うちのメイドがウザすぎる!(ウザメイド)のネタバレ解説・考察まとめ

『うちのメイドがウザすぎる!』とは中村カンコによる漫画作品。2018年10月にはアニメ化された。
2016年に『ピュア百合アンソロジー ひらり、』で『つばくま!』というタイトルで連載が始まったが、雑誌の休刊によって『月刊アクション』に移籍し、現在のタイトルに改名された。
母親を亡くしたロシア人小学生・高梨ミーシャと、彼女の家にやって来た家政婦・鴨居つばめの日常を描いており、ストーキングなどつばめの奇行に辟易しながらも、母親の死を乗り越えて明るい性格になるミーシャの成長が見どころである。

『うちのメイドがウザすぎる!』の概要

『うちのメイドがウザすぎる!』は中村カンコによる漫画作品。

元々は新書館から発行されていた雑誌『ピュア百合アンソロジー ひらり、』において『つばくま!』というタイトルで連載されていたが、雑誌が休刊したため『月刊アクション』に移籍し、タイトルも『うちのメイドがウザすぎる!』に改められた。
2018年10月にはアニメ化され、新たなファンの開拓に成功している。

母親を亡くし、血の繋がりがない父親と暮らす高梨ミーシャと、彼女のところに家政婦としてやって来た鴨居つばめの日常を描いた作品である。
但し、主人公の一人であるつばめは重度のロリコンであり、ストーキングや盗撮などの行為をミーシャに対して平気で行うだけでなく、前職である自衛官として鍛えられた肉体を活かした常人離れした身体能力を見せ付けるシーンが多々あるので、日常ものというよりは「日常ものという名の皮を被ったギャグ漫画」と表現する方が適切である。

また、作者である中村カンコのプロフィールには「幼女と筋肉とかわいい動物をこよなく愛する。」と書いてあり、この作品には金髪の美少女(幼女)、筋肉ムキムキのメイド、人間の言葉を理解するかわいいながらも異常に知能の高い動物が登場するため、作者の好きな要素が全て入っている。

余談だが、原作のサブタイトルは『一戦目!』『二戦目!』と話数を漢数字にしたサブタイトルになっているが、2018年10月に放送されたアニメでは『うちのメイドがいない家』『うちの元メイドはお嬢様』と、基本的に『うちのメイド』という言葉が入っている。

『うちのメイドがウザすぎる!』のあらすじ・ストーリー

『うちのメイドがウザすぎる!』 - やって来た変態家政婦

仕事を辞めて地元の東京に戻って来た鴨居つばめは、職探しのためハローワークに赴くが、彼女が希望する「白人美幼女に私の作ったフリフリのお洋服をとっかえひっかえ着せてキャッキャッウフフする仕事」など紹介して貰えるはずもなく、敢えなくハローワークの職員から追い返されてしまう。

自分の希望する仕事が見付からずに嘆くつばめだが、目の前に飛び込んで来た「家政婦さん急募」という貼り紙に足を止める。

その家は以前帰省した時に発見した、つばめの好みを体現したロシア人の金髪幼女が暮らす家だった。

例の金髪幼女の元で働けると一瞬喜ぶが、もしかしたら引っ越して別の家族が暮らしているかもしれない、とつばめは電柱に登って部屋を覗き、部屋の窓から件の金髪幼女が部屋にいる事を確認すると、喜び勇んで家の呼び鈴を押す。
つばめを出迎えたのは高梨康弘という人の良さそうな男性だった。

仕事内容として説明された「炊事、洗濯、子守り」の「子守り」が気になりつばめは康弘に疑問をぶつけるが、康弘に「ちょっとだけお転婆なんです」と表現される彼の娘が、家政婦に対してバナナの皮を仕掛けたり洗濯物に火を放ったりするといったイタズラ(後者は犯罪)を仕掛けて追い出していたことを聞かされる。

そのため康弘は娘と家政婦の関係にも悩んでいたが、つばめは康弘が雇用の条件として挙げていた頑丈さとタフさには自信があると胸を張る。
そんなつばめに対して、密かにリビングに入って来た例の金髪幼女がいきなりつばめに泥水を浴びせる。

「ミーシャ!」と、娘の行動に驚く康弘だが、ミーシャはつばめに対して「この家に…家政婦なんかいらない!!」と叫ぶ。
手の負えないミーシャのやんちゃぶりに、普通なら家から出て行くところだが、つばめはそれに動じる事なく、自身が元自衛官である事を明かし、過去に偶然通り掛かった高梨家の庭を覗いた時からずっと会いたかったミーシャを抱き締めて喜ぶ。

