ゼロから始める魔法の書(ゼロの書)のネタバレ解説・考察まとめ
『ゼロから始める魔法の書』とは、電撃文庫より出版された、虎走かける著・しずまよしのり絵のライトノベル、およびそれを原作としたマンガ、アニメ、ゲームである。「獣堕ち」と呼ばれる半人半獣の主人公「傭兵」と、世間知らずの魔女「ゼロ」が、世界を滅ぼすほどの力を秘めた魔法の指南書「ゼロの書」を探す物語。1~10巻までの本編と、後日談である短編集を合わせた全11巻まで刊行されている。2018年より講談社ラノベ文庫から続編である『魔法使い黎明期』のシリーズが開始された。
背徳
神父と同じ「女神の浄火(デア・イグニス)」の裁定官であり、「墓掘り人」の異名を持つ女性。「背徳」の罪業の名で呼ばれているが、本名はクレセンティア。もともとは有力な貴族の娘であったが、他人を傷つけることに快楽を見出す異常者であり、正当に人殺しができる「女神の浄火(デア・イグニス)」に入るため自ら死刑囚となった。巨大なシャベルを武器にしており、切り札は「啄木鳥(ピークス)」と呼ばれる連射式小口径砲台、いわゆるガトリング砲である。神父に対して盲目的な恋心を抱いていたが、その神父によって殺される。
ノックス大聖堂
泥闇の魔女
穴蔵にて、ゼロと十三番に魔術を教えていた師匠であり実の母。魔女が統べる世界を作りため「不完全な数字(セストゥム)」を率いて魔法を広めていた。最上位の悪魔である「名もなき悪魔の王」と交わり、ゼロと十三番を授かった。圧倒的な力と、目的のためならば味方や我が子にも手を出す冷酷さを持っている。大陸中の獣堕ちに悪魔を憑依させる大魔法を行使し、世界を崩壊へと導いたが、ゼロと傭兵の手によって目的は阻止される。
ジェマ
遠征部隊の隊長であり、教会騎士団に所属する女騎士。教会に対する強い信仰心を持っており、男勝りな性格をしている。実はジェマの父親は傭兵によって殺されており、そのことをジェマ本人は知らない。血気盛んで勇猛だが、戦況を理解し的確な判断を下せる冷静さや、獣堕ちや魔女であっても志が同じならば仲間とする懐の広さを兼ね備えている。まだ年若いことや、女であることから、隊長に選ばれた際には騎士団でもあまりいい顔をされなかった。
悪魔
万里を掌握せし千眼の哨(ばんりをしょうあくせしせんがんのしょう)
遠く離れた場所の出来事であっても見通すことができる力を持つ悪魔であり、虫の獣堕ちの体に乗り移っている。ニエドラ砦の禁書館で「館長」を名乗り、集まった人々を支配していた。知識を集めることに並々ならぬ執着心を見せており、現世にとどまることを望んでいる。ゼロの作戦によって人間の体に戻ったものの、悪魔は留まり続け、「千眼」の力をゼロ達に利用されている。
名もなき悪魔の王
ゼロが召喚し、何の対価も払わずに契約を行った最上位に位置する悪魔。特有の能力は持たないが、自分より下位の悪魔の能力を使うことができる。ゼロがウェニアス王国に〈却下〉の魔法を使う際に傭兵の体に呼び下ろし、そのまま傭兵の体の中に留まり続けていた。もともとは泥闇の魔女と契約を交わしており、泥闇と自身の間にもうけた子供がゼロと十三番であった。しかし最後は泥闇の魔女が望む理想の世界より、ゼロが選択し見出す未来を選び、泥闇の魔女を殺した。
『ゼロから始める魔法の書』の用語
魔術
魔法陣、呪文、生贄を用いて悪魔を召喚し、その悪魔と契約をすることで様々な現象を引き起こさせる学問。上位の悪魔であればあるほど、魔術にかける時間や労力はかかり、生贄も相応のものとなっていく。また、魔術に用いる魔法陣とは悪魔から術者を守る結界のような役割も持っており、これが不完全だと命の危険に晒されることもある。そのため、魔女や魔術師が最初に行うのは完璧に近い円を描く訓練である。儀式を行っている間は完全に無防備になり、時間も手間もかかるため汎用性は高くない。ウェニアス王国が魔女たちとの闘いで勝利を収めたのも、この魔術の使い勝手の悪さが原因とされている。また魔術とは学問である以上、魔女たちによっては研究分野や行動方針に違いが生じ、それが後に泥闇、詠月、星瞰といった系統に分かれることになる。
魔法
