【都市伝説】山にまつわる不思議な話まとめ!眠れなくなるほど怖い噂も掲載!
山にまつわる都市伝説を集めました。少年が不思議な出来事を体験した「山に入ってはいけない日」や、夜の山での恐怖を綴った「なにか」など、怖くて不思議な話の数々を紹介していきます。
いきなり目の前の林が切れて、舗装道路に出た。
新しく付けられた道まで駆け下りてきたのだ。
運良く、丁度通り掛かった軽トラックがあった。
天の助けに思えた。
身体を張って何とか車を止め、乗せてもらうことに成功する。
彼を乗せた車がスピードを上げるにつれ、後ろの気配は鎮まっていった。
やっと安堵の溜息がつけた彼に、様子を窺っていた運転席の老人が話し掛ける。
「お前さん、一体どうなすった?
まるで鬼にでも追いかけられたような顔をしてるよ」
説明しようとして、一瞬言葉に詰まる。
こんなことを話して、果たして信用してくれるだろうか?
少し迷ってから、結局洗いざらい話すことにした。
老人は不思議そうな顔をしたが、それでもこう教えてくれた。
「それが本当ならば、しばらくこの山に登らん方がええ。
奥に何がおるのかわからんが、そのモノとお前さんには今、縁が出来とる。
言葉を交わしちまったことで繋げられたんだろう。
目を付けられている時は、危ない行動は控えるモンだ」
そう言ってから、親切なことに最寄りの駅まで送ってくれたという。
それ以来、彼は老人の忠告を守り、その山を避けているそうだ。
・滝から落ちる修験者
20年ほど前の話なんだ。
あの頃俺は、アウトドアが大好きだった。バブルの余韻で激増したにわか好きじゃない、本物志向だ。
今思えば恥ずかしい思考だが、俺はいささか意地になってホンモノのアウトドアの達人を目指していた。
さて、ホンモノとなるため、俺が考えたのは、本にない情報の収集だった。誰も知らない絶景が見られる穴場や、誰も行かない山奥で桜の咲き誇る秘密のお花見スポット。
宿も何もない森の奥に湧き出ている温泉等々、そういう場所を知っている事に一人優越感を感じ、満足していた。そういう場所を知るために、休みになると一人自然に分け入っていた。
ある時俺は、山深い場所で県道から林道への入り口を探していた。林道は一向に見当たらず、やがて谷合に小さな川が見えた。
地図上に川はない、地図上の地形を読んでも川は近くにないはずだ。つまり迷った。まあ、よくあることだ。
林道探しに戻っても良かったが、小川に何となく興味が湧いた。トレッキング用の靴に履き替え、下り口らしき所から川原に降りてみた。
割と水量はある、澄んだ水だ。チラと魚の影がよぎる。上流に淵らしき広がりが見えたので行ってみると、いるいる!すごい数の魚影だ。
またスゴイ場所を発見した感慨に浸っていると、さらに上流から重々しい音が響いてくる事に気付いた。やった滝だ。
これはまたまためっけもんかも?興奮しながら沢登りを開始。10分程で割合大きな滝が見えてきた。落差10m程、水量も見事、滝つぼ周りは広い河原になっていて、キャンプに最高!
