カラオケ行こ!(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『カラオケ行こ!』とは和山やまによる漫画作品。本作は2019年8月同人誌即売会にて頒布されたものに加筆修正したものをKADOKAWAが単行本化した。
中学校で合唱部の部長を務める岡 聡美は、合唱コンクール後に突然、四代目祭林若頭補佐である成田 狂児に声を掛けられる。狂児は組で定期的に開催されるカラオケ大会で最下位になることを避けるため、聡美に歌唱指導を依頼する。脅されるように協力するはめになった聡美だが、やがて狂児との間に奇妙な友情が芽生えはじめる。
コカイン中毒者がゆえ、祭林組から破門された。破門される際にクスリは辞めると泣いていたが、後日聡美に絡んだ時にはさらに症状は悪化していた。絡まれた聡美を救う為、狂児が殴ったことから逆恨みし、カラオケ大会当日、狂児の車に横から突っ込んだ。しかし襲撃を予想していた狂児は軽症で済んだ上、反撃され顔が特定できないくらいボコボコに殴られた。
和田
聡美が所属する合唱部の部員。合唱祭において、聡美が体調を崩したり、変調期が来た時のために代役としてソリのパートを個人練習するよう顧問の先生から言われている。
『カラオケ行こ!』の用語
ソリパート
ソロが独唱を指すのに対し、ソリは2人程度で歌うことを指す。聡美は顧問の先生から部長として頑張ってきたから最後に花を持たせたいと、次の合唱祭におけるソリパートに任命されたのだった。聡美が喜ぶのも束の間、先生は聡美の変声期が来たときのために代理の生徒を指名した為、複雑な心境となる。
カラオケ大会
年4回2月、5月、8月、11月に開催される組総出で開催されるカラオケ大会のこと。死亡者以外、全員出席が義務付けられており、1人1曲歌う必要がある。審査員は絶対音感を持つ組長ただ一人が行い、歌詞の間違い、テンポのズレ、音を外すと1点ずつ加点されていく。大会で一番多く点を取った者、つまり一番歌が下手だとジャッジされた者1名が組長によって入れ墨を掘られることとなっており、組員は戦々恐々としている。さらに組長はその人物が嫌いなモチーフをわざと選んで彫る。前前前大会の敗北者はキティちゃん恐怖症であったことから、最も目につく利き手にキティちゃんの入れ墨を掘られてしまった。
合唱祭
夏に市民ホールで開催される。コンクールではないことから、顧問の先生からリラックスして楽しく歌うよう指導されている。受験を控えた3年生はこの合唱祭を最後に引退する習わしのようである。
『カラオケ行こ!』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
狂児への鎮魂歌
合唱祭当日、聡美は会場へと向かう途中に狂児の車が交通事故に合っている現場に遭遇する。現場検証している警察官たちが車の運転手が重体であると聞いてしまった聡美は前日喧嘩別れしてしまったことから、罪悪感でいっぱいになっていた。事前に狂児から組のカラオケ大会の場所を聞いていた聡美は単身乗り込み、通常開催されているカラオケ大会を見て激昂する。泣きながら、その場を立ち去ろうとする聡美に組長は狂児への鎮魂歌として1曲歌えと指示するのだった。本来、合唱祭でのソリですべてを出し切るはずだった聡美だったが、狂児のために彼が好んで歌っていた「紅」を熱唱する。その歌声は組合員に「令和のトシや…」と言わしめ、絶対音感を持つ組長が涙するものだった。全力を出し切った聡美が歌い終わると、声は枯れついに聡美の変声期が始まってしまったのである。
狂児「カラオケ行こ!」
中学3年生のコンクール後、狂児の「カラオケ行こ!」の一言で始まった2人の奇妙な関係は、カラオケ大会を最後に途切れてしまった。狂児からの連絡が来なくなったからである。その3年後、聡美は高校を卒業、ひょんなことから彼との日々を思い出していた。上京するため、空港で以前狂児からもらった名刺を眺めていると、その本人が現れ、自分も所用で東京へ向かうと言う。カラオケ大会で一度負けてしまった狂児は、今後負けないよう聡美に再び指導を乞う。「東京着いたらとりあえず…カラオケ行こ!」と言う狂児の一言で止まっていた2人の関係は再び動き出すのであった。
『カラオケ行こ!』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
狂児の持ち歌を「紅」にしたのは作者の好み
狂児の持ち歌を「紅」にしたのは、作者がX JAPANのファンであることが由来している。加えて、誰でも知っているメジャーさ、読んでいてすぐにサビをイメージできるかどうかを選曲の基準にしたとマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』におけるアンケートにて回答している。
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