おはようとかおやすみとか(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『おはようとかおやすみとか』とは、2014年よりまちたが『月刊コミックゼノン』で連載していた、主人公と異母兄弟との共同生活をテーマにしたハートフル漫画作品である。デビュー作でありコミックゼノンマンガオーディションにて準グランプリを受賞。他人との共同生活を嫌い、1人で自由に暮らす事を望んでいたサラリーマン・日向和平(ひなたわへい)。新築マンションを購入した矢先に突然現れた腹違いの3姉妹との共同生活を通して、家族とは何か、自分の居場所はどこにあるのかという家族に対する価値観が変わっていく様を描く。

和平と3姉妹が決めた答え

身勝手な母親の元に行かせたくない和平は「本当はここにいて欲しい。お母さんのところには行かない方がいい」と伝えたかったが、決断するのは穂高であることから、どう言ったらよいのか悩んでしまう。
一方で決定権のある穂高も幼い千世と千苗のためにも正しいことを選ばなくてはいけないと学校で1人悩んでいた。
そんな様子に気付いた桜は、穂高を気にかけ「どんなときも穂高の味方でいる」と伝え、穂高は心強い気持ちになるのであった。

和平は、仕事帰りに翠に相談しようと本屋に向かう。
和平の悩みを聞いた翠は自分の幼い頃の経験を話し「きちんと伝えれば妹達も安心してくれる。きっと大丈夫です。」と和平にアドバイスをした。

帰宅した和平は穂高と話し合う。双子にはまだ母親が必要であり、自分自身もまだ母親を諦めきれない穂高は母親の元へ戻る事を決意し、和平に別れを告げる。自分の思いを伝える隙もないと感じた和平は穂高の考えを受け入れることしかできなかった。話し合いは終わり、2人は「おやすみなさい」と挨拶を交わす。
穂高が部屋を出る直前、和平は「おれはやっぱ嫌だ。だめだ。」と穂高を引き止める。
はじめは1人で暮らすことを望んでいた和平であったが、3姉妹との生活を通して1人の静かな部屋に戻りたくないと思うようになっていたのだ。3人の幸せを考え、一緒に暮らしたいという和平の思いを聞き、穂高も「もう本当は全部投げたい。お母さんから抜け出したい」という本音を明かすのであった。部屋の外から隠れて様子を見ていた千世・千苗も「ここがいい!」と飛び出し、4人で暮らしていく事を決意するのであった。

後日、穂高は1人で母親に会いに行った。
千世・千苗と和平は家で穂高の帰りを待っている。落ち着きなく心配する和平の様子を見て、千世と千苗は穂高のためにパンケーキを作ろうと提案する。
パンケーキが完成すると穂高が帰ってきた。今まで心のどこかでずっと気にし続けてきた母親と決別することができた穂高の顔には笑顔があふれていた。
穂高は「ただいま」と言い、千世・千苗・和平は玄関で「おかえり」と穂高を向かい入れるのであった。

『おはようとかおやすみとか』の登場人物・キャラクター

主要人物

日向 和平(ひなた わへい)

アイダハウスに勤務する28歳の男性。7歳の時に両親の離婚を経験し、その後は父親の日向翔平に引き取られ、育てられる。
絵本作家である翔平が放浪しながら好きなだけ絵をかいて過ごしたいと決めたことから、古くて暮らしづらい実家を取り壊し、新築マンションを購入して念願の一人暮らしを始める。家の間取りは2LDKSと広く、キッチンや浴室に様々な機能がついていたり、家具の配置が決まっていたりと家に対して細部に至るまでこだわりがある。もともと「古い家は壊し、新しい機能的な家を建てる」ことを理想としていたが、更地になった実家跡を見て衝撃を受け、新しいものばかりがいいのだとは限らないことを知る。
最終的に3姉妹との生活を通して、家はそこに住む人が作っていくものなのだということに気付く。

国前 穂高(くにまえ ほたか)

日向和平の腹違いの妹で、国前千世と国前千苗の姉。2月22日生まれの16歳で女子高生。妹二人からは「ほたちゃん」の愛称で呼ばれている。
複雑な環境で育ったことから、まじめでしっかりした性格である。常に妹達のことを一番に考えており、豊富なメニューの朝食を作ったり髪を結んであげたりと自分が母親にしてもらえなかったことをすることで、妹達にさみしい思いをさせたくないと考えている。
一緒に暮らし始めた当初は、まじめでしっかりした性格から、和平に対して甘えることができず家事を1人ですべてこなしていた。和平が感謝するほど家のことをしっかりこなしているが、そんな事しかできない自分を責めるストイックな性格で、小遣いも自由に使わずに家計に回していた。和平や千世・千苗と暮らしていくうちに家族には甘えてよいのだと気づき、「みんなで買い物に行きたい」など自分の要望を言えるようになった。
最終的には、母親と決別し、4人で暮らすことを決める。

