恋のツキ(漫画・ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『恋のツキ』とは月刊『モーニングツー』にて連載された大人の恋愛を描いた作品である。作者は新田章。2018年よりテレビ東京ほかにて実写ドラマが放送された。31歳フリーターの主人公平ワコ。結婚適齢期になる彼女は、同棲中の彼氏との生活や将来に、当たり前の毎日に不満を抱いていた。そんな時、バイト先に現れた男子高校生の事を好きになってしまう。結婚を考える彼氏と、ときめきをくれる男子高校生の狭間で揺れ動くアラサー女性の、人生の選択に迫る崖っぷちラブストーリー。

『恋のツキ』の概要

『恋のツキ』とは2012年から2019年に月刊『モーニングツー』にて連載されていた大人の恋愛を描いた作品。自分の本能の赴くままに、色んな男性と体の関係を持つ女子高生と、そんな女の子を好きになってしまった男の子の恋愛を描いた前作『あそびあい』で注目を浴び始めた新田章が描いている。実写ドラマ化もしており2018年からテレビ東京ほかにて放送されていた。主人公平ワコを徳永えり、恋人のふうくんを渡辺大知(黒猫チェルシー)、男子高校生伊古ユメアキを神尾楓珠が演じる。漫画とドラマでは違う結末を迎えるのだが、ドラマオリジナルキャラクターで「ゲスの極み乙女」の川谷絵音も出演していて、“ほとんど自分に近い設定だったのでやりやすかったですし、演技をしているというより、自分を撮られているみたいな感覚に近かったのでその自然な感じを見ていただけたらな“とコメントを残しており話題となった。川谷絵音は、ワコとイコくんが共通して好きな映画監督であり、ワコが働いているイデヲン座で過去にアルバイトをしていた。若くして数々の映画で賞を受賞し、注目を浴びている映画監督、沖原隠光を演じた。
30歳になれば女は結婚して、子供作ってが世間の当たり前。31歳になった主人公ワコは、周りがなれている当たり前にまだなれずにいた。同棲中の彼氏ふうくんとは付き合って4年、同棲して3年になる。出会った頃のときめきも、生活も色褪せていたけれど、これまでの人生において誰にも必要とされてこなかったワコにとって、ふうくんを手放した後、また誰かに選んでもらえる自信がなく妥協していく生活が当たり前になっていた。そんな中バイト先の映画館で男子高校生のイコくん(伊古ユメアキ)と出会う。”ハズレ”ばかりを引いてきたワコは、映画好きであるところや趣味趣向が似ている彼に運命的なものを感じ、些細な関わりをきっかけに仲良くなり、浮気をしてしまう。互いに惹かれ合う中、ふうくんからは結婚の話を持ち出される。年相応の当たり前をくれる目先の結婚を選ぶのか、趣味趣向も同じでトキメキや楽しさを共有できる焦がれるような恋愛を選ぶのか、アラサー女の崖っぷち人生を描いた、心に刺さる大人の恋愛漫画である。ワコが迎えた人生の分かれ道の先には幸せが待っているのだろうか。彼氏の小さな不満要素や、生きずらさのあるアラサー女子に共感できるという読者が多く、幸せになるにはそう簡単じゃないことを目の当たりにさせる。

『恋のツキ』のあらすじ・ストーリー

同棲生活

ガチャガチャが好きな主人公ワコ。これまでの人生で”ハズレ”ばかりを引いてきた彼女は、いつか巡ってくる運を実感したいとリサに話していた。リサは彼氏(ふうくん)の大学時代の先輩であり、頼れるお姉さん的な存在である。

リサは結婚していて、子供のことも考えているそうだ。ワコは結婚を考えていないというわけではなかった。同棲中の彼氏とは付き合って4年、同棲して3年になる。だから、なんとなくこのまま結婚するのではないかと思っていた。来月親に挨拶しに行く約束もしていた。この選択肢が”当たり”なのかもうよくわからなくなっていたが、お互いの年齢を考えるとこれからもずっと一緒にいる事が妥当なんだと、不安を抱きながらも過ごしていた。

