ヒナまつり(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『ヒナまつり』とは、大武政夫原作の漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。
暴力団『芦川組』に属するインテリヤクザ・新田のもとに、楕円形のマシンにくるまれた超能力少女・ヒナが突如現れた。マシンの拘束を解くや否や、素性も目的も明かさないまま謎の念動力で部屋の骨董品を次々破壊していくヒナに対し、身と家財の危険を感じた新田はしぶしぶ彼女を寝泊りさせることになった。
本作はこの2人をはじめとしたちょっぴり可笑しなキャラクター達が繰り広げる、笑いあり涙ありの非日常コメディーである。
『ヒナまつり』の概要
『ヒナまつり』とは、有限会社feel.が手掛けるアニメーション作品である。2018年4月より放送が開始された。原作者は大武政夫。KADOKAWA発行の漫画誌『ハルタ』にて連載しており、単行本は現在14巻まで発売されている。
監督は及川啓。『みなみけ おかえり』や『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。続』など有名作品を複数担ってきた経歴を持つほか、同期放送のアニメ『ウマ娘 プリティーダービー』でも監督を務めている。
暴力団『芦川組』に属するインテリヤクザ・新田のもとに、楕円形のマシンにくるまれた超能力少女・ヒナが家に突如現れた。マシンの拘束を解くや否や、素性も目的も明かさないまま謎の念動力で部屋の骨董品を次々破壊していくヒナに対し、身と家財の危険を感じた新田はしぶしぶ彼女を寝泊りさせることになった。
本作は、そんな二人が互いに面倒を掛け合いながらも徐々に親子のような関係になっていったり、ヒナを追って現れた新たな超能力少女・アンズがホームレスに金の大切さを教えられたり、ヒナの通う中学校の同級生・瞳がひょんな切っ掛けから大人の社会に巻き込まれていったりする、突っ込みどころ満載の非日常コメディーである。
『ヒナまつり』のあらすじ・ストーリー
超能力少女登場
ある日の夜、インテリヤクザの新田の家に、突然謎の楕円型マシンにくるまれた超能力少女・ヒナが出現する。新田が渋々マシンの拘束を解いてやると、ヒナは念動力で新田の骨董品コレクションを次々に破壊し、素性や目的を明かさないまま家に居座るようになる。学校に通いたいというヒナを「新田ヒナ」として中学校に通わせる新田。新田もヒナの超能力の活用方法を見い出し、徐々にヒナとの生活に慣れてくる。しかし組長が敵の組に撃たれたため、新田は若頭から鉄砲玉として敵事務所に単騎特攻を命じられてしまう。自分もここまでかと覚悟する新田だったが、ヒナは新田が自分の超能力を頼らなかったため、新田の役割を買って出る。そしてヒナが超能力で敵の組を壊滅させたことで、事態は収束したのだった。
組織からヒナの始末の命を受け、新田が暮らす街に現れた超能力者のアンズ。アンズは暴走族を壊滅させ、特攻服に身を包むと、商店街では万引きに無銭飲食など連日騒ぎを起こしていた。騒ぎを起こしているアンズがヒナの関係者だと理解した新田は、アンズとヒナを引き合わせて「アッチ向いてホイ」での超能力対決を提案。結果はヒナの圧勝に終わり、アンズは負けを認める。しかし帰ろうとするアンズにヒナが「一緒に遊ぼう」と誘ったため、新田の家で一日一緒に一緒に過ごしたのだった。そして杏子はヒナが戦死したと報告するため、ヒナの髪を手土産に帰還しようとする。しかし楕円型マシンが故障して動かなくなり、路頭に迷うことになってしまったのだった。