恐らくここは〇〇山の南西か、などと考えながら、ふと滝を見上げると人がいた。滝の上から人が身を乗り出して下を見てる。
修験者(しゅげんじゃ)の様な白い服に長い髪、年齢や性別はよく分からなかった。突然、その人が滝から落ちた。
俺は驚いて滝に駆け寄ろうとしたが、その時誰かにガッシリと右肩をつかまれた。驚いて右を見ると、大きな体格の爺さんが俺の肩をつかんでいた。
「動くな」爺さんはそれだけを言った。その目は滝の上をじっと見つめていた。俺もその視線を追って再び滝の上を見上げると、何とまた修験者がいた。
しばらく下を見て、また滝つぼに飛び降りた。恐ろしくなり、爺さんにこれは何だと聞こうとしたが、爺さんは消えていた。
周囲を見回したが、誰もいなかった。俺は恐ろしくて震えた。まだ日は高かったが、それでも恐ろしかった。
俺はきびすを返して川を下った。背後はまったく振り返らなかった。そして、アウトドアの趣味も捨てた。あれから20年になる。
・近付いてくる
よくある話だが。
もう十数年前、山を歩くのが好きだったので仲間と近くの山をよく歩いた。
そんなある時、偶然にも、木にぶら下がった人生の果てる姿を見つけた。
蛆がこぼれ、見た事もないような大きな昆虫が体内から湧き出ていた。
数人の仲間を残して近くの交番まで届けに行った。
往復で30分ほどその場を離れただけだった。
時刻は夕方に近付いてはいたけど、まだ暗いとまではいかない 。
夕暮れ程度だった。警察官と一緒に現場に戻ると、仲間の女の子が泣き 、
男子までもが震えていた。俺は何度か見ていたので怖いとは思わなかったが
彼等には恐怖だったのかもと思ったが、俺が出発の時には
「大丈夫!少し離れてるからw」と笑っていたのに。
発見当時の事を数人の警察官に分かれて聞かれた我々は
暗くなる前にと警察官の誘導で麓の駅まで送ってもらった。
明るい駅に着いてやれやれと思っていると、一緒に警官を呼びに行った仲間が 、
「あいつらおかしくない?」と聞いてくる。ふと見ると、残した男女三人がまだ
何かに怯えるように小刻みに震えている。
その様子から、今はまだ 何も聞ける状態じゃないと感じて、そのまま家まで帰ることになった。
後日、その日の事を仲間の男子に聞く事ができた。
あの日、俺達が警官を呼びに行った後、本当に少し離れた場所で 、
彼等はその木を遠巻きに見ていたらしい。女の子を挟むように座って
遺骸に背を向けて座っていると、どこからか足音が聞こえたのだという。
カサ、カサ、カサ、カサ。こちらに向かって歩いてくる。
それがどこから歩いてくるのか全員がすぐに解った。
一人の男子が意を決して振り返ると、現場はそのままだった。
でも、何か変だった。気のせいだろうと安心して座っていると
カサ、カサ、カサ、カサ。また足音がするのだという。
また振り返ると、また何事とも無い。でも何かおかしい。
何がおかしいのかよく解らなかったのだが、はっきりとは見ないようにしていた 。
その木の方に恐る恐る目をやると、その理由が解った。
近付いている。さっきの違和感はこれだった。最初に座った位置より
かなり近付いている。確実にその木の方向に向かって。
それを黙っていようと思い、他の仲間に声をかけようとした時
「近付いてるよね?」女の子が気づいたようだ。「気のせいだよ。」
そうは言ったものの、やはり近付いているのは確かだと思えたので
「やっぱり立って待ってよう。」と言って立ち上がると、女の子が卒倒して倒れた。
確かに少し離れた位置に居たはずなのに、立ち上がった場所のすぐ後ろの木に、それがぶら下がっていたのだ。気を失いそうになるのをこらえて女の子を抱き 、その場から少し離れて女の子を起こしたところに俺達が戻ったのだという。
女の子はその後しばらくは入院するほど衰弱し、どうにか回復して学校に戻った。
長い間、寂しい山の中でたった一人で居たのだ。人が自分を見てるのが解り、
無視するように背を向けているのだから、自分から近付くか、呼び寄せるのか。
ただ恐怖心からそういう幻覚に襲われたのか。それは定かではないが、
そういう事もたまに起こるのが山という場所なのかも知れない。
・震える遺体
出典: www.llbean.co.jp
少し昔の話になるが…。某山の事故を見て、祖母が教えてくれた話があるので書かせてもらいたい。
俺の祖母の妹は、50代のときに山で遭難して亡くなった。
一緒に登った息子も助からなかった。当時、幼児だった俺は、25歳ぐらいだった息子(俺にとっては伯父)にはよく遊んでもらったんで、わけがわからないながらも悲しかった。
その2人の通夜のときに奇妙なことが起きたんだと。
