「名探偵コナン ベイカー街の亡霊」について徹底解説!賛否両論を呼んだ異色作!

『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』は大きな話題となり評価を得た一方で、賛否両論を呼んだコナン史上最大の異色作でもあります。この記事では、この作品のテーマ性と世界観について解説していきます。なお、ネタバレ満載な上に文字ばかりなので、すでにご覧になった方、長文を読むのが好きな方にオススメです。

『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』(2002年)
監督:こだま兼嗣、脚本:野沢尚
興行収入34億円で当時のコナン映画で1番の成績。2014年5月現在もシリーズ4位。
脚本に江戸川乱歩賞を受賞した気鋭の脚本家野沢氏を抜擢し、話題を呼んだ。それまでのコナン映画の常識を覆す内容で、現在もなお異色作として捉えられている。

◎テーマ性

◆《日本という国のリセット》 - 日本の世襲制と教育システム

子供の個性を摘み取ってしまう硬直した日本の教育現場は、ヒロキ君をパソコンオタクの変わった子供としか見なかったそうです。教育現場だけではなく、日本という国は個性を認めようとしない。

中盤、優作さんのセリフです。

出典: video.excite.co.jp

ヒロキ君は、天才少年と称されていましたが、個性を摘み取るような日本の教育システムに失望し、教育熱心な母親に連れられアメリカへ移ります。ヒロキ君はこういった堕落した日本をリセットするため、自身の開発した人工頭脳ノアズ・アークに希望を託し、自殺してしまいます。

まるで、悪しき日本の世襲制が凝縮された光景ね。こうした世襲制と共に、日本の過ちの歴史が繰り返されるわけよ。

序盤、哀ちゃんのセリフです。

出典: www.nicovideo.jp

ヒロキ君はふつうの子供のように友達と公園で遊んだりもしたかったそうですが、プログラム開発へ利用され続けました。そうした怒りの矛先は、システムを変えようとしない(同じことを繰り返す)社会=世襲制へと向いてゆきます。

つまり、ヒロキ君は日本の教育システムを憂い、それを変えるべく世襲制へと標的を定めたのです。日本と言う社会の有り様がよくわかりますね。そしてノアズ・アークは二世・三世の多く集うこのゲームの発表会で、子供たちを脅すという手段を取るに至ったのです。

ちなみに、この世襲制批判は中国メディアの反日報道の材料として利用されています。
彼らはそれが大きなブーメランだということに気づいていないのでしょうか。

◆ヒロキ君の本心

出典: www.yourepeat.com

上記のテーマだけではただ単に日本社会を批判する映画として、これほどまで評価を得なかったでしょう。上記のようなシステムを打開する手段が提示されているのです。ヴァーチャルゲームの世界にコナンたちが入り込んだ際、ヒロキ君も諸星君のデータを借りてゲーム内に潜入します。その本心についてコナンが以下のように説明しています。

日本のリセットとは、二世・三世を抹殺することじゃない。親の力を頼りにすることなく壁を乗り越え、ゲームを通じて成長する俺たちを、君は期待していたんだろ?

出典: nicoviewer.net

つまりヒロキ君は、ただ日本という国をチャラにしたかったわけではなく、自分の作り上げた(書き換えた)ゲームを通じて個性・自主性・協調性を養い、成長することを期待していたのです。

ちなみに、終盤、ワイン樽を割って衝撃を和らげるという「正解」にたどり着いたコナンを見て、ヒロキ君が微笑んでいるシーンがあるのです。DVDをよく見返してみてください。この映画が細部まで非常にこだわって作られていることに、私は鳥肌を覚えました。

◆親子の関係 - キーワード:《血》

出典: navac.blogspot.com

この作品では《血》というワードに多く言及しています。これは先述の世襲制に関連したものでもありますし、シンドラー社長が犯行に及んだきっかけでもあります。ヴァーチャルゲーム内ではジャックも親への復讐が動機とされており、教育熱心な母親とアメリカに移住したヒロキ君にとっては、母親という存在が余計な存在、自分の存在を捻じ曲げるもの、と考えていたことが伺えます。

しかし、現実世界とゲーム世界との間で意思疎通を取るコナンと優作親子の姿を見て、ラストシーンでヒロキ君は「うらやましかった」と発言します。大きな改心ですね。ここで現実世界の《血筋》にも期待が持てると考え、人工頭脳が悪用されることを恐れ、自分自身をシャットアウトする決意をします。こうして心身ともにヒロキ君は《亡霊》となったのです。

まとめ - 日本の教育システム・世襲制への批判を含みつつ、ヒロキ君の本心とその改心が物語の筋として設定されている。

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