クレイジーで危ない衝撃映画まとめ！『トレインスポッティング』など

”クスリや賭博や汚職で破滅寸前なサイテー悪徳警官の行く末を変えるのは？”

アベル・フェラーラ監督、ハーヴェイ・カイテル、ゾーイ・ルンド主演による1993年の作品。ニューヨークの近郊に住むLTは、市警の警部補。妻も子供もいる彼だったが、その裏にはクスリやギャンブルや汚職にまみれた悪徳警官の顔があった。子供を送っていく一方でクスリをキメ、事件捜査中も同僚と野球賭博に興じ、女を買ってバカ騒ぎを繰り広げる毎日。ある日、尼僧の強姦事件が起こり、犯人逮捕の賞金は5万ドルだと知る。賭博に負け続けて多額の借金に追われ、過去にハメた組織から復讐を宣言されるなど、八方塞がりに追いつめられた彼は、賞金目当てで尼僧に近づくのだが、彼女は犯人達を許すと言いはじめ...。

ドラッグ、恐喝、汚職、ギャンブル、女...この上ないサイテーな悪徳警官だったLT。当初は懸賞金目当てで近づいた、強姦被害者の尼僧の女性。しかし、彼女の敬虔で清らかな振る舞いに、自分の汚れた心を恥じた彼は...。

主演のハーヴェイ・カイテル。彼の俳優人生も中々ドラマチック。無名時代からマーティン・スコセッシの作品に常連として出演するが、ロバート・デ・ニーロの陰に隠れて評価されなかった。『地獄の黙示録』の主演に抜擢されるが、監督との意見の相違と契約問題で降板。それ以降は俳優として干されてしまい、端役しか回って来なくなった。1992年にクエンティン・タランティーノの才能に惚れ込み、『レザボア・ドッグス』の主役で本格的にカムバックした。

"悪徳なダメダメ不良警官を素で演じたニコラス・ケイジの魅力が爆発する！"

ヴェルナー・ヘルツォーク監督、ニコラス・ケイジ、エヴァ・メンデス主演による2009年の作品。巨大ハリケーン・カトリーナの襲来を受けたニューオリンズの警察署で、水没した拘置所から囚人を助けたという事で表彰された刑事のテレンス・マクドノーは、この一件で警部補に昇進する。正義の刑事として英雄となったマクドノーだったが、彼には裏の顔があり、高級娼婦のフランキーと、ドラッグやギャンブルに溺れる日々を過ごす最悪の悪徳不良警官だった。更には警察の押収物であるドラッグを盗み出していた。そんな彼だが、セネガルから不法に移民してきた一家が殺害された事件を捜査するうち、自身の運命が変わっていく...。

麻薬とギャンブルと汚職にまみれた悪徳警官テレンス・マクドノーを演じたのは、ニコラス刑事（もとい、ケイジ）。クスリと酒に溺れ、借金にまみれた荒んだ生活を送る破天荒なキャラクター...という、ある意味地でいく演技。ヤクによる幻想トリップにより、ヘロヘロに不安定でハイテンションな悪徳刑事テレンス・マクドノーを見事な素の演技（？）で演じた！やっぱダメ男を演じるニコラスってサイコー。

ヴェルナー・ヘルツォークは、1960年代からドイツで映画監督として活躍していた人で、故ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、ヴィム・ヴェンダースと共にニュー・ジャーマン・シネマの旗手と言われた。特に1970年代『アギーレ/神の怒り』『ノスフェラトゥ』『フィツカラルド』というクラウス・キンスキーと組んだ3作品は、もう誰も生み出せないであろう程の異常な狂気の名作。2005年位からアメリカに渡って映画製作を行っている。今作の監督を務めたのもちょっと意外な感じがする。『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』のリメイクであるとされているが、監督自身はそれを否定。確かにストーリーは全くの別物。