ミーシャにとってつばめは電柱によじ登って自分の部屋を覗く不審者であり、どんな手を使ってでも追い出すつもりだった。
だが、つばめはミーシャが風呂に入る前にバスタブの中で待ち構える(一緒に入りたかったので先回りしていた)などの奇行を続け、ミーシャはつばめに対して恐怖を抱く。
風呂場で見た鍛え抜かれたつばめの腹筋に「勝てない!むり!」と怯えながらも、亡くなった母親の思い出が詰まったこの家を守るために改めてつばめを追い出す決意を固めていた。
翌日からつばめの仕事が始まるが、早朝からメイド服で街中を歩くつばめは非常に目立っており「日の高いうちからデリヘル」と近所の住人から噂されていた。
つばめに悪気がない事は理解しつつも、根も葉もない噂で盛り上がるご近所さんの冷たい視線に康弘は頭を抱えながら出勤する。

仕事に向かった康弘を見送るとつばめは洗濯を始めるが、一方のミーシャは偵察のためフェレットのクマゴローにスマホを持たせ、クマゴローの撮影する映像からつばめの行動を監視していた。

何か怪しい事をしたら康弘に見せてクビにさせるとミーシャはつばめの行動に目を光らせるが、つばめは自分を監視するクマゴローと、カメラの先で映像を見ているミーシャに気付いており、クマゴローを捕まえるとカメラ越しのミーシャに笑顔で挨拶する。

元々つばめに恐怖心を抱いていたミーシャを震え上がらせるにはこの挨拶だけでも十分だったが、つばめは恐がるミーシャに追い打ちを掛けるかのように、洗濯した時に気付いた下着の染みから「トイレの後はもうちょっと丁寧に拭いた方がいい」という余計な事まで言ったため、ミーシャのつばめに対する恐怖心は更に増していた。

お昼時になり、つばめがミーシャの部屋に昼食を持って来た。

ミーシャはつばめが入って来ないよう部屋に鍵を掛けており、徹底的につばめを拒否する姿勢を見せていたが、つばめが作ったカレーの匂いが部屋に入って来ると、食欲と空腹には抗えず「あの女は嫌いだがカレーに罪はない…!」と部屋の前に置いておくよう告げる。

ミーシャと一緒にカレーを食べたかったものの、最後まで自分と会いたがらないミーシャに根負けしたつばめは料理を置いて部屋の前から立ち去る。

クマゴローを外に出してつばめがいない事を確認させると、ミーシャは部屋から出て料理を受け取ろうとするが、鍛え抜かれた肉体を活かして天井にしがみつくという人間離れしたパフォーマンスで自分達の行動の一部始終を見ていたつばめに捕まってしまう。
「かわいいから仲良くなりたい」という実にシンプルな理由でミーシャに過剰なアプローチを仕掛けるつばめだが、外国人故に目立つ外見だけを見られる事が嫌いなミーシャは「こいつも自分の外見を見て興味を持った」とつばめを拒絶する。

しかし、筋金入りの幼女好きであるつばめはミーシャの拒絶にめげず、幼女への愛を気持ち悪いくらいに熱く語るが、ミーシャはつばめの幼女語りに夢中である隙にカレーを持って部屋に入る。
邪魔する者がいなくなったところでカレーを食べるが、つばめの作ったカレーの味は絶品で「あいつ頭おかしいけど料理うまいな!」と、初めてつばめを褒める。

そのつばめは電柱によじ登ってミーシャの食事を見ており、家の中であろうと外であろうと四六時中つばめに付き纏われてミーシャの気が休まる時間はなかった。
その夜、つばめからの終業報告でミーシャと打ち解ける事が出来たというメールを受けて喜んで帰宅した康弘だが、彼を出迎えたミーシャの顔は疲れ切っており「明日なんて…こなければいいのに…」と暗い顔で部屋に戻った。

翌日、体操服にブルマ、おまけにランドセルという前日のメイド服以上に目立つ姿で出勤してきたつばめに康弘は言葉を失う。
「お嬢様に必要なのは同年代のお友達だと思うんですよ!」というつばめだが、ミーシャと同年代の友達=小学生のコスプレでミーシャに接するという謎の理論で康弘に理解と突っ込む余裕を与えないままミーシャの部屋に向かう。

