酒と恋には酔って然るべき(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『酒と恋には酔ってしかるべき』とは、2018年1月からはるこによって『Eleganceイブ』で連載されている日本の漫画作品。アラサーOLの恋愛と日本酒の楽しみ方を描いている。主人公・藤井松子は家飲みが大好きな32歳のOL。同じ部署の年下男子・今泉と家飲みをしたことから急接近し、思わせぶりな態度をとる彼に翻弄される日々。気持ちだけでは上手くいかない30代の大人の恋愛が描かれると同時に、日本酒の入門テキストとしても楽しめる作品である。

『酒と恋には酔って然るべき』の概要

『酒と恋には酔って然るべき』とは2018年1月から、はるこが秋田書店『Eleganceイブ』で連載している漫画作品。「酔っぱライター」江口まゆみが原案協力をしている。「第3回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞」では第3位、「コミックシーモア電子コミック大賞2020」では大賞を受賞した。
主人公の藤井松子(ふじい まつこ)は日本酒が大好きな32歳の独身OL。飲み友達は結婚出産ラッシュで、最近の松子はお取り寄せのカップ酒で家飲みをするのが趣味になっていた。ある時、同じ営業部のクール系年下男子・今泉和知(いまいずみ かずとも)と家飲みをし、いつもは無表情でそっけない態度の彼が、笑い上戸になるその変貌ぶりにときめく松子。しかしその後は今泉の思わせぶりな態度に翻弄される毎日。そこへ松子と同じく日本酒好きの年上男性・伊達秀高(だて ひでたか)が現れ、松子の恋愛は大きく動き始める。
実在する日本酒や酒蔵が多数登場し「日本酒の入門書」のようにも楽しめる作品である。美味しい飲み方や知識も随所に紹介されており、日本酒について知識がない人にもわかりやすく楽しめるところは見所だ。

『酒と恋には酔って然るべき』のあらすじ・ストーリー

酒好きアラサーOLの恋愛

藤井松子(ふじい まつこ)は日本酒が大好きな営業部所属の32歳OL。周囲の結婚出産ラッシュで飲み友が減り、カップ酒と酒に合わせた料理で家飲みをするのが趣味となっていた。ある日、後輩の今泉和知(いまいずみ かずとも)がいつも飲み会を断るのが気になり、声をかけたことからサシ飲みをすることになった松子。いつもはクールな彼が、酔うと可愛く笑い上戸になる姿にときめきを感じる。
松子が家飲みが好きという話から、後日2人で家飲みもすることになった。その際、彼の「家にかわいい彼女(実際は猫)が待ってるんで」という発言を勘違いした松子は、彼女がいるのに他の女の家に上がるゲス男だと思い込み、自身を戒める。しかしその後も松子の家に突然飲みにやって来たり、元日に家で日本酒を楽しむ松子を突然初詣に誘って酒臭さをからかったりと、曲者の今泉に振り回される松子だった。
春になり、営業部と松子の友人・白石(しろいし)の所属する販売部はお花見を開催。仕事で遅れて到着した松子は、すでに販売部のモテ系女子社員・美森(みもり)と楽しそうに飲む今泉を見て嫉妬を感じる。白石から美森が今泉を落とそうとしていると聞いた松子は、その前に自分が告白しようと再び彼を家飲みに誘うことに成功。しかし家飲み当日、白石から今泉と美森が付き合いはじめたと聞かされる。松子はショックを受けつつも、彼女がいるのに別の女性の家でサシ飲みをしようとする今泉を諌める。
松子は気晴らしに飲みに行った店で、日本酒好きの年上男性・伊達秀高(だて ひでたか)と意気投合。その後も一緒に食事や飲みに行ったり、日本酒のイベントに行ったりとデートを重ね、やがて伊達から告白され付き合うことになる。久しぶりの「彼氏」に浮かれる松子は、彼女ができても飲みに誘ってくる今泉を突き放してしまい、彼も話しかけてくることは少なくなってしまった。

