スケバン刑事(和田慎二)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『スケバン刑事』とは、和田慎二によって描かれたアクション少女漫画。1976年から1982年まで白泉社『花とゆめ』にて連載された。1985年には実写ドラマ化して人気を博し、累計発行部数は2000万部を超えている。スケバン麻宮サキは、死刑囚である母親の死刑執行停止を条件に、学生刑事としてある事件を解決する。その活躍を機に、その後も探偵の神恭一郎らと共に様々な事件に立ち向かうことになるが、次第にスケールアップした物語が展開していく。

『スケバン刑事』の概要

『スケバン刑事』とは、和田慎二によって描かれたアクション少女漫画である。1976年から1982年まで白泉社『花とゆめ』にて連載され、累計発行部数は2000万部を超えている。1985年から87年にかけてテレビシリーズ3部作が放映され、人気を博した。これまでに劇場版3作品『スケバン刑事』『スケバン刑事Ⅱ少女鉄仮面伝説』『スケバン刑事Ⅲ少女忍法帖伝奇』が公開されている。また、2021年より『月刊プリンセス』で他の作家による作品群が連載されている。
主人公サキは、幼い頃のある事件をきっかけに一匹狼のスケバンとなり少年院に入っていた。そんなサキの下に暗闇警視と呼ばれる男が現れる。そして、学生刑事となって事件を解決する代わりに、死刑囚である母の死刑執行停止を持ち掛けた。サキはスケバン刑事となり、極秘に事件を解決していく。
サキは独自の勘と行動力で、学生社会の中に潜む悪と戦う。その中で、様々な人間の苦しみや悲しみを味わうことになる。本作は少女漫画ながら、残酷で厳しい世界を描いている。サキもその被害者であり、実の母には嫌われ、人を信じることが出来なかった。しかし、学生刑事となって信頼できる仲間や愛する人を見つけていく。母にも社会にも裏切られた1人の少女が必死に生きる物語である。

『スケバン刑事』のあらすじ・ストーリー

第1部

スケバン刑事の誕生

東京から遠く離れた山奥にある高等少年院に、スケバンの麻宮サキ(あさみやさき)は入所していた。そこは地獄城(じごくじょう)と呼ばれ、天然の樹海に囲まれた古びた建物には最新鋭の設備が整えられており、過去に脱走出来た者はいなかった。
皆が寝静まったある真夜中、サキは暗闇警視(くらやみけいし)と呼ばれる黒スーツにサングラスの男に呼び出される。暗闇警視は、時効が近づくある事件の解決を条件に、死刑囚であるサキの母麻宮ナツ(あさみやなつ)の死刑執行を延期すると提案する。サキはその提案に怒るが、愛する母の為に地獄城からの脱走を図ることを決意した。
サキを慕う女子房の仲間たちの協力を得て、脱走不可能と言われた地獄城から見事に脱走する。そして暗闇警視が提示した事件、1億円強奪事件の真相を探るために姫ヶ窪校の高等部へと転入した。初日から校内の番長達をねじ伏せ、彼らの手伝いの下で事件の手がかりを探し始める。学生社会にうまく入り込んだサキは、時効成立の直前で見事に事件を解決した。そして暗闇警視は約束通り、麻宮ナツの死刑執行を取り止めさせる。
後日、サキはナツに会いに刑務所へ行くが母の姿はなく愕然とする。そこに神恭一郎(じんきょういちろう)という長髪の男が現れる。神は暗闇警視とともに難事件の解決を目指す探偵であった。ナツは戸籍上死んだことになり幽閉され続ける、とサキは聞かされる。暗闇警視は、ナツの戸籍を取り戻すことを条件に、スケバン刑事として警察への協力を継続することを望んでいたのだ。神は、サキの武器となる警察章入りの特製ヨーヨーを差し出す。サキは怒りに泣きながらもそれを受け取り、ここにスケバン刑事が誕生した。

