儚く散った下剋上の夢、『赤と黒』
19世紀フランス、野望を胸に山村を飛び出した美青年・ジュリアンの愛と破滅を描いた物語、『赤と黒』。予想だにしなかった出来ごとに人生を阻まれて悩むジュリアンの姿は、現在でも多大な共感を得ています。
あらすじ・ストーリー
いたたまれなくなりその地を去ったジュリアンは、新しい土地で貴族の秘書を務めることとなる。そしてその家の娘と大恋愛の果てに子供を授かり、彼女との結婚を決意する。
逮捕され裁判にかけられたジュリアンは、法廷において不遜な態度をとり死刑宣告を受ける。獄中にて死を待つ彼のもとに、やがて「その懺悔は夫人が教会からむりやり言わされたものであり、彼女は今もまだジュリアンを愛している」との報を受ける。この上ない幸福感を得た彼は安らかな気持ちの中で処刑される。
実際にあった、"痴情のもつれ"がモデル
この事件から着想を得たスタンダールは「ジュリアン・ソレル」と言う多感で情熱的、愛に身を滅ぼす青年を生み出したのです。
実写映画
1954年、クロード・オータン・ララ監督による作品。野望に燃える美青年・ジュリアンを演じるのはジェラール・フィリップ。
まとめ
前例にないくらい自我が強い主人公の強烈な一生ゆえに、出版当時は理解されなかったという『赤と黒』。〈分かってくれる少数の幸福な読者にささげる〉とスタンダールが語ったこの物語を、あなたはどう受け取りますか…?