GALS!・GALS!!(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『GALS!』・『GALS!!』とは少女漫画雑誌『りぼん』で1998年から連載された藤井みほなによる漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。2019年よりマンガMeeにて続編『GALS!!』が連載中。舞台は東京渋谷で最強カリスマ女子高生・寿蘭を中心としたコギャル3人が街で遊ぶ様子や、恋愛模様を描く青春物語である。さらに「家庭問題による親や大人への反発」をコンセプトとして家庭問題やいじめ、不良行為、援助交際など当時の社会問題も題材として扱う熱いヒューマンドラマであり幅広い年齢層から支持されている。

『GALS!』・『GALS!!』の概要

『GALS!』・『GALS!!』とは1998年から2002年まで少女漫画雑誌『りぼん』にて連載された藤井みほなによる漫画作品である。物語は、主に東京・渋谷を舞台として、渋谷の最強カリスマコギャル女子高生・寿蘭とその親友である山咲美由・星野彩の3人のコギャルを中心に、彼女たちが街で遊ぶ様子や学園生活、それぞれの恋愛模様を通して育む友情を描いている。また「家庭問題による親や大人への反発」をコンセプトとして様々な登場人物の家庭問題や教師との対立、いじめ問題、不良行為、援助交際、警察沙汰となる事件などの連載当時の社会問題も多く題材として扱っている。作中に登場する様々な難しい問題を、主人公らはコギャル独自の勢いと明るさで勇敢に立ち向かい、時には反抗し喧嘩をしながらも、真っ直ぐな姿勢と熱意で解決していく人情味溢れる物語である。これを原作として2001年から『超GALS! 寿蘭』というタイトルでテレビアニメ化され、全52話の構成で約1年間放送された。テレビアニメの監督は、『映画 忍たま乱太郎』、『英國戀物語エマ』などを代表作に持ち、背景描写や抒情的な表現を得意とする小林常夫が務めた。アニメの作中では多くのパロディネタが扱われ、中でも作中劇の『走れ!お台場COP』では実際のテレビドラマ『太陽にほえろ!』や『踊る大捜査線』のパロディが非常に多く登場する。また2001年からゲームボーイやPlaystationのゲームソフト化され、3タイトル発売。2019年からは漫画の続編となる『GALS!!』がマンガMeeにて連載開始。続編は、時間軸を『GALS!』最終回当時の2002年として、そのまま続くようなストーリーで高校を卒業した主人公らのその後を描いている。大人気だった少女漫画の17年ぶりの連載のため、当時読者だった子供たちが大人になって再び作品に触れ、懐かしさだけでなく、当時とは違う価値観や別視点から作品を感じることができると話題になり、今も尚絶えず人気が続いており今後の展開も期待されている。

『GALS!』・『GALS!!』のあらすじ・ストーリー

『GALS!』

第1巻

東京・渋谷で「最強のカリスマコギャル」として名の知れた寿蘭は、鳳南高校に通う女子高生。蘭の家系は代々警察官一族という品行方正に生きる由緒正しき家庭だった。だが、蘭のモットーは「今が楽しければそれでよし」のため、派手な服装や髪型で、自由でマイペースに生活し学校では問題児として扱われていた。蘭は派手なコギャルファッションに着飾り渋谷へと繰り出し、元チーマーのリーダーで蘭の兄・寿大和の彼女である親友山咲美由と共に毎日ギャル生活を楽しく過ごしていた。ある日、成績優秀で落ち着いた雰囲気のある黒髪美少女のクラスメイト星野綾が、援助交際をしているという噂が学校中に流れる。その噂が信じられなかった蘭だったが、偶然にも街で綾と遭遇する。綾は普段の学校での姿とは大きく変わったギャルスタイルをしていた。翌日、学校を休んだ綾を心配した蘭は美由と共に渋谷で綾を探し出すと、「オヤジ待ってんの?やめときな援交なんてさ」と蘭は綾に軽く諭し、綾になぜ援助交際をしていたのかと真相を問いただす。綾の家庭は非常に厳格であり、常に成績はトップクラスの優等生でいなければならない環境であった。その環境からくる精神的な重圧から自暴自棄となり、予備校へ行くと嘘をつき夜遅くまで外出し、援助交際をしていたという理由を明かす。そして綾は「心さえ売らなければ体なんてどうでもいい」と自分を蔑む言い訳を言った。その言葉を聞いた蘭は、綾の頬を勢いよく叩き「甘ったれんな!!!モノは痛みなんか感じねえんだよ!!てめー生きてんだろ!?ぶたれりゃ痛いし、切られりゃ血が流れるんだろ!?」と怒鳴り叱責した。この蘭の行動が綾の心に響き、改心した。その様子を見守っていた美由の優しさにも触れ、綾は蘭と美由と友達になり3人は行動を共にするようになる。

