ウェルベルム-言葉の戦争-(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ウェルベルム-言葉の戦争-』とは原作:花林ソラ、作画:伏見航介によるマンガ。『裏サンデー』及び『マンガワン』にて2022年から連載が始まった。舞台は現代の日本。主人公である入間ケイジとその仲間達が巻き込まれていく奇妙なゲームを描くバトルサスペンス。主語を自在に入れ替え、「動詞の力」を巧みに使いこなす戦闘シーンは必見の価値あり。
『ウェルベルム-言葉の戦争-』の概要
『ウェルベルム-言葉の戦争-』とは原作:花林ソラ、作画:伏見航介によるマンガ。『裏サンデー』及び『マンガワン』にて2022年から連載が始まった。作画担当である伏見航介は本作が初連載となる。
脚本家を目指す高校生・入間ケイジ(いるまけいじ)は日常に退屈さを感じていたところに、いとこである花里真紀(はなさとまき)から「動詞の力」を使ったゲームへ招待される。ゲームへの参加を決めたケイジだったが数日後ニュースで真紀が殺された事を知り、ゲームが参加者による生き残りをかけたサバイバルゲームである事を痛感する。ゲームに参加した事を後悔するケイジだったが、真紀の殺人犯を追う吾妻梨々花(あづまりりか)や、ゲームを終わらせるために協力する久留和正月(くるわまさつき)や沖司(おきつかさ)と出会う。仲間との出会いを通して成長し、巻き込まれた人々のためにゲームを終わらせることを決心し奔走する姿を描く。
主語を入れ替え「動詞の力」を様々な能力として駆使する戦闘シーンは、読者から「続きが気になる」と好評である。
『ウェルベルム-言葉の戦争-』のあらすじ・ストーリー
お賽銭事件編
脚本家を目指す高校2年生である入間ケイジ(いるまけいじ)は、小銭が凶器という非科学的な殺人事件「お賽銭事件」に刺激を求めるほど、日常に退屈していた。
そんな時いとこである花里真紀(はなさとまき)から連絡を受け、「動詞の力」を能力として1つランダムにもらえるゲームへの参加を勧められる。割れた食器や画面が割れたスマホを「直す」力を目の当たりにしたケイジは半信半疑ながらも、今の退屈な現状よりはマシだと考えゲームへの参加を決意する。
数日後、真紀が殺された事を知ったケイジは、参加したゲームがサバイバルゲームである事を悟り後悔する。その後、参加した真紀の葬式にて他の参加者である吾妻梨々花(あづまりりか)による襲撃を受けたケイジであったが、能力である「開く」の力を駆使し応戦する。戦闘の最中、梨々花は殺された真紀の敵討ちのために「お賽銭事件」の犯人を追っている事が判明し、ケイジは犯人を一緒に追う事を約束し梨々花と協力関係を結ぶ。
梨々花と協力関係を結んだケイジは、梨々花からこのゲームは「言葉(ウェルブム)の戦争(ベルム)」から名付けて「ウェルベルム」と呼ばれている事を知る。吾妻家の裏庭を使い能力の修行を行っていた2人は、「お賽銭事件」の目撃者へのインタビューや犯行現場を基に犯人の「動詞の力」について推測をする。
その道中に自分達の身の危険を感じた2人は人気の多い電車に避難したが、「お賽銭事件」の犯人であり刑事である天地ミトス(あまちみとす)の襲撃を受ける。走り続ける電車の中、小銭を空中に「止める」事で人が小銭に突っ込むという攻撃方法を行うミトス。無関係の人を巻き込み続けるミトスに恐怖するケイジであったが、乗客の命がかかっている事を自覚し応戦を決意する。あらかじめ所持していたネットを「開く」事で、ミトスを拘束する事に成功した。その後、ミトスの奥の手である「時間を止める」能力の発動を許してしまい絶体絶命のピンチに陥った2人。しかし、意識が戻った2人の目の前には、ミトスが拳銃で頭を撃ちぬかれ倒れている異様な光景が広がっていた。
その後、病院にて療養していたケイジの目の前に、「お賽銭事件」のもう1人の犯人である弟の天地ロゴス(あまちろごす)が姿を現す。ロゴスは「聞く」の力を使いケイジの動向を探っていた事を明かし、その力を使って聞いたミトスの「支配人がいる」という遺言をケイジに伝える。支配人への復讐を懇願されたケイジは一時はウェルベルムをリタイアする事を考えるが、梨々花の言葉により人生は進んでも退いてもクソという結論に至り、ゲームマスターである支配人を倒しゲームを終わらせる決心をする。
千里兇団編
