かなめも(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『かなめも』とは、月刊誌『まんがタイムきららMAX』(芳文社)にて2007年6月号から2013年12月号にかけて連載されたギャグ漫画作品で作者は石見翔子。住み込みで新聞配達している女子の日常コメディであり、2009年7月5日から9月27日でアニメ化もしている。主人公は身寄りをなくした少女の中町かなで、住み込みの寮には個性豊かな仲間たちが住んでいる。その仲間たちとドタバタな生活を繰り広げながらも、仲間たちと協力し合い仕事して、学校に通いながら成長していく所が見どころである。
『かなめも』の概要
『かなめも』とは、月刊誌『まんがタイムきららMAX』(芳文社)にて2007年6月号から2013年12月号にかけて連載されたギャグ漫画作品で作者は石見翔子。住み込みで新聞配達している女子の日常コメディであり、2009年7月5日から9月27日でアニメ化もしている。日常コメディがメインのストーリーであるが、少しだけ百合の要素も含まれている。百合とは女性同士の恋愛や友情に近い恋愛を含んでいるジャンル。祖母と二人暮らしだった中学生の中町かなは、祖母に先立たれてひとりぼっちになり、さらに家を失ってしまう。とりあえずの住む場所と生活費を稼ぐべく、彼女がたどりついたのは、女の子達ばかりが住み込みで働く風新新聞専売所だった。働いているのは大学生や浪人生の女の子たちで、一癖も二癖もあるメンバーである。そこにいるのは北岡 ゆめ(きたおか ゆめ)、南 ゆうき(みなみ ゆうき)、東 ひなた(あずま ひなた)、西田 はるか(にしだ はるか)の5人で、所長代理として小学生の天野 咲妃(あまの さき)がいる。個性豊かな性格だが、ひとりぼっちで孤独を感じて、どこか寂しそうなかなに優しく寄り添ってくれる。そんなメンバーたちとかなとの成長や日常のドタバタな生活を繰り広げながらも、彼女たちと協力し合う物語が『かなめも』の面白いところである。
『かなめも』のあらすじ・ストーリー
ひとりぼっちの中町かな
中町かなの両親は、かなが小さい頃に離婚してしまった。その後、かなは父方の祖母と2人で生活していた。その祖母も遂には亡くなり、かなは中学1年生でありながら、ひとりぼっちの身となった。ついでに、生活する家まで無くなってしまった。生活に困窮するかなは、中学生でありながら働くことができる場所を探していた。ところが中学生で身元の保証人のないかなを雇ってくれるところは、どこにも見つからない。途方に暮れたかながトボトボと町を歩いていると、新聞配達員の乗った自転車と衝突してしまう。「風新新聞専売所(ふうしんしんぶんせんばいじょ)」に運ばれ手当を受けたかなは、入口の扉に「従業員募集・住み込み可」の張り紙があるのを見つけるのだった。
運ばれ手当てを受けたかなは、勇気を振り絞って自分の状況を説明し、この風新新聞専売所で働かせてくださいと懇願した。だが中学生ということもあって、断られそうになった所でかなは、もう一押しで頼み込んだ。そんな状態を見かねた所長代理である天野咲妃(あまのさき)はかなが働くことを許可した。所長代理である咲妃は小学生2年生であり、所長の子供である。咲妃自身も子供でありながら、所長代理を務めているため、かなの存在を放ってはおけなかった。
晴れて風新新聞専売所の一員になったかなは、咲妃と一緒に新聞配達の予習をすることになった。新聞配達は朝が早く、3時頃から仕事が始まる。その仕事始まりにかなも一緒に起床し、予習を始めることにした。新聞配達を行う際の道順がまとめられている「順路帳(じゅんろちょう)」の見方を咲妃に教えてもらいながら、実際に町を「順路帳」どおりに歩いた。住所を新聞の銘柄が書かれたその束をめくりながら、いつもの街並みを歩くかなは仕事を覚えていくことに達成感を感じていた。朝日が昇る頃に仕事が終わり、みんなで朝食を食べた。
そして朝食後にかなは、咲妃から試しに夕刊を配ってみないかと持ちかけられるが、自分は自転車に乗れないと告白。一度に運ぶ新聞の束は小さな子供と同じくらいの重さがあるので、自転車に乗れないと配達はままならない。そこでかなは、風新新聞専売所のメンバーの西田はるか(にしだはるか)と東ひなた(あずまひなた)に、自転車に乗れるよう練習をつけてもらう。3人で近くの公園で多様な練習方法で挑戦するが、結局かなは自転車に乗ることができなかった。
住み込みで新聞配達を始める夏休み
