ぼくたちは勉強ができないの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ぼくたちは勉強ができない』とは、 筒井大志が2017年より『週刊少年ジャンプ』で連載中の漫画である。2019年には第1期・第2期とアニメ化もされた。主人公で凡人出の秀才・唯我成幸が、得意分野では天賦の才能に恵まれるも、希望する進路に必要な科目はとことん苦手な、緒方理珠・古橋文乃・武元うるか、3人の教育係に任命され奮闘する。一ノ瀬学園OGで浪人生の小美浪あすみと、一ノ瀬学園教師で理珠と文乃の初代教育係でもある桐須真冬も巻き込み、5人のヒロインと大学合格を目指していく学園ラブコメディー。

多くの人に助けられ、成幸は出国前のうるかの下に駆けつける。

問149 「白銀の漆黒人魚姫」編クライマックスシーンの成幸のセリフである。
大雨の中、成幸はみんなの協力を得て空港までたどり着くことができた。
空港でうるかに告白の回答をする。
「なぁ、うるか。俺はずっと昔からお前に憧れてた」
「いつも元気で明るくて。普段はのほほんとしているのに。水泳になると別人みたいにカッコよくて」
「これから先、お前はもっともっとすごい奴になって、有名になって」
「誰もがお前の泳ぎに夢中になる。そんなお前が俺の誇りなんだ」
「そしてな、俺はそんなお前の夢にとって邪魔になってしまうと思うんだ」
「だからごめん。お前の邪魔をさせてくれ」
「うるか、お前が遠くになってしまうのは嫌なんだ。お前がいつか、他の誰かを好きになるなんて考えたくもないんだ」
「俺はお前に並び立てないかもしれない。お前を幸せにしてやれないかもしれない」
「でも、俺には。すごい勝手な言い分だけど。俺自身が幸せに成るためにはお前が必要なんだ」
「つまり、その…」
「武元うるかさん。俺はあなたが好きです!」

理珠「私がいます ずっと」

成幸が時々「寂しくないフリ」をすることに気づき、自分がいるから二度とそんなことはさせないと言い切る理珠。

「機械仕掛けの親指姫」編より。
紗和子の家庭問題に解決の目途をつけ、再び家族として歩み出そうとしている彼女とその両親を眺める中、成幸の胸中に浮かんだのは自身の父・輝明の姿だった。自分がそれを永遠に失ってしまったことに想いを馳せた刹那、傍らにいた理珠が彼の手を握って口にしたのが見出しのセリフである。
成幸に恋心を抱いてから、理珠はずっと彼を見続けてきた。そうすることで自身のものですらよく分からなかった「人の心の動き」を知り、自分に欠けていたものを学んでいった。成幸の心に浮かんだ寂寥を、そしてどうすればそれを癒せるのかを、理珠はもう理解している。それを証明すると同時、彼女の成長をも描いた名シーン。さらりと「ずっと」という言葉で成幸と生涯を共にすることを付け加えており、理珠の積極性も見て取れる。

文乃「足のこと… 嘘ついちゃった 罰 かなぁ…」

少しでも長く成幸の優しさを独り占めしたかった。そんな文乃の我がままは、予想外の形で彼女を苛むこととなる。

「文学の森の眠り姫」編より。
センター試験に向かう途中、階段の上で足を滑らせた成幸を庇い、文乃は足を挫いてしまう。自分を庇った結果怪我をさせた罪悪感から、成幸は零侍の許可をもらった上で古橋家に日参し、文乃の世話をするようになる。うるかや理珠を気遣うあまり想いを口にできない文乃だが、不可抗力の形で愛する成幸を独占できる日々に幸せを感じ、「足が治るまでの間だけ」と自分に言い訳しながらそれを享受する。しかし足が完治しても言い出せず、「もう少しだけ」、「試験が終わるまで」と成幸に甘え続ける。
大学受験も終わり、今こそ完治したことを伝えなければと成幸の隣で心の準備をしていた文乃の前にうるかが現れる。彼女は成幸に告白しに来たのだと察した文乃は、慌ててその場を立ち去ろうとするも動揺し、戻って足のことを説明して謝った方がいいのではと悩む中、うるかが成幸への想いを伝える様を聞き届けることとなってしまう。その際、涙ながらに零したセリフが見出しのものである。
成幸を騙し、うるかたちを裏切り、結果大好きな少年が自分以外の誰かのものになる瞬間に居合わせることとなってしまった。うるかは魅力的な女の子だから、成幸はきっと告白を受け入れるだろう。二人は自分に幻滅しただろうか、あれほど守りたいと思っていた彼らとの友情は壊れてしまうのだろうか。自分の恋は、友情は、今最悪の形で終わったのだ。友を思う優しさ、初めての恋心に翻弄される弱さと愚かさ、文乃の様々な魅力が詰まったシーンである。