第2巻

蘭、美由、綾は毎日3人で渋谷で遊ぶようになってしばらくが経った。渋谷には蘭の妹で、家族の影響を受けて警察官を目指す中学生の寿沙夜が、彼氏の祝匡人と一緒に遊びに来るようになり、自らを「中坊刑事」と名乗って路上で警察官ごっこを繰り広げ、蘭に付きまとい騒がしく過ごしていた。そんな中、鳳南高校ではテスト期間が始まる。普段通り何も気にせずに毎日遊び歩く蘭と美由とは対照的に、綾だけは勉強時間が減っているせいで成績が落ちていることを悩んでいた。ついに綾は学校では教師に呼び出され注意を受け、家庭でも両親に成績が落ちたことだけでなく、これまで塾をサボって遊んでいたことがバレてしまい、「悪い仲間がいるに違いない」と叱られる。落ち込み悩んでいた綾に対し、蘭は軽くあしらうように励ますと、綾は「成績が落ちたことを知った時の両親の顔を見た時の、私の気持ちがわかるの!?」と声を荒げて反論。すると蘭は、「わかるわけねーじゃん、あたしの人生、親の所有物じゃねーもん。おめーと違ってな!!誰のためでもねえ、自分のために生きるこったな!」と率直な意見を綾に突きつけた。その言葉にショックを受けた綾は、蘭と美由に「一緒に遊ぶのを辞める!」と宣言して喧嘩別れをしてしまう。一時は反抗してしまった綾だったが、後になって蘭の言った言葉は自分に勇気を出してほしいという気持ち込めての発言だったと理解し、渋谷へ向い2人と仲直りする。綾は反省し、自分に無理をせずに、今を大切に楽しく過ごすことを考える。こうして無事に3人は元の関係に戻り、より友情や信頼を深めた。

その後、蘭たちは綾が以前から気になっていた初恋の相手である、明匠第一高校に通うスーパー高校生グランプリで優勝したほどのイケメン乙幡麗と綾の2人きりの時間を作らせようと考え、みんなで遊園地へ向かう。蘭は、自分とは対照的に常にクールで感情が把握しにくい麗は綾に対して本心ではどう思っているのか気になり、「おまえさ、綾のことどー思う??」と聞くが無言でいる麗に対し、綾を傷付けることだけはして欲しくないと考えた蘭は、「期待をもたせるよーなことはやめてくれよな。初恋なんだよ。あいつ」と麗に念押しする。麗は静かに考え、その後綾と2人きりになり、綾が告白をしようとすると「…綾、おまえを彼女にするのも、今ここでおまえにキスするのも俺にとっては、簡単かもしれない。でも初恋は…重い」と綾に伝える。麗は自分なりに誠実さを表したつもりだったが、やっと友達関係も解決し、麗とも2人きりになれたと喜んでいた綾にとっては辛い言葉となり一気に落ち込んでしまう。

第3巻

麗に振られて落ち込み自信を無くしていた綾に、蘭は自分の気持ちを正直に伝えて本音で麗と話すべきだ励まし、みんなで麗の通う明匠第一高校の文化祭へと向かう。綾は放送室で文化祭のBGMの選曲をしていた麗の元へ行き、「見ていても面白くない」という麗に対し、綾は「いいの。そばにいさせてもらえるだけで、しあわせなの」と言い笑顔を浮かべる。そんな綾を見た麗は、自分とは違って純情な姿に感心し、「…俺、知らないうちに、おまえのこと傷つけるかもしれねーぞ。それでもいーのか?」と綾に尋ねると、「いい…傷ついても…好き…」と綾は答え、2人は付き合うことになる。一方で蘭は、放課後の補習に出席することを忘れ、担任の中西先生から呼び出され、欠席した罰の代わりとして体育祭で蘭がリーダーとなり、自分のクラスを優勝へ導くよう約束させられる。体育祭では毎年体育教師の群青先生が担任するクラスが優勝していて、今年は彼が担任の1年4組が優勝候補となっていたが、蘭のクラスは蘭を中心に特訓を重ねて団結力で見事に優勝を果たす。喜ぶ中西先生やクラスメイトだったが、蘭には気にかかることがあった。それは、体育祭の騎馬戦中に群青先生のクラスの高沢が、恐怖に怯えたように群青先生の独裁的な指導について仄めかす発言をしていたことだった。後日、蘭は高沢やそのクラスの異様な雰囲気に気付く。高沢のクラスでは、高沢が騎馬戦で蘭に負けたことが原因で優勝が出来なかったと群青先生が生徒らを唆し、高沢はクラス全員から無視されていた。そして、偶然蘭のクラスに道徳の授業でやってきた群青先生は、体育祭でリーダーとしてみんなを引っ張っていた蘭を逆恨みして、授業中に蘭を集中的に非難し暴力を振るってきた。さすがに蘭も黙っていられず、啖呵を切り応戦し殴り合いとなり、蘭は10日間の自宅謹慎と反省文50枚を科される。群青先生は、生徒らの証言でこれまでの独裁的指導が明らかとなり別の学校へ異動となった。