国前 千世(くにまえ ちせ)

日向和平の膝の上に座って目を細めて笑っている女の子が千世

国前穂高の双子の妹。国前千苗といつも一緒に行動している。11月27日生まれの7歳の少女。髪型や顔、背丈、服装など外見は千苗とほぼ同じだが、眉毛は千世の方が凛々しい。
愛称は「ちい」。小さい頃に千苗が「ちせ」と呼ぶことができず「ちい」と呼んでいたことからこの愛称になったとされている。
好きなキャラクターはアニメに出てくる猫のむちゃこ先生。学校の友達は同じクラスの同級生ゆめちゃんだが、休み時間には千苗と2人きりで過ごすことが多い。
幼い頃から母親に振り回される環境で生活していたが、姉の穂高に大切に育てられた。そのため穂高のことが大好きで、穂高と仲良くなる和平にやきもちを焼いてしまう場面もあった。穂高の作る料理が好きで、一番の好物は茹で卵入りのハンバーグである。和平と穂高の前ではわんぱくだが、初めて会った人には人見知りをして話しかけることができない性格である。
和平と暮らし始めた当初から自由奔放で明るく元気に過ごしており、穂高が母親と決別するときにはそれを後押しする姿を見せた。
最終的に、母親と決別した穂高についていき4人で暮らすことなった。

国前 千苗(くにまえ ちな)

国前穂高の双子の妹。国前千世といつも一緒に行動している。11月27日生まれの7歳の少女。髪型や顔、背丈、服装など外見は千世とほぼ同じ。
愛称は「ちな」。好きなキャラクターはアニメに出てくる猫のむちゃこ先生。千世と仲良しで喧嘩することがなく、学校の休み時間にも2人で遊んでいる。
身勝手な母親に世話をしてもらえないこともあったが、姉の穂高に家事や身の回りのことなどの面倒を見てもらっていた。そのため穂高のことを一番信用しており、母親よりも穂高の決断を優先する態度を見せる。
穂高の作る料理が好きで、どんなものでもおいしく食べる。初めて会った人には人見知りをしてしまうが、千世と同じく慣れてくると甘えたりわんぱくな姿を見せたりする。
どんなときでも自由奔放で明るく元気に過ごしており、落ち込んだり悩んだりしている和平や穂高、千世をよく励ましている。
最終的に、母親と決別した穂高についていき4人で暮らすことなった。

日向和平の同僚

蓮見(はすみ)

アイダハウスに勤務する日向和平の同僚。28歳で和平とは新卒で同期として入社して以来の仲。仕事仲間であり、飲み友達でもある。
情にもろい性格であり、和平から3姉妹の話を聞くたびに親身に相談にのり、心配している。また、非常に人懐っこく、3姉妹と和平、同僚の加東つかさと買い物に行った際には、人見知りする千世と千苗に肩車をしてあげたりアイスを買ってあげたりして、いち早く心を開かせることに成功している。
3姉妹を引き取ってから付き合いが悪くなってしまった和平に不満を募らせ、やきもちを焼いてしまうなど子供っぽい一面もあったが、同僚である加東つかさに相談することで気持ちを落ち着かせることができた。それ以降は、和平と3姉妹の生活がうまくいくように手助けする、よき相談役となった。

加東 つかさ(かとう つかさ)

アイダハウスに勤務する女性で日向和平の同僚。
和平から3姉妹の話を聞くたびに、その不遇さを気にかけて心配している。特に双子の妹達を世話している国前穂高のことを気にかけており、自分に厳しすぎる穂高との関わり方に悩んでいた和平に買い物に連れ出すよう女性ならではの視点でアドバイスをした。同じ女性同士ということでショッピングモールを穂高と一緒に周り、ストイックでいつもシンプルな服装の穂高にかわいい恰好をすることの喜びを教えた。
また穂高の気に入った服をプレゼントしたり、和平との関係に悩む蓮見の相談相手になったりと面倒見がよく優しい性格である。
地味でおとなしそうな見た目をしているが酒豪で、飲酒はコントロールできない自分の感情をなだめるためだという持論を持っている。
漫画全体を通して和平や蓮見が悩んだときに登場しアドバイスをする役どころ。

7pErika55
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