翻弄される松子

松子は伊達と順調なお付き合いをしていた。しかし彼が外飲みや人との交流が好きなあまり、他の女性ともサシ飲みをしていることを知り、不安になる。松子は白石のアドバイスを受けて「サシ飲みをやめて」という気持ちを伝えようとするが、うまくいかずにモヤモヤしてしまう。
そんなある日、伊達の家で彼の同僚女性・最上(もがみ)と飲むことになってしまった松子。伊達のサシ飲み相手で、自分よりも彼のことをよく知る最上は「伊達の家はいつも酒がたくさんあるよねー」と伊達の家にも何度か来たことがある様子を見せた。そんな彼女に松子は複雑な気持ちを抱く。後日、伊達は松子に最上のことを詫び、松子も「もっとお互いのことを話そう」という彼の言葉に安心するが、彼が多くの元カノたちと今でも友人として付き合っていることがわかり、再び不安に襲われるのだった。
今泉は既に美森とは破局していた。元々「タイプではない女性だが告白してくれた。理解すれば変わるかもしれないから付き合ってみた」という考えの今泉。そんな彼との未来が見えなくなっていた美森は、彼と距離を置き、他の男性も知るため婚活をしていたのだった。そして美森を気遣った今泉から別れを告げる形で2人は終わっていた。
そして出張中の今泉のヘルプを頼まれた松子は静岡へ。仕事終わりに飲みに行った際に彼から「オレ、藤井さん好きですよ。でも藤井さん結婚したそうだったんで」と言われる。
彼の意図がわからずヤキモキする松子だが、一方で伊達との交際は順調だった。伊達の希望で伊達の実家に挨拶に行った松子は、彼との結婚を意識するようになっていた。だが突然伊達から「会社辞めて海外に行こうと思ってる。松子…どうする?」と打ち明けられる。

別れと新しい恋

伊達が渡米し友人の日本酒専門店の仕入れ担当として働くことを決めた。伊達は「松子はどうする?」と訊ねる。一緒に渡米するか悩む松子だが、返事もできないうちに伊達は渡米準備をどんどん進めていく。1人でいたくない松子は、最上や今泉らと飲み会を開く。松子は最上から伊達について行くのか尋ねられた。また最上も伊達から声をかけられており、いずれは渡米して一緒に仕事をするつもりだと知る。その話にまたもや悩まされる松子。そんな時、飲み会で渡米の事を知った今泉から「アメリカに行かないでください」と言われ揺れ動く。
松子は家飲みをしながら、この瞬間この空間を失いたくないんだと考えて日本に残ることを決めた。伊達も「お互いの人生を縛る訳にはいかない」と言って1人で渡米するが、その後も松子とはリモートで会い続けるという中途半端な交流が続き、松子は「自分はまだ彼女なのだろうか?」と疑問に思う。
その後伊達の元に最上が合流し、シェアハウスをしていると聞かされた松子は「伊達の中では自分もすでに元カノの仲間なのだろうか」と思い悩む。そんな悩める松子が部長を務める社内サークル「日本酒部」で一泊合宿に行くことになり、合宿先で今泉からキスされそうになった松子は、再び揺れ動く。伊達が好きなはずの松子だったが、最上が現地の男性と結婚したと聞いても彼を追って渡米する覚悟はできず、もうやり直せないのかなと思い始めていた。
ある日、白石を慕う販売部の新庄(しんじょう)の家で飲み会をすることになり、そこで松子は今泉から告白され、思わずキスで返しそうになる。その行動に自分でも驚く松子に、伊達から近々帰国すると連絡が届く。松子は彼に会って気持ちに整理をつけようと考え、2人で以前のような楽しい時間を過ごし、自分の中で彼への気持ちを終わらせる。しかし、伊達の手には去年のクリスマスに松子に渡せなかった指輪が残っていた。

