P2! - let's Play Pingpong! -（卓球漫画）のネタバレ解説・考察まとめ

プレイスタイル：右・ペンホルダードライブ攻撃型（片面）

卓球部に所属する2年生。去年王華学園の選手を破った「破王」の1人。飄々とした性格で、人と人の和を大切にするが、内心では様々な計算を張り巡らせている。
岩熊が部を去った後に部長を引き継ぎ、仲間たちを牽引する。同時に「自分が部を支える」との意識にも目覚め、その責任感を徐々に自分の力にも変えていった。

岩熊鉄男（いわくま てつお）

プレイスタイル：右・シェークハンド前陣速攻型

卓球部の部長で3年生。去年王華学園の選手を破った「破王」の1人。豪放磊落を絵に描いたような少年で、大柄な体格とそれに見合わぬ俊敏性、王華学園卓球部の城島監督をして「最高の選手」と言わしめるほどの屈強なメンタルの持ち主。
1年の時に相馬と試合して手も足も出ないまま叩きのめされ、彼に勝つことを目的に猛練習に励む。結果、2年生の時の大会で彼に勝利するも、肘に選手生命を絶たれるほどの故障を抱えてしまう。これを部の仲間たちに隠してリハビリを続けていたが、ヒロムの並外れた才能に気付き、プレイスタイルもよく似た彼に自分の選手としての夢を託す。

なお、その後も自身は自身でリハビリを続け、選手復帰と故障を繰り返し、3年後のインターハイでは「治った」と元気な姿を見せて遊部を絶句させている。

眞白裕也（ましろ ゆうや）

プレイスタイル：左・ペンホルダードライブ攻撃型（両面）

卓球部の1年生。小学校の頃から活躍していた卓球選手で、1年生とは思えないほどの実力者。王華学園を含む県内の卓球強豪校からスカウトされていたが、「破王」に興味を持って久勢北中学校に入学した。
王華学園の城島監督の実子であり、危篤の母よりも卓球部の教え子たちの練習を選んだ父を恨んでいる。久勢北に入ったのも「卓球で城島のメンツを潰してやりたい」との想いからだが、3年後を描いた最終回では和解しており、気安い口調で自身の交友関係について語り合っている。

蒔絵薫（まきえ かおる）

体調不良で入院した顧問に代わり、岩熊の熱心な推薦を受けて卓球部のコーチとなった女性。コーチとしての腕前は確かだが、「たかだか中学校の部活動で本気になるな」というスタンスを貫いており、打倒王華学園を目指して燃え上がるヒロムたちに冷や水を浴びせた。
岩熊が1年生だった頃に指導したことがあり、自分の見ていないところで猛練習を繰り返した結果彼の選手生命を縮めてしまったことを悔やんでいる。現在のスタンスもこの反省から生まれたものだが、「強くなりたい」という一心で練習に励むヒロムを見て岩熊と同じ危うさを感じ、彼を見守るためにコーチとして真面目に働き始める。

王華学園

相馬光樹（そうま みつき）

プレイスタイル：右・シェークハンド前陣速攻型

王華学園中等部の卓球部の主将にして絶対的なエース。自分の実力に絶対の自信を持つ高慢な少年だが、それに見合う確かな実力を持ち、“自分と同等”と認めた相手に対しても素直に敬意を払う。小柄な体格を気にしており、「高いところから物が見える」ことから乗馬を趣味にしている。
2年生の時の大会で岩熊に敗れ、彼を「自身に並ぶ実力者」と認め、猛練習を重ねながらリベンジの機会を待ち続けていた。その岩熊が故障による引退を表明した時は「何が最高の選手だ、自分のコンディションも整えられないのか」と荒れたが、彼が選手としての想いを託したヒロムの資質を自身も認め、その成長を代わりに見届けようと考える。

川末晶（かわずえ あきら）

プレイスタイル：右・シェークハンドオールラウンダー

涼の妹。卓球界においては天才として名高く、「同世代の女子では相手にならない」ために普段は男子に交じって練習している。クールで物静かな少女だが、内面はかなりのお兄ちゃんっ子。
物語の序盤から登場し、ヒロムと交流していく。私服も言動もボーイッシュなため、王華学園との練習試合前に制服姿を見るまでは、ヒロムからは男の子だと思われていた。これにはさすがにやや憤慨した様子を見せるが、卓球選手として日々目覚ましい成長を続け、自分のために“奇跡”を見せてくれたヒロムを、次第に特別な存在として意識していく。

城島久也（じょうしま ひさや）

王華学園卓球部の総監督。全国制覇12回の立役者であり、実力も実績も確かな名監督。半面、家庭人としては問題が多く、危篤の妻を置いて仕事に戻り、結果その死に目に間に合わなかったことがある。裕也は実の息子だが、自分でそれに気づくことはなかった。

『P2! - let's Play Pingpong! -』の名言・名セリフ／名シーン・名場面

晶「そう…そういうこともあるか」

王華学園との練習試合前、相馬の乗った馬に噛まれて唾液まみれになったヒロムは、卓球部のシャワーを借りることとなる。この時晶もシャワーを利用しており、馬の唾液の臭いに気付いてシャンプーを貸してくれるのだが、裸のヒロムを見て目を丸くする。
「どうしてここに」と問われたヒロムが「練習試合に来た」と答えるのを見て、晶は「どうやら彼は勘違いしてここに入ったらしい」と察して「そう…そういうこともあるか」とつぶやく。先に出ると言ってシャワー室を出ていく晶を追ったヒロムは、ここで初めて“晶が女の子”であることを知る。実はこの時、女子のシャワー室は使えない状態で、男子のシャワー室は女子専用のものとなっていたのだが、たまたま看板が倒れていたこともあってヒロムはまったく気付かぬまま晶の隣でシャワーを浴びていたのだった。

ここに至るまで、晶はその服装や言動で読者に対しても「男の子である」かのように徹底したミスリードが成されており、ヒロムも読者も驚愕することとなった。

相馬「お前が想いを託したもの、確かに見せて貰ったぞ」

王華学園との練習試合が終わり、岩熊はバスの中で次期部長として遊部を指名すると同時に引退を表明。やるべきことを終えた岩熊は「これで後悔は無い。1つだけ心残りがあるとすれば、相馬とケンカ別れするような形になってしまったことだ」と内心でつぶやく。そんな中、ふと彼が見上げた先にいたのは、愛馬にまたがって自分に向かって敬礼する相馬の姿だった。
「お前が想いを託したもの、確かに見せて貰ったぞ」
「その可能性、僕も楽しみになった。だから嘆く必要は無いぞ、岩熊」

相馬もまた“最大最強のライバル”と目す岩熊との決着を励みにしながら練習を重ねてきた少年である。その岩熊が故障を抱えて引退することを知った時は普段の冷静さも失って暴言を吐いており、それを薄々予想していたからこそ岩熊は「相馬に悪いことをしてしまった」との罪悪感を抱いていた。
その相馬が、自分が夢を託した逸材を認めてくれた。それは岩熊にとっても大きな救いであり、相馬にとっても新たな希望となった。少年たちの不器用な友情に胸熱くなる名シーンだ。