宿敵との出会い

スケバン刑事となったサキは、母校鷹ノ羽高校へと戻る。そこは政治家である海槌剛三(みづちごうぞう)を父に持つ海槌3姉妹が生徒や教師たちを牛耳っていた。長女の麗巳(れみ)は富裕層の女生徒たちを、次女亜悠巳(あゆみ)は暴走族の番長連合を、三女の詠巳(えみ)はスケバングループを取り巻きにしていた。詠巳と同じ美術部に入った転入生の唯名純子(ゆいなじゅんこ)は、類稀なる絵の才能があった。名誉ある画家を目指し、美術展への選出を狙う詠巳は純子に嫉妬する。
サキは偶然知り合った純子と親交を深める。しかしある日、純子の家が借金取りに襲われ、家宝であった亡き父と純子の絵が全て奪われてしまう。そして病気だった母は、何者かにより殺されてしまった。希望を失う純子を前に、サキは海槌家が裏で動いていることを知る。傷心の純子であったが、自身の絵が出るはずだった美術展が気になり赴く。そこには自身の絵とそっくりな作品が、海槌詠巳の作品として大賞を獲得していた。全てに失望した純子は美術館を飛び出し、待ち受けていた亜悠巳によって殺されてしまう。純子の死を知ったサキの心は怒りに燃え、海槌3姉妹を捕えることを強く誓った。

剛三は鷹ノ羽高校の理事長になり、大物政治家の子供を裏口入学させることで、政界での地位を確立させようと目論んでいた。そして麗巳は理事長の席を引き継ぐこと、亜悠巳は父から大金を譲り受けること、詠巳は画家として名声を得ることをそれぞれ望んでいた。そのために邪魔な存在を次々に排除していく。そして計画を完遂させた海槌家は、それぞれ望み通りに事を進めていた。海槌家の陰謀を暴くべく、サキと神は証拠探しを始める。ある事件をきっかけにサキに惚れ込み助手となった野分三平(のわきさんぺい)と、かつてサキを地獄城へ追いやった教師の沼重三(ぬまじゅうぞう)の協力もあり、解決の糸口を見出す。
サキを危険視した亜悠巳は、得意とするバイクレースにサキを誘い込む。その間に、何者かが亜悠巳の隠し部屋にある大金を盗もうとする。その者を追いかけようとするもサキに邪魔された亜悠巳は、麗巳から預かったショットガンを放った。しかし、細工によりショットガンが暴発して亜悠巳は死亡する。その後、美術大賞のパーティーに出席していた詠巳と剛三は、サキ達により全ての陰謀を暴かれる。2人が連行されて外へと連れ出された時、何者かにより2人は撃ち殺される。全ては麗巳の策略であった。麗巳は海槌家の大金を手に国外へと出て、巨大悪として生きていくという野望を持っていた。証拠隠滅のため、用済みとなった家族を殺したのだった。
麗巳を追い詰めたサキは、1対1の激闘を繰り広げる。そしてサキの強い意志が麗巳を追い詰め、死闘の末に麗巳を逮捕した。

麗巳の逆襲

海槌家の陰謀を見事に暴いたサキは、その後もスケバン刑事として警察の入り込めない事件を解決していた。サキと行動を共にしていた三平は、サキに心惹かれ始める。そんな最中、三平に見合いの話が舞い込みサキに破談となるよう協力をお願いする。仕方なく了承したサキだったが、その席で生き別れた妹の小座倉美幸(おざくらみゆき)と再会してしまう。美幸は泣いて喜ぶが、サキは困惑していた。サキは母から冷たくされる一方で、美幸は母の愛情を一身に受けていた。ナツは貧しい家に育つ美幸の将来の為、小座倉財閥の養子として娘を引き渡したのだった。
神から国外での麗巳の目撃談を得たサキは、麗巳がいるはずの地獄城へと舞い戻る。そこには確かに麗巳の姿があったが、サキは違和感を覚える。且つての麗巳の強い気迫は消え、地獄城の狭い世界でボスとなり満足していたからだった。サキが失望したのも束の間、その麗巳が偽物であることが発覚する。本物の麗巳は、既に地獄城から脱走していたのだ。事実を知ったサキは、地獄城から脱走して麗巳の行方を追う。