松子と今泉のカップル誕生

今泉の仕事に同行した松子は、車内で彼からキスと告白をされ、2人はついに付き合うことになった。付き合い始めても、変わらず無表情でからかってくる今泉だったが、日々幸せを感じる松子。
一方、伊達は外国人向けの日本酒バー店長の話を受けて、開店準備のため帰国。伊達は松子にもう1度やり直したいという気持ちを込めて、メールを送るが「今彼氏がいます」という返事が来た。伊達は「なんで手放したんだろうなぁ」と呟く。渡米する時に指輪を渡したかったが、不安定な自分の将来に加えて、松子の新しい人生にまで責任を持つ余裕がなかったのだと振り返った。そしてあの時は仕事を選んだが、これからは仕事も恋愛もどちらも追い求めていこうと、気持ちを改めるのだった。
松子は今泉と順調な関係を続ける。しかし結婚願望がないと思っていた彼が、30代前半で結婚して子供も欲しいと飲み会で発言し、驚く松子。そしてその相手が自分であって欲しいと思い、急に今泉との結婚を意識し始める。そんな中、松子は今泉と地元・福島旅行へ出かける。旅先で今泉が飲み会で発言していた結婚観の話になり「無難でしょ?世間的にも」と言う今泉に、松子は数年先の彼の結婚相手が自分でいいのかどうか不安になる。そして「無難な結婚できるといいね…」と他人事のように呟いてしまう。それが原因でケンカになり、怒った今泉は旅行途中で東京へ帰ってしまう。松子は今泉を追って東京へ戻り「結婚して!」と逆プロポーズするが、断られてしまった。
勢いに任せてプロポーズしてしまったことを反省した松子だったが、今泉から改めてプロポーズをされ、ついに結婚することになる。伊達や白石、美森からも祝福され幸せいっぱいの松子。一方、会社では松子に企画部への人事異動が出るのだった。

『酒と恋には酔って然るべき』の登場人物・キャラクター

主人公

藤井 松子(ふじい まつこ)

彼氏いない歴3年の営業部で働く32歳の女性。福島県出身で子持ちの妹が1人いる。おおらかだが相手に遠慮してしまうところがある。飲み友達が結婚出産ラッシュで減ってしまい、カップ酒で家飲みをするのが趣味になった。日本酒が大好きで、自宅のパントリーは取り寄せたカップ酒で埋まっており、レアな酒を飲むと涙ぐむほどである。また酒に合わせた料理を作るのも得意で、酒に関することで四季を感じるのも好きである。恋愛に対しては、思い悩むタイプでなかなか行動に移せないことが多い。
思わせぶりな態度を取る今泉には、振り回されっぱなしである。今泉が美森と付き合い始めた直後に出会った伊達と意気投合し、付き合い始める。伊達とは実家に挨拶に行き、お互い結婚を考えるまでに至るが、伊達の渡米が原因となり破局。その後、美森とも破局していた今泉と付き合うことになる。

松子に近しい人たち

今泉 和知(いまいずみ かずとも)

営業部に異動してきた27歳のクールな男子。自宅では猫を飼っている。普段は無表情で生意気だが、酔うと笑い上戸で素直になり、そのギャップが松子の心をくすぐっている。何を考えているか分からないことも多く、思わせぶりな発言や態度で松子を翻弄。松子とはサシ飲みをしたことから何かと関わるようになり、松子に告白を決意させるが先に告白してきた美森と付き合ってしまう。付き合った理由は「美森はタイプの女性ではないが自分を好きだと言ってくれたし、付き合ってみないとお互いわからないから」というものであった。その性格ゆえ結局、美森から「距離を置きたい」と言われ、彼女の気持ちを鑑みて自分から別れを切り出した。そして伊達と別れた松子に告白して付き合い始め、後にプロポーズをする。

白石(しろいし)

松子の同僚で販売部社員。松子の恋愛相談に乗り、アドバイスもしてくれる気心の知れたしっかり者の友人。結婚しており旦那共々、洋酒好き。旦那との馴れ初めは、付き合う前に旦那からいつも「しらいし」と呼び間違えてられていたため、下の名前で呼んでいいと伝えると彼が本当に呼び始めたこと。旦那のことはタイプではなかったが、安心できる人だということから結婚を決めた。松子とは新入社員の頃に自動販売機前でよく会い、仲良くなる。親しくなる前の松子は白石がいつも飲んでいるコーヒーから「ブラック無糖」とニックネームをつけていた。

伊達 秀高(だて ひでたか)

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