カスミン(アニメ・漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『カスミン』とは、2001年から2003年までNHK教育テレビで放送されていたアニメ、及びこれを原作とする漫画作品である。小学4年生の春野カスミが、「ヘナモン」と呼ばれる八百万の妖怪たちと交流するホームドラマ&ファンタジー。初めはヘナモンに戸惑っていたカスミだがすぐに彼らと打ち解け、長らく断絶状態だった人間とヘナモンの懸け橋になりたいと望むようになる。監督は本郷みつる。キャラクター原案は伊藤有壱、キャラクターデザインは馬越嘉彦が担当している。あもい潤、八神千歳によりコミカライズされた。

『カスミン』の概要

『カスミン』とは、2001年10月から2003年3月までNHK教育テレビで放送されていたテレビアニメ、及びそれを原作とする漫画作品である。キャラクター原案は伊藤有壱、キャラクターデザインは馬越嘉彦が担当。監督は本郷みつる。漫画版はあもい潤による『カスミン』と『新カスミン』、及び八神千歳による『おいでよ!ヘナモン世界カスミン』(小学館『ちゃお』連載)がある。単行本化されているのはあもい潤によるもののみで、日本放送出版協会から『カスミン』が全4巻、『新カスミン』が全3巻刊行された。

小学4年生の春野カスミ(はるの かすみ)が、「ヘナモン」と呼ばれる妖怪のような存在の家に下宿し、彼らと交流するホームドラマファンタジー。かわいらしい絵柄とほのぼのしたキャラクターたちが特徴だが、一方で陰に潜みつつ人間との共存を図る霞家と、そんな霞家に反発する霧家との戦に端を発する確執という不穏要素、「ひらくもの」と呼ばれる鍵のようなアイテムを始めとする語られない設定の数々が不気味な様相を呈している。

あまりメジャーな作品ではないが、「ほのぼのとしている」、「子供から大人まで楽しめる」との評価がある。

『カスミン』のあらすじ・ストーリー

「ヘナモン」と少女

小学4年生の春野カスミ(はるの かすみ)は、科学者の両親が海外で研究している間、霞町と呼ばれる場所にある霞家(かすみけ)という家に下宿することとなった。仕事以外ではてんで頼りない両親をどうにか送り出し、霞町に到着。しかし、住民たちは霞家の名を聞いた途端表情を曇らせる。霞家は地元で「お化け屋敷」として名が通っていた。
いつの間にか霧のようなものが立ち込める森に来ていたカスミは、そこで鍵のような物を拾った。次いで、霞家で預かっている幼児の龍之介(りゅうのすけ)、当主の妻の霞桜女(かすみ さくらめ)と出会う。
霞家の住民は人間ではなく、「ヘナモン」と呼ばれる精霊もしくは付喪神のような存在で、人間界で暮らすヘナモンの世話をするのが役目であった。当主の霞仙左右衛門(かすみ せんざえもん)は、人間とヘナモンはもう長いこと交わっていないと言う。霞家に人間を住まわせるわけにはいかないとカスミを霞に変えようとする仙左右衛門だが、妻の桜女にうまく操縦されカスミの同居を許した。人智を超えた能力を持つヘナモンたちだが、彼らは恐ろし気な存在ではなかった。また、霞家長女の霞蘭子(かすみ らんこ)が出戻ってきた際、娘を責める仙左右衛門との間に立つなどしたカスミは「カスミン」の愛称を得て彼らと打ち解けていく。
霞小学校に転入したカスミは、「お化け屋敷の霞家に住んでいる」ということでクラスメイトに警戒されたが、榊原かえで(さかきばら かえで)、阿部ユリ(あべ ゆり)という友人を得た。ヘナモンを封じる術者のヘナモン道士を志す少年の土御門シカオ(つちみかど しかお)に探りを入れられる他、カスミが拾った鍵が「ひらくもの」と呼ばれるアイテムで鏡からもう1人の自分が出てくるなどの騒動を巻き起こすこともあったが、概ね穏やかな日々が過ぎていった。