外へと戻ったサキは、美幸が三平を愛してしまったことを知る。しかし三平はサキを愛していた。サキは三平に美幸を託そうとするが、三平は受け入れられずにいた。しかし、サキが大切な妹を預けるということは、愛よりも重い信頼を得ているのであると気付く。そして三平は美幸と向き合うようになり、次第に美幸を愛する気持ちが芽生えて無事に結婚する。
2人の新たな門出を祝うサキだったが、すぐに失意のどん底へと突き落とされる。何者かの襲撃により、美幸は気絶し三平は殺されてしまったのだ。それは麗巳の仕業であった。サキは三平の仇を討つことを心に誓う。
その頃、ナツは刑務所から脱走していた。全ては、幸せになるはずだった美幸を不幸に貶めたサキに仕返しするためである。そしてサキと美幸の前にナツは現れる。美幸はナツに駆け寄り、サキを置いてその場から逃げ去る。混乱するサキはナツから攻撃を受け続け、駆け付けた神が助けに入る。そして驚愕の真実を聞く。今までいた美幸は整形した海槌麗巳で、本物は結婚式前夜に攫われ行方不明となっていたのだ。
事を危険視した暗闇警視は警察組織を総動員して、海槌麗巳の捜索を開始する。テレビでは海槌麗巳の元の姿が映し出された。攫われていた本物の美幸は麗巳の顔に整形させられ、街中に放り出される。ふらふらと歩く美幸の目の前に、ナツが現れる。何も知らないナツは美幸の幸せを奪った麗巳に向かって発砲した。遅れて駆け付けたサキは、それが美幸だと気付く。美幸は最期に気付いてくれたサキに涙して息を引き取った。最愛の娘と気付かずに殺してしまったナツは、自ら舌を噛んで自殺する。サキは怒りと悲しみを胸に、麗巳がいる海上の船へと乗り込んだ。2人は燃え上がる船上で再び宿敵と対峙する。死闘を繰り広げる2人だったが、船の爆発を最後に姿が消えたのだった。

神は、三平の墓参りに訪れていた。心の中で「サキはおまえのところにいるのか?」と問いかける。しかし、神はサキがどこかで生きていると信じて、その場を去った。

第2部

サキの復活

麗巳との闘いで海へ放り出されたサキは、偶然近くを通りかかっていた大富豪ゴルド=小松崎(ごるど=こまつざき)の船に拾われていた。サキは記憶を失っていた。ゴルドは、事故で亡くした娘ナツキとサキを重ね合わせ、精神科医Missワタナベに頼んで偽の記憶を植え付ける。NYを訪れていた神は、偶然にもサキのヨーヨーを発見してナツキの存在を知る。沼をNYへ呼び、ナツキのボディーガードとして小松崎邸に潜入し調べることにした。ナツキは清楚なお嬢様で、ジミー・オッドマンという女好きの婚約者に振り回されていた。サキとは思えない性格だが、ナツキは炎を見ると誰かに呼ばれているような気がするという。それは、サキと麗巳の最後の闘いの記憶が強く残っているものであった。ゴルドは神達の思惑に気付き邪魔をするが、ある事件がきっかけでナツキはサキとしての記憶を蘇らせる。サキは短期間でも娘として可愛がってくれたゴルドに礼を述べ、神達と日本へ帰国した。