かなの怒涛の日々は実は夏休み中の話で、お盆前に祖母を亡くして家も失ったのである。そんな辛い出来事があっても、かなは懸命に仕事を覚えて仕事に励んでいた。かなは自転車の練習をしたが、結局乗ることが出来ずに、今のところは歩いて配達を行っている。今のかなの仕事は歩いてできる範囲の配達と賄いの食事を準備することである。
そんな日々の中、夏休み中の登校日がやってきた。風新新聞専売場からの初登校にかなは感慨深げな様子で、新しい生活にも慣れてきた自分に満足感を得ていた。しかし今度はクラスに転入生が来ることになった。夏休み途中の登校日で紹介された子は、久地院美華(くじいんみか)と名乗る女の子だった。しかし、その子を見るとかなは見覚えがあるような感覚になる。実は美華とは、初めて夕刊を配った日に出会っていたのだった。
下校後、なぜか風新新聞専売所の前に姿を見せる美華。彼女がライバル店の花日新聞専売所(はなにちしんぶんせんばいじょ)で働いていると知った咲妃は、花日新聞に負けないためにかなにも「新しい顧客の獲得に出なさい」と言いつけ、突然の新規顧客獲得の仕事が開始された。
その日は、仕事終わりに咲妃から販売促進用のチケットが配られた。その中に、ウォーターランドというレジャープールの入場券を見つけた専売所のメンバーたち。はるかが「そのチケットで自分たちがプールに行きたい」と言いだしたことから、咲妃にチケットを没収されてしまった。しかしプールに行きたい気持ちが盛り上がったメンバーは、自費でウォーターランドに行こうと決断。かなを連れてデパートに水着を買いに行き、浮き輪などのプールで使える道具を一式手に入れた。出費が思った以上に大きくなったプール遊泳だったが、結局は楽しむことが出来た。
夏休みも佳境となり、遂に台風が接近してきた。このままのコースを台風が来ると関東にも直撃する予想だ。台風が来たとしても新聞は配達しなければならず、各々専売所メンバーは台風の接近に向けて準備を始める。配達用の自転車が風に飛ばされないようにロープを掛けたり、専売所の外に置いてあったバケツを中に入れたり、てるてる坊主を作ったりしていた。配達前の夜になって風が弱まると、咲妃がみんなで銭湯に行こうと提案してきた。強風で専売所の近くに吹き飛ばされてきた美華も連れて、メンバー全員で銭湯に出かける。みんなで銭湯に入ることで、お互いの身体を洗い合い、湯船に浸かり緊張感を和らげることが出来た。
新聞専売所で迎える初盆
楽しかった銭湯を出ると、雨風がすっかり強くなっていた。いよいよ台風が近づいてきたらしい。専売所メンバーと美華は全員で家路を急いでいると、途中でかなが所属する料理クラブのメンバーとバッタリ顔をあわせる。休み中にもかかわらず彼女たちが制服を着ていることに気づいたかなが、なぜ制服を着ているのかと尋ねたところ、顧問の教師のバースデーケーキを作りに学校の調理室に行っていたことを告げられた。その集まりに自分だけ呼ばれなかったことを知り、かなはすっかり落ちこんでしまった。さらにそんな気分のかなに追いうちをかけるように、風新新聞専売所が停電になってしまう。かなと美華は、暗い所や怖い話が大の苦手なため、停電になった専売所で恐怖のため叫び声をあげる。そこでかなと美華のために、咲妃は蝋燭を用意し怖くてトイレに一人でいけないかなのために付いていってあげたりした。そしてみんなでかなの部屋に一緒に行ったりと、風新新聞メンバーはかなたちに優しく対応してくれた。そんなみんなが自分の事を本当に想って「やさしく」してくれていることに、かなは感銘を受けるのだった。
数少ない新聞休刊日がやってきた。お盆休みも重なって、まったりとした朝のひとときを、風新新聞専売所のメンバーは思い思いにすごしていた。特に、はるかは朝からお酒を飲み酔っぱらっている。そんな専売所の状態の中で、かなは咲妃に、おばあちゃんの初盆なので迎え火を焚かせてもらいたいとお願いする。行事を大事にするのはいいことだという咲妃の賛成もあり、みんなで迎え火やお供え物の準備に取りかかることになった。咲妃がそれぞれのメンバーに指示を出す。その結果、北岡ゆめ(きたおかゆめ)と南ゆうき(みなみゆうき)は食材を、ひなたはお花の買い出しをそれぞれ任命された。そしてかなは、はるかと一緒に盆棚の準備をすることになった。
準備をしていると、近くでお盆祭りが開催されていることに気が付いた。折角だから、みんなで行こうとお盆祭りに向かった。すると所長代理である咲妃から、1人1000円のお小遣いを貰えた。その1000円を持ち祭りに向かうと、出店がたくさん出ていた。貰ったお小遣いで、かなは食べ物や水風船などを楽しむことができた。ひとしきり、お盆祭りを楽しみ専売所に戻ると「迎え火を炊くわよ」と咲妃から呼び出され、みんなで送り火を炊いた。