自宅謹慎が終わりクリスマスが近づいたある日、蘭は渋谷で中学生を相手にパラパラ講座を開催していた。そこに突然町田のパラパラキングを名乗る黒井達樹が現れ、2人でパラパラの指導を始めた。講座が終わったクリスマスの日、ふと2人きりになった時に達樹のどんな話にも笑って楽しそうにする蘭を見て、「好きになっちったから、彼女になって!!」と達樹は突然蘭に告白する。そんな前触れもない突然の告白に蘭は大笑いし、「てめーすっげーヘンな奴ー!!おもしれーから、付き合ってやる!」とあっさりOKし、蘭と達樹は付き合うことになる。

第4巻

蘭はクリスマス以降に付き合い始めた彼氏の達樹と順調に新年を迎えていた。新年の目標として、遊びに命を懸けると宣言した蘭は、みんなでスキー場に行くことになった。スキー場に到着すると、蘭の彼氏達樹と、これまでずっと蘭のことが好きだった麗の友達でスーパー高校生グランプリ2位を獲得し、2位の愛称で呼ばれている麻生裕也が、蘭を巡り険悪なムードになってしまう。裕也は、蘭へ自分の気持ちを思うように伝えられないと落ち込むが、綾の優しい言葉に励まされ回復し無事に達樹とも和解する。その後冬休みが終わり金欠状態だった蘭、美由、綾の3人はアルバイト探しをするが、派手な見た目の3人はどの店でも冷たくあしらわれ採用が得られずに困っていた。中でも、美由は特に焦った様子でいて、髪を黒く染め直して面接に挑むようになった。その理由は、美由の母親との関係にあった。美由は母と2人暮らしで毎月高額なお小遣いをもらっていたが、2ヵ月前から美由のお小遣いはほぼゼロになり、学校の学費も支払われていなかった。ある日、美由は原因を母に訊くと「お金がないなら、彼氏にでも頼んでどうにかすればいい」と突き放され、憤りを感じた美由は「なんで一度も美由の目を見ないの!?」と声を荒げて言うと、「…あんたの顔を見てると、別れた旦那の顔を思い出してムカつくのよ…!」と母は冷たい言葉を吐き、家を出て行ってしまった。傷付いた美由は彼氏の大和に電話をして、普段通りの会話をして明るく振る舞う。電話を切った後「大丈夫…。美由は大丈夫…」と自分で自分を励ました。空元気だった美由の異変に気付いた大和は美由を呼び出す。美由は、別れ話だと覚悟して大和の元へ向かうが、予想に反して大和は自分の両親に美由を紹介したのだった。結婚話まで持ち上がり、美由は「…美由なんかでいいの?」と大和に聞くと、これまで家庭問題の悩みを1人で抱え込んでいた美由を大和はずっと心配していたことを告げ、婚約指輪を渡す。そして大和は、「おまえは1人じゃない。友達や俺がそばにいる。絶対に1人じゃない。俺が一生をかけて証明するよ」と美由にプロポーズをした。