「お賽銭事件」の犯人の1人であるロゴスの置手紙には、ウェルベルムにて抗争中の「久留和組」と「千里兇団」について書かれていた。ケイジと梨々花の2人は、「ゲームを終わらせる」という目標を掲げる「閉じる」の能力者である久留和正月(くるわまさつき)が率いる「久留和組」を訪れる。正月との会話により、パスワードを集めれば自分の能力の詳細やゲームの謎を知ることができると知ったケイジは、「久留和組」との共同戦線を張る事に同意する。その矢先もうひとつのチームである「千里兇団」による人質事件が発生し、新たな仲間である「のばす」の能力者である沖司(おきつかさ)と共に現場である商店街へ向かう。持ち前の洞察力により犯人は2人組である事を見抜いたケイジは、犯人の1人である「曲げる」の能力者である白部コトハ(しらべことは)を説得し仲間に引き入れ、多数の犠牲者を出しながらも事件を解決へと導く。
事件解決後、ケイジはコトハから「千里兇団」の情報を引き出そうとする。下っ端のため有益な情報はなかったが、「千里兇団」の次のターゲットは梨々花である事を知る。その後、梨々花は父親から電話を受けて、ケイジと一緒に帰ることに。その道中に梨々花はケイジに、次期首相候補である吾妻官房長官の娘である事を打ち明けた。その事実に驚きつつもなぜ狙われる事になるのか考えるケイジであったが、突如目の前に「千里兇団」のリーダーで「切る」の能力者である物部キョウ(もののべきょう)が現れる。情報を聞きだそうとするケイジであったが、なす術もなく「思い出せ…!!」という意味深な言葉を残し梨々花を誘拐された。
「千里兇団」の情報を得るためケイジはロゴスに協力を要請し、ロゴスの提案により警視庁への潜入を決行する。目的は警視庁に押収されたミトスが遺したパソコンから情報を得る事だった。司と共に警視庁へ無事潜入に成功し備品庫にあったパソコンから情報を得たケイジであったが、その帰り道に「千里兇団」の中心メンバーである「引く」の能力である所稜一(ところりょういち)と激突する。激戦の末、偶然発動した「心を開く」能力が稜一を仲間に引き入れることになり、命からがら警視庁を脱出した3人は「久留和組」のメンバーと合流する。
稜一の情報により「千里兇団」の次なる目的は、3日後に開かれる各界の要人が集まるパーティーを占拠する事であると知る。梨々花の救出と敵の目的を阻止するため、ケイジは協力者と共に当日の会場であるホテルへと潜入する。パーティー会場であるホテル上階へと向かう一行であったが、そこは既に「千里兇団」により占拠されていた。稜一の裏切りを想定した盗聴器により作戦が筒抜けであった事が判明し、抗争中であった「久留和組」と「千里兇団」の両者は、ついに最終決戦へと向かう事になる。
「千里兇団」の中心メンバーを撃退する事で「道を開く」能力を獲得したケイジは、コトハや真の能力は「戻す」の能力であった正月と共に次々と「千里兇団」を撃退していく。ケイジは「心を開く」能力の時間制限により本来の姿に戻った稜一との激闘を繰り広げ、これに勝利。稜一は流れに任せて逃げ続けた自分の代わりに、キョウを止めて欲しいという思いをケイジへと託す。
ついにホテル最上階へとたどり着いたケイジは、「千里兇団」のリーダーであるキョウと激突する。事前にキョウと激突し敗北を喫していた司からキョウは「切る」の能力者である事を知ったケイジだが、キョウの圧倒的な戦闘力により窮地に陥る。その最中、キョウが語った事はあまりにも衝撃的な事実だった。ウェルベルムは今回で4回目となり、2回目はキョウが優勝者であり3回目の優勝者はケイジであった事。3回目のウェルベルム開催時にケイジとキョウは、ケイジを優勝させるために協力し合うほど信頼関係のある仲であった事。そして、優勝の見返りとして3回目のウェルベルム開催をなかったことにし、全てを開催前にリセットした事をケイジの裏切りだと語る。当初はそんな記憶は全くなかったケイジだが、おぼろげな記憶の断片が蘇る中、でキョウが真実を語っていると確信する。
副支配人と名乗る人物から記憶を全て取り戻し、ケイジへの復讐に燃えるキョウにより絶望の淵に立たされたケイジ。司の言葉により再び立ち上がったケイジは記憶の蓋を「開ける」事により、第3回ウェルベルム時のかつての戦闘力を取り戻す。キョウという怪物を作ったのは自分の責任だというケイジはキョウを止めるため再び激突。奇襲に成功し「心を開く」事に成功する。
ウェルベルムに優勝したキョウは、借金の肩代わりに最愛の母親を利用していたヤクザの壊滅を願った。しかし、それが逆に母親を自殺へと追いやった事を受け入れられないキョウに対し、一時は自分も過去から逃げたが全ての過去と現実を受け入れもう1度協力し、共に支配人を倒そうと説得するケイジ。その説得に応え副支配人の情報を伝えようとした矢先に、キョウはかつての同志に頭部を銃で撃ちぬかれた。死の間際に、「今回を最後のウェルベルムにして欲しい」と最後の言葉を残し、物部キョウは息絶える。
副支配人編