新学期が始まる
ある日の朝、かなたちは新聞配達を終え、朝食を食べていた。普段は食べ物を残さない咲妃が珍しく残している。その状態が気になりつつも、かなは「残すなら貰いますね」と咲妃の分を食べようと前のめりの態勢になる。すると、履いていたズボンがお尻から破れた。その状態に驚き、お尻まわりをはるかに見てもらった。はるかが確認すると、お尻まわりに贅肉がついているとのこと。かなは自分が太ったと自覚し、ダイエットを始めることにした。
そして新学期を間近に控えたある日。かなは友人から飼い犬のジョンを一時預かってほしいとお願いされた。友達を助けたい一心で承諾したものの、かなは犬が怖くてたまらない。しかしこのままでは、ジョンの世話もままならない。そこで動物全般と仲が良いゆめに、犬と仲よくなるコツを教えてもらうことになった。かなと同じく犬が苦手な美華も一緒に近くの公園に行ってゆめのレクチャーを受ける。かなと美華は犬苦手を克服するためにいろいろ挑戦し犬と多少は触れ合うことが出来るようになった。だが、結局美華には懐いたが、かなには懐くことはなかった。一方ダイエットはというと、犬との一件があって忘れてしまうのだった。
とある朝、ゆめに呼ばれて台所に言ったかなは、ゆめの秘蔵の甘いものコレクションを披露された。そしてゆめは珍しく真面目な表情になると、かなに「自分のことを覚えていてもらいたい」と告げ、ロールスロイスに乗って去ってしまう。突然の出来事に混乱するかな。咲妃に事情を尋ねると、ゆめは実家に帰るのだという。しかも、ゆめの実家は相当なお金持ちらしい。このまま、ゆめは専売所からいなくなってしまうのかと、心配になるかな。特にゆうきとゆめは仲が良く、ゆめが居なくなったことでゆうきがショックを受けている様子が伺える。その日の朝食で、かなはゆめにに対し気を使っていたが、遂にゆめは泣きながら自分の部屋に戻ってしまった。そのような状態に驚きながらも、かなは自分の学校に行くのだった。
学校が終わり、専売所に戻ってくると、ゆうきの部屋から泣いている声がする。堪らず、かなはゆうきの部屋に入る。すると、ゆうきはほっぺを腫らして痛みに耐えて泣いていたのだった。状況が分からないため、説明を聞くことにした。どうやらゆうきは虫歯になっていることは自覚しているが、大の歯医者嫌いで行くのを拒んでいるだけだった。かなは自分が取り越し苦労をしていることに気付き、安堵する。だがなぜゆめは実家に帰ったのか、不思議だった。ところが、数日経つと普通にゆめは帰ってきた。どうやらゆめは実家に帰省していただけのようだった。こうして、かなの専売所と学校の日々が始まる。
改めて自転車の練習をする中町かな
その日はあいにくの雨模様だった。気温の変化が激しいから体調に気をつけるようにと促す咲妃だが、専売所メンバーは「風邪を引くと甘えられたりイイコトがあるよね」という話題で盛り上がっていた。そんな中ゆうきが本当に熱を出してしまい、看病に配達にと張り切るゆめもオーバーワークで倒れこんでしまった。心配するかなに、あの2人なら大丈夫だと言うひなたと咲妃。2人の言うとおり、翌朝ゆうきは全快。ゆめも順調に回復している様子だった。しかし、かなが学校から帰ってくると今度は咲妃が体調を崩して寝込んでいた。いつもしっかりしていて弱い所を見せない咲妃の風邪をひいた姿に、かなは自分が助けるため躍起になり看病する。その甲斐あって咲妃は快復し、元気で仕事に戻ることが出来た。だが今度はかな自身が風邪をひくとこになってしまう。最初は「平気ですから」と自分の仕事である賄いの準備を始めるが、結局は布団に入り体を休めることになった。布団で寝ているかなは、夢のなかで「なんでもしますから!おいていかないでください!ひとりにしないでください!」と叫んでいた。その声で咄嗟に目を覚ますと、横には咲妃が様子を見ていたのか、一緒に寝ていた。かなが起きたタイミングで咲妃も起きて、咲妃は部屋を出ていく。その去り際に「かなにはかなの役目があるでしょ、いてくれなくちゃ」とかなに助言した。夢の中で言っていたつもりの台詞だったが、実際の寝言として言っていたらしい。その言葉に咲妃は、返してくれたのだった。でも、その助言を聞いても、かなは風邪のせいか、不安になるのだった。
先日の風邪も治り、不安な気分も晴れたある日のことだった。ついに風新新聞に新人が入ってくることになった。かなも先輩になるが、かなはまだ自転車が乗れないでいた。先輩になるのに自転車に乗れないのは恥ずかしいからと、かなは朝夕に自転車の特訓を始める。ところが練習に励むあまり学校には遅刻気味になる。放課後は練習のために友達といっしょに帰ることもなく、すぐに下校してしまう。そんなかなの行動を不審に思ったクラスメイトたちは、かなに彼氏ができたのではないかと噂を流し始める。その噂に動揺を隠せないのは、同じ中学に通いながら同じく新聞配達をしている美華だった。
