【The 100 Best Books of All Time】本好きのための「世界最高の小説」BEST100!
2002年、ノルウェー・ブック・クラブによって企画された「The 100 Best Books of All Time」が公開。世界54カ国の著名作家100人の投票で選ばれたもので、世界中の本好きの間で話題となった。
順位は1位のドン・キホーテ以外非公開となっている。ネタバレ無しのあらすじ付きで、年代の新しい作品から順に紹介する。
フローベール 『感情教育』 1869年
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19世紀も半ば、2月革命に沸く動乱のパリを舞台に多感な青年フレデリックの精神史を描く。小説に描かれた最も美しい女性像の一人といわれるアルヌー夫人への主人公の思慕を縦糸に、官能的な恋、打算的な恋、様々な人間像や事件が交錯してゆく。ここには、歴史の流れと人間の精神の流れが、見事に融合させられている。
フローベール(1821‐80)の円熟した手腕の冴えが見事に発揮されたこの長篇は、写実主義が生んだ最も完璧な作品と称えられている。
ドストエフスキー 『罪と罰』 1866年
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鋭敏な頭脳をもつ貧しい大学生ラスコーリニコフは、歩いて七百三十歩のアパートに住む金貸しの老女を、なぜ殺さねばならないのか。ひとつの命とひきかえに、何千もの命を救えるから――
日本をはじめ、世界の文学に決定的な影響を与えた犯罪小説の雄。
トルストイ 『戦争と平和』 1865~69年
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19世紀初頭、ナポレオンのロシア侵入という歴史的大事件に際して発揮されたロシア人の民族性を、貴族社会と民衆のありさまを余すところなく描きつくすことを通して謳いあげた世界文学の最高峰をなす名作。
ディケンズ 『大いなる遺産』 1861年
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テムズ河口の寒村で暮す少年ピップは、ある日大きな屋敷に連れて行かれる。女主人の婚礼で時が止まったままのその家では、昔日の花嫁と美少女エステラが奇妙な隠遁生活を送っていた。やがて莫大な財産を約束されたピップはロンドンに旅立つ…。
巨匠ディケンズの自伝的要素もふまえた最高傑作。
フローベール 『ボヴァリー夫人』 1857年
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冴えない田舎医師ボヴァリーと結婚した美しき女性エンマは、小説のような恋に憧れ、平凡な暮らしから逃れるために不倫を重ねる。甘美な欲望の充足と幻滅、木曜日ごとの出会い。本気の遊びはやがて莫大な借金となってエンマを苦しめていく。
世界文学に燦然と輝く不滅の名作。
ホイットマン 『草の葉』 1855年
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伝統的な詩の形式を無視した自由詩で、あるがままの人間の生命を賛美したホイットマン(1819-92)の詩は、アメリカをしてアメリカたらしめている根源的作品といわれる.その集大成である『草の葉』(1855-92)は、アメリカ文学を代表する傑作となった。
メルヴィル 『白鯨』 1851年
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灯油の原料を求めて大海に出た捕鯨船の船長エイハブの壮絶な白鯨との死闘。それを物語る唯一の生き残りの乗員イシュメールの魅力的な語り口。苛酷な宿命の下での自然と神、卑俗と聖性、博愛と弱肉強食等の混沌とした人間的葛藤の奥に、男だけの世界の濃密な関係が息づく。
メルヴィルの最高傑作。
エミリー・ブロンテ 『嵐が丘』 1847年
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寒風吹きすさぶヨークシャーにそびえる〈嵐が丘〉の屋敷。その主人に拾われたヒースクリフは、屋敷の娘キャサリンに焦がれながら、若主人の虐待を耐え忍んできた。そんな彼にもたらされたキャサリンの結婚話。絶望に打ちひしがれて屋敷を去ったヒースクリフは、やがて莫大な富を得、復讐に燃えて戻ってきた……。