第5巻

新学期が始まり高校2年生となった蘭は、新入生から最強カリスマコギャルとして憧れの存在となっていて、勢いで「渋谷部」を発足し毎日後輩たちと楽しく過ごしていた。ある日、球技大会の練習後に蘭のクラスメイトの丹葉が2人の怪しい生徒に襲われる事件が起こる。その犯人は、蘭の渋谷部の後輩であるユミとマリだった。この2人は毎日渋谷部で蘭と共に渋谷で遊び歩き、金欠になるとクラスメイトの三品亜貴を脅して金を奪っていたのだ。毎日のように2人から脅されていた亜貴は、蘭が後輩を利用して自分からお金を奪ったと勘違いし、蘭への復讐としてナイフでユミとマリを脅して今まで奪われた金を回収するだけでなく、2人を利用して事件を起こしていた。その後偶然別の同級生から襲われた亜貴は、「殺してやる!」と渋谷でナイフを振り回して暴走。現場に居合わせた蘭は、亜貴の話を親身になって聞き「蘭が羨ましかった」と話す亜貴に、蘭は「ナイフを持っているのは自分の心を守るための行動じゃん。どんな瞬間でもさ、あたしは生きてんのが大好きだからに決まってんじゃん!」と亜貴を抱きしめながら言った。亜貴はその言葉を聞いて改心し、事件は解決となった。

無事に平和が訪れ毎日渋谷で楽しく過ごしていた蘭たちは、ある日プールへ遊びに行くことになる。プールでは蘭へ対抗心を燃やす池袋最強のコギャル本多マミと遭遇する。マミは、2位こと裕也へ密かに想いを寄せていたため、先日裕也が蘭への気持ちを伝えられずに落ち込んでいたことを知ると、蘭へ憤りを感じ、蘭にプールでのコギャル対決を挑む。遠泳や潜水など様々な対決をして1時間が経過し、体力の限界を感じても負けじと蘭へ立ち向かうマミの姿を見た裕也は、「わかったよ。マミちゃんの気持ちはよくわかったから!蘭ちゃんもスゴイけど、マミちゃんもカッチョイーギャルだと思うよ。」と仲裁に入る。マミは「男だったら思わずホレるだろ?」と言うと「うんうんホレるね」と裕也は返した。その言葉を聞いたマミは「おまえみたいないい奴、蘭にはもったいねーよ。お前2位とか言われてっけど、今んとこあたしの中では1位だぜ!ホレられたら、仕方ねーな。彼女になってやる!そのかわり、浮気はぜってー禁止!!OK!?」と言い突如マミと裕也の交際がスタートする。

第6巻

夏休みが始まり、蘭たちは全力で夏を満喫していた。美由は彼氏の大和の仕事の都合ですれ違い続きだったが、やっとデートの予定が決まり、彼女たちの恋も順調にそれぞれのペースで進んでいるように見えていた。しかし、綾と麗の関係については不穏な空気が流れていた。それは、いつも周囲に流されて自分の意見を言わない綾の姿に不満を感じていた麗が、「おまえさあ、そーやってすぐ周りに流されんのやめれば?おまえ『自分』ってもんがないわけ?」と指摘したことで、綾はさらに自信が無くなり落ち込んでしまい、そこから徐々に綾と麗の間には溝が出来ていった。一方で蘭は、夏休みの宿題を半分だけしかやらなかったことで担任の中西先生から厳しく叱られ、先生を見返そうと考え、秋の大イベントの文化祭実行委員長に立候補。そして自分たちで発足した渋谷部代表として、蘭を中心にみんなで文化祭を率先して盛り上げていく。相変わらず麗との間に距離が出来ていた綾は、麗のことで悩んですぐにいじけてしまう通称「乙幡病」を拗らせていると、同じクラスの秀才男子片瀬から優しく気遣われるようになり、弱っていた綾は気持ちが揺れ動いていた。

第7巻

修学旅行で台湾へ行くことになった鳳南高校一同。台湾に到着し観光を楽しんでいた蘭は、突然現地の大勢の若者に囲まれてしまう。その理由は、現地で大人気の女優でモデルのビビアン・リンが蘭と顔がそっくり似ていて間違われてしまったからだった。騒ぎに気付き駆け付けたリンのマネージャーも、蘭がリンではないと気付かず、逃げる蘭を追いかけていたところで蘭は本物のリンと遭遇。蘭とリンはすぐに打ち解け、リンは蘭に悩みを相談する。リンの悩みとは、芸能人が故に恋愛禁止とされているため、密かに交際している恋人のジャックとの時間がなかなか作れずに悩んでいて、仕事を無断で抜け出しているということだった。事情を知った蘭は、周囲の友達と協力して1日だけ自分がリンと入れ替り仕事をして、その間にリンがジャックに会いに行くことを提案。作戦は無事に成功し、リンはジャックと会うことが出来たのだった。

