サムライせんせい(漫画・ドラマ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『サムライせんせい』とは2013年11月から2020年10月まで黒江S介がpixivコミック『クロフネZERO』にて連載していたタイムスリップ・コメディ漫画。およびそれを原作としたドラマ・実写映画。コミックス全8巻完結。幕末から平成の時代にタイムスリップしてしまった土佐藩士・武市半平太が現代文明に困惑しながらも髷を結い着物姿のまま、架空の田舎町を舞台に居候先である学習塾の先生をしながら奮闘する物語。同じくタイムスリップしてきたかつての同胞坂本竜馬や岡田以蔵、陸奥陽之助らも登場する。

喧嘩沙汰がネット上に載ってしまったことで、土井は梵から謹慎処分を受ける。そして武市と楢崎は土井に人斬りだった過去を思い出させないようにと配慮し、佐伯家で引き取ることとなる。
一方で、伊達はかつての師であった坂本竜馬が楢崎として平成の世にいると知ってから部屋に閉じこもっていた。「気になるなら動かないと」というナオキの後押しもあり、武市に話を聞きに佐伯家を訪れ、楢崎と再会する。陸奥(伊達)が平成の世にいることに楢崎は驚くも明るく話しかけるが、伊達は楢崎の胸倉をつかみ叫んだ。坂本竜馬暗殺の日、陸奥(伊達)は坂本から風邪をうつされ寝込んでおり、暗殺現場にいなかった。もし現場にいれば坂本が殺されずにすんだのではないかとずっと後悔していたことを明かす。それにたいし楢崎は「おんし、昔から逃げ足は早いけんど剣はからきしやったき。どうせ一緒に殺されちょったわ。無事でよかった」と優しく返す。その言葉に伊達は涙した。平成の世で出会ってすぐに分かり合えた2人に武市は現金すぎないかと苦言を呈するが、楢崎は「師弟の在り方に正解はない」と言う。その言葉に武市は自分と土井の在り方について考えるのだった。

武市は、佐伯家から子供たちを家へ送る道中に土井がほとんどの記憶を思い出していることに気づく。土井は「記憶は戻っているが実感がないため過去も無意味であり、自分と武市の間には何もなかったことでいい」と言う。それにたいして武市は、土佐勤皇党を守るため岡田が人斬り行為をしていたことを隠すために自害や服毒を画策していたことを告白。「自分を恨んで自白したのか」と問う。それにたいして土井は「人斬りとはいえ、武市に任された仕事に誇りをもっていたこと、コソコソ生きるより正々堂々と自分のしてきた行為を話し死ぬことが侍であると信じ自白した」と答えた。その答えに武市は土井が平成の世で人命を助けたこと、素晴らしい働きをしていることを聞いたといい、「かつての師として、おんしを誇らしく思う」と伝えるのだった。

かくて、平成の世にて生きる

武市、楢崎、土井と伊達。何の理由があってかは分からないが平成の世で再び巡り合い、和解した。相も変わらず元の世に戻ることはできない。武市は平成の世で生きていく運命なのかと自問するが、平成の世で学習塾の先生として、子供たちに慕われる日々を楢崎らと共に生きていく。

『サムライせんせい』の登場人物・キャラクター

主要人物

武市 半平太(たけち はんぺいた)

演(ドラマ):錦戸亮/演(映画):市原隼人
本作主人公。幕末時代、尊王攘夷派の土佐勤皇党盟主として活動していた土佐藩の志士。藩命により獄にいれられていたところ、ふと目を覚ますと約150年後の平成の世にタイムスリップしていた。彷徨っていたところを佐伯に助けられ、佐伯の営む学習塾で先生をすることになる。現代文明に翻弄され奮闘しながらも元の世に戻ることを強く切望している。
優れた剣術家であり、指導者としての素質をもっているが融通の利かない性格。どうしても髷結いと着物姿を崩すことができず、サチコの提案で出かけるときは帽子を被っている。眉目秀麗だが顎がでており、縁戚で弟分の坂本龍馬からは「アギ(顎のこと)」と呼ばれている。浄瑠璃(じょうるり)鑑賞が趣味。甘党。
元の世において弟子である岡田以蔵に人斬り行為を命令していたことを悔やんでいた。

楢崎 梅太郎(ならさき うめたろう)/坂本 竜馬(さかもと りょうま)

