錆喰いビスコ(ラノベ・漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『錆喰いビスコ』とは瘤久保慎司によるライトノベル、およびそれを原作とするアニメ、漫画である。原作は『このライトノベルがすごい!』初の快挙となる、総合と新作の1位にランキングされた。舞台は防衛兵器が暴走したことが原因ですべてを錆びつかせてしまう錆び風が吹き荒れる日本。その中で、赤星ビスコと猫柳ミロがタッグを組みお互いの信頼の深め、運命にあらがっていく様子を描いた物語である。

『錆喰いビスコ』の概要

『錆喰いビスコ』とは瘤久保慎司によるライトノベル、およびそれを原作とするアニメ、漫画である。第24回(2017年)電撃小説大賞の銀賞を受賞している。ライトノベルは2019年版『このライトノベルがすごい!』で、総合と新作で1位にランキングされた。アニメは2022年に、全12話で放送された。漫画『錆喰いビスコ』、『錆喰いビスコ2』はレーベル「ガンガンコミックスUP!」より発刊。『錆喰いビスコ』の作画は高橋佑輔が担当。『錆喰いビスコ2』は作画を夏星創、構成を萩織章仁が担当した。
原作のライトノベルは1~3巻までを物語の「第一部」としている。物語は、全てを錆びつかせる「錆び風」が吹き荒れる日本を舞台に、錆を浄化する霊薬キノコ「錆喰い」を求めて旅する赤星ビスコと医師・猫柳ミロが出会うことから始まる。師匠を救いたいビスコと、錆に蝕まれている姉を助けたいミロ。二人は愛する者を救うため、二人の前に立ちはだかる忌浜県知事・黒革と戦いながら、「錆喰い」を求めて旅を続ける。
ライトノベル2巻では、不死となったビスコの特殊体質を治すために島根を訪れるところから始まる。島根は、総本山の「錆塔」をはじめ、「火塔」、「土塔」、「金塔」、「水塔」、「木塔」の六つの塔からなる「真錆天言宗」が支配する、大宗教国家となっていた。そこで、瀕死の老人・ケルシンハを二人は助けるが、ケルシンハによってビスコは胃を奪われてしまい余命5日となってしまう。ケルシンははかつて出雲六塔を治めていた不死僧正であり、ビスコの胃を手に入れたことで力を取り戻し、出雲六塔への返り咲きを狙い塔へ向かっていた。ビスコの胃を取り戻すために二人は出雲六塔に向かうことになる。
ライトノベル3巻では、ミロが正式にキノコ守りになるために四国を訪れるが、そこで突然都市ビルが生えだし、キノコ守りたちが殺されて行ってしまう。襲撃してきたのは過去から来たというアポロという男性で、その狙いは日本が防衛兵器の暴走によって滅ぶ前の2028年に復元することであった。計画を阻止するためにビスコとミロは東京に向かうことになる。
2022年にアニメ化された際は、ライトノベルの1巻の内容がストーリーとして使用されている。
錆び風が吹き荒れる日本という独特な世界観に魅了されたり、ビスコとミロの熱い友情に感動したという評価を視聴者から受けている。
ビスコ役を「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」の石上優役の鈴木崚汰が、相棒のミロを「鬼滅の刃」の竈門炭治郎役の花江夏樹が、敵の黒革を「呪術回戦」の七海建人役の津田健次郎が演じている。

