アクダマドライブ(アニメ・漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『アクダマドライブ』とは、2020年の秋に放送されたクライムアクションアニメである。アニメーション制作は、『東京喰種』シリーズを制作したstudioピエロが担当した。このアニメは、犯罪者つまり悪役がメインキャラクターとして登場する。犯罪者達に届く殺人鬼救出の依頼メールから始まる物語。犯罪とは無縁だった1人の一般人も巻き込まれ、事態は大きく動いていく。警察と犯罪者が戦うシーンは迫力満点。アニメの中に出てくる大阪モチーフの街並みも見どころである。

9話で運び屋が一般人と女の子を助ける場面。ただ頼まれたから仕方なく仕事をこなすためだと言っているが、少し温かみを感じる。女の子がお兄ちゃんに会いたいというので、一般人はその願いを叶えるために一生懸命どうすれば会わせてあげられるのかを考える。しかしお兄ちゃんの居場所がそもそも分からないので頭を抱えていたところ、運び屋が「お兄ちゃんを連行していった処刑課に聞きに行く」という大胆な考えを示す。処刑課に殺される可能性が高いため一般人は戸惑っていたが、運び屋の「俺たちはアクダマだろ」という恐怖をまったく感じさせないまっすぐな一言で、一般人も覚悟を決める。運び屋のアクダマとしてのプライドが伝わってくるかっこいい場面である。殺人鬼が一般人を追ってくる場面もあり、ハラハラドキドキの展開になっている。

ハッカーの頭脳を駆使した戦い

11話で、一般人と運び屋、子どもたちがカントウに到着した場面。カントウという国では、人間の精神をデータ化するため肉体は必要なく、データ化された幸せな記憶の中で人々は生きることができる。しかし、人間の精神の大量のデータは時間がたつにつれて劣化してしまう。そこでカントウは時の流れと共に劣化しないような入れ物を求めた。それが実験によって作り出された不老不死の男の子と女の子だった。カントウはすでに眠っている男の子と女の子に大量のデータを転送しはじめていた。アクダマの1人であるハッカーはカントウに行った際に肉体を失っていたが、自身のハッカー技術でカントウのデータにはとりこまれないで済んだ。なんとかして子どもたちを救出しようとする一般人に、ハッカーは「退屈しのぎにはちょうどいい」と微笑みかけるとデータ化された空間へと入っていく。データ化されたカントウの高度な情報網の中で、ハッカーがボロボロになりながら全力で戦うシーンは迫力満点である。最終的に子どもたちをカントウから救出することができた。

最後まで貫かれた一般人の願い

男の子と女の子を救うために、自らを犠牲にした一般人の姿に泣けるシーン。運び屋と子どもたち、一般人の逃げた先には処刑課がかなり近くまで迫っていた。その処刑課達を足止めするために一般人はその場に残った。一般人を見つけた処刑課は容赦なく一般人に剣を突き刺して処刑した。一般人は剣で刺される直前に、何の罪もない市民だと主張した。一般人はこの処刑されている状況を事前に近くに携帯を置いておき撮影していた。撮影した動画をカンサイ中に流れるようにしてあったため、この動画を見た市民は衝撃を受けた。まるで市民を処刑課が虐殺しているように見えたからだ。市民は処刑課こそが本当の悪人だと思い込み暴徒化した。一般人は死んでもなおカンサイを混乱に陥らせ、子どもたちにとって有利な状況へと導いた。かなりのメインキャラクターである一般人がここで死んでしまうとは思わなかったが、自らの正義を貫き最後は微笑みながら死んでいく姿には胸を打たれる。

処刑課師匠「お前は生きろ」

喧嘩屋と警察処刑課の師匠が一騎打ちになりお互い死亡したシーン。喧嘩屋も師匠もケガが治っていない状況での戦いだった。互角の戦いの末両者が命を落とすが、お互いがお互いを倒せたことによる満足感で、すがすがしい表情で亡くなった。師匠は、自分の死に際に駆け付けた警察処刑課の弟子に「お前は生きろ」と言い残した。師匠が弟子のことをとても大切に思っていたことが伝わってくる。

運び屋「人生を変える500イェンだ。クソ女が言うにはだがな」

運び屋がケガを負いながら子ども達を運べるところまでバイクで連れて行った。子ども達との別れ際に運び屋は「人生を変える500イェンだ。クソ女が言うにはだがな」と言い、500イェンを子どもたちに渡した。ちなみに、この女というのは一般人のことである。子どもたちに渡した500イェンは、運び屋がアニメの一話目でたこ焼き屋の前で落として、一般人が拾った500イェンだ。運び屋からこの言葉が出るのは感動である。
なぜかというと、運び屋には過去がある。幼い頃、家に帰ると、母親が何者かに殺害されていた。ショックで動けなくなっていると何者かに運び屋自身の腕を銃で撃たれ、その時に手に握っていた500イェンを落としてしまう。その時から落ちたお金は縁起が悪いと思っているようだ。このセリフからは自身の過去を少し前向きに捉えられるようになったことを感じさせる。子どもたちとの別れの後、ケガで血を流しながらも最後の力を振り絞って、子どもたちを追跡していた処刑課の戦闘機を銃で撃ち落とした。たくさんの人に背中を押され、支えられて子どもたちはお互いに手をとりあって、存在するかもわからない国であるシコクへと歩みを進めていく。

『アクダマドライブ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

うさぎちゃんとさめくんの教育番組はカントウによる洗脳工作

アニメの中で、たびたび登場するカンサイの教育番組。ウサギとサメのキャラクターがカンサイの成り立ちを分かりやすく民衆に伝える。1日に23回も再放送される。明らかに放送する回数が多すぎる。この教育番組は実は、カントウ側がカンサイを洗脳するためのものだったのだ。

消滅後も子どもたちの命を救ったハッカーのメール

ハッカーは、カントウで男の子と女の子を救出するために闘ったあと消えてしまうが、冥土の土産として一通のメールを一般人に送る。このメールの中身は詳しくは明かされていないが、ハッカーがいなくなった後も男の子と女の子が逃げる助けになっていたのだろう。例えば、一般人が処刑されるシーンがカンサイ中に流れ、警察側が悪者のように見えるようにしたのもハッカーが仕組んだものだったのかもしれない。

『アクダマドライブ』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):SPARK!!SOUND!!SHOW!!(スサシ)『STEAL!!』

作詞はタナカユーキ、作曲はタクマ。ボーカルはタナカユーキ。疾走感があり、中毒性のある曲である。インタビューでタナカユーキは『アクダマドライブ』が自分達にぴったりの作品だと話していた。派手で華やかなスサシの魅力が詰まった一曲となっている。

ED(エンディング):浦島坂田船 『Ready』

作詞はKEN THE 390、作曲はShin Sakiura・KEN THE 390。ボーカルは浦島坂田船のメンバーである、うらたぬき・志摩・となりの坂田・センラの4人である。前向きな歌詞であり、思わず口ずさみたくなるようなメロディーになっている。

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