そして、小学生のコスプレをした不審者がドアを破壊して部屋に入って来るという小学生から見ればトラウマにしかならない常軌を逸した行動で更にミーシャに恐怖心を与えていた。

『うちのメイドが忍び寄る』 - つばめの説得とミーシャの不登校克服

夏休みが過ぎて9月に入った。
普通なら二学期が始まるところだが、ミーシャは学校に行こうとせず、部屋にこもってゲーム三昧の日々を送っていた。

それが一週間も続くとつばめもミーシャが不登校である事に気付き、康弘から詳しい事情を聞く事にする。

康弘によると、日本語に支障がないので公立の学校に入れたものの、外国人で目立つ外見のため周囲と馴染む事が出来なかった。
それでも、母親が生きていた頃は「いい子にしたらママは治る」という康弘の言葉を信じて通っていたが、母親が亡くなってからはショックで部屋に閉じこもるようになってしまった。

康弘の話を聞いて大体の事情を把握したつばめは、ミーシャを説得するため早速部屋に向かう。

とはいえ、学校に行きましょうと言って簡単に不登校が解消出来るはずもなく、ミーシャは「絶対に行かない」と即答する。

不登校の原因は母親の死よりも、目立つ自分の外見を見て噂する周囲の視線を苦痛に感じていたからで「わたしの外見しか見ないから…」と、これまでの学校生活がいかに苦痛だったかを訴える。

それを理解しつつもつばめは「仲良くなる前は外見で判断するしかありません 内面を知ってもらうには時間が掛かります」と、お互いを理解し合う事の難しさを説き、ミーシャも、相手に対して自分の見た目以外を知ってもらう前に逃げていた事を反省する。
これまで数々の変態的行為を働いて来たつばめらしからぬ、完璧な正論だが、つばめの話はこれで終わらない。

「私だってお嬢様の内面を知るために毎日観察を欠かしていませんよ」と、変な事を言い出すと、つばめは「お嬢様を知るため」の一環としてミーシャの使うトイレットペーパーの量を調べているという、常軌を逸した行動を行っていた事をカミングアウトする。

ストーカーでも普通はやらない、つばめの恐ろしい行動に恐怖を感じたミーシャは「こんなうざきもい奴に日中ずっと粘着されるくらいなら学校行った方がずっとマシ!!」と、決して前向きな理由ではなかったものの再び学校に行く事を決意した。
翌日、ミーシャにとって久々の登校となるが、自分の外見を噂する周囲の声はミーシャにとって気分のいいものではなく、どうしても顔は暗くなる。

暗い顔で学校へ向かうミーシャだが、久々に登校するミーシャの姿を発見した女子生徒が「高梨さん!!」と声を掛けて来る。

彼女は自分と一緒に飼育係をやっていた子で、これまでプリントを届けてくれていた事は把握しているものの「全体的にキャラが薄かったから思い出せない…」と、残念ながら彼女の名前は分からなかった。

名前を思い出せずミーシャは彼女に対して申し訳ない気持ちを持つが、相手は病気という事にして休んでいたミーシャの体調を心配するなど、色々と気に掛けてくれており、ミーシャは彼女の優しさに感謝する。
飼育係としてミーシャは教室で飼っているハムスターの様子が気になっていたが、教室に入るとハムスターが大量繁殖して水槽に所狭しと集まっていた。

状況を簡単に説明すると、夏休みの間ハムスターの世話を任された担任の先生がこれまで別の水槽で飼っていたオスとメスのハムスターを「別々の水槽じゃ寂しいよね」と、同じ水槽に入れてしまったため、異常繁殖してしまった。

「先生バカじゃないの?」とミーシャは呆れるが、増えすぎたハムスターを救うためクラスメイトにハムスターを飼うための資料作りの協力をお願いするなど飼育係として積極的に動いていた。
同時刻、掃除、洗濯など自分の仕事を終えたつばめは、暇になったためハンググライダーを使って空からミーシャの学校へと侵入する。(鍵が掛かった屋上のドアは自慢の力で破壊した)

小学生のコスプレという非常に目立つ恰好で校内を歩き回るつばめは目に入って来る幼女に感激しながら、ミーシャのいる2年2組の教室を廊下から覗くと、教室ではミーシャ主導による緊急学級会が行われていた。

