まじめな会社員(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『まじめな会社員』とは、冬野梅子による漫画で、現代の東京に生きる30歳の女性が自身の生き方や仕事、恋愛について葛藤する物語。誰かの特別になりたいけどなれない、一生懸命やっていることがどうしても空回る、そういった「何者にもなれない私」をリアルかつ赤裸々に描く。コロナ禍で変わっていく生活や、現代に生きる女性の自意識など、現実を生きる人々に刺さる描写が人気を呼んだ。
2022年に文藝春秋の「第一回 CREA夜ふかしマンガ大賞」1位、「このマンガがすごい!2023 女編」3位を受賞。

主人公が出会う人々

小山綾(こやま あや)

綾と同じ会社で働いていた女性。本の話題がきっかけであみ子と親しくなった。オフィスの中でもぱっと目につくぐらい華があり、誰にでも愛される知性と優しさ、美しさを持っている。
今村と付き合っていたが、渡米をきっかけに別れた。コロナ禍で渡米ができなくなって東京に残り、双子の弟と組んでコスメブランドを立ち上げた。

今村直之(いまむら なおゆき)

綾と付き合っていた男性。あみ子が綾に勧められた読書会に参加しており、本の読み解き方があみ子と似ていたことであみ子の気を引いた。書店員をしながらWebメディアで本を紹介する連載を持っている。
綾の渡米をきっかけに別れを告げられ、その後メイと付き合い始める。しかし浮気癖があり、堪忍袋の緒が切れたメイに捨てられた。

楡メイ(にれ メイ)

今村があみ子に紹介した読書会に参加していた女性。綾と別れた今村が付き合い始めた。
モデルをしており、綾の手掛けたコスメブランドのメイクモデルも担っている。今村のことは好きだが浮気癖が我慢ならない。

主人公の家族

あみ子(左)に結婚するよう圧をかける母(右)。

あみ子の母。とにかく娘に結婚してほしいと思っており、あみ子が帰省すると親戚や近所の結婚や出産の話をしてプレッシャーをかける。
ガンが見つかって手術したが、大事には至らなかった。

あみ子(中央)を怒らせる父(左)。帰省のたびに似たようなやり取りが繰り広げられるため、あみ子の帰省期間は短い。

あみ子の父。「田舎には美味しいものがあり都会にはない」「家族で囲む食卓以上の幸せはない」「結婚しない女は惨め」など、田舎らしい古い価値観を持っている。
あみ子の母がガンになって突然家のことをひとりでしなければいけなくなり、大げさな話であみ子を帰省させた。

『まじめな会社員』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

あみ子にキスしようとする今村

綾のコスメブランドの記事を書いたあみ子は、綾の仕事関係の忘年会に誘われる。会場で勃発したメイと今村の別れ話に立ち会ってしまったあみ子が今村と話していると、とつぜん今村があみ子にキスをしようとする。あみ子が「え?」と声をあげたので、結局キスはされなかった。
一見あみ子の終わった恋が動き出そうとするロマンチックな場面に見えるが、今村はあみ子に特別な思いがあるわけではなく、ただ何となく「そういう雰囲気」だと思っただけだった。後日、あみ子のことを考えた今村は「別に嫌いじゃないけど付き合いたいわけではない、俺のことを好きでいてほしい、ぐらい」と評している。
ロマンスに見える場面でも当事者の気持ちが伴っているとは限らない、という『まじめな会社員』ならではのシビアなシーンだ。

『まじめな会社員』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

冬野梅子「私を置いていかない、ダメな主人公が描きたかった」

作者の冬野梅子は本作で、物語にありがちな「どんどん成長していく主人公」や「いい子な主人公」を描かないことを目指したという。努力は報われず、主人公は卑屈なまま。爽快感はなくても、読者の本心を置いて行かない等身大の人間を描ききった。

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@shuichi

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