霞家と霧家の対立

ある時、霞小学校に霧野霧彦(きりの きりひこ)という少年が転入してくる。クールな美少年で運動も勉強も優秀なため女子の人気を得た霧彦だが、何故かカスミには冷たかった。霧彦の正体はヘナモンで、数千年前から霞家と対立してきた霧家の御曹司だった。
初めはカスミを霞家側のヘナモンとして警戒していた霧彦だったが、彼女が人間だと知り和解する。しかし、霧家は霞家との戦を再開させようとしていた。街中に霧が立ち込める。蘭子は父の部下でもある風神(ふうじん)と雷神(らいじん)を呼び、不測の事態に備えた。霧彦はカスミと龍之介を伴い、霧家をまとめる自身の父に戦をやめるよう直談判に向かう。
「人間と接触してはならない」という言いつけを破って人間の学校にこっそり入学したことを父に詫び、学校は楽しい所だった、戦の再開はやめてほしいと訴える霧彦。霧家の総大将はひとまず戦の再開を延期することにしたらしく、霞町を覆っていた霧は晴れた。霧彦は正式に父の許可を得てしばらく霞小学校に通う。
しかし、霧彦は霞家と霧家の戦を正式に終わらせる方法を探る為に自らヘナモンの世界へと帰って行った。そして「ひらくもの」を巡り、霧彦のいとこで冬田雪乃(ふゆた ゆきの)、謎のヘナモン帽子男と争うことになる。雪乃は霧家の為、帽子男は大もうけを狙ってそれぞれ「ひらくもの」を狙っていたが、「ひらくもの」は何の力も持っていない人間のカスミを選んだと目されていく。

龍王と龍之介

龍之介はヘナモン界をまとめる龍王(りゅうおう)の息子で、いずれその地位を継いでヘナモンたちをまとめなくてはならない。その為、幼い内から人間界の霞家に預けられ、人間界とヘナモン界を見聞きして視野を広げることを義務付けられていた。とはいえ、龍之介自身は今だ幼い身であり、両親が恋しくなることもあった。1度カスミと共にヘナモン界に向かったが、龍王からの伝言を衛兵づてに聞かされただけで帰る羽目になった。
ヘナモン保育園の園児の1人ソケットが、両親の急な仕事により家に帰れないことがあった。泣き虫なソケットに辛く当たる龍之介だが、本音は明日になれば両親に会えるソケットが羨ましく、たった1日会えないだけで泣いてしまう彼の弱さを許せないというものだった。カスミは龍之介の淋しさに寄り添い、龍之介もソケットと仲直りをする。
ある時、龍王の家臣が龍之介に次期龍王としての試練を受けさせに来た。所定の道を自分の力だけで乗り越えるというもので、この試練を達成すれば褒美として龍王夫妻に会えるという。その様子を、かえでの妹である双子の榊原ルナ(さかきばら るな)、榊原ナル(さかきばら なる)が見ていた。ルナとナルは、「ゴールすれば宝物がもらえるんでしょ?」と言ってついてくる。
試練の道のりは思った以上に過酷で、このままではるなとなるが危険と判断した龍之介は、救命弾を使うことにする。ところが、ルナが救命弾を奪い逃走。ルナは、ほうびが龍之介と両親との再会だと知っており、それを実現させるためにゴールしようとしたのだ。
3人で協力した結果ゴールはできたが、他者の力を借りたために失格となってしまう。ルナとナルは龍之介を庇うが、彼自身は「自分だけではここまで来られなかった」と結果を受け入れる。そこに、龍王夫妻の幻影が現れた。龍王はそこから広がる美しい景色を改めて龍之介に見せ、「いずれお前が守る世界だ」と言い聞かせた。久しぶりの両親との再会、父の言葉、そして眼科の景色に、龍之介は涙する。

