ミニチュア作家(ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ミニチュア作家』とはイギリスの作家兼俳優であるジェシー・バートンによって2014年発表された小説を原作としたBBC制作のドラマである。没落した名家の長女ネラは借金返済の肩代わりをする代わりに商人ヨハネスに嫁ぐ。夫から豪華なドールハウスを贈られたネラは、そこに飾る小物を町のミニチュア作家に注文すると、次第に頼んでもいない小物や人形が謎のメモと一緒に届き始める。17世紀のオランダを舞台に展開される重厚なストーリーに加え、美しい衣装や小道具、精密に再現されたミニチュア作品達も作品の見どころである。

緑色のインコ。ネラが実家から持参したペットで心の拠り所。ネラが室内放鳥していた際、開いていた窓から誤って飛び立ってしまう。偶然ミニチュア作家に保護され、ネラの元に帰ってくる。

レゼキ

ヨハネスの愛犬。ジャックの手によって刺殺される。

『ミニチュア作家』の用語

『スミットのリスト』

街の職人や店が全て載っているリスト。ネラはマーリンからドールハウスを飾るためにリストを手渡された。マーリンが秘密裏に出産した際、乳母を探すためコルネリアがこのリストを再び活用する。

溺死刑

同性愛者であることが公になると、首に石の重りをつけ体ごと海へ投げられる溺死刑を執行される。兄のヨハネスが男色家であることをマーリンがひた隠すのは、兄が処されることを恐れてのことである。

市長団

プロテスタントの考えをもとに結成された集団。フランス・メールマンスも所属しており、ミニチュア作家の行方を捜索させるなど一定の影響力をもつ。偶像崇拝にあたるからという理由で人型のジンジャーブレッドを販売する菓子店を粛清するなど過激な面もある。

『ミニチュア作家』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ネラとヨハネスの信頼関係

お互いを信頼し合うネラとヨハネス

マーリンとの口論の中で「魂の声に逆らいウソの結婚をした」と声を荒げたヨハネスの言葉をネラは気にしていた。その後、ヨハネスと2人きりになれたネラはヨハネスに「(結婚は)ウソじゃない。他と違うだけ」と言う。男色家であるヨハネスと女性であるネラは肉体的には結ばれないが、隠しごとをせず相談できる厚い信頼関係ができていたのだった。

ミニチュア作家「物事は変わるの」

最後の助言をするミニチュア作家

ヨハネスが溺死刑の危機に瀕していることから、藁にもすがる思いでネラはミニチュア作家の元を尋ねる。様々なことをミニチュアを通して予言してきたミニチュア作家にネラはヨハネスを助けてほしいと懇願する。しかし、ミニチュア作家は自分に人を救う力も何かを予言する力もないとネラを拒絶する。それでもネラはミニチュアにいつも添えられていた手紙に書かれた助言に救われていたことから、今回も何か助言してくれないかと頼む。ミニチュア作家は自分の経験から、答えはネラ自身にあり、その結果、「物事は変わるの」と助言するのだった。現状に絶望していたネラがその言葉を頼りに自ら一歩を踏み出す名場面である。

ネラ「私ならやれる」

決意を新たにするネラ

ヨハネスは溺死刑により、マーリンは出産により死亡した。唯一ブラント家の人間として生き残ったネラに街を去るミニチュア作家から最後の餞別にと贈られたのは、マーリンとオットーの子・テアの人形だった。ネラは、屋敷に残った自分自身、オットー、コルネリア、そしてテアの人形をかつてのヨハネスの書斎に飾り、椅子に腰掛ける。問題は山積しているが「私ならやれる」と決意を新たにする。悲しみの中でも前を向くネラの姿が印象的なシーンだ。

『ミニチュア作家』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

実在するドールハウス

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