「千里兇団」との激闘から2日後、ケイジと梨々花は「久留和組」のメンバーと共に、今後の活動方針について話し合っていた。正月は以前から、新たに合流した「燃やす」能力者の奥伝達(おくでんいたる)と「割る」能力者の社ベル(やしろべる)に対して支配人の正体と居場所を探るよう依頼していたが、2人は何の情報も得られなかったと語る。その時ケイジのスマートフォンに、副支配人からのメッセージが届いた。支配人の正体と居場所が分かったためケイジの記憶は不要と語る副支配人は、「支配人になった暁には全人類をウェルベルムに巻き込むのも面白い」と話し、メッセージはそこで終わる。ケイジ達は副支配人が支配人を裏切った事を知ったが現段階ではなす術もなく、引き続き達とベルに支配人の動向を探るよう依頼し眠りにつく。その夜、正月は部屋に隠しカメラが仕掛けられている事に気付くが、副支配人側に寝返った達とベルにより殺害された。正月の3分だけ「時を戻す」力により、副支配人が国外に逃亡しようとしている事を知ったケイジ達は、正月の死を悼む時間もなく逃走中の達とベルを追いかける。
『ウェルベルム-言葉の戦争-』の登場人物・キャラクター
主人公と協力者
入間ケイジ(いるまけいじ)
本作の主人公で脚本家を目指す高校生。ネットや心を「開く」の能力者。いとこである真紀からウェルベルムの権利を譲渡され参加する事になる。実は第3回ウェルベルムの優勝者。「動詞の力」により家庭が崩壊し少年院に入っていた時に、キョウと運命の出会いを果たす事になる。第3回ウェルベルムの優勝を目指すが、次第に参加した事自体を後悔するようになったケイジは、開催そのものをなかった事にすることで日常を取り戻した。しかし、それが結果として物部キョウとの確執を生む原因となってしまった。
吾妻梨々花(あづまりりか)
本作のヒロイン。ナイフを飛ばすなどの「飛ばす」の能力者。「お賽銭事件」の被害者である真紀の敵を討つためにケイジに近づくが勘違いと分かり、それ以降ケイジと行動を共に「お賽銭事件」の犯人を追う。作中において天然な発言をする場面が多いが自分の人生について発言するなど、自分の生き方に関して芯の通った考え方の持ち主。両親とは不仲ではあるが怪我した父親の安否を気遣うなど、家族への愛が垣間見える。
久留和組(くるわぐみ)
久留和正月(くるわまさつき)
「久留和組」のリーダー。「閉じる」力の能力者と偽っていたが、実際は「戻す」力の能力者。普段は小児科医として活動しており温和な性格だが、「千里兇団」との戦闘で「戻す」力を自在に使いこなし圧倒的な戦闘力を見せつける。
沖司(おきつかさ)
「久留和組」の主戦力担当。身体能力を「のばす」力の能力者。過去に自暴自棄になっていた時に正月に助けてもらい、以降行動を共にする事になる。非常に仲間思いで自分の事をクズと自称しているが、彼の言葉や思いはしっかりとケイジの心に届いており、ケイジの窮地を救う原動力となっている。
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目次 - Contents
- 『ウェルベルム-言葉の戦争-』の概要
- 『ウェルベルム-言葉の戦争-』のあらすじ・ストーリー
- お賽銭事件編
- 千里兇団編
- 副支配人編
- 『ウェルベルム-言葉の戦争-』の登場人物・キャラクター
- 主人公と協力者
- 入間ケイジ(いるまけいじ)
- 吾妻梨々花(あづまりりか)
- 久留和組(くるわぐみ)
- 久留和正月(くるわまさつき)
- 沖司(おきつかさ)
- 奥伝達(おくでんいたる)
- 社ベル(やしろべる)
- 千里兇団(せんりきょうだん)
- 物部キョウ(もののべきょう)
- 白部コトハ(しらべことは)
- 所稜一(ところりょういち)
- ゲーム関係者
- 花里真紀(はなさとまき)
- 天地ミトス(あまちみとす)
- 天地ロゴス(あまちろごす)
- 副支配人
- 支配人
- 『ウェルベルム-言葉の戦争-』の用語
- ウェルベルム
- 動詞の力
- 久留和組
- 千里兇団
- 権利譲渡のルール
- 『ウェルベルム-言葉の戦争-』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 入間ケイジ「自分の人生の決定権を、他人に渡しちゃだめだよ…」
- 入間ケイジ「そうだ。俺たちが後悔しても何も戻ってこない。生きるって死ぬほど残酷だ。でも、俺たちは引き受けなきゃならない」
- 『ウェルベルム-言葉の戦争-』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 『マンガワン』で「ちょい足し」を読むことが可能
- 各キャラの名前の由来は「言葉」
- 原案は原作者の高校生時代のアイディア