ヒナとの二人暮らしが当たり前になり、ヒナのせいで女遊びに支障をきたしていることに気づいた新田。新田が突然ヒナを放置してキャバクラなどで豪遊し始めたため、不審に思ったヒナは、クラスメイトの瞳を引き連れて新田を尾行する。新田行きつけのバーテンの詩子のバーにも行くが開店前で、酔っぱらいの客に店員だと間違えられた瞳はなぜかバーテンをやらさせれてしまう。ヒナは自分の中に「一緒に遊びたい」という思いがあることに気付き、新田に「キャバクラ行ってみたい」と告げた。それに対して新田は、酔った勢いで詩子やその場に居合わせた客、瞳まで巻き込み、みんなで夜の街へと繰り出すのだった。翌日、頭痛を感じながら自宅で目を覚ました新田の目の前には、恐ろしい金額が書かれた領収書が置かれていた。
一方、万引き生活に逆戻りしていたアンズは、ホームレスのやっさんに声を掛けられ、成り行きで行動を共にすることとなっていた。やっさんの教えや、丸一日の空き缶収集を通じて、アンズは徐々にお金の大切さを知っていく。
ヒナのクラスメイトの瞳はバーテンとしての才能を見いだされ、なぜか今でも詩子のバーで半強制的にバーテンをさせられていた。ある日の夜、クラスの担任である松谷がバーに来店し、瞳は大ピンチを迎える。しかし瞳の本職さながらの仕事ぶりを見た松谷は、彼女を他人の空似と思い込んだことにより、事なきを得るのだった。
新田家に迎えられるヒナ
ヒナは新田を喜ばせようと、思い付きで部屋の掃除に取り掛かる。しかし逆に新田の骨董品を次々に割り、床を水浸しにして、部屋をめちゃくちゃに荒らしてしまう。部屋の惨状を見た新田の怒りを買ったヒナは、家を追い出されてしまった。ホームレス生活をしていたアンズに再会し、アンズの元に身を寄せるも、速攻で追い出されてしまう。さらに路上ライブをしていたアツシ達のロックバンドにメンバー入りするも速攻で脱退したヒナは、お侘びの壺を買って新田に謝罪。新田もヒナを許し、再び二人暮らしが始まったのだった。
バーでの夜勤明けの瞳は、ある朝店の裏で空き缶収集をしていたアンズに遭遇する。瞳が空き缶の集まる場所を教えると、アンズはお礼に自分の自宅に招待すると言い出しt。断りきれない瞳は眠気に耐えながらアンズに付き合い、鬼ごっこをしながら立ったまま眠ってしまったのだった。
ヒナがゲームで遊んでいる姿を羨んだアンズは、吉田というホームレスが電化製品を買い取っていると聞き、ヒナと共にテレビの投棄品を探し始める。最初に見つけたブラウン管テレビは全然金にならず、買取価格の高い地デジ対応のテレビが全然見つからず困り果てるアンズ。しかし途中参加した瞳が家から不要のテレビを持ち寄ってくれたことにより、何とか目的を果たすことができた。一方、ヒナは新田にテレビを買うといってお金をもらい、購入した新品のテレビをそのまま吉田に渡した。帰宅し、テレビはいつ頃届くのかと尋ねる新田にヒナは「もう売った」と答え、新田は困惑するのだった。
ある時、瞳はバーに入っていく姿をクラスメイトのケンゴとタカシに見られてしまう。瞳の誤魔化し方が怪しく、さらに担任の松谷までもが同じ店に入っていたことで疑念を深めたクラスメイト達は、瞳の勤めるバーへ突入。瞳は夜な夜なバーテンダーをしていることをクラスメイトに知られてしまったが、店にやってきた松谷はそれでも他人の空似だと思い込んでいるのだった。
父親の訃報を聞いた新田は、ヒナを連れて一度実家に帰ることにする。新田は母親と妹に対して「服役中の兄貴分から引き取った子供」という設定でヒナを紹介するが、その嘘は新田が墓穴を掘ったことですぐにバレてしまう。母親に問い詰められ、答えに窮する新田だったが、ヒナが嘘の設定を貫こうと頑張っている姿を見て気が変わる。新田が一転して「ヒナは俺の子供」と宣言したことで、ヒナは新田家の新たな家族として迎えられるのだった。