理珠「同じ土俵で並び立ち 時には戦い合える存在をこそ 友達と呼ぶのだと思います」

友達だというのなら、私を傷つけることを恐れないで。友を傷つけまいとして苦しみ続ける文乃に、理珠は彼女から見た友情について語る。

「文学の森の眠り姫」編より。
うるかの告白はうまくいったのだろうと考えた文乃は、成幸のことをきっぱり諦めようとする。しかし己の恋心をひたすら抑えようと苦しい努力を続ける文乃のちょっとした仕草や態度から、理珠は彼女が何を悩んでいるのかを見抜く。
今の文乃は、“自分自身が嫌い”だった頃の自分と同じ顔をしている。いったいどうしたのかと問う理珠に、文乃は思いの丈を打ち明ける。
「大切な友達が好きな男の子を、好きになってしまった人間がいたら、ただ生きているだけで友達を裏切り続けているその人はどうやって自分を好きになればいいのか」
どうして恋をしただけなのに、こんなに苦しまなければならないのか。堰を切ったようにそう語って涙を流す文乃に、理珠は「“友達のために”と自分を犠牲にした側とされた側、かわいそうなのはどちらでしょうか」と告げて、見出しのセリフを続ける。

理珠もまた成幸を愛し、彼と恋仲になることを望んではいた。しかしそれ以上に、自分の恋心を抑えようとするあまり苦しむ文乃を見ていることがつらかったのだ。自分たちを“大切な友達”と思ってくれるのなら、どうか遠慮しないで戦ってほしい。その言葉に背を押され、それこそが理珠にとって友達にあってほしい姿であると気付いて、文乃は奮起。「戦ってくる」と宣言して、成幸に想いを伝えるために駆け出していく。
「文学の森の眠り姫」編は、ここから一気にクライマックスへと雪崩れ込んでいく。

あすみ「これからあたしは アイツに…っ どんな顔して会えばいいんだよ…っ」

偶然見てしまった輝明のカルテが、それが示す事実が、あすみの心を縛り上げる。

「明日の夜の小妖精」編より。
幾度となく助けられる内、成幸の優しさと時折見せる男らしさに惹かれていくあすみ。後夜祭のジンクスの当事者となったことを気に、ついに彼女は成幸への想いをはっきり自覚するも、互いに受験が終わるまではとそれを胸に秘めたまま過ごしていた。そんなある日、あすみは小美浪診療所の中で成幸の父・唯我輝明のカルテを発見してしまう。それは彼が自分の父・宗二郎の患者であったこと、宗二朗が自分を頼ってきた輝明を救えなかったことを表していた。
輝明の病状は小さな診療所に扱えるものではなかった。だから宗二朗はできるだけのことをした上で、輝明に大学病院を紹介している。医者としてなんら落ち度はない。
だが結果として、あすみが追い続けた“小美浪診療所”という夢は、成幸が応援し、一度は潰えそうになってもつないでくれた道の先にあるものは、彼の大切な家族の命を救えなかったのだ。その家の娘が、成幸の父親を救えなかった診療所を受け継ごうとしている自分が、どの面下げて彼に会えるというのか。衝撃に声を震わせながら、あすみはようやく自覚した自分の恋は最初から破れる定めにあったのだと理解する。

受験が終わった後、成幸が意を決して用意した遊園地のペアチケットを、あすみは「気持ちは嬉しいけど」と前置きした上で他の娘を誘うように言い添えて拒絶する。二人の長い擦れ違いは、ここからスタートしている。