運命の出会い

映画館で働くのに憧れていたワコは、近所のレトロな映画館でアルバイトをしていた。プロポーズされたわけではないが、なんとなく結婚する雰囲気になっていたので、バイトは辞めるようふうくんに圧力をかけられていた。
そんな時、バイト先の映画館(イデヲン座)にギプスをした男子高校生が現れた。その男子高校生はワコの好みの顔をしていた。彼はワコも気になっている映画のポスターを見ていた。彼の靴を見ると、自分と同じスニーカーを履いていた。入場口で受け取った映画のチケットを落としてしまい、慌てて渡した手が触れ合った。こんな些細な事からワコは彼の事が気になっていくのであった。
映画が終わり、掃除をしに入った会場で彼は寝ていた。落ちていた学生証を見て、高1だという事に落ち込んだ。慌てて帰った彼に、学生証を渡しそびれてしまう。ワコはこの男子高校生との出会いを期待しているわけではなかったが、今日の出来事を運命と結びつけ、恋心の様な感情を抱くのであった。
打って変わってふうくんとの生活は堕落していくばかりで、新しいコーヒーを買っていない事をグチグチ言われ、「夏祭りに行かない?」と誘っても疲れているだろうしと断られてしまった。
再びバイト先にあの男子高校生が現れ、学生証が落ちていなかったかと尋ねてくる。すぐ返す事もできたが、関わりを持ちたくて学生証はなかったと嘘をつき、連絡先と名前を聞き出した。彼の名前は伊古ユメアキ(イコくん)という。
転校してきたばかりだったイコくんは、今日が夏祭りだった事を知らなかった。ふうくんに断られた事もあり、一緒に行こうと誘う。屋台を回り、2人ではしゃいで楽しんだ。

デートの誘い

ワコは学生証を返す為イコくんに電話をかけるが、偶然手に入ったチケットの映画を一緒に見に行かないかと誘ってしまう。バイト先の女の子(水野)に偶然その電話を聞かれてしまったが、彼氏との電話だと勘違いされた。彼女にはいつもふうくんの愚痴をこぼしていた事があったので、「愚痴を言いながらも何かと仲良いんですね」と言われた。
水野に電話の相手は女友達で、その友達が彼氏以外の人と2人で映画に行く約束をしたらしいが、これは浮気なのだろうかと尋ねてみた。「セーフかアウトかを判定するのは彼氏さんですね」と返されてしまい、ワコは苦笑いするしかなかった。

浮気

イコくんとの約束当日、会って早々に学生証を返した。
映画を見終わった2人はカラオケへ移動した。2人きりの空間に緊張したからなのかイコくんはコーラをこぼし、ギブスにかかってしまった。肩から下げている包帯を取ってあげると、距離が近くなってしまったせいか恥ずかしそうに股間を隠した。それに気づいたワコは浮気はどこからだっけと思いつつ、カラオケの中で淫らな行為に及んでしまった。だがイコくんは逃げ帰ってしまう。
家に帰るとふうくんが待っていた。イコくんとしたことに罪悪感を感じ「ごめん」と漏らした。イコくんとはもう関わらないと決意する。バイト先に来たイコくんを冷たくあしらって自分を押し殺そうとするが、欲を抑えきれず2人きりで会ってしまった。
だんだん甘い雰囲気になりホテルに行くと、ベットに寝転びキスを交わす。幸せな時間が流れる中、イコくんに自分の事をどう思っているのか聞かれ、今更だけど付き合ってと告白される。イコくんに彼氏はいないと嘘をついてしまっている為、返答を先延ばしにしてしまった。

浮気疑惑

家に帰るとふうくんが機嫌悪そうにしていた。昨晩携帯の電源を切っていたことを聞かれ充電が切れてしまったと嘘をつく。
お風呂に入っていると携帯が鳴り、無理やり電話に出させられた。電話からはイコくんの声が漏れ緊張が走る。「浮気しちゃった?」と問い詰められるが、誤魔化した。これをキッカケに、ふうくんは疑う目で見てくるようになった。
それ以来、イコくんとは連絡が取りづらくなってしまうが、街中で偶然会い家に誘われる。告白の返事を聞かれた為彼氏がいることを正直に話すと、当然イコくんは怒った。ワコは彼氏と別れると泣きつくが、ふうくんと過ごしてきた4年間を簡単に手放す事が出来ないのだった。

