っポイ!(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『っポイ!』とは、この物語の主人公である、背が低く可愛らしい顔立ちからよく女の子に間違われる天野平と、頭が良くスパーツ万能な幼馴染の日下万里を中心に繰り広げられる中学3年生の学園青春ストーリーである。甘酸っぱい恋心・受験・友情関係・親子関係の悩みなどの思春期の複雑な心以外にも、自殺やイジメなどシリアスな場面も多く描かれているが、コメディーを織り込み誰もが楽しんで読めるように工夫されているため、同世代の子供たちの心に響く作品である。

『っポイ!』の概要

『っポイ!』とは、1991年に白泉社「LaLa」で連載が始まった、やまざき貴子の漫画である。途中、「MELODY」での連載に変わり、2010年8月28日発売の10月号で最終回を迎えた。
単行本は全30巻が発売されている。

また、日本テレビ系で、1999年5月9日~1999年6月27日(日曜日昼11:40~12:00 全8話)に、山下智久主演でドラマ化もされた。VHSやDVDの発売はされていないが、2008年7月17日にアイディアファクトリー(オトメイト)から、PlayStation 2用のソフト「『っポイ!』 ひと夏の経験!?」が発売されていた。
その他、「LaLa」と「MELODY」で連載中に、応募者全員サービスとしてドラマCD化や、ゲームの予約特典としてもゲーム内のキャストによるドラマCDが制作されていた。これらは非売品である。

東第一中学校3年D組の天野平は、身長150cmと小柄なため女の子に間違われることは日常茶飯事の男の子。3歳の時に自宅の隣に引っ越してきた日下万里は、同じクラスに通う幼馴染。学校生活でもプライベートでもいつも隣にいるのが当たり前の存在の平と万里だったが、中学3年生になった二人には大きな違いがあった。それは、学力である。万里は常に学年トップを争う優秀さだが、平は勉強は苦手で万里とは正反対の成績だった。
お互いにレベルが違う高校を受験しなければいけない現実の中で揺れ動く二人を取り巻く学校生活の中で、恋愛や友情関係、イジメや登校拒否など様々な問題が次々と起こる。平と万里はこれらの問題に巻き込まれながらも、受験という大きな壁に立ち向かっていく。同級生に誘われて入部したバスケ部では、勝ち負けにこだわる気持ちやバスケの楽しさに気付きながら、部活を通して知り合った友人たちと様々な経験を重ねていく。
『っポイ!』は、中学3年生から高校入学までの1年間を描いているが、中学3年生という多感な時期の子供達の複雑な感情や抱える悩みなど、シリアスな内容も冗談を交えながら、笑いあり涙ありの作品である。

『っポイ!』のあらすじ・ストーリー

天野平と日下万里

中学3年生の天野平(あまの たいら)は、困っている人を見捨てられない熱血気質の少年である。身長が低いことをコンプレックスにしており、顔立ちがかわいらしいこともあって同級生たちから散々にからかわれる日々を送っていた。
そんな平がどうしても意識してしまう相手が、幼馴染の日下万里(くさか ばんり)だった。万里は長身のスポーツマンで、成績も校内でトップクラス。平が密かに思いを寄せる一ノ瀬雛姫(いちのせ ひなき)も万里のファンだと言われていた。彼個人に含むところはないものの、平にとって万里は「同い年の幼馴染でどうしてこれほど差がついたのか」と思わずにはいられない人物である。

万里は近隣でもっとも偏差値の高い高校に進学すると誰もが噂しており、平との幼馴染としての付き合いも中学校までになると思われていた。それを仕方のないことと受け入れながらも寂しさを感じていた平は、しかしひょんなことから万里に勉強を見てもらえることとなり、彼と同じ高校を目指していく。
同時に、万里に負けまいと勉強にスポーツに今まで以上に取り組んでいくようになった平の周りの人間関係も大きく変わっていき、中学校最後の1年が慌ただしく動き始める。

東第一中の仲間たち

万里の教えによって成績を上げていく平は、勉強以外の面でも幼馴染に張り合いたいと考え、受験生ながら万里の所属するバスケ部へと入部する。受験勉強との二足の草鞋で成果を出しつつ、持ち前の正義感を発揮してイジメや登校拒否などの周囲で起きる問題に首を突っ込んでは解決していく。
そんな平のことを、同級生たちは次第に“男子のマスコット”ではなく“頼りになるクラスメイト”として認識を新たにしていき、彼の周りには多くの仲間が集まっていく。

平が想いを寄せる雛姫もまたその1人だった。彼女が万里に恋しているというのはただの平の勘違いだったのだが、生来引っ込み思案だった雛姫はそれを訂正することもできず、誤解が長く続いていた。しかしその平が「もっと自分の意見を前に出せ」とアドバイスしてくれたことから、雛姫は彼が気になるようになり、やがて明確な好意を抱いていく。
しかし、万里と2人で行動するようになってから人として大きく飛躍した平は、クラスの女子の間でも密かな人気者となっており、雛姫の親友である相模真(さがみ まこと)も彼に想いを寄せていた。恋と友情の間で2人は悩み、平に告白することができないまま時が流れていく。

受験前の恋模様

中学生としての日々も終わりが近づく中、平を中心にした恋愛模様にも変化が訪れる。雛姫と「抜け駆け禁止」と約束し合った真が、ふとした拍子に平に想いを伝えてしまったのである。平はこれに驚くものの、「好きな人がいる」と言ってこれを断る。
自分の恋が花と散った真は、約束を破った詫びを兼ねて、せめて親友である雛姫の恋はうまくいってほしいと彼女を荒っぽく焚きつける。自身の恋心より真との友情を取り、平に告白しないまま卒業しようと考えていた雛姫だが、これによりついに想いを打ち明けることを決意する。

