ダイヤモンドの功罪(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ダイヤモンドの功罪』とは集英社の青年漫画雑誌『週刊ヤングジャンプ』上で連載されている、少年野球を題材とした漫画である。作者は日本の漫画家の平井大橋。ありあまる野球の才能を持つがゆえに苦しみ、周囲にも大きな影響を与えてしまう少年・綾瀬川次郎の成長が描かれている。宝島社が発表する『このマンガがすごい!2024』のオトコ編で1位を獲得している。

次郎の本質がよく分かるシーン

勝つことよりも、敵も味方も楽しく野球をする事を第一に考える次郎の本質が表れているシーン。
中学全国1位の枚方ベアーズが、小学5年生の自分にノーヒットに抑えられるのは可哀想だと次郎は同情してしまう。
勝負事から逃げていると思う桃吾からは「おまえはカスや」と言われてしまう。

巴円「同じ学年にコイツずっとおんのんか」

枚方ベアーズ戦に登板できなかった円は、ベンチで出場メンバー全員を大声で応援する。しかし中学生相手に完璧なピッチングを見せる次郎の姿を見て円は「同じ学年にコイツずっとおんのんか」と途方もない山を仰ぐような感情を抱く。常にチームメイトとして次郎と接してきた円が初めてライバルとしての次郎の大きさを感じ取ったセリフである。
一瞬負の感情に囚われた円だったが、それを振り払うようにそれぞれの選手に大きな声で声をかけていく。

並木監督「期待することをやめないでほしい、自分に対しても他人に対しても」

監督(右)とミーティングをする次郎(左)

次郎はピッチャーとしての自分の成績より、みんなが楽しく野球をやることを優先しようとする。そのせいでわざと自分の力を出さなかったり、弱い相手に合わせようとしてしまっていた。
そんな次郎に監督は「期待することをやめないでほしい、自分に対しても他人に対しても」と諭す。自分をもっと大事にし、いつか現れる好敵手を楽しみに待つようにとアドバイスする監督の温かいセリフであった。

デッドボールのシーン

U12世界大会の決勝戦。延長7回裏のツーアウトで打順は次郎に回ってくる。
打席に立った自分に向かって飛んできたボールに「当たって怪我したらもう投げられなくなる」「バットに当たって前に転がったらアウトになる」「デットボールになったらサヨナラで勝利できる」と一瞬の内に考える。次郎が出した結論は「バットに当たらないようにする」だったが、結果デッドボールになってしまう。
しかし試合後チームメイトからは自分たちが打てなかったから、次郎がわざとボールに当たったと誤解されてしまう。
次郎の苦悩がよく分かるシーンであった。

次郎の普段の生活は普通の小学5年生

漫画を読んでいると大人びた言動から忘れがちになるが、次郎はまだ小学5年生である。
ランドセルを背負って学校へ行き、ソーラン節を踊り、理科の実験に感心するシーンがあった。
給食袋を母親に渡すのを忘れ、日曜の夜に怒られてしまう姿を見るとまだまだ子供なのだと感じさせられるシーンである。

『ダイヤモンドの功罪』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

日本のリトルリーグ

日本国内のリトルリーグでは一般的に9~12歳を中心とするチームがリトルのチームと呼ばれている。4~8歳を中心とするチームはティーボールリーグと呼ばれ、7~11歳までを中心とするチームはマイナーリーグと呼ばれている。リトルチームより年上の中学生を中心とするチームであるリトルシニアも存在している。
試合イニング数は6回までで、延長戦にはタイブレーク制度が採用されている。ピッチャーには球数制限があり、次郎たちと同じ9〜12歳までは1日に85球までと決められている。盗塁は認められていない。

平井大橋のその他の作品

作者である平井大橋にとって『ダイヤモンドの功罪』が初連載作品であるが、読み切り作品が4作存在する。
どれも野球を題材にしており、『ダイヤモンドの功罪』と同じ名前のキャラクターが登場している。

ゴーストバッター

2020年10月に集英社の3つの青年誌上で開催された『賞金総額最大1億円40漫画賞』の野球漫画賞佳作を受賞した作品。
次項に挙げた『ゴーストライト』との同時受賞であった。
野球練習中に急死した高校球児である園大和の霊が野球をやるための体を求めて、通りかかった高校生武藤寿(むとうひさし)と関わっていく姿が描かれている。

ゴーストライト

『ゴーストバッター』と同じく集英社の『賞金総額最大1億円40漫画賞』の野球漫画賞佳作を受賞した作品。
園大和の永遠のライバルであるピッチャー、綾瀬川次郎の視点から生前の大和の思い出が語られている。

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