議題は勿論増えすぎたハムスターに付いてで、増えすぎたハムスターの里親になってくれる人を募集する事と、ハムスターの飼育に関する説明と注意が行われていた。
タダでハムスターが貰えるなら欲しいというクラスメイトに対してミーシャは、動物を飼う事がどれだけ大変かをクラスに訴える。

「適当に飼って死んじゃったらすごく悲しいから…」とクラスメイトに訴えるミーシャの言葉は切実で、ハムスター飼育のための資料作成を手伝ってくれたクラスメイトもミーシャがハムスターの事を真剣に考えているとアピールする。

別のクラスメイトからは「今までおとなしいと思っていたから見直した」という声もあり、ミーシャは照れながらも初めて周囲の人間から自分の内面を見て貰えた事を嬉しく思っていた。
その様子を教室の外から覗いていたつばめは人間として大きく成長したミーシャの姿に感激していたが、当然ながら小学生のコスプレをして校内をうろつく不審者を学校が放置するはずがなく、いきなり肩を叩かれて振り向くと守衛と先生が笑顔でつばめの事を見ていた。

増えたハムスターの里親探しに積極的に動いた事でクラスメイトは自分の中身も見てくれるようになり、不登校だった時から自分の事を気に掛けてくれたクラスメイト、鷲崎みみかとも友達になるなど大収穫とともにミーシャが帰宅すると、何故か康弘が電話越しに謝っていた。

内容は至極単純で、つばめが学校に不法侵入した上に屋上のドアも破壊するなど学校に大迷惑を掛けた事で勤務先である高梨家にも連絡が来たため、彼女の雇い主として康弘が謝罪に追われていた訳だった。
折角学校に行くのが楽しくなったのにつばめのせいで楽しかった今日一日を全て台無しにされミーシャは「さいあく…」と呟くが、ともあれハムスターの里親探しが結果的にミーシャの株を上げたお陰でクラスメイトから受け入れられるようになり、自分の外見だけを見ていたクラスメイトに見せなかった本来の明るい性格を見せるようになるのだった。

『うちのメイドの昔のオンナ?』 - 現れたもう一人の変態家政婦

ハムスターの里親探しをきっかけにクラスから受け入れられたミーシャは、みみか以外にも友達ができ、クラスメイトからも受け入れられるなど、これまで苦痛でしかなかった学校生活が楽しくなっていた。

いつものようにみみかと別れて家に向かおうとするミーシャだが、ゴスロリ服に銀髪ツインテールという怪しい風貌の女性にいきなり声を掛けられる。

運良く通りかかった警察に助けを求めると不審者の女性は逃げ出し、ミーシャはつばめ以外にも女のロリコンがいる嫌な世の中になったと嘆きながら帰宅する。

家に帰ると、いつものようにつばめが笑顔でミーシャを出迎えてくれる。
女のロリコンとして自分に付き纏うつばめをミーシャは相変わらず嫌っていたものの、つばめの作る料理だけは大好きで、今日もつばめがおやつを部屋に持って来るのを楽しみに待っていた。
つばめのおやつを待つミーシャだが、嫌な視線を感じ外を見ると、先程の不審者が電柱に登って自分の部屋を覗いていた。

驚いたミーシャが大声を出すとつばめがドアを破壊しながら部屋に入って来るが、不審者を見たつばめのリアクションは至って冷静で、不審者に向かって「お久しぶりです」と挨拶をする。

つばめと不審者が顔見知りだった事に驚くミーシャだが、彼女の名前は鵜飼みどりといい、つばめにとってみどりは自衛隊時代の上官だった。

自衛官であるはずのみどりが何故こんなところにいるのかつばめは疑問に思うが、みどりは自衛隊時代からつばめに好意を抱いており、理由を告げず突如自衛隊を去ったつばめの後を追って自らも退官していた。

ミーシャから不審者扱いされるなど道中色々あったが、みどりがミーシャに危害を加えるつもりがないと分かったところで状況がようやく落ち着き、みどりは高梨家にやって来た理由を語り始める。
みどりによるとつばめの料理の腕は自衛隊の中でも有名だったようで「もう一度…いや 毎日お前の飯が食べたい」とみどりはつばめを引き抜こうとするが、「お断りします」とつばめは即座に断る。
つばめの拒絶にめげず、みどりは給料も高梨家の3倍は出すと破格の条件を提示するが、つばめにとって大事なのは金額ではなくミーシャ(幼女)といられる事であり、みどりの誘いには一切興味がなかった。
それでもつばめを雇うためみどりはしつこく食い下がろうとするが、つばめが携帯を取り出して通報しようとしたためみどりは逃げ出す。

