サムライチャンプルー(アニメ・漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『サムライチャンプルー』とはマングローブが原作・制作を行い、渡辺信一郎が監督を務め2004年5月から9月にかけて放送された異色の侍アニメ、及びアニメを原作とした漫画作品である。天涯孤独の少女フウがひまわりの匂いのする侍を探して、ムゲン・ジンの三人で旅を続ける物語である。日本の古き良き和のテイストと現代のヒップホップがミックスされた独特な世界観と、登場する侍たちの痺れるようなアクションシーンがこの作品の大きな魅力である。

ザビエル三世

CV:小杉十郎太
キリシタンのリーダー。

第22話のキャラクター

シゲ

CV:戸谷公次
埋蔵金の発掘を行っているという不気味な男。

第23話のキャラクター

影丸(かげまる)

CV:古川登志夫
ムゲンたち即席野球チームのコーチを務める。

『サムライチャンプルー』の用語

ひまわりの匂いのする侍

幼い頃のフウと思われる人物。エンディングで見ることができる。

作品の中で重要なキーパーソンとなるのは、「ひまわりの匂いのする侍」だ。その正体はフウの生き別れた父親である。フウは幼い自分と母を置いて行った父のことを恨んでいる。フウはいつか母親の代わりにぶん殴ってやるんだと心に決めており、父親の行方を探していた。旅の途中で出会った南蛮人の丈二のヒントで「ひまわりの匂いのする侍」のヒントを得ることになる。丈二はひまわりはオランダ人が持ち込んだ花だと語る。もう少しヒントはないかと丈二に問われ、フウは形見に持っていた髑髏の根付けを見せると丈二は驚く。そして丈二は、「それはとても危険だらかしまっておいた方がいい」と助言をし去っていった。フウの父親はキリシタン達を扇動し島原の乱にも関わったという重罪人だったのだ。その根付けはキリシタンであることを表すものであり、この時代の江戸ではキリシタンは厳しく取締られていたため、丈二はそれを人に見せてはいけないと助言したのだった。だが旅の最後、長崎で再会した父親は衰弱し切っていた。フウは恨んでいた父親の弱った姿を見てひどく動揺するのだった。

「オランダ」との関係

背景には枯れたひまわりが映り込む

『サムライチャンプルー』の中では、「オランダ」という国名が度々登場する。江戸という時代背景からも、鎖国を行っていたこの時代に唯一日本と貿易を行っていたオランダが関係してくることは必然的といえる。上記で説明した「ひまわりの匂いのする侍」に関しても、オランダという国が関わってくる。ムゲンとジン、フウの三人が旅をする中で出会う丈二という異人は、オランダから来た役人だ。丈二が日本観光をするために協力した三人は、そのお礼としてひまわりの匂いのする侍に関する情報を提供することになる。ひまわりの花は、オランダでは縁の深い花だということ。そしてそのひまわりの匂いのする侍は、どうやらキリスト教とも縁のある人物ではないかということに丈二は気付いたのだ。だが、当時の日本ではキリスト教の布教は禁じられていた。つまりひまわりの匂いのする侍は、キリスト教に関係する人物であるということになる。そして、ひまわりの匂いのする侍に近づくことは、幕府を敵に回す可能性もあるということになるのだ。

『サムライチャンプルー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ムゲンと石松の決闘シーン

『サムライチャンプルー』第3話・第4話では、それぞれのキャラクターが”自身が犯した罪をどう償うか”という部分が重要になる。まずは瓦組の頭、平太郎の息子である宗介である。彼は自身のエゴだけで、組の抗争に首を突っ込んでしまう。最終的には、父の平太郎は息子のしでかした罪の落とし前をつけると言って、自ら命を断つ。悔やんだ宗介は、改めて自身が瓦組の頭として、この組を背負っていくことを心に誓うのだった。そして、平太郎を裏切って永冨組に寝返った石松。彼もまた、己の犯した罪の意識を感じていたのだった。混乱に混じって逃げ出そうとする永冨組の頭、力松にとどめを指す。宗介はもう一度瓦組へと戻ってほしいと声をかけるが、石松は落とし前をつけたいと言い放ち宗介の前から姿を消す。そして石松はムゲンに決闘を申し込みことになる。石松は自身の裏切りを責めることのなかった平太郎の優しさにようやく気付いたのだ。瓦組へと戻ることもできない今では落とし前のつけようがないのだ。そこでムゲンと決闘をし、自身が負けることで落とし前をつけようと考えたのだった。石松には自身が最初からムゲンに勝てないことはわかっていたにも関わらず戦いを挑む。またその決闘を受け入れ、そして石松を呆気なく倒すムゲン。普段は戦いのことしか考えていないムゲンであるが、石松の落とし前をつける手助けをしたともいえる場面である。ムゲンなりの優しさが伺えるシーンだ。

ムゲン「生きて地獄を味わえ」

13話・14話では、貴重なムゲンの過去について語られる話である。これまで謎の多かったムゲンだったが、三人の前に過去のムゲンの仲間たちが現れることで、実はムゲンが元海賊だったことをジンとフウは知る事になる。ムクロと名乗るかつてのムゲンの仲間だった男は、過去にムゲンを裏切っていた。そしてその妹であるコザは、幼馴染であるムゲンに特別な思いを抱いていた。ムゲンは、ムクロが提案した仕事に協力する代わりに、今後自分の前に二度と姿を見せないことを約束させた。結局はこれもムクロの罠だったのだ。ムゲンは死にかけるが、なんとか命を取り留める。結局コザは自分かわいさにムゲンを裏切っていたのだった。最後は、ムクロも死んで一人残されたコザとムゲンがすれ違うシーン。ムゲンがコザにトドメを刺すかに思えた場面だったが、その壮大なBGMとは裏腹にムゲンは何も言わず、コザの横をただすり抜け去っていくのだった。残されたコザはその場に泣き崩れ、ムゲンの背中に向かって「殺してよ」と叫び、話は幕をとじる。このラストシーンは圧巻であり、そのBGMと圧倒的な作画力が見どころである。また、ムゲンがコザを殺すかに思えたシーンだったが、結局は再びコザを置き去りにした。
「生きて地獄を味わえ」
ほとんどセリフのないシーンだが、ムゲンの伝えたい思いがひしひしと伝わってくる場面である。この二人が今後背負っていく過去は、同じものである。だが過去との向き合い方や覚悟の違いを対比的に見せる演出がなされてる。

手に汗握る戦闘シーンからの予想外のラスト

清々しいフウの表情

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