通りがかりにワンポイントアドバイスするタイプのヤンキー(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『通りがかりにワンポイントアドバイスするタイプのヤンキー』とは2018年よりおつじが『ガンガンpixiv』で連載していた漫画で、見た目ヤンキーな桜井京と町の人々との日常を描くハートフルストーリーである。町で誰かが困っているとどこにでも現れる桜井。見た目とは裏腹に世話焼きであり豊富な豆知識で問題を解決して去っていく。
豆知識を披露しながら人を親切に助けていく心温まる物語。ハイスペック桜井の喧嘩しない系ハートフルヤンキー漫画であり、Twitterやpixivで厚い支持を受ける。

『通りがかりにワンポイントアドバイスするタイプのヤンキー』の概要

『通りがかりにワンポイントアドバイスするタイプのヤンキー』とは2018年よりおつじが『ガンガンpixiv』で連載していた漫画で、見た目ヤンキーな桜井京と町の人々との日常を描くハートフルストーリーである。「次にくるマンガ大賞2020」のWebマンガ部門では第7位に選出された。連載終了により最終回を迎えておりコミックスは8巻で完結している。
桜井京は初めて会う人には怯えられてしまうほどの厳つい外見をしておりいかにもヤンキーだが、町中で困っている人がいれば誰にでもすぐに手を差し出し、的確なアドバイスをして去っていく青年であり、見た目と行動のギャップに助けられた人は男女問わずに惚れてしまうほど。そんな彼の周りには、人助けをするたびに人の輪が広がっていく。主人公の行動が魅力の心温まるヤンキー漫画。

『通りがかりにワンポイントアドバイスするタイプのヤンキー』のあらすじ・ストーリー

梅ちゃんとの出会い

ある夏の日。保育園の先生である梅ちゃんは園の入り口でいつものように園児のお迎えをしていた。猛暑の中、わざわざ何十分も外で園児を迎える必要があるのかと不満に感じつつもそのことを顔に出さずお迎えをしているところに、知り合いの子供の見送りを頼まれた金髪で見た目が派手な、いかにもヤンキーな青年・京が現れた。まじめな性格の梅ちゃんはヤンキーが嫌いなので気が引けつつも、挨拶をして園児を引き取った。その際、お迎えという仕事中でもできる暑さ対策をアドバイスする京。最後に労いの言葉をかけて塩飴を渡すという気遣いをみせる見た目と優しさのギャップをきっかけに、梅ちゃんは京を意識するようになる。
その後、京と梅ちゃんは街中でも出会うようになる。一度だけ会話した程度だった梅ちゃんのことを京が当たり前のように覚えていたことや、京が手伝っているラーメン屋で愚痴を漏らしている梅ちゃんに「ストレスにはシンプルに肉っすよ」と言ってチャーシューをサービスしてくれる優しさに、梅ちゃんは徐々に惹かれるようになっていく。京と梅ちゃんはラーメン屋に来ていた藤咲兄を含めた3人で飲みに行く中になる。さらに、京の弟と藤咲妹の夏生(なつき)が同い年ということもあり、5人で行動する機会が増えることとなる。また京はこの後ファミレスでバイトしていた海成(かいせい)と出会うが、海成がファミレスをクビになりお金に困っていることを知るとラーメン屋で働くことを勧める。

