日本沈没2020(アニメ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『日本沈没2020』とは小松左京の小説『日本沈没』を原案としたNetflix配信のオリジナルアニメ作品、全10話。監督は湯浅政明。ジャンルはSFパニックで架空の2020年東京オリンピック終了後が舞台。日本で巨大地震が発生し、都市機能が崩壊する。未来のオリンピック選手として有望視されていた中学生の武藤歩は倒壊した東京を捨て、両親や弟とサバイバルしながら日本を旅する中で様々な人との出会いと別れを繰り返していくが、日本列島沈没はすぐそこまで近付いていた。

8話にて、死を覚悟してモーターボートの舫い綱を解きに海にとびこんだマリが子供たちに残した言葉。剛の名前は英語で前進や出発を意味する「GO」にひっかけてあり、歩と実質的に同じ意味だった。両親は娘と息子がどんな困難な状況でも前へ進めるようにと願いをこめ、2人に命名したのだった。母親の深い愛情が伝わるセリフ。

「私はようやく気付いた それがこんなタイミング どこでよりもだれとの方がずっと大事 私はここにいる人がいればそれで生きていける ここが私の大地 アースだサンキュー!」

9話にて、カイトに挑発されて歩がラップで唄った言葉。日本嫌いの剛と日本を支持する春生の板挟みになった歩は、どちらにも賛同せず、今の自分の正直な気持ちを歌にして紡ぐ。過酷な旅路を通し、今この場にいる面々も含め様々な人々に助けられてきた歩は、どこで生きるかよりも誰と生きるかのほうが大事だと漸く気付く。

「今こそ俺の出番」

日本を救うデータを詰め込んだスマホを体当たりで取りに戻る春生。

9話にて、波に持っていかれそうになったスマホを全速力で取りに戻った春生の魂の叫び。春生は元陸上のスター選手だったが、スランプで挫折し、以来ひきこもりになっていた。しかし歩たちとの旅を通して次第に生きる活力を取り戻し、小野寺の研究データを保管したスマホを10秒以内に取りに戻れるのは自分しかいないと、一世一代の賭けにでる。この賭けは成功するかに思われたが、あと一歩のところで春生は波に呑まれ死亡してしまった。

「私の名前は歩。どんな時も前を向いて進むようにと父母の願いから名付けられた。私は私を生かし、私達の礎となった賢明なる人々の想いとともに生きる。これから先生まれてくるであろう賢明なる人々の為に」

10話にて、歩の自伝『はじまりの朝』に書かれた文章。8年後、パラリンピックの日本代表になった歩は自分が今ここに在るのは賢明なる人々の助力のおかげと感謝し、自分もこれから先生まれてくるであろう子供たちに日本の誇りを伝えていこうと決意する。たとえ国土を失っても歩たちが忘れない限り日本という国の記憶は綿々と受け継がれていく、次世代への希望を感じさせる言葉。

『日本沈没2020』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

10話にてマリが歩と剛に読み聞かせていた絵本、『あなたがとってもかわいい』は実在する

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10話にて、アーカイブから発掘された映像を歩と剛がパソコンで見ているが、この時マリが子供たちに読み聞かせている絵本『あなたがとってもかわいい』は実在する。みやにしたつやが文章と絵を担当し、金の星社から出版されている絵本で、赤ちゃんの頃から子供を見守ってきた母親の愛に満ちた心情が綴られている。

湯浅監督が母親のマリを外国人にしたのは、「ナショナリズムの作品にしたくない」という思いからだった

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湯浅監督はインタビューにて、母親のマリをあえてフィリピン人にした理由を「ナショナリズムの作品にしたくない、という思いからです」と語る。たまたま日本に来ていた外国人と、先祖代々日本で生まれ育った日本人では災害への感じ方も異なる。湯浅監督は家族の1人をフィリピン人にすることで、彼女の目を通して見た日本と、日本で生まれ育ったハーフである歩の目から見た日本を対比させようと企んだ。

本作のキーパーソンである小野寺は、小松左京原作の『日本沈没』にも登場している

本作のキャラクターは原作小説である小松左京の『日本沈没』と基本重複してないが、唯一の例外として小野寺俊夫が登場している。小松左京の『日本沈没』は大勢のキャラクターが登場する群像劇だが、その中でも日本列島の沈没を防ごうと奔走する主人公格として、小野寺とその相棒の田所雄介がいる。本作の田所は名前のみ言及されるが、原作では小野寺と並ぶ重要人物である。

本作のスピンオフ企画としてカイト役の小野賢章やバーチャルシンガーの花譜らがラップを唄うプロモーションビデオがYouTubeで公開される

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7月16日、Netflixは本作のスピンオフプロジェクト『シズマヌキボウ』の一環として、同名楽曲のプロモーションビデオをNetflixJapanの公式YouTubeチャンネルにて配信した。これはカイト役の小野寺賢章やバーチャルシンガーの花譜らが己の悩み、そして肌の色や思想で差別される社会の矛盾をラップで唄うもので、プロモーションビデオ内にはアニメ本編の映像も挿入されている。

『日本沈没2020』の主題歌・挿入歌

主題歌:大貫妙子&坂本龍一『a life』

作詞:大貫妙子、作曲:坂本龍一、歌:大貫妙子

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