不審に思った美華は道から公園までかなを探す。そして公園で自転車の練習をしているかなを見つけることが出来た。結局、かなに彼氏ができたわけではなく、自転車の練習のために早くに帰っていただけだった。そして2人で自転車の練習をするが、2人とも乗れるようにはならなかった。さらに新人が専売所に入ってくるという予定もなくなり、かなも自転車の練習をしなくなった。こうして、かなの歩いての新聞配達と中学校生活の日常は続いていく。
『かなめも』の登場人物・キャラクター
風新新聞専売所
中町 かな(なかまち かな)
CV:豊崎愛生
本作の主人公であり身寄りを亡くし一人ぼっちになったのをきっかけに、風新新聞専売所に住み込みで働くことになった中学一年生。髪型はおかっぱ頭。素直でマジメな頑張り屋だが、年の割には子どもっぽく天然気味な言動を見せることもある。自転車に乗れないために配達ができず、変わりに料理が得意なため賄いで雇われていたが、後に徒歩で配達も担当するようになった。
天野 咲妃(あまの さき)
CV:水原薫
ある理由で日本中を飛び回っている父に代わり、所長代理として風新新聞専売所を切り盛りする小学生。そんな環境のために歳に見合わぬ現実主義で、常にシビアな思考で世間を見ている。そのため「小学生だが、オトナ」と言われている。ロングヘアをツインテールにしている。かなの通う中学校の隣にある小学校に通う小学2年生。メンバーからは「代理」と呼ばれる。ある意味メンバーの中では一番の常識人。仕事に関しては部下のわがままを却下する融通の効かない性格だが、プールへ行きたい皆のために物置から家庭用プールを掘り出すなど、ある程度考慮している。
北岡 ゆめ(きたおか ゆめ)
CV:広橋涼
パティシエ志望の専門学校生で、明るくパワフルな言動でみんなを引っ張るムードメーカー。癖っ毛をツーサイドでまとめた髪型で、いつもショートパンツをはいている。「元気娘。甘いものとユーキが大好き」というイメージ。実家は旧家で凄いお金持ちという令嬢である。名前は漢字に直すと「優芽」となる。なんらかの理由で家を出て専売所に住み込んで働いているが、理由は分からない。
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目次 - Contents
- 『かなめも』の概要
- 『かなめも』のあらすじ・ストーリー
- ひとりぼっちの中町かな
- 住み込みで新聞配達を始める夏休み
- 新聞専売所で迎える初盆
- 新学期が始まる
- 改めて自転車の練習をする中町かな
- 『かなめも』の登場人物・キャラクター
- 風新新聞専売所
- 中町 かな(なかまち かな)
- 天野 咲妃(あまの さき)
- 北岡 ゆめ(きたおか ゆめ)
- 南 ゆうき(みなみ ゆうき)
- 東 ひなた(あずま ひなた)
- 西田 はるか(にしだ はるか)
- マリモ(まりも)
- 中町かなの友達
- 久地院 美華(くじいん みか)
- 直(なお)
- 文(ふみ)
- その他登場人物
- ブン太
- かなの祖母
- 石見ロボ(いしみろぼ)
- 『かなめも』の用語
- 新聞配達(しんぶんはいたつ)
- 新聞専売所(しんぶんせんばいじょ)
- 新聞奨学生(しんぶんしょうがくせい)
- 順路帳(じゅんろちょう)
- 住み込み(すみこみ)
- 百合(ゆり)
- 『かなめも』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 中町かな 「おばあちゃん…私ひとりぼっちになっちゃったよ」
- 中町かな 「だいじょうブイ だいじょうブイ♪ なんとかなるさ だいじょうブイ♪」
- 天野咲妃 「今から2、3年なら雇ってあげるわよ」
- 『かなめも』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 南ゆうきと北岡ゆめは恋人同士
- 風新新聞の号外が現実で発行
- ひらがな4文字タイトルの流行
- 『かなめも』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):中町かな、天野咲紀、久地院美華 「君へとつなぐココロ」
- ED(エンディング): 堀江由衣 「YAHHO!! かなめもVer.」
- 挿入歌:マリモ姉さん 「椰子の実」