成幸「いつも 飄々と近付いてからかってきて かと思えば そうやって逃げ出して遠ざかって 結局あんたの本心は どこにあるんだよっ!!?」

雨の中逃げ続けるあすみ、それを追い続ける成幸。互いを想うが故に、二人は擦れ違い続ける。

「明日の夜の小妖精」編より。
大学を卒業して教師になった成幸は、赴任先の孤島にある診療所で働くあすみと数年振りに顔を合わせる。奇跡のような再会に驚き、互いの成長を感じつつも変わらない人柄に安堵し、かつてのような関係を築いていく二人だが、あすみはどこかに一線を敷いて成幸との距離を保とうと努める。
何が彼女をそこまで頑なにさせるのか。大学受験後に別れて以来、ずっと抱き続けていたあすみへの恋心を持て余しながら悩み続ける成幸の前に、「娘とその彼氏に会いに来た」という宗二朗が現れる。彼の口から輝明が小美浪診療所の患者だったこと、あすみがそれを知ったのが自身の大学受験が終わるタイミングだったことを教えられる成幸。その場にやってきたあすみが、二人が話していた内容を察して逃げ出した際、それを追いかけながら成幸が発したのが見出しのセリフである。

輝明のことも、あすみがそれを負い目にしていることも理解した。しかしそれより何より、成幸はあすみの本心が知りたかった。自分の想いに本気で向き合ってほしかった。
女性の反応に一喜一憂していた高校生の頃とは違う、大人になった成幸の本気の訴えと、彼を愛するが故に必死で距離を保とうとするあすみの姿があまりにも切ない名場面。互いに想い合いながら擦れ違い続け、成幸の伸ばした手があすみに届くその前に、さらなる試練が二人を待ち受ける。

宗二郎「私はこの島に… 娘と その彼氏に会いに来たのだよ」

今まで“本当の恋人”ではなかったからといって、これからもそうとは限らない。二人の想いはきっと通じているのだから。宗二朗はあすみをそう諭し、その背を優しく押し続ける。

「明日の夜の小妖精」編より。
生徒たちを助けるために負傷した成幸。このままでは命に関わる状況ながら、救助活動の中で宗二朗も腕を骨折しており、メスを握ることもできない。成幸を救うため、あすみは意を決して「自分が執刀する」と宣言し、ぶっつけ本番で初めての手術に挑む。
今自分の手の中に成幸の命が握られている。少しでもミスをすれば、彼は死んでしまう。その事実に恐怖し、怯え、ずっと言えなかった「自分と成幸は本当の恋人ではない」という話を、弱音と共に宗二朗に吐露するあすみ。そんな彼女に、宗二朗は「知っていた」と言葉を返した上で、旧友である輝明の息子だということとは無関係に、自身が唯我成幸という青年に対して好感と敬意を抱いていることを告げる。
お前はどうなのだ、恋人を演じてもらうためだけの理由で彼と接していたのかと問われ、あすみは弱々しくもはっきりと「そんなことない」と返答する。安堵したように、娘の背を押すように、「ならばまだ分からんな」と応じ、宗二朗は見出しの言葉を口にする。
一歩間違えば成幸が命を落とし、あすみが一生背負うほどのトラウマを抱えかねない状況ながら、宗二朗はひたすらに優しく、そして力強く二人を見守る。成幸たちを覆う大きな愛情が見えてくるような胸を打つシーンである。
この言葉に勇気を与えられ、あすみは恐怖を飲み込んで手術に集中。見事にこれを成功させる。目覚めた成幸から告白されて承諾し、二人は晴れて正式な恋人となる。「この島に娘とその彼氏に会いに来た」という宗二朗の言葉は、彼自身、成幸、あすみ、そして多くの読者が望んだ通り、真実のものとなったのだった。

真冬「世界一幸せだわ」

紆余曲折の末、ついに結ばれた成幸と真冬。成幸が「世界二だと思いますよ(=自分の方が幸せ)」というのも納得の笑顔である。

「薄氷の女王」編より。
一度は成幸の告白を断るものの、後に彼への恋心を改めて自覚し、今度は自分から想いを告げた真冬。家族に、天田や日野たちに祝福されながら二人は結婚し、永遠の愛を誓い合う。家族を作ることの意味や自分たちのこれからについて話し合いつつ帰路を行く中、真冬は傍らの成幸に向けて見出しの言葉を口にする。
元とはいえ教師と生徒、年上、真冬自身の抱える様々な問題。それら全てを少しずつ解決し、ついに愛する成幸と結ばれた真冬の、心からの笑顔が何よりも美しい。成幸はそれに見惚れつつ、「世界二だと思いますよ(=世界一幸せなのは自分の方だ)」と思い切り惚気た言葉を返している。
この場面をもって「薄氷の女王」編は終局を迎え、『ぼくたちは勉強ができない』はいよいよ大詰めを迎える。今まで作品を追いかけてきた読者、真冬を応援していたファンの期待に十二分に応える名シーンである。

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