暗闇警視の下へ訪れたサキは、麗巳との対決後にサキの後任として4人の学生刑事が生まれたことを知る。彼らは、どこに行っても耳に入るサキの功績を疎ましく思い、サキを憎んでいた。そして復帰後初めての事件で、学生刑事No.2の吉村美鈴(よしむら みすず)と出会う。彼女はどちらが先に事件を解決できるか勝負を挑んできた。サキは気にも留めず、いつもの勘を取り戻すようにして事件の真相へと近づいていた。最後は成り行きで事件が解決し、2人の勝敗はつかずに終わる。後日、美鈴はサキとの直接対決を申し込む。しかしサキの気迫に圧倒され、最後には和解した。

新たな事件の潜入捜査のため、サキは白百合高校へと転入する。学園祭の演劇公演中に起きた転落事故で、サキの中学時代の同級生氷室今日子(ひむろ きょうこ)が容疑者に挙げられていた。サキは今日子の無実を証明するも、どこか疑念が消えずにいた。事件解決後も、今日子の周りでは不審な事故が相次ぐ。全ては今日子が仕組んだ計画で、周りの人間を操って引き起こした事件であったのだ。真相に気付いたサキは今日子を追い詰める。サキは、今日子が癌に侵されており余命が少ないことを知る。そのことがきっかけで、今日子は変わってしまったのだった。追い詰められた今日子は罪を認めて自白することをサキに伝えるが、警察を呼びに行ったサキを確認して自爆する。この時から、サキは自身でも気付かない心の檻に捕らわれるようになる。

サキの不調

鷹ノ羽高校に通う榊原亜子(さかきばら あこ)は、ある事件をきっかけにサキを慕ってついて回るようになる。その頃からサキは、犯人を取り逃がすなど不始末の多い結果を残すようになっていた。サキの異変に気付いた神は、樹真(じゅしん)という僧侶をサキの側に置くことにした。そしてゴルド宛にサキの様子を記した手紙を送る。手紙の内容を聞き事態を重く見たMissワタナベは、日本へとやって来る。入れ替わるようにして、神は日本を発った。
サキは3件連続で犯人を取り逃がすなど不調が続き、焦りを感じていた。そしてある日、事故が起きる。ある過激派グループの立てこもり事件で、爆破事故が起きる。犯人ら救出のため乗り込んだ建物内で、亜子はサキを見失った。サキは、自身の名を呼ぶ亜子の後ろ姿を見つける。呼び止めようとした瞬間、目の前の炎が強さを増し、茫然として声を出すことが出来なくなった。亜子は燃え盛る炎の中で犯人の焼死体を見て発狂してしまう。樹真により助け出されるが、サキは為す術もなく立ち尽くすだけであった。

亜子の悲劇は世間に広まり、サキを知る者は白い目で見るようになる。さらには、亜子の両親は希望を失って心中未遂を起こした。サキの心はどん底へと落ちていく。亜子を救いたい気持ちと、いっそ亜子を殺してしまえという自身の心の闇との間で葛藤するようになる。その時、遠い外国にいる神から手紙が届き、サキの心に光が灯った。Missワタナベの協力もあり、亜子を直す手がかりを見出したサキは、彼女の両親にも希望を与えた。
しかし、且つての自分に戻りつつあるサキの下に、神の訃報が届く。再び失意のどん底に落とされたサキは、海へ飛び出し力尽きるまで泳ぎ続けた。意識が薄れゆく中、黙示録のような幻を見る。病院で目が覚めたサキは、心のもやが晴れたようにスッキリとしていた。死に直面したことで、心の迷いが消え去ったのである。神の死を受け入れたサキは、且つてのように心の中が燃えているのを感じた。復帰したサキは、Missワタナベと共に亜子の精神を取り戻す実験に参加し、見事に成功させた。