修学旅行が終わると、校内では徐々に進路を考え出す生徒も増えていた。奨学金の基準も余裕で通過出来る程の学力がついてきた美由は、担任の中西先生からこのまま勉強を続ければ短大推薦も可能だと言われ、心境が変化しつつあった。今まで特にこれといった目標はなかった美由だったが、中西先生から短大に進学するならば、保育士の資格が取得できる大学はどうかと提案され、悩んだ末に彼氏の大和に相談する。美由は、「ホントは美由、卒業したら働こうかなって思ってたんだ。短大なんか行ったら、お金かかるよね…」と金銭面での不安を話すと、大和は「そんなの、俺がなんとかするさ。美由が幸せなら俺も幸せだし、なにより美由がやりたい事をやって輝いてる顔を見てたいよ。大丈夫、俺はちゃんと将来の準備をしてるから好きな事をやりなさい」と元気づけて進学を薦めた。

第8巻

高校3年生に進級した蘭たち、そして蘭の妹・沙夜も同じく鳳南高校に入学し渋谷部へ入部。今まで以上に華やかで騒がしい日々を送っていた。校内ではメル友募集サイトが流行し、様々な情報発信をする「はーと」という名前の情報屋が話題となっていた。ある日、相変わらず麗との関係が落ち着かずに未だ溝が出来ていた綾は、実は麗が蘭のことが好きだったと察し、蘭とも距離を取ってしまう。そしてその翌日に「はーと」から「鳳南高校の寿蘭が乙幡麗を元カノ星野綾から略奪した」という内容のデマメールが一斉送信される。蘭や沙夜たちはメールの送信者である「はーと」を探ると、正体は沙夜のクラスメイトである原澤葉子だった。葉子の父は鳳南高校で学年主任を務めていて、厳格な父との関係性に葉子は悩み、ストレスを抱えた挙句リストカットなどの自傷行為を繰り返していた。そんな葉子を救いたいと考えた沙夜は、何度も優しく声をかけるが、葉子からは冷たくあしらわれていた。自分が「はーと」だとバレてしまった葉子は、自暴自棄になりビルの屋上から飛び降りて自殺を試みる。急いで後を追いかけた沙夜と蘭は、危機一髪で葉子の腕を掴み救出し保護。「死にたい」と言う葉子に、沙夜は「リストカットをした傷は、生きたいと思っている証拠だよ。どうせ…どうせ死ぬ覚悟なら、もうちょっと生きてみよ?」と涙ながらに葉子を説得することが出来た。

第9巻

高校最後の夏休みとなり勉強や恋、遊びとそれぞれの形で日々を充実させていた蘭たち。しかし、美由は住んでいたマンションの家賃を母が滞納し続け、ついに大家から退去するよう告げられていた。美由は家賃を自分のアルバイトの給料で賄おうと、大和には内緒でアルバイトを増やし必死に働いていた。だがある日、久しぶりに会った母と美由は口論となり、追い出されて別居することになる。行き場を無くした美由の状況を知り、心配した大和はすぐに美由の元へ駆け付け、これまで苦労していた美由の話を聞く。そして新居が決まるまでの間、蘭の部屋に仮住まいすることになる。一方で、蘭への気持ちが上手く伝わらずに成り行きでマミの彼氏になっていた裕也は、これまで蘭と達樹の姿を見ると複雑な気持ちがあったが、気が付くとその不快感は消えていた。「もう諦めがついたのでは?」と麗に言われた裕也は、ここで初めて蘭のことが好きだった気持ちはもう過去のものだと自覚する。裕也はその気持ちを蘭に伝えてしっかりと終わらせようと考えていたところ、マミは自分が振られて裕也は蘭に告白すると勘違いしてしまう。そこでマミは蘭に命懸けの勝負を要求し、渋谷町内会のお祭りで派手に神輿対決をする。どちらも負けじと戦っていたが、疲労が出てきたマミを心配した裕也は最終決着を収めようとすると、マミは「どうせポイされるなら、完全燃焼して散ってやる!!それだけあたしは裕也が好きだってコトだぞ!!女のチリ際その目でよーく見とけ!!バカ!!!」と威勢よく言い放った。この言葉を聞いた裕也は、「マミが俺のこと1位って言ってくれたように、俺にとっても今はマミが一番大事だよ」と伝えるとマミは勝負を放棄し、自分が勘違いしていたことを理解して2人は和解する。裕也は無事に蘭への気持ちを解決でき、マミとの愛も深まるのだった。

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