アンズの新しい生活
行政の区画整理により、アンズ達ホームレスは立ち退きを迫られる。アンズは詩子とやっさんの計らいによってラーメン屋『来々軒』の林夫妻に引き取られたが、自分だけが満足な衣食住を得ていることに対してアンズは罪悪感を覚える。アンズが新たな生活を受け入れ、店の手伝いに励む一方、ヒナは学校生活に飽き始めていた。新田に「学校が楽しくなるように努力しろ」と言われたヒナは、生徒会選で生徒会長に立候補する。スピーチの原稿を新田の組の顧問弁護士に用意してもらったものの、もともと一年生は書記か会計にしか立候補出来ない決まりだったため、ヒナは書記になる。しかしヒナがその後も生徒会に顔を出すことは無く、なぜか瞳が書記代理として生徒会の一員に加わる羽目になるのだった。
ヒナやアンズの属していた組織から、警備主任の斑鳩が派遣されてきた。彼女の任務はヒナの行動調査と、その結果が良好だった場合にヒナを連れ帰ること。それを聞いたヒナは、新田になかなか事情を切り出すことができない。それでも結局、新田とヒナは互いに惜しみつつ別れたが、帰還に必要な楕円型マシンを新田が捨てていたため、ヒナは街に留まる事になった。ヒナは新田も喜ぶと思いながら帰宅したが、新田はヒナが居なくなったお祝いに一人パーティを始めたところだった。お互いに気まずい空気の中、ヒナは「これはない」と呟くのだった。
ヒナを帰還させるため斑鳩に呼び出された超能力者・マオは、何らかのトラブルで無人島にワープしてしまう。帰還のためのマシンも紛失し、唐突にサバイバル生活を行う羽目になってしまったマオ。2つのヤシの実をヒナとアンズに見立てて寂しさを紛らわしつつ生活していたが、いつまでたっても状況が変わらないため、マオはいかだを作って一人で海原へと繰り出したのだった。
一方、芦川組では組長の跡継ぎ問題が発生していた。新田は若頭を担いで組をまとめようと奔走していたが、ヒナのことをまるで孫のように可愛がっている組長が冗談で新田を跡継ぎすると言ってしまい、それを聞いたサブがその場ですぐに若頭に連絡してしまうのだった。反逆者として若頭たちにコンクリ詰めにされる新田。危うくそのまま海に沈められるところだったが、組長が現れ誤解を解いたことで事なきを得る。そして気まずくなった若頭は、慌てて新田を自分の後任に指名するのだった。
日本へ向かうマオ
バーテンダーを続けていた瞳は、毎日帰りが遅いことを母親に問い詰められてしまう。正直に話しても全然納得してもらえず、瞳は家出を決意。新田と詩子の計らいで家賃15万の高級マンションに一人暮らしをすることになり、そのお金を賄うため、瞳はバーの客達に誘われるがままさまざまな仕事を行うようになるのだった。そしていつの間にか多くの人脈を築いていた瞳は、引越し歓迎会に母親を呼ぶ。母親であれば、娘は本当は中学生だとばらし、歓迎会を台無しにしてくれるだろうと期待する瞳。しかし娘の元へ集う何人ものお偉いさんを前にした母親は、瞳の新生活にGOサインを出してしまうのだった。
ラーメン屋の林夫妻から初めてお小遣いを貰ったアンズは、5千円という大金の使い道がわからずにいた。瞳を引き連れて金の使い道を探す中、「プレゼント」の存在を知ったアンズは、マッサージ器を林夫妻に送ろうと決意する。しかし微妙に金が足りず困っていたところにサブが現れ、彼に乗せられるまま競馬に手を出す。結局、有り金をすべてつぎ