人間とヘナモンの未来

カスミへの対抗心と霧家の未来のために「ひらくもの」を使いその内部の世界に行っていた雪乃だが、カスミが仙左右衛門の部屋の壁に現れた扉を閉めるために「ひらくもの」を使ったことで戻ってきた。同時に、「ひらくもの」の力で霞家が巨大な扉に変形した。内部から綿毛のような物が飛び出してくる。それはヘナモン風邪というもので、様々な物を「ヘナモンモドキ」に変えるものだった。ヘナモンモドキは人間を襲う為、カスミは1度逃がされる。
しかし、扉となった霞家の奥を目指し、扉を閉めようとしている霧彦と雪乃を放っておけないこと、「ひらくもの」を拾ったのは自分だから行かせてほしいと仙左右衛門を説得。扉の中へと入って行った。
扉の中で霧家強硬派の妨害に遭いながらも、カスミは扉の奥にあるヘナモン風邪の出所を閉めることに成功。扉の外では、霧家の強硬派の頭領である霧間晴夫(きりま はるお)らが霞家の面々の前に立ちはだかる。
霞家の屋敷が巨大な扉となった今、彼らをヘナモン界へと退かせ、自分たちが人間界のヘナモンをまとめるというのが霧家の言い分だった。かつて、人間とヘナモンは共存していた。ところが、人間たちはヘナモンを恐れるあまりヘナモン道士を生み出し彼らを封じるようになる。龍王は争いを避けるべくヘナモンを影の存在とした。霧家はそんな状況を打破しようとしていた。といっても、霧家が人間界に出たからといってヘナモンたちに都合のいい世界になるわけでもない。
力のみで押し切ろうとする霧家の面々に異議を申し立てる仙左右衛門たち。そこに、カスミたちが戻ってきた。扉に巨大なカギ穴ができ、「ひらくもの」もそれに合わせるように巨大化する。カスミたちは巨大化した「ひらくもの」に乗り、改めて扉を閉める。これにより、霞家は元の姿を取り戻した。
霧家の面々はひとまずその場から去っていく。平穏が戻った霞家で、仙左右衛門はようやくカスミを「カスミン」と愛称で呼び、「お前がいてよかった」と口にした。

『カスミン』の登場人物・キャラクター

主要人物

春野カスミ(はるの カスミ)/カスミン

CV:水橋かおり

主人公で小学4年生。科学者の両親がアフリカに出張に行くため、霞家に居候することになった。頑張り屋で負けず嫌いな性格。仕事以外は頼りにならない両親の下、並外れたしっかり者に育った。家事全般が得意で、「大根に洗剤を付けてシンクをこすると汚れがよく取れる」など「おばあちゃんの知恵袋」のような知識を複数持つ所帯じみた一面も有する。霞家の面々がヘナモンという人ならぬ存在と知るが、持ち前の根性で下宿を続けている。優しく面倒見も良いため、ヘナモンたちともうまくやれており、初期は話のラストで「こんな家、出てってやる!」と言いながらも霞家の面々と打ち解ける。
学校の成績は体育が得意で、漢字と算数が苦手。長い髪の毛を後ろに括り上げた独特なヘアスタイルをしている。その為か、初対面のヘナモンから度々「ベチャポンテン」というヘナモンに間違われる。タイトルの『カスミン』は、カスミのあだ名。

龍之介(りゅうのすけ)

CV:黒田弥生

ヘナモン界を統べる龍王の息子であり、次期龍王として見聞を広めるために霞家に預けられた。カスミが初めて出会ったヘナモンで、彼女のニックネーム「カスミン」の名付け親でもある。小さな龍に変身する他、水を操る能力を持つ。カスミを母や姉のように慕っている。
超がつくワガママでカスミを困らせることもあるが根は素直で、物語が進むにつれ能力や精神面での成長も見られた。
龍ちゃんボンバー、龍ちゃんキック、龍ちゃんウェーブといった技を持つ。

霞家

霞仙左右衛門(かすみ せんざえもん)

CV:飯塚昭三

霞家の当主。霞に変身する他、物を霞に変える能力を持つ。不機嫌な表情を顔に貼り付けた小柄な老人。性格は頑固にして、大の人間嫌い。人間であるカスミとは度々衝突している。厳格な態度を取る一方おっちょこちょいな面もあり、「かすみ」という名前だけでカスミを自分たちの親類と思い込んで引き取った。都合が悪くなると霞に変身して逃げる他、妻の桜女にうまく操縦されることも多い。「まずい」と言いながらもカスミの作った料理を残さずに食べるなど、1話目からツンデレな面を見せる。カスミにひらくものの管理を任せた他、自宅の留守を任せるなどそれなりに信頼を寄せてもいる。
第1期最終話では、娘を迎えに着たカスミの両親に「もう少しウチで預かる」と言った他、第3期の最終話で「お前がいてよかった」と素直に接することができるようになった。

霞桜女(かすみ さくらめ)

えどまち
えどまち
@edono78

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