軽量級にも匹敵するスピードを兼ね備え、さらに日本人離れして頑強な肉体と“あらゆる痛みを快楽に変える”特殊性癖から生まれるタフネスで十兵衛の煉獄すら1度は耐え切った。

『喧嘩商売』の流派・技

富田流(とだりゅう)

戦国時代の剣豪・富田勢源を始祖とする古武術。実在する流派だが、本作においては「江戸時代後期に分派した」ものとされている。
小太刀を扱った戦闘術を基本とするが、素手での戦闘にも長けている。

金剛(こんごう)

富田流の奥義の1つ。相手の心臓を強打することで、一瞬で失神させる。心臓目掛けて強い打撃を叩き込みさえすればいいので、攻撃方法はパンチでもキックでも踏み付けでも構わない。
心臓にまで打撃を届かせないといけないためどうしても強打が必要になるのと、相手の体格によっては通じにくいことが欠点。

無極(むきょく)

富田流の奥義の1つ。一種の自己暗示によって脳内麻薬を制御し、いわゆる「火事場の馬鹿力」を発動したり、痛覚を一時的に麻痺させる。逆に「本来感じていない痛み」を本物のように感じることも可能で、純粋に戦闘に用いる以外にも演技する際に使用するなど応用の幅が広い。

高山(こうざん)

富田流の奥義の1つ。相手を担ぐように持ち上げて、「睾丸を握り潰す」ことで無力化させ、受け身が取れない状態で頭から叩き落す。
富田流の技の中でも、「人体の破壊」という点で非常に威力が高い。十兵衛は恐るべきタフネスを誇る石橋を仕留める際にこの技を使ったが、その際に「死ぬなよ」と声をかけている。

進道塾(しんどうじゅく)

作中に当時要する、フルコンタクト系の空手の流派。世界的に道場を展開しており、健全な組織であるように振る舞っているが裏社会とのつながりも強い。

煉獄(れんごく)

進藤塾の創始者である山本陸が編み出し、自分の弟子の中でもごく限られた者たちにのみ伝授した、「相手が失神するまで無限に殴り続ける」ことが可能なコンビネーション攻撃。打撃によって相手の体勢を崩し、反撃が不可能な状態にしてさらに自分の攻撃を叩き込むことを繰り返す形で完成する。1つ1つの技はシンプルで、技の構成さえ知ればいくらでも真似ができるため、進藤塾では人前で使うことが禁止されている。
全部で7種類の攻撃パターンがあり、相手がダウンして逃れようとしても“倒れる前にむりやり立ち直らせる”ことが可能なため、完全に成立した煉獄から逃れる術はほぼ存在しない。相手の体勢を崩すことが発動の条件であるため、技の入りの数発の攻撃をかなり強く叩き込まないといけないことがほぼ唯一の弱点である。

文学は父の無一が進藤塾の高弟と戦うところを目撃しており、その際に相手が使った煉獄を盗み見て我が物としている。しかし知ることができたのはその時に使われた2種類のパターンまでで、正式に伝授された者たちと比べると完成度で劣る。
相手の体勢を崩し続けることが重要なため、大振りの強打を繰り返す必要があり、使う方にとっても消耗が激しい。作中屈指のタフネスを誇る石橋相手に十兵衛が煉獄を繰り出した際には、相手を倒し切る前に十兵衛がバテて技を途切れさせてしまった。

『喧嘩商売』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

現代を生きる格闘家たちが、その誇りと名誉をかけて凄惨な戦いを繰り広げる『喧嘩商売』には、時にあまりに赤裸々な、時にあまりに悪辣な、しかし強烈にしてインパクト溢れる名言が多数登場する。
中には読者の間でも物議をかもした賛否両論の極端な言葉もあり、本作のキャラクターたちの苛烈な生き様を表すものともなっている。

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