『錆喰いビスコ』のあらすじ・ストーリー

忌浜での出会い

日本は防衛兵器の暴走によって文明が崩壊し、すべてをサビさせてしまう「錆び風」が吹き荒れるようになっていた。その影響は人体にも及び、「錆び風」に蝕まれた者は、体が錆びてしまう「サビツキ」という症状に苦しめられていた。キノコを操ることに長けた「キノコ守り」という一族の少年、赤星ビスコは、師匠であるジャビと共に、一族に伝わる霊薬キノコ「錆喰い」を探す旅をしていた。サビツキを治すことができる「錆喰い」を使って、ジャビのサビツキを治そうとしていたのだ。キノコは錆を広げると考えられていたため、キノコ守りであるビスコは指名手配をされており、困難な旅路であった。旅の途中で忌浜という街に入ろうとした二人は、突然、忌浜知事・黒革に雇われた大茶釜チロルの襲撃を受ける。自分を庇って瀕死の重傷を負ったジャビを助けようと、ビスコは忌浜で医者を探す。
忌浜で医者を務める猫柳ミロは、キノコを使ったサビツキの症状を抑える薬で姉である猫柳パウーと街の人々の治療を行っていた。キノコの胞子は錆び風の原因と考えられていたため、キノコの入手は隠れて行っていた。ミロのもとに、ジャビの治療を依頼しようとビスコが訪れた。ミロは治療する過程でジャビからキノコが錆を浄化する唯一の手段であり、その中でも最も強力な錆喰いというキノコが秋田の子泣き幽谷にあることを知る。また、キノコ守りの一族は錆を浄化するためにキノコを生やすことで、逆にキノコによって錆を広めていると誤解され迫害されていることも知った。
ビスコはミロがジャビを治療する時間を稼ぐために忌浜の街中で暴れ始め、その騒ぎを聞きつけてやってきた黒革の親衛隊と戦う。さらに忌浜自警団長を務めるミロの姉・パウーもやってきてビスコと激しい戦いになる。
一方で、ジャビの話から姉を治すための唯一の手段が錆喰いであると確信したミロは、怪我で旅を続けることが難しいジャビに代わって「錆喰い」を調剤するため、ビスコに同行することになる。二人はタッグを組んで錆喰いを探す旅に出るのだった。

錆喰いを探す旅

錆喰いを探す旅に出たビスコとミロであったが、サビツキに侵されているジャビとパウーを助けるためには、できるだけ早く、そして自警団に見つからずに子泣き幽谷に向かう必要がある。危険な生物が多くいる足尾の骨炭脈を抜けるが必要があるために、危険生物への対抗策としてテツカザミのアクタガワと合流する。途中にある打ち捨てられた寺で休もうとしたところで、黒革のもとを離れて行商人となったチロルと再会する。ところが、チロルが捨てた燃料に刺激されて原因で寺の下に眠っていた巨大な炭喰いジャコが目覚める。炭喰いジャコの攻撃により骨炭脈の入り口は壊れて進路変更を余儀なくされる。
カルベロの海へと進路を変更するビスコとミロであったが、子供達だけが住むテツジンと呼ばれる巨大なロボットの残骸を利用した砦にたどり着く。襲いかかってきた子供たちにわざと捕まることで二人は食料にありつく。この街の大人たちは子供たちのサビツキの薬のために、黒革の親衛隊をしているという。ミロは子供たちの症状から、貝皮症という別の病気を発症していることに気付き、貝皮症の特効薬を調合して子供たちに渡した。ビスコはキノコ守りに恩があるという子供から、東北の地下鉄の路線図をもらう。そこに、空飛ぶ巨大なフグであるトビフグが季節外れの群れをなし、砦に襲い掛かってくる。ビスコはこれを撃退し、お礼にリーダーの子供から親の形見の銛をもらう。
手に入れた情報をもとに北を目指すビスコとミロは、雪に閉ざされた霜吹県で雪に埋もれて凍死寸前のチロルを助ける。そのお礼としてチロルは二人を地下鉄白樺線狐坂駅に案内する。ビスコとミロは列車に乗り込み、子泣き幽谷にたどり着く。そこには龍のような巨大な体躯を持つ双頭の神獣「筒蛇」がいた。ビスコを追ってきたパウーと協力し、錆喰いを宿す筒蛇を仕留めることに成功する。筒蛇に生えている錆喰いを見つけたものの、錆を浄化する能力が弱いことが判明。しかしミロの血が錆喰いに触れたことで、錆喰いの効果を発揮する方法を知ることができた。