梁山泊への潜入と神の帰還

サキは、中央連合の総番長多門寺忍(たもんじしのぶ)を救うため梁山泊(りょうざんぱく)と呼ばれる第7高等少年院へと潜入する。そこは暗闇警視たち警察の上層部ですら情報を持たない、得体の知れない場所であった。第1棟~3棟に分けられており、どこに忍が入っているのかは不明であった。第1棟は砂漠のど真ん中にあり、昼夜問わず明るい光を照らして院生たちを不眠不休にさせた。サキは第1棟に忍がいないことを確認すると、わざと騒ぎを起こして第2棟へと移される。第2棟の周りには湿原が広がっていた。そこでサキは、地獄城にいた時の仲間・アグラと再会する。そして第1棟から一緒に移送されてきたツグミや同じ房のウルフ達と親しくなる。ここでも忍がいないことを確認したサキは、アグラ達と脱走計画を立てる。仲間たちの一部を脱走させたサキは、第3棟へと移るためにわざと捕まった。アグラとツグミ、ウルフは追手を食い止めるためにサキと残り、4人とも第3棟へと移送される。
第3棟は巨大な岩棚の中に隠されていた。この中のどこかに忍はいるはずだったが、情報を集めても同じ棟内に忍らしき存在はない。ある時、男子房宛ての物資の中に生理用品が含まれていることに気付く。その夜、男子房へと潜入したサキは、特別房にいる忍へと辿り着いたが院長らに捕らえられてしまう。しかし、何者かの助けで拘束が解けたサキは再び忍の下へと向かい、アグラ達を引き連れて脱走を試みる。なんとか岩棚を抜け出したが、実は密告屋であったウルフが邪魔をして戦闘となる。ツグミが押収されたはずのサキのヨーヨーを投げ渡し、ウルフを倒して無事に脱走した。

後日、サキの下に2人の学生刑事が現れる。学生刑事No.4の風舞聖子(かざまいせいこ)とNo.3のツグミこと小塚左智子(こづかさちこ)であった。ツグミはサキの実力を知るために、変装して梁山泊へと潜入していたのだった。2人はサキの実力を認め、協力していくことを決めた。

サキは死んだはずの神が生きていることを知り、アメリカへと降り立つ。数日前、負傷した神の世話をしているという手紙がナイアガラから届いたのだ。神に会いたい一心でやって来たサキだが、英語が話せず立ち往生していた。そこにムウ=ミサという額に三日月型の傷を負った日本人の男が現れる。梁山泊第3棟で捕らえられたサキを助けた男であった。ムウ=ミサは、サキに惚れており、神を諦めさせるために強引に同行する。ナイアガラに着いたサキは、神と感動の再会を果たすが、神は傷の後遺症で視力を失っていた。長年に渡って追っている国際犯罪組織“猫”(ねこ)に襲われ、負傷したのだ。神はサキを闘いに巻き込まない為に帰国するよう伝える。ショックを受けるサキであったが、事情を知っても諦めきれずに神を追いかける。しかし、その後は神と再会することは出来ないまま帰国することとなった。

