儚く散った下剋上の夢、『赤と黒』

19世紀フランス、野望を胸に山村を飛び出した美青年・ジュリアンの愛と破滅を描いた物語、『赤と黒』。予想だにしなかった出来ごとに人生を阻まれて悩むジュリアンの姿は、現在でも多大な共感を得ています。

あらすじ・ストーリー

山村出身で華やかな美貌を持つ青年、ジュリアン・ソレル。コンプレックスとハングリー精神の強い彼は、血のにじむ努力をこなしてブルジョワの家庭教師を務めることになる。やがてその家の主婦であるレナール夫人と遊び心から関係を持つが、いつしかその想いは真剣なものへと変化していってしまう…

いたたまれなくなりその地を去ったジュリアンは、新しい土地で貴族の秘書を務めることとなる。そしてその家の娘と大恋愛の果てに子供を授かり、彼女との結婚を決意する。

しかし幸福は長く続かず、ある日ついに義父によって過去の不倫関係とレナール夫人によるジュリアンを中傷する旨の懺悔書を暴かれる。ショックを受けた彼は茫然自失のままにレナール夫人のもとへ向かい、ミサに出席していた彼女を狙撃する。

逮捕され裁判にかけられたジュリアンは、法廷において不遜な態度をとり死刑宣告を受ける。獄中にて死を待つ彼のもとに、やがて「その懺悔は夫人が教会からむりやり言わされたものであり、彼女は今もまだジュリアンを愛している」との報を受ける。この上ない幸福感を得た彼は安らかな気持ちの中で処刑される。

実際にあった、"痴情のもつれ"がモデル

1827年、フランスのある村で地主の家庭教師を務めていた鍛冶屋の息子・ベルテ青年がその家の夫人と恋に落ち、教会でミサに出席していた彼女を狙撃し、死刑宣告を受けた事件が発生した(ベルテ事件)。

この事件から着想を得たスタンダールは「ジュリアン・ソレル」と言う多感で情熱的、愛に身を滅ぼす青年を生み出したのです。

実写映画

1954年、クロード・オータン・ララ監督による作品。野望に燃える美青年・ジュリアンを演じるのはジェラール・フィリップ。

まとめ

前例にないくらい自我が強い主人公の強烈な一生ゆえに、出版当時は理解されなかったという『赤と黒』。〈分かってくれる少数の幸福な読者にささげる〉とスタンダールが語ったこの物語を、あなたはどう受け取りますか…?

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