ゼロが生み出した全く新しい技術であり、「悪魔の契約法則」の略称でもある。そもそも悪魔の力を借りるのに、わざわざ悪魔を召喚しなければならないという考え自体が間違いであり、魔法陣や生贄といった、すべての無駄な部分を削ぎ落して完成したものが魔法である。悪魔を召喚するための複雑な手順や、悪魔から術者を守る結界を形成する必要がなくなるため、才能がある者なら5年で習得可能であり、上達すれば呪文の詠唱を省略することも可能となる。魔法を行使するための呪文は、小さな火を起こす〈掌火(レクス)〉という魔法を例に挙げると、「カーロ・ライ 火よ宿れ 狩猟の章・第一項 〈掌火(レクス)〉 承認せよ――我はゼロなり」というような形になり、3つの要素で成り立っている。「カーロ・ライ」で、該当する悪魔へ働きかけ、「火よ宿れ」で自分自身を導く明確な意思表示をし、最後に術名と自分の名前を唱えることで一種の補助のような役割を担っている。
魔女・魔術師・魔法使い
「魔女」という呼び方は、一般に広まっている「魔術を使う者たち」を指す言葉であり、この時は魔術を使う女だけでなく男も該当する。しかし学問としても魔術では、魔術を使う女を「魔女」、魔術を使う男を「魔術師」と呼び分けているが、一般にはあまり知れ渡っていないため、おおよそ「魔女」で統一されている。一方「魔法使い」とは、魔法国家となったウェニアス王国と魔女との共存を認めた教会が生み出した新しい概念であり、「魔法を使う者たち」という意味である。この場合は男女による差はなく統一することでわかりやすく表現している。
ゼロの書
ゼロが執筆した、魔法の基礎理論と悪魔の名前、能力、呪文、対価を記した魔法の指南書。「狩猟の章」「捕縛の章」「収穫の章」「守護の章」の全4章から構成されており、才能さえあれば誰でも魔法が使えるようになる。ただし、素人が使うには危険すぎる魔法も多数記載されているため、その安全策として、わざと呪文の誤記や誤植をそのままにしている。また、ゼロの魔法を打ち消す魔法である〈却下〉や、サナレが新しく生み出した死霊魔法など、ゼロの書に記載されていない魔法も多数存在する。
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目次 - Contents
- 『ゼロから始める魔法の書』の概要
- 『ゼロから始める魔法の書』のあらすじ・ストーリー
- ゼロの書
- アクディオスの聖女
- 黒竜島の魔姫
- 楽園の墓守
- 詠月の魔女
- 禁書館の司書
- ゼロの傭兵
- 『ゼロから始める魔法の書』の登場人物・キャラクター
- ゼロ
- 傭兵
- ウェニアス王国
- アルバス
- ホルデム
- ソーレナ
- 十三番
- 七番
- アクディオス
- フェーリア
- カル
- テオ
- サナレ
- 神父
- 黒竜島
- アムニル
- ラウル
- ゴーダ
- アルゲントゥム
- テルゼム
- リーリ
- 背徳
- ノックス大聖堂
- 泥闇の魔女
- ジェマ
- 悪魔
- 万里を掌握せし千眼の哨(ばんりをしょうあくせしせんがんのしょう)
- 名もなき悪魔の王
- 『ゼロから始める魔法の書』の用語
- 魔術
- 魔法
- 魔女・魔術師・魔法使い
- ゼロの書
- 獣堕ち
- 『ゼロから始める魔法の書』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ゼロ「――戻りたいのか?人間に」 傭兵「――戻れるのか?人間に」
- アルバス「子どもが悪夢に怯えたときに安らかな眠りを誘う魔法、泥棒が出たときに捕まえる魔法、そんな書き方がしてあって――けど誰も、ゼロの思惑通りに魔法を使わなかった」
- ゼロ「君は、我輩一人では知り得なかったことをもたらしてくれるな」
- ゼロ「ゼロの魔法書、あれは我輩の本であり、我輩の罪だ。その始末をつけるために手を汚さなければならないのなら、我輩はこの手を汚すことを選ぶ」
- 『ゼロから始める魔法の書』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 小説投稿サイト「小説家になろう」にて後日談が投稿されている
- 講談社ラノベ文庫にて、続編『魔法使い黎明期』のシリーズが開始
- 『ゼロから始める魔法の書』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):たぴみる『発見者はワタシ』
- ED(エンディング):Chima『はじまりのしるし』