奪われた錆喰い

錆喰いの使用法が分かり、サビツキを治せると期待に胸を膨らませるビスコたちの前に、飛行船に乗った黒革が現れた。黒革はビスコに銃弾を撃ち込み重傷を負わせると、筒蛇の死骸ごと錆喰いを奪っていった。ビスコとミロは何とか作ることができたジャビ用の錆喰いの薬を、バイクを使って自分たちよりも早く忌浜に戻ることができるパウーに託す。しかし、道中の霜吹の駐屯地でジャビを人質にされて、パウーも黒革に捕まってしまうのだった。それを知ったミロは、体が限界を迎えているビスコを薬で眠らせて、一人パウーを助けに向かう。黒革は周到な罠を張って待ち構えており、ミロは苦戦するがビスコとジャビが現れ、逃げ出すことに成功する。逃げる際、ミロはサビツキに侵されてしまう。ビスコもサビツキがかなり進行していたが、ミロを救うために彼を騙し、一つしかない錆喰いの薬を使用する。そして、ビスコは黒革と最後の決着をつけるために戦いに赴いた。
黒革に捕まっていたジャビは、彼からテツジンを利用して人工的に錆び風を作っていることを知らされる。テツジンはかつて東京に大穴を開けた巨大兵器で、その内部の炉で錆を無限に生成することができた。その話の最中にビスコが現れ黒革を追い詰める。さらに駆けつけたミロも加勢し、黒革をテツジンの炉によって生成された錆の海に沈めることに成功するが、またビスコも錆の海に沈んでいく。ビスコは錆で死ぬことを嫌い、ミロに自身を矢で止めを刺すように頼む。ミロはビスコの想いを受け止め、錆の海に沈むビスコを撃つ。

テツジンとの戦い

黒革の作り出した錆び風をばらまく施設は崩壊しすべて解決したかと思われた。しかし、崩壊した施設の中からテツジンが突然動き出す。このままでは日本は再び錆に覆われてしまう。テツジンを阻止しようと、錆喰いの薬を唯一打っているミロが中心となりテツジンへの追跡を開始するが足を止めすることができない。忌浜の直前まで進んだテツジンの体をミロはナイフを使って切り刻むが、吹き飛ばされてピンチを迎える。そのとき、ミロが傷つけた場所から死んだと思われたビスコが現れ窮地を救う。ビスコは筒蛇との戦いで浴びた毒が体内の血と混ざり合い、錆喰いと人間の混血となっていたのだ。錆喰いの力を持つビスコは、テツジンに有効打を与えることができた。それに対してテツジンは自爆をしようと試みるが、パウーがテツジン内の黒革への道を切り開き、ビスコが止めを刺すことで、黒革とテツジンを倒すことに成功する。皆の力が一つとなり、ビスコたちは忌浜を救ったのだ。そして、ビスコとミロは不死身となったビスコの体を治すために再び旅に出るのであった。

『錆喰いビスコ』の登場人物・キャラクター

赤星 ビスコ(あかぼし ビスコ)

CV:鈴木崚汰
キノコ守りの一族の少年。師匠であるジャビのサビツキを治すために霊薬キノコ「錆喰い」を探す旅をしている。「人喰い茸」の異名を持つ指名手配犯。名前の由来は実際にあるお菓子の「ビスコ」。

猫柳 ミロ(ねこやなぎ ミロ)

CV:花江夏樹
女性と間違えられるほどの美貌を持つ少年。忌浜で病院を営んでいる。左目の周囲の皮膚が黒く染まっているため「パンダ先生」の愛称で親しまれている。サビツキに侵されている姉のパウーを救うために、黒革の援助のもと薬の開発を行っている。名前の由来は実際にある飲料の「ミロ」。

猫柳 パウー(ねこやなぎ パウー)

CV:近藤玲奈
ミロの姉であり、忌浜自警団の団長でもある。サビツキに侵されているが、それでも高い身体能力を持っている。棍を使って戦う。

ジャビ

CV:斎藤志郎
キノコ守りの一族の老人で、ビスコの師匠。サビツキに侵されている。老人ながら高い生命力を持ち、様々なキノコに関する知識も持ち合わせている。

waffle1006
waffle1006
@waffle1006

目次 - Contents