演(ドラマ):神木隆之介/演(映画):忍成修吾
東京在住でフリーライターとして活動している男。幕末志士であり薩長同盟や大政奉還などに関わった。元治の世において武市の死を知っていたが、何故か彼よりも5年ほど前に平成の世にタイムスリップしている。寅之助とサチコが小学生の頃に佐伯家にお世話になっていた。楢崎という苗字は妻であるりょうのものから拝借したもの。
明るく正直、口が達者で人の話を聞かないところがある。薙刀の達人。やることなすこと武市とは正反対だが、楢崎にとって武市は兄のような存在。武市からは「アザ」と呼ばれている。平成の世では眼鏡と洋装姿ですっかり現代生活に馴染んでいる。寺田屋事件の際に負傷した手指を平成の最新医療で治療できた経験もあり、平成の世の生活には前向きである。侍の時に飲んだグラバー邸のミルクティーの味が忘れられず再現しようと研究を重ねている。
金時計事件が契機で結成された土佐勤皇党に所属していたが、後に考え方の違いから袂を分かち、脱藩。私設海軍で貿易も行っていた旧亀山社中、後の海援隊(かいえんたい)の創立者。

土井 哲三(どい てつぞう)/岡田 以蔵(おかだ いぞう)

演(映画):松川尚瑠輝
平成の新宿で交通事故にあい、記憶喪失になった男。正体は土佐藩志士で武市の弟子であった岡田以蔵。土佐勤皇党で暗殺業をしていたために後に人斬り以蔵と呼ばれる。剣の腕前は武市が認めるほどの実力。土井哲三という名は、本来は土居鉄蔵と書き、土佐勤皇党を抜けた直後に坂本竜馬がつけた偽名。
清掃業の仕事をしている時にヒーローショーの悪役俳優を投げ飛ばしたことをきっかけに極東プロダクションの研究生となる。当初は演技することにとまどい、人間関係もぎくしゃくしていたがイベントホールの崩落事故で子供たちを助けたことをきっかけにスーツアクターの何たるかを学ぶ。1年後には主役を任されるなど成長している。しかし、その崩落事故が原因で楢崎が土井を見つけ、岡田以蔵であることを知ることとなる。記憶は断片的に少しずつ蘇り、武市と再会したことでほとんどの記憶を取り戻すこととなる。携帯電話など機械類にめっぽう弱いが、仕事の先輩である天童からもらったウォークマンの操作は一生懸命覚え、洋楽のクイーンを好んで聴いている。
先天性の無痛性疾患のため寒暖や痛みに鈍い。

伊達 小次郎(だて こじろう)/陸奥 陽之助(むつ ようのすけ)

東京のホストクラブで働く金髪のイケメン。土井と同じ極東プロダクションの研究生であるナオキの母・慶子とは内縁関係にある。ナオキは義理の息子だが、ナオキからは「兄ちゃん」と呼ばれている。作中では27歳。
正体は紀伊藩を脱藩後に旧亀山社中、後の海援隊で測量官兼坂本竜馬の秘書をしていた陸奥陽之助。歴史上では後の陸奥宗光(むつむねみつ)。坂本竜馬の暗殺当日は、前日に風邪をひいた坂本を見舞った際に風邪をうつされ寝込んでおり、暗殺現場にはいなかった。自分がいれば坂本は暗殺されなかったのではないかとずっと悔やんでいたが、平成の世にて再会。気持ちが晴れた。坂本のことを「親分」と呼んでいる。
侍時分から、逃げ足が早いが剣の腕はからっきしだった。口が悪いためもめ事を昔も今も起こしている。坂本の妻であるりょうとはとことん相性が悪い仲だった。

平成の現代人

佐伯(さえき)

演(ドラマ):森本レオ/演(映画):橋爪功
眼鏡をかけた温厚な小柄の老人。過去、歴史の教師をしており現在は自宅で学習塾を営む。学芸員の活動もしている。自宅前で倒れた武市を保護し居候させ、生活の指導もする心の広い人柄。地元の住民から慕われている。

佐伯 寅之助(さえき とらのすけ)

演(ドラマ):藤井流星/演(映画):押田岳
佐伯の孫。金髪(武市は赤髪と言っている)にピアスをあけ少々ヤンキー気味の高校生。両親は小学生の頃に亡くなり、祖父と2人暮らし。祖父である佐伯の影響で歴史、特に幕末に詳しい。実は新選組のファン。背が低いことを気にしている。
武市のことを当初は頭のイカレた人物だと思っており、不快感をあらわにしていたが、塾の子供たちの誘拐事件をきっけに認めるようになった。常に気怠い雰囲気を醸し出しているが、人斬りであった土井に対しては恐怖を露わにしている。平成の世で武市と土井が再び誤解を抱いたまま別れようとしている際には、せっかく会えたのだから話さないと勿体ないと話し、2人が和解するきっかけを作った。

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