台風の中、まさかのお泊り

ある日大雨の中、雨宿りをしている梅ちゃんを帰宅中の京がみかける。「まだ当分止みそうにないから」と、近くの叔父さんのラーメン屋に梅ちゃんを連れていく京。雨が止んだらすぐに帰るつもりだった梅ちゃんだが、台風が近づいていて雨は強くなる一方。仕方がないので一泊させてもらうこととなり、叔父さんに一言挨拶をしようとしたが、叔父さんは外に出かけており台風で交通機関が止まっているため外泊してくると連絡が入った。急きょ、梅ちゃんは京と2人で一夜を過ごすことになった。気になっている京と2人でいることに緊張して梅ちゃんはいつもより多くお酒を飲んでしまう。結果、梅ちゃんは夜の記憶がない程ぐっすり朝まで寝ることに。せっかくのチャンスに2人の距離が縮まればと淡い期待を抱いていた梅ちゃんは、何もなかったことに後悔しながら翌朝帰っていく。
しかし梅ちゃんは記憶にないため何もなかったと思っているが、実は京に「好き」とハッキリ伝えていた。だが「お酒の力を借りて気持ちを伝えているようじゃダメだよね、いつかちゃんと伝えるから待ってて」と言い、寝てしまう。梅ちゃんのことを思い、その夜のことは伝えずにいた京だが、それから梅ちゃんのことを異性として気にするようになる。
しかし京は、今まで友人として仲の良かった梅ちゃんに好意を持たれていると知った途端、意識してしまうのは失礼ではないかと悩んでいた。「待って」と言われたために自分の気持ちを伝えられず、自然体で接することができなくなってしまう。

突然の転勤に京の気持ちは

梅ちゃんの気持ちにどう対応すればいいか京が悩んでいたある日、梅ちゃんに転勤の話がやってくる。同系列の保育園の人手が不足しているためであり、勤務地は福岡で期間は2年間とのこと。梅ちゃんは親の介護で家を離れられない同僚を気遣い、転勤を快く了承する。またこのタイミングで京に気持ちを伝えれば、うまくいけば遠距離恋愛になるが付き合うことができるし、失敗しても自然と距離を置けるようになることをチャンスと感じて告白することを決意した。
出発前日、仕事終わりに京と梅ちゃんは2人で帰り、告白のチャンスがくる。雑談をしながら会話の流れでいざ告白と思った時、ふとある考えがよぎる。「桜井さんは仕事にひたむきな私を好いてくれているのではないか?だったら転勤前の大事な時期に告白をして仕事以外のことにうつつを抜かす私はダメじゃない?」。そんな思いから梅ちゃんは自分の気持ちを伝えることなく帰ることにした。京もまた梅ちゃんとの約束を理由に自分の気持ちを伝えられない自分に不甲斐なさを感じていた。
福岡転勤当日。梅ちゃんが同僚の宮ちゃん先生に見送られながら空港で搭乗手続きをしている一方、京は叔父さんのラーメン屋でいつものように手伝いをしていた。京のことが気になり様子を見に来ていた藤咲兄妹が、「このまま黙って梅ちゃんを福岡に行かせてしまっていいのか」と聞いても「今は仕事中だから」と歯切れ悪く答える京。そんな京を見て叔父さんは、「そんな腑抜けた態度で人様に食べてもらえるラーメンが作れるか!シャキッと決めてこい!」と一喝する。バイトの海成も「桜井さんに育ててもらって一人前になれたから仕事は任せてください」と京を応援する。みんなの後押しで気持ちが固まった京は空港へと走り出す。飛行機の出発時刻が迫る中、京の決意を聞きつけた学生時代の同級生が駆けつけ、京を空港まで送ってくれる。その道中で同級生は「今まで何度も助けてもらってさ、初めて恩返しできた気がするよ」と嬉しそうに語った。
京は無事に空港へ到着したが、飛行機の出発時刻は過ぎてしまっていた。間に合わなかったことを悔やみながら時刻表を見上げていると、後ろから京を呼ぶ声が聞こえてきた。振り返るとそこには驚いた表情の梅ちゃんが立っていた。飛行機が出ているのにも関わらず空港にいることに京は困惑する。梅ちゃんは迷子の子がいたのでセンターに付き添っていたら飛行機に乗り遅れてしまい、便変更の手続きをしていたとのことだった。驚きのあまり自分の気持ちを抑えられず、京は梅ちゃんに抱きつく。そして「好きです。俺の恋人になってもらえませんか」と想いを告白する。空港へ送り届けてくれた仲間や大勢の通行人が見守るなか、2人は晴れて両想いになることができたのだった。