浮気発覚

イコくんと話をする為彼を神社へ呼び出した。別れていない事を察したイコくんは、好きじゃない人と結婚するのかと攻めた。結婚の事を考えると簡単な話じゃないと話していると、ふうくんが現れ修羅場になった。
立ち去るふうくんを追いかけるが相手にして貰えなかった。彼は何日も家に帰らなかった。ワコは、自分がしてきたイコくんとの出来事を心底悔やむのだった。
一方ふうくんは知人の家で愚痴を聞いて貰っていたが、疎かにしてきたワコとの生活を見直すよう説教され、自分にも非があったことに気づく。
ふうくんはワコが待つ家に帰る。ごめんなさいと泣きくずれるワコ。もう一度やり直そうと、これまで以上にお互いを思いやり努力をする2人であった。

二股

映画館は閉館する事になった。営業最終日にイコくんが訪れ、二股でいいから付き合ってと迫ってきた。ワコはイコくんの手を払い除ける。しかしイコくんも引かず、「なんでボクの事嫌いって言わないんですか?」と聞いてきた。キライと言いかけるワコの邪魔をするかのように、イコくんはほっぺにキスをする。映画館の備品室で半ば無理やり迫ってくる彼の本気を感じ、ワコは嬉しくなって思わず「好き」と漏らしてしまう。イコくんはそこに付け込み、2人は求め合った。

その日の帰り道、イコくんとの出来事にまたときめいてしまっている自分がいた。忘れなきゃと頭の中で何度も言い聞かせる。

家に着くとふうくんが怒っていた。まだイコくんとのことを疑われているようだった。

もとどおり

ふうくんとの生活がいつの間にか元通りになっていた。
イコくんからはあれから何度かメールが来ていたが、全部無視するようにしていた。しかし、ふうくんとの生活が疎かになり不満が溜まっていた事もあって、再びイコくんと会ってしまう。それ以来時間を見つけてはイコくんと会っていた。

さよなら4年間

イデヲンで一緒に働いていた水野から久しぶりに電話がきた。映画関係の手伝いをしないかと誘われたけど断った。その事をふうくんに話してみたが「就活から逃げるなよ」と釘を刺された。「どうせワコには作る才能も情熱もないんだからさ」と、その言葉に引っかかる。ふうくんはワコの事を下に見ているような言動がこれまでもあり、いろんな事が一気に爆発した。
ワコは土下座をしながらふうくんに「別れてください」と言った。動揺するふうくんは、浮気が続いていたのではないかと問い詰めるが、2人の生活を雑にしてきたことを心底悔やんで欲しかったので、本当のことは絶対に言わなかった。
ワコはネカフェで寝泊まりして、ふうくんが会社へ行っている間に荷物を片付けに戻っていた。しかしタイミングが悪くふうくんと会ってしまう。やり直そうと言ってきたが手を払いのけた。ふうくんへの気持ちはもうなかった。

新しい生活

新居が決まり引っ越し作業が終わる。早速イコくんに連絡してみたが、電話にでない。文化祭の準備をしていたイコくんは携帯を壊してしまい、連絡の手段がなくなってしまったのだ。ワコは仕方なく文化祭に行くことにする。
高校生と関係を持ってしまっている後ろめたさや、活気のある生徒たちに引け目を感じながらも校内を探していると、前から女友達(サカキ)と楽しそうに歩いて来るイコくんの姿が見えた。不安そうに声をかけると、会えた事が嬉しかったのか喜んでくれた。しかし、学校でのイコくんを目の当たりにすると、自分が32歳のおばさんなことや、堂々と彼女だと言えないことにモヤモヤした。
連絡が取れるようになったのでイコくんを家に招いた。彼氏と別れたことを報告して、やっと付き合うことになった。ワコは就職も決まり、幸せな日常が続く。
しかし、ワコは新しい会社に馴染むのに必死で、イコくんは映画の撮影を始め忙しくなる。2人は少しずつすれ違っていくのだった。

元彼と再会

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