一世紀半にわたって世界の女性を虜にした恋愛小説の“新世紀決定版”。
ゴーゴリ 『死せる魂』 1842年
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アレクサンドル2世の時に農奴解放令が出されたが、その前まで地主は次の国勢調査まで死亡した農奴の人頭税も支払わなければならなかった。彼らは何とかしてその税を逃れる方法を探していた。そこに注目したチチコフは、死亡した農奴の名義を買い集めて書類を捏造し、中央政府から金を騙し取ろうと計画を練る。それを実現するためにチチコフは、広大なロシア全土を旅して歩き、至る所で一癖二癖持っている人々と出会う。
アンデルセン 『童話集』 1835~37年
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アンデルセン,ハンス・クリスチャン(1805‐75)。デンマークの作家。貧しい靴屋の子だったが、俳優を目指し14歳でコペンハーゲンへ出、端役として王立劇場にも出た。その後、戯曲や詩を手がけたが、文名を挙げたのはイタリア旅行(1833‐34)の後に書かれた小説『即興詩人』(1835)であった。しかしかれの名を永遠にしたのは、当時の新しい文学ジャンルに生長した童話作品である。『人魚姫』(1837)『皇帝の新しい服』(はだかの王さま、1838)『みにくいアヒルの子』(1843)『雪の女王』(1844)『マッチ売りの少女』(1845)など、156篇の童話を30歳ごろから約40年間にわたって書きあげた。
バルザック 『ゴリオ爺さん』 1835年
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奢侈と虚栄、情欲とエゴイズムが錯綜するパリ社交界に暮す愛娘二人に全財産を注ぎ込んで、貧乏下宿の屋根裏部屋で窮死するゴリオ爺さん。その孤独な死を看取ったラスティニャックは、出世欲に駆られて、社交界に足を踏み入れたばかりの青年だった。
破滅に向う激情を克明に追った本書は、作家の野心とエネルギーが頂点に達した時期に成り、小説群“人間喜劇”の要となる作品である。
ゲーテ 『ファウスト』 1832年
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学問と知識に絶望したファウストは、悪魔メフィストフェレスと契約して魂を売りわたすかわりに、地上の快楽を手に入れ、人間の生のあらゆる可能性を体験しようとする。
悪魔との契約で、魂と引き換えに超能力を得て若返ったファウストは、少女に恋し、破滅させる。愛と苦悩、救済のドラマが織りなす<21世紀の予言の書>。
スタンダール 『赤と黒』 1830年
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ナポレオン没落後、武勲による立身の望みを失った貧しい青年ジュリアン・ソレルが、僧侶階級に身を投じ、その才智と美貌とで貴族階級に食い入って、野望のためにいかに戦いそして恋したか。率直で力強い性格をもったジュリアンという青年像を創出し、恋愛心理の複雑な葛藤を描ききったフランス心理小説の最高峰。
レオパルディ 『レオパルディ カンティ』 1818年
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ニーチェからカルヴィーノまで、また漱石から三島まで、多くの魂を共振させた近代イタリア最大の詩人レオパルディ。西洋文学の深い流れを汲んだ「思索する詩人」が、ペシミズムの極限に見出した世界とは。その詩と散文の代表作を、彫琢された日本語で見事に再現。
ジェイン・オースティン 『高慢と偏見』 1813年
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十八世紀末イギリスの田舎町。ベネット家の五人の子は女ばかりで、母親は娘に良縁を探すべく奮闘中。舞踏会で、長女ジェインは青年ビングリーと惹かれ合い、次女エリザベスも資産家ダーシーと出逢う。彼を高慢だとみなしたエリザベスだが、それは偏見に過ぎぬのか?