新たなる戦い

帰国したサキは、久しぶりに登校した鷹ノ羽高校で、只ならぬ雰囲気を感じ取る。かつての不良仲間たちは活気がなくなり、剣道部の学生たちが校内を仕切っていた。さらに、その影響は教師たちまで及んでいた。彼らは規律を重んじるばかりに、自分たちの信念を周りに強要していた。サキは学生刑事らとの調べで、彼らの背後に青狼会(せいろうかい)という学生組織が絡んでいることを知る。青狼会は全国に広がっており、中央連合と南九州番長連合を除くほとんどの番長連合は、力を弱めていた。
その頃、梁山泊から救い出された多門寺忍は、中央連合の総番長として復帰していた。そして、青狼会の傘下に入ることを決定する。そうとは知らない南九州番長連合の総長アグラは、協定を結ぶため中央連合のへとやって来た。罠にはめられたアグラ達は中央連合に襲われるが、サキが助けに入る。忍はサキに襲い掛かるも、攻撃の末に戦いに負傷する。そして、サキを中央連合の総番長に指名して死んでしまった。
意図せずして総番長になってしまったサキであったが、連合の部下たちの調査もあり青狼会の姿が見え始める。その本部は滝川高校にあり、生徒会長である埴輪一彦(はにわかずひこ)がリーダーであることが分かった。そこに、伊賀上野にある連合赤目グループに偽のサキが現れたという事実が耳に入る。偽のサキは、青狼会に入ろうとする者を暴力でねじ伏せ、中央連合に対する不信が生まれているという。サキは、偽物を捕えるため伊賀へと向かった。
転入生として赤目グループに潜入したサキは、伊賀が埴輪一彦の生まれ育った土地であることを知る。危機を察知して中央連合から手勢を集めるよう指示するが、青狼会と赤目との争いが始まってしまう。青狼会の暴挙は一般市民にまで及んだが、警察が動く気配はなかった。サキは赤目番長に正体を明かし、偽物は青狼会の回し者であることを伝える。赤目はサキと共闘し、中央連合の加勢もあって数日の内に青狼会を追い出すことが出来た。サキは偽者を捕えられなかったものの、伊賀での活躍もあって信頼を取り戻し、各地の番長連合と協定を結ぶ結果となった。

東京に戻ったサキは、組織“猫”の首領である鳴海碧子(なるみみどりこ)に宣戦布告を受ける。碧子は海槌麗巳の親友であった。麗巳が親友である自分ではなく、敵であるサキとの闘いを選んだ末に死んでしまったことを恨んでいた。そして伊賀に現れた偽のサキは碧子であった。青狼会の埴輪一彦は碧子の祖父・信楽老の権力を引き継ぐため、碧子の婚約者として青狼会を率いていたのである。その青狼会の目的を探るため、ツグミは一彦の秘書として潜入していた。

最終決戦

神は組織“猫”を追って、日本へと帰国していた。秘書の美尾をパートナーとして、“猫”の動向を探り続ける。その頃サキは、青狼会の本拠地である滝川高校へと潜入する。滝川高校の地下に謎の通路を見つけて辿っていくと、信楽邸へと辿り着いた。そこでグランド=スラム作戦という名を耳にする。しかし内容を知る前に一彦の手下に捕まり、潜入していたツグミのお陰で逃げ出した。サキはグランド=スラム作戦を調べるも、その目的は分からずにいた。
ある日、信楽邸で婚約発表があることを知る。碧子と一彦の婚約であることは明白であり、サキは再び信楽邸へと潜入する。そこで、ツグミは碧子に捕らえられ、拷問の末に一彦の手で殺されるのを目撃する。この事がサキに火をつける。青狼会との決着をつけるため、中央連合総番長として全国の連合に召集をかけた。そしてグランド=スラム作戦をいち早く阻止するために、学生刑事を降りて1人のスケバンとして動くことを決める。しかし、信楽老は先手を打っていた。
ある日、新聞の一面に学生刑事の記事が載る。さらには週刊誌に、サキや美鈴たちの顔写真まで公開されたのである。総番長と慕ってきた連合の学生たちは怒り、悲しみ、サキはリンチに合う。これまで地獄城や梁山泊でも仲間であったアグラにすら見捨てられたのだった。それでもサキに着いた火は消えなかった。
その頃、神と“猫”を追っていた美尾は学生刑事の情報を流した人物を追って、信楽邸へと潜入していた。しかし碧子に見つかり、殺されてしまう。信楽老の手下として潜入していたムウ=ミサは、神に事実を伝える。そして神は、碧子こそが探していた組織“猫”の現首領であり、信楽邸が本拠地であるということを知る。こうしてサキと神は、図らずも同じ敵に向かって進み始めた。