しかし呼び出した場所で、雛姫がどのように切り出すべきか悩んでいる内に、平は彼女に不意打ち気味にキスをしてしまう。これに驚いた雛姫は彼を突き飛ばして走り去り、平は「フラれた」と肩を落とす。平と雛姫が想いを通じ合わせるには、まだ少しの時間が必要だった。

最後の試練と新たな門出

平と雛姫の間がギクシャクとする中、街を大きな地震が襲う。地下鉄に乗っていた平は、万里や仲間たちと共にそのまま地下に閉じ込められてしまう。
そこに集中豪雨が重なり、瓦礫の隙間から水が入り込む。平は怪我による失血で朦朧とする万里を懸命に支え、仲間たちと共にこの危機を乗り越える。

災害の中で負った傷を癒し、人々に学校へとやってきた平は、雛姫にキスのことを謝罪するなら今日がチャンスだと思い決めて彼女を探す。ようやく見つけた雛姫は、しかし平が謝るより早く「第2ボタンをください」と彼に乞う。言われるままボタンを差し出した平に、雛姫は“本命の相手にのみ渡す”とされているスカーフを渡す。
その意味を悟った平は、雛姫に「一緒に帰ろう」と声をかける。後ろをついてくる雛姫の姿をどうしようもなく愛おしく感じた平は、自分から彼女に交際を申し込む。雛姫は嬉しさに涙を浮かべながら、肯定の言葉の代わりに平の隣を歩く。

万里との勉強で成績を大きくアップさせた平は、一年前は誰もが絶望視していた万里と同じ名門校へと進学。実は万里も幼馴染との別離を寂しく思っており、その負けん気の強さを利用して、一年かけて平の学力を自分と同等にまで計画的に上昇させたのだ。
卒業と共に別れることとなった仲間もいれば、今後も長く付き合っていく仲間もいる。平は万里という最高の相棒と共に、新たな生活をスタートさせるのだった。

『っポイ!』の登場人物・キャラクター

主要人物

天野 平(あまの たいら)

出典: dengekionline.com

演:山下智久/CV:下野紘

身長150cm(後に154cmに成長)。東第一中学3年D組。バスケ部に所属している。家族や同級生からは平(へー)と呼ばれている。女の子に間違われるのは日常茶飯事。

長所:正義感が強い、物おじしない、困っている人を放っておけない。
短所:よく考えずに行動してしまう、何かとトラブルに巻き込まれやすい、勉強が嫌い。

身長が低く華奢なため、よく女の子に間違われてしまうが、実は男らしいない面である。いつも一緒に行動している幼馴染の日下万里のように背が高くなりたいという理由から、受験生にも関わらずバスケ部に入部する。クラスメイトの一ノ瀬雛姫に好意を寄せているが、万里も一ノ瀬を好きなのではないかと思いこんでしまっていて、恋愛面でも万里への複雑な気持ちを抱えてた。学年トップを争う万里と同じ高校に進学するために、苦手な勉強も万里の元で猛勉強をし、無事万里と同じ東聖高校に合格する。
意中の一ノ瀬とは、高校入学直前に付き合うことになる。家族は、祖父の大、祖母の治、父の正、母の昭、兄の和、妹の成。

日下 万里(くさか ばんり)

出典: yuki0221.exblog.jp

演:相葉雅紀/CV:緑川光

身長176cm。平の母からは万(ばん)ちゃんと呼ばれている。東第一中学3年D組。バスケ部に所属。ジグソーパズルが命。

長所:勉強、スポーツ、家事などなんでもこなす。気配りができる、人当たりが良い。
短所:裁縫

3歳の頃に天野平の家の隣に引っ越してくる。平とは幼馴染で親友。ファンクラブがあるほど学校ではモテているのだが、好きな人がいるのかどうかは平をはじめ、誰にも明かしていない。受験生にも関わらず平と共にバスケ部に入部する。中学生とは思えないほど大人びた性格と知識で、誰にも本心を話さないことから、平とケンカになることもある。しかし、常に平のことを気にかけている。
父の千歳はニューヨークへ単身赴任中で、子供ファッションブランドのデザイナーの母の真理江も忙しさから、普段自宅を留守にしている。そのため、万里の普段の食事や病気時の看病などは平の母である昭が面倒をみている。
中学卒業後は、平と花島田と鷹丘と同じ東聖高校に進学する。

一ノ瀬 雛姫(いちのせ ひなき)

出典: vndb.org

演:前田亜季/CV:堀江由衣

身長152cm。東第一中学3年D組。新体操同好会に所属。胸が小さいことを気にしている。

好きなこと:お菓子作り、ホラー
苦手なこと:人との対話

平と万里のクラスメイトで、赤面症からいつもうつむいていた女の子。平から「前向けよ!」と言われたことがきっかけで、少しずつ顔をあげ、強くなるために新体操部に入部する。徐々によく笑う女の子に変化していき、男子の間でファンクラブができるほど男子の間では注目される存在になる。物静かな可愛らしい見た目とは裏腹に、実はホラー系の怖いものが大好きで、平の祖母で小説家のテンノオサムの小説の愛読家である。クラスメイトで親友の相模真とともに平に好意を寄せてしまったため、二人の間では抜け駆けしないというルールが作られた。
卒業後の高校入学直前に、平と付き合うことになる。

相模 真(さがみ まこと)

出典: japaneseclass.jp

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