お寺さんの読経の間、祖母の妹の棺桶がガタガタと揺れたらしい。
奇妙に思って親族一同でのぞくと、死んでるはずの妹が寒そうに震えていた。
唇なんか、死化粧してたはずなのに真っ青だったってことだ。
伯父たちは大雨に見舞われての寒さで死んだということだったから、まだその記憶が残ってるんだね、と、親族は体をさすったりしてやって慰めたらしいが、そこで祖母の妹の旦那が号泣をした。
旦那は、伯父たちが山に向かう準備で、リュックにセーターを詰めているのを見たときに、「いくら山だからって、夏にそんなもの要るか。荷物になるから置いてけ」って、半ば強引に置いていかせた。
そのセーターがあれば、あるいは、祖母の妹と伯父は助かったかもしれなかった…。
親族は棺桶の中にセーターを入れてやったんだってさ。そういえば、おぼろげに記憶にあるんだ。荼毘に付すときのこと。
今から焼かれるっていうのに、みんなは何で、伯父さんにセーターなんか着せてあげてるのかなって思ったこと。
・カワミサキ
知り合いの話。
盆で田舎に帰った折、家族で川遊びに出かけたのだという。
河原にシートを拡げており、年長者はそこで食事を摂ったり休んだりしていた。
小さな従姉妹の面倒を見るのは彼の役目だったらしい。
水に浸かって遊び相手になっていると、突然、身体から力が抜けた。
全身がひどく疲れた感じになり、立っているのも辛いほどだ。
動けなくなる前に、従姉妹の手を引いて、一緒に川から上がることにした。
シートまで辿り着くと、大きな息を吐いて倒れ込んだ。
家族が口々に「どうした、顔色が悪いぞ」と話し掛けてくる。
答えるのも億劫になっていると、従姉妹がこちらを見つめながら、妙なことを言い出した。
「お兄ちゃん、なんでそんなお婆ちゃんを背負っているの?」
何でも彼の背中に、見覚えのない皺だらけの老婆がしがみついているのだと言う。
ギョッとして背後を確認したが、誰も背中には乗っていない。
その時、祖父が彼に向かって、思い切り塩を振りまいた。
途端に身体が軽くなり、あれだけあった疲労感が嘘のように消え去る。
同時に従姉妹が目を丸くして大声を上げた。
「お婆ちゃん、消えちゃった!?」
驚いて言葉も出ない彼に向かい、祖父はこう述べた。
「カワミサキに憑かれたんだろうよ。
人に取り憑いて衰弱死させるっていう、いわゆる死霊みたいなものだ。
お前ら、今日はもう水に入るんじゃないぞ」
仕方なく、遊びの続きは河原ですることにした。
その後は帰宅するまで、誰もあの奇妙な疲労に襲われることはなく、
無事に過ごせたのだそうだ。
・サカブ
秋田のマタギたちの間に伝わる話に「サカブ」というのがある。
サカブとは要するに“叫ぶ”の方言であるが、マタギたちがいう「サカブ」とは
山の神の呼び声を指すという
山の神は時たま、その神力を持ってマタギたちに「サカブ」ことがあるという 。
秋田県は北秋田市に住む山田岩蔵という老マタギの表現によると、山の神の声は
「細く堅い声で、遠い遠い処で響く鉦の音に」似るという。岩蔵マタギは人生で二回、
この山の神の声を聞いたそうで、頭を強打して気が遠くなった時のような、耳鳴りのような、
どちらかといえば振動、あるいはテレパシーのようなものであったそうである 。
山の神の「サカブ」はだいたい吉祥であり、しかも集団で狩りをしていても全員には聞こえず、
その狩猟組の頭領(スカリ)か、もしくは一、二を争って腕の立つ者にしか聞こえない 。
東方より聞こえる「サカブ」が最も良く、その方向に進むと必ず獲物を授かったという 。
あるとき、大平山奥地のイグス森という場所で、あるマタギがこの「サカブ」を聞いたという 。
それから「サカブ」の示した方角に二里余り進むと、果たしてそこには今までに見たことがないような巨熊が居り、 捕らえてみると七尺五寸を超える、ツキノワグマとしては規格外の大物であったという 。
また不思議なことに、この「サカブ」はマタギだけでなく、留守を待つ村の者たちにも時折聞こえる 。
そんなときは必ず猟の成果があった時であるので、そんなときはいち早くマタギ衆を迎える準備をするという 。
山峡の人々に聞こえる不思議な神の声の話
・蛍火
友人の話。
夜、畦道を自転車でのんびり走っていると、蛍が宙を漂いながら近よってきた。
淡く点滅しながら、ふわりと前籠に止まる。
その途端に、ペダルがずしりと重くなった。
まるで誰かがもう一人、車体に腰掛けたみたいに。
思わずハンドルを取られてふらついていると、蛍は籠から飛び立ち、再び宙を舞い始めた。
蛍が離れるや否や、自転車は元通り軽くなったという。
小さな光点が山奥に消えるまで、しばし呆然としていたそうだ。