世界文学屈指の名ラブストーリー。
エドガー・アラン・ポー 『短編集1』 19世紀
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詩人であり、批評家であり、推理小説の祖であり、SF、ホラー、ゴシック等々と広いジャンルに不滅の作品の数々を残したポー。だがその人生といえば、愛妻を病で失い、酒と麻薬に浸り、文学的評価も受けられず、極貧のまま、40歳で路上で生を終えた―。孤高の作家の昏い魂を写したかのようなゴシック色の強い作品を中心に、代表作中の代表作6編を新訳で収録。
エドガー・アラン・ポー 『短編集2』 19世紀
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史上初の推理小説「モルグ街の殺人」。パリで起きた残虐な母娘殺人事件を、人並みはずれた分析力で見事に解決したオーギュスト・デュパン。彼こそが後の数々の“名探偵”たちの祖である。他に、初の暗号解読小説「黄金虫」、人混みを求めて彷徨う老人を描いたアンチ・ミステリ「群衆の人」を新訳で収録。後世に多大な影響を与えた天才作家によるミステリの原点、全6編。
ドゥニ・ディドロ 『運命論者ジャックとその主人』 1796年
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人間は誰しも、次の瞬間にはどちらに転ぶとも知れない曖昧で危機的な生を生きていくしかない。この酷薄きわまりない世界認識を、一片の悲哀を混じえることなく、ひたすら快活な笑いをもって描ききったところに、この傑作の真骨頂がある。破天荒なストーリー展開・脱線につぐ脱線のメタフィクション。クンデラやブレッソンを魅了した18世紀の小説が新訳でよみがえる。
ロレンス・スターン 『トリストラム・シャンディ』 1760年
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一見、内容は荒唐無稽、奇抜そのものであり、例えば一貫したストーリーは欠如していて、牧師の死を悼む真っ黒に塗り潰されたページ、自分の思考を表す marble pages と呼ばれる墨流し絵のようなページ等、読者をからかうがごとき意匠に満ちている。
まともな小説であれば守るべき語り方のルールを片っ端から破り、ありがちな小説の形式を徹底的に破壊することによって小説というものが本来備えている形式を自覚させる、すなわち掟破りによって掟を自覚させるところが、「世界文学における最も典型的な小説だ」と評されたこともある。
スウィフト 『ガリバー旅行記』 1726年
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子供のころ誰しも一度はあの大人国・小人国の物語に胸を躍らせたにちがいない。だが、おとなの目で原作を読むとき、そこにはおのずと別の世界が現出する。他をえぐり自らをえぐるスウィフト(1667‐1745)の筆鋒はほとんど諷刺の枠をつき破り、ついには人間そのものに対する戦慄すべき呪詛へと行きつかずには止まない。
シェイクスピア 『オセロ』 1622年
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ヴェニスの勇猛な将軍オセローは、美しい妻デズデモーナをめとり、その愛のうちに理想のすべてを求めようとした。しかし、それも束の間、奸臣イアーゴーの策略にはまり、嫉妬に狂ったオセローは自らの手で妻を扼殺してしまう…。
シェイクスピア後期の傑作で、四大悲劇のひとつ。
シェイクスピア 『リア王』 1608年
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老王リアは退位にあたり、三人の娘に領土を分配する決意を固め、三人のうちでもっとも孝心のあついものに最大の恩恵を与えることにした。二人の姉は巧みな甘言で父王を喜ばせるが、末娘コーディーリアの真実率直な言葉にリアは激怒し、コーディーリアを勘当の身として二人の姉にすべての権力、財産を譲ってしまう。老王リアの悲劇はこのとき始まった。
四大悲劇のうちの一つ。
セルバンテス 『ドン・キホーテ』 前篇1605年、後篇1615年
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騎士道物語を読み過ぎて妄想にとらわれた初老の紳士が、古ぼけた甲冑に身を固め、やせ馬ロシナンテにまたがって旅に出る。決定的な時代錯誤と肉体的脆弱さで、行く先々で嘲笑の的となるが…。
主人公ドン・キホーテをはじめ登場する誰も彼もがとめどもなく饒舌な、おなじみセルバンテスの代表作。
シェイクスピア 『ハムレット』 1603年
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城に現われた父王の亡霊から、その死因が叔父の計略によるものであるという事実を告げられたデンマークの王子ハムレットは、固い復讐を誓う。道徳的で内向的な彼は、日夜狂気を装い懐疑の憂悶に悩みつつ、ついに復讐を遂げるが――
恋人の変貌に狂死する美しいオフィーリアとの悲恋を織りこみ、数々の名セリフを残したシェイクスピア悲劇の最高傑作である。