『通りがかりにワンポイントアドバイスするタイプのヤンキー』の登場人物・キャラクター

桜井京(さくらい きょう)

金髪強面のヤンキー青年。見た目がいかつく目つきが鋭いために初対面の人には怯えられるが、見た目に反して老若男女問わず優しい気遣いの達人。よく街中で困っている人や悩んでいる人を見かけてはアドバイスを残して去っていく。その様子から「颯爽の擬人化」とよばれることもある。
弟の桜井涼と2人兄弟で、兄弟仲も良好。子供や動物が大好きで、街中で出会った園児のたっくんとなかよくなってからは、たっくんの母に頼まれて保育園をたびたび訪れ、たっくんの送り迎えや保育園のお手伝いをしている。最初はその見た目から保育士たちにも警戒されたが、すぐに打ち解けた。動物の中でも特に猫が大好きで、猫を前にするとふだんの無表情からは考えられないゆるい顔を見せる。藤咲夏生とはネコ友で、猫の話で盛り上がってなかよくなった。中学時代からの付き合いである橘大地には、人に優し過ぎる性格を心配され普段からキツイ言い方をされるが、それが彼の優しさゆえのものだと分かっているため京自身はまったく気にしていない。
実はスポーツ万能で腕っ節も非常に強く、家には多くのトロフィーがあり、ひったくり犯やヤンキーの喧嘩を一瞬で制してしまう。

梅ちゃん(うめちゃん)

保育園で働く女性保育士。ショートボブの髪形をしており、左の目元に泣きぼくろがある。園内では「梅ちゃん先生」のあだ名で、同僚からは「ミトちゃん」と呼ばれている。まじめな性格で、ヤンキーが大嫌いなため、京に対しても初めは悪い印象しか抱いていなかったが、彼の気遣いに触れるうちに考えを改め好意を抱く。のちに京が手伝いで保育園へ頻繁に訪れるようになり、同僚の女性と親しくしているところを見るとモヤモヤすることもある。偶然、「川ちゃんラーメン」で京が働いているのを知って以降、店の常連となる。同じく店の常連である藤咲(兄)ともなかよくなり、プライベートで京、藤咲(兄)の三人で連絡を取り合ったり遊んだりするようになる。京は梅ちゃんの父親や祖母とも面識があり好かれているため、家族を通じての交流もある。

桜井涼(さくらい りょう)

桜井京の高校生の弟。人当たりのいい温和な性格をしておりイケメンのため、学校ではいつもたくさんの女子に囲まれている。兄の京を尊敬しているがブラコン気味なところがあり、兄をバカにされるとふだんの温厚さからは考えられないほど激怒する。一方で兄の恐い見た目に惑わされず、親しく接してくれる人を見ると誰よりも喜ぶ。兄ゆずりの知識で涼自身も時々周囲にアドバイスをしている。

藤咲夏生(ふじさき なつき)

猫好きの女子高校生で、黒い髪をストレートに伸ばしている。最近、「吉法丸」と名づけた猫を飼い始めたが、なかなか懐いてくれないのを悩んでいたところ、偶然そのことを耳にしていて電車の中でぶつかった京にアドバイスを受け、猫となかよくなる。それからは京ともネコ友となり、よく行動を共にする。
京と藤咲(兄)がなかよくなってからは、家にも招いて鍋パーティーを行ったり、吉法丸といっしょに家で遊んだりしている。桜井京の弟である涼が自分がブラコンであることに引け目を感じていることを伝えた際に、「何で?兄妹仲が良くてまずいことあるっけ?」と返した。他人からどう見られるかを気にしない自分の感情に素直な性格。そしてそれ以降、涼から好意を寄せられている。大学への進学を希望しており、塾に通っているが帰りが夜遅くなるため、よく兄や京に迎えに来てもらっている。

藤咲・兄(ふじさき・あに)

Nico93908
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@Nico93908

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