食糧人類(Starving Anonymous)のネタバレ解説・考察まとめ
『食糧人類(Starving Anonymous)』とは、原案・水谷健吾、原作・蔵石ユウ、作画・イナベカズによるパニックホラー漫画である。高校生の伊江とカズは帰宅中に何者かに誘拐されてしまう。目を覚ました伊江が目にしたのは丸々と太った人間と、それを解体する職員の姿だった。伊江は施設で出会った山引とナツネと行動を共にし、施設からの脱出しようと試みる。連載時、人間が未知の生物に飼育・捕食されるというショッキングな内容とグロテスクな描写で話題となった。
人間飼育場の中で出会った黒髪の青年。身体能力が高く、巨大生物を恐れず立ち向かっていく精神を持っている。コミュニケーション能力が低く、時には暴力を振るうことも辞さない性格。しかし、施設にいる被験体に哀れみを見せ、伊江ともコミュニケーションを取ろうとするなど、人間として真っ当な感情を持っている。彼の正体は、巨大生物の食糧安定供給のため、施設の医療部が開発していた増殖種の被験体である女性の子供。完全体の増殖種であり、中枢神経を損傷しない限り体の部位が欠損しても再生する能力を持つ。通常の人間に比べて成長速度も速く、実年齢は6歳。山引の案に乗り、二人で巨大生物を壊滅させた。
小倉年雄(おぐらとしお)
長い間、施設の天井裏に隠れて生活している男性。元は施設の秘密を暴くために職員として潜入したルポライター。巨大生物に捕食される人間を見て逃げ出し、脱出することもできずに天井裏に潜んでいた。施設内の構造や機密情報などを知っており、ナツネ達を案内する。孤独な時間を過ごしすぎたせいで性格が歪んでおり、絵で描いた女性を「裕子」と呼んでいる。裕子になりきって話すこともある。伊江たちからは「オグっちゃん」と呼ばれている。
施設の職員
和泉新太郎(いずみしんたろう)
伊江たちが連れてこられた施設・ゆりかごの所長を務める青年。人間を食糧として提供することを「必要な犠牲」として受け入れつつ、部下や職員が犠牲になることは望んでいない。従業員に対しても毅然とした態度で接するなど、所長としての威厳と責任感を持ち合わせている。伊江たちを捕らえようと画策するが、本心では施設内の巨大生物を駆逐しようと機会を伺っていた。巨大生物を地下へと閉じ込めて食糧を断ち、共喰いによる根絶を計画していたものの、あと一歩のところで妨害されて命を落としてしまう。
和泉純一(いずみじゅんいち)
新太郎の父親で、ゆりかごの前所長。かつてはエリートサラリーマンだったが、失職と離婚を経て、幼かった新太郎と路上生活するまでに追い込まれる。そこでゆりかごで働くことを決意し、息子を連れて施設内へ移り住む。やがて所長となり施設の点検による停電を利用して新太郎を脱出を画策。しかし新太郎が山崎さおりを逃してしまったことで「大粛清」が行われ、息子の身代わりに巨大生物に捕食され死亡した。
花島(はなじま)
ゆりかごの副所長。所長の思考に賛同しており、人間を食糧として提供することを「必要な犠牲」として受け入れつつ、それ以上の犠牲を望んでいない。新太郎の考えた巨大生物根絶計画の最中に、クイーンの触手による侵食を受けて新太郎を殺害。さらに施設の扉を開けて、飢餓状態の巨大生物たちを地上へと開放してしまう。その後はクイーンの代弁者として操られ、巨大生物たちの正体と目的を語った。
上原(うえはら)
施設の一般職員。元は売れない漫画家であったが、漫画家として生きて行くことに限界を感じ、施設のスカウトに応じて働き始めた。
山崎(やまざき)
施設の一般職員。施設での生活に対する不満が上層部の耳に入り、不要と判断されて巨大生物の食糧にされてしまった。
山本(やまもと)
通称「ヤマちゃん」と呼ばれる職員。巨大生物の生餌とされてしまう。
夕凪の会関係者
桐生龍三(きりゅうりゅうぞう)
夕凪の会の会長。施設内でトラブルを起こした者を構成員に引き込み、人体改造を行う。施設内では銃火器の所持が禁止されているからこそ、人体改造による肉体の強化の正当性を主張する。かつては大学教授であり、遺伝子学の研究をしていた。研究生であった山引の数々の発見を自身の成果として発表し名声を得ていたが、事故に見せかけて殺害を試みる。しかし彼を殺すことが出来ず、山引に傾倒していた娘が原猿の遺伝子を取り込み、ほぼ小型猿の姿になってしまう。圧倒的な敗北感を味わわされ、ゆりかごの施設に拾われる形で研究者となった。伊江たちを捕えて改造手術を行おうとするが、ナツネと山引に阻止される。山引との再会で本性をさらけ出し、構成員たちにも罵声を浴びせる。それに逆上した構成員たちの手によって八つ裂きにされて死亡した。
その他の人物
桐生有希(きりゅうゆうき)
桐生の娘であり、研究室の研究生だった。山引に心酔し、彼の後を追うように自身も放射線を浴びてそれを治療しようと他の生物の遺伝子を移植した結果、小型猿のような姿になってしまった。
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目次 - Contents
- 『食糧人類』の概要
- 『食料人類』のあらすじ・ストーリー
- 謎の施設で目にした恐怖
- ナツネの正体
- 反旗をひるがえす者
- 巨大生物との決着
- 『食料人類』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 伊江(いえ)
- カズ
- 山引(やまびき)
- ナツネ
- 小倉年雄(おぐらとしお)
- 施設の職員
- 和泉新太郎(いずみしんたろう)
- 和泉純一(いずみじゅんいち)
- 花島(はなじま)
- 上原(うえはら)
- 山崎(やまざき)
- 山本(やまもと)
- 夕凪の会関係者
- 桐生龍三(きりゅうりゅうぞう)
- その他の人物
- 桐生有希(きりゅうゆうき)
- 山崎さおり(やまざきさおり)
- 新野めぐみ(しんのめぐみ)
- 西島(にしじま)
- 大津(おおつ)
- 山引の母
- 『食糧人類』の用語
- ゆりかご
- 巨大生物
- クイーン
- 生殖種
- 増殖種
- 夕凪の会
- 『食料人類』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 山引「永遠とも思える永い間死ぬほどの苦痛に耐えられることができれば奴らを根絶やしにできる」
- ベンチに刻まれたメッセージ
- 『食糧人類』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 衝撃作を生み続ける鬼才コンビ
- 原作小説の存在