8月20日、その日の東京は猛暑となった。そして遂にグランド=スラム作戦が決行される。猫と青狼会によって仕組まれた大規模停電が起こる。予備電力の送電線も切られており、街は混乱に陥った。人々の不安が高まる中、青狼会により火の手が上がる。民衆は大パニックとなり、至る所で暴動が起きた。碧子たちの目的は、この混乱に乗じて首相らを人質に取って日本の主導権を得ることであった。しかし、信楽老の真の目的は、青狼会や碧子を悪役にして自身の私兵で取り押さえ、英雄として表舞台で日本を動かす存在になることであった。
ムウ=ミサと再会したサキは、彼が内閣調査室の特務員であり、信楽老の企みを調べるために配下として潜入捜査をしていたことを知る。そして信楽老の真の目的を打ち砕くため、奔走する。一度は離れたもののサキへの恩を思い出して舞い戻ってきたアグラ達連合の学生らも協力し、電力を復旧させる。信楽老の企みは失敗し、その企ては世間にも知られることとなった。裏切られた青狼会の学生は士気を失い大人しく連行され、信楽老と碧子はそれぞれ行方をくらました。

サキは信楽老の行方を追っていた。美鈴の調べにより、梁山泊が信楽老の私有地であることが判明する。諸悪の根源である信楽老を倒すため、サキは梁山泊へと向かった。サキは以前の脱走経路から、梁山泊第3棟内へと潜入する。そして同じく潜入していた神と再会する。喜びの涙を流して抱き合う2人であったが、背後から現れた信楽老に狙撃され、神は致命傷を負う。しかし信楽老の背後から碧子が現れ、裏切られた復讐をするべく祖父の頭に銃口を向けて連れ去った。サキは神を助けに戻ると誓い、単身で信楽老を追う。しかしその先には負傷した碧子がいた。そして死んだはずの麻宮ナツが立っていた。美幸を殺してしまい自殺を試みたものの、死にきれなかったナツはサキへの復讐を胸に、信楽老の配下となっていたのだ。死んでしまった碧子を前に、サキは多くの仲間の死が蘇り悲しみに暮れる。涙を流しながら、これまで攻撃したことはなかった母に強い一撃を与え、この場から逃げるよう母に伝えた。
信楽老に追いついたサキは、最後の闘いを繰り広げる。老体とは言え、信楽老の力はサキの互角以上であった。サキは信楽老に不意打ちをくらいそうになるが、ナツが庇って斬られてしまう。サキは怒りに燃え、最後の力を振り絞り相打ち覚悟で信楽老に立ち向かう。信楽老の真剣がサキ目掛けて振り落とされた瞬間、銃声と共に真剣が折れ、信楽老はサキの強い一撃を受ける。それは神の最期の銃弾であった。その結果、信楽老はサキに敗れて息絶える。サキは死んだ神を見て泣き叫び、崩れ行く梁山泊から脱出した。

半年後、鷹ノ羽高校では卒業式が行われていた。沼は消息不明のサキが来ることを信じて待っていた。アグラ達や美鈴もサキの登場を待っていると、遠くからサキが走ってやって来る。皆はサキの生還を喜び、沼は卒業証書をサキに手渡す。サキは皆の歓声に涙しながら、ヨーヨーを空高く投げ捨てた。「みんな!あばよ!」と叫び、笑顔で門の外へと走り去った。そのすぐ後に、ムウ=ミサが現れる。美鈴はサキがやって来たことを伝えると、ムウ=ミサは驚愕し、サキは梁山泊で死んだと答える。皆は信じられずにいたが、誰もヨーヨーを受け取った者はいなかった。サキは去り際に、沼に「神が待ってる…」と伝えていた。沼は、卒業証書を渡すという約束を果たすためにやって来たのだと悟る。世間のはみ出し者であったサキは、仲間を愛し学校を愛していた。それに気づいた皆は、悲しみの涙に暮れるのだった。

『スケバン刑事』の登場人物・キャラクター

主人公

麻宮サキ(あさみや さき)

Hiro44Smh6
Hiro44Smh6
@Hiro44Smh6

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