みどりがいなくなって家は再び静かになり、ミーシャはつばめが作ってくれたおやつに舌鼓を打つ。

その一方で、つばめを雇いに来たみどりと一緒に上手くやればつばめを引き取って貰えるのではないかと思い付き、みどりを探すため外に出る。

とはいえ、手掛かりのない状態でみどりを探すのは困難であり、簡単には見付からないとミーシャはアテもなく歩いていたが、予想に反して、みどりは近所のゴミ捨て場でゴミに囲まれていた。

「私はゴミだからゴミ捨て場にいるのだ…」と非常に面倒な事を言い出すみどりにミーシャは呆れるが、つばめを追い出すためにみどりを雇うという話を持ち掛ける。
一方のみどりも、高梨家を解雇となり無職になったつばめを雇うチャンスを得るため、それを快諾する。

『うちのメイドがいない家』 - つばめの解雇と復職

みどりを連れて高梨家に戻ると、ミーシャは出迎えたつばめに対して「おまえはクビだ」と、一方的に解雇を告げる。

労働基準法では解雇を告げるのは最低一ヶ月前となっているためミーシャの行為はアウトであり、完全な不当解雇だが、つばめはそれに抗議する事なく「今までお世話になりました」と、あっさり解雇を受け入れ高梨家を後にする。(ミーシャに対してつばめが「不当解雇」と言わなかったのは彼女の作戦の一つである事が後に判明する)

みどりから教えられるまで雇っている人間を解雇するには一ヶ月前の通達が必要である事を知らなかったミーシャは、つばめに対していくらか罪悪感を感じていたが、気を取り直して新たに高梨家の家政婦となったみどりに夕食作りをお願いする。

だが、ミーシャの期待に反して出て来たものはみどりが主張するカレーとは程遠い、吐瀉物としか思えない酷い代物で、ミーシャは勿論、この吐瀉物を作ったみどり本人も吐き出すなど散々な出来だった。

まずい料理を作って周囲の失望する顔を見るのが病み付きになり、まずい料理を作る腕が一級品になったという、みどりのドMな性格が最悪な形で料理にも反映されてしまった事にミーシャは絶望する。

結局その日の夕食はみどりのポケットマネーで特上寿司を頼むという、料理も仕事の一つであるはずの家政婦の仕事が出来ているとは到底言えない状況だった。
翌朝もみどりが朝食を作ってくれるが、まずい料理を作りたいというみどりの面倒な性格によって焦げた食パンを出され、ミーシャは再び絶望する。
当然ミーシャが焦げた食パンなど食べるはずがなく、朝食はみどりの用意したレーション(戦闘糧食)のみという非常に淋しいものだった。

学校から家に帰ると、みどりが最近話題となっているケーキ屋のケーキを買って待っていた。
ミーシャは喜んで食べるが、有名店のケーキだけに十分おいしいものの、何故か物足りなさを感じ、むしろつばめの作ったケーキの方がおいしいとすら思っていた。

夕食はこの日も出前で、ミーシャは宅配ピザを頼む。

昨日は寿司で今日はピザと豪華な夕食ではあったものの、ミーシャは早くも飽きてしまい、つばめの作る普通においしい手料理が食べたくなっていた。
翌日、ミーシャが歩いていると何故か河原を見ているみどりを発見する。

みどりの視線の先にはつばめがおり、ミーシャに気付くとつばめは「お久し振りですお嬢様…いえ ミーシャさん」と、他人行儀な挨拶をする。

他人行儀すぎる態度な上に「私は貴女の人生に必要のない人間だった」とらしくないセリフを呟くつばめに戸惑いながらも、ミーシャはつばめの料理の腕を認め「また…ごはんとおやつを作ってほしい…!」と再度高梨家で働いてくれるようお願いする。

その言葉を待っていたかのようにドローンが現れ、つばめの携帯には先程のミーシャの言葉と会話の一部始終がしっかりと撮影されていた。
元同僚であるみどりの料理の腕が壊滅的である事はつばめも当然知っており、ミーシャがすぐに自分の料理を食べたいと言い出すのは時間の問題だった。

めでたくつばめの復職が決まったのはいいものの、みどりを雇ってしまった以上最低一ヶ月は雇わなければならず、康弘の懐を気にしながらもミーシャはつばめとみどりの雇用を認めるしかなかった。

ミーシャとしてはみどりを今後も雇いたいのはやまやまだったが、普通のサラリーマンである康弘に家政婦を二人も雇う余裕はなく、みどりの雇用は一ヶ月限定となる。

みどりは再びつばめと一緒に働ける事を喜んでいたものの、折角就いた仕事も僅か一ヶ月で退職せざるを得なくなったため、ミーシャは謝罪する。
当のみどりは「気にやむな」と特に気にする様子もなくサバサバした態度で、求人誌で仕事を探しながら残された高梨家での日々を過ごしていた。

みどりが高梨家を去って一週間経ったが、みどりと良好な友人関係を築いていたミーシャはみどりがいなくなった事を淋しく思っていた。

自分よりもみどりに懐いている事につばめが軽い嫉妬心を感じていると、呼び鈴が鳴ったため外に出る。
そこには、一週間前に高梨家を去ったはずのみどりがいた。

みどり曰く引っ越しの挨拶が来たとの事で、つばめもミーシャも事情が飲み込めなかったが、みどりの話によると「大金が溶ける」というネットの話を聞いて、退職金を溶かすプレイのつもりで原理も分からないまま始めたFXが大当たりしたらしい。
そして、FXで増えたお金を元手に自身の特技である掃除スキルを活かしたハウスクリーニングを始めるため高梨家の隣にある一軒家を購入したとの事だった。

色々な意味で凄いみどりの行動力と強運につばめもミーシャも驚くしかなかったが、掃除好きのみどりにとってハウスクリーニングは「天職」であり、みどりも自身に合った仕事に出会えた事を喜んでいた。

そして、高梨家との雇用関係はなくなったものの、みどりはお隣さんとして高梨家に入り浸るようになり、ミーシャ、つばめとはこれまでと変わらない付き合いをするようになるのであった。

『うちのメイドがウザすぎる!』の登場人物・キャラクター

高梨ミーシャ(たかなしミーシャ) CV:白石晴香

小学2年生のロシア人で、本作の主人公の一人。

母親を亡くしており、現在は戸籍上の父親である康弘と2人暮らしをしているが、母親の連れ子であるため康弘との血縁関係はない。

金髪碧眼の美少女だが、良くも悪くも目を引く容姿故にクラスでは浮いており、周囲から晒される好奇の視線を苦痛に感じていた。
母親が生きていた頃は、康弘の「いい子にしていたらお母さんが治る」という言葉を信じて我慢して通っていたが、結局母親は亡くなってしまったため「いい子にしてもママはちっとも良くならなかった!」と不登校になってしまう。

学校には「病気のため当分休む」という嘘の連絡をして、自身は部屋に閉じこもりゲーム三昧の生活を行っていたが、つばめが家政婦として雇われてからはミーシャが使用したトイレットペーパーの量をチェックするなど常軌を逸した彼女の変態的な行動に恐怖を感じ「こんなうざきもい奴に日中ずっと粘着されるくらいなら学校行った方がずっとマシ」と、学校に行くようなる。

再び学校に行くようになっても以前と同じ自分の外見を噂する声にうんざりしていたが、夏休み中に異常増殖したハムスターの里親探しのために奔走し、優れた手腕とリーダーシップを発揮した事によってクラスメイトは外見だけでなく内面も見るようになってくれるようになり、友人も増えた。

動物好きで動物との意思疎通が出来る(ミーシャ曰く「ともだちがいなさすぎて動物とばっかり話してたせいかな…」)というある種の特殊能力を持っており、ペットのクマゴローやハムスターとは完全に会話が成立している。

将来の夢に関して、当初は「現状維持(家事は自分では一切せず、毎日ゲーム三昧)」と、言ってしまえばニート生活(康弘が死んだら保険金で細々と食べていくと本気で考えるなど働く気ゼロ)だったが、つばめが来てからは彼女から離れるため自立することを決意し「動物に関わる仕事に就き、並行して資産運用もして独立し、セキュリティ万全の家に住む」という、小学生らしからぬ堅実かつ立派なものになった。

実父に関して長い間謎だったが、実父のアルトゥールが4巻で登場しており、日露ハーフではなく両親ともにロシア人である事が判明した。
基本的に日本語で生活しており、康弘も日本語に支障がないとの理由で普通の小学校に通わせていたが、両親ともに生粋のロシア人という事もあってロシア語も堪能であり、実父であり大ファンの絵本作家であるアルトゥールへのファンレターもロシア語で書いている。

余談だが、ロシア人は寒さに強く雪が似合うイメージがあり、ミーシャも周囲から雪が似合うと言われている。

当のミーシャ本人は寒いのが大の苦手で、寒いと布団から出たくない、学校に行きたくないという、小学生らしい一面を持っている。

なお、つばめが初めてミーシャの家を通り掛かった時は母親と一緒に楽しそうに雪の積もった庭で遊んでいたが、それは雪が好きな母親への「家族サービス」であり、ミーシャの話では寒いところを我慢していたらしい。

寒いのが苦手という子供らしい一番がある一方で、大人への配慮、気配りが出来すぎる子供らしくない一面から、みどりからは「おまえ…本当に八歳か?」と、実年齢を疑われているが、精神年齢が高すぎるだけでミーシャは8歳の小学2年生である。

鴨居つばめ(かもいつばめ)CV:沼倉愛美

本作のもう一人の主人公で、高梨家の家政婦として雇われた元航空自衛隊(空自)一等空曹。

自他共に認める「女のロリコン(ジャンルを細分化するとペドコン)」であり、職探しでも「白人美幼女に私の作ったフリフリのお洋服をとっかえひっかえ着せてキャッキャッウフフする仕事」を希望してハローワークから追い出されるなど自身の特殊な趣味を隠そうとしない。(自衛隊にいた時も同僚に対して幼女について熱く語っており、当時からつばめに心酔していたみどりを除く同僚からは完全に引かれていた)

ミーシャと同じ年の頃に父親を亡くしており、葬儀の時に母親が言った「雲の上に行けばお父さんに会える」という言葉に影響を受けてパイロットを目指し自衛官になった。

右目に着けた眼帯がトレードマークだが自衛隊時代は両目であり、退官した理由も眼帯の理由も原作では4巻終了時点で語られていない。
但し、アニメでは病気で右目の視力が低下し始め、その後完全に失明して退官したとつばめが語るシーンがある。

「初潮を過ぎた子に興味はない」と公言する重度のロリコンで、ミーシャのストーキングなど常識外れな行動が目立つが、幼女が絡まなければ料理、洗濯等のスキルが高い有能な家政婦(メイド)であり、外見ばかり注目するクラスメイトに嫌気が差して不登校になったミーシャに対して「中身を知って貰うには時間が掛かる」と正論を説いて諭すなど言うべき事ははっきり言う性格である。

また、運動会の二人三脚でつばめの力を借りて勝とうとしたミーシャに「こうしてお嬢様と一歩一歩ゴールまで道のりを踏みしめていく 勝利以上に得難いものです」と、勝利よりも大事な事(二人三脚は協力が大事である)を教えるなど、ミーシャへの過剰な愛情を隠そうとしない一方で、彼女を100%甘やかしている訳ではない。

自慢の料理の腕は「おまえは嫌いだがおまえの料理は好き」と、普段つばめを毛嫌いしているミーシャも認める長所であり、みどりを雇ってミーシャから追い出されたつばめがすぐに復帰したのも(みどりの料理の腕が壊滅的だった事もあるが)つばめの料理が食べたいという気持ちからである。
メイド以外の副業として趣味で作ったドールの洋服をネットオークションに出品しており、3万オーバーという高値で取引されている。
オークションで稼いでいる額は月に50万円と康弘から受け取っている額を遥かに上回っており、収入的にも腕前的にも完全にこちらが本業レベルだが、つばめは「本業を助けるための副業」と、本業はメイドでありオークションでの出品はあくまで副業である事を主張している。

余談だが「人形の服ってそんな儲かんのかな」と、興味本位でミーシャがつばめの出品している商品を見た時はつばめが豪語するように高値で取引されている事に驚いたが、アカウント名が「Misha_lovelove_forever」という気持ちの悪い名前である事を知り、すぐにPCを閉じていた。

クマゴロー CV:長縄まりあ

ミーシャが飼っているフェレットで、母親を亡くして打ちひしがれていたミーシャに「新しい家族」として康弘が連れて来た。

人間の言葉を理解する高い知能を誇り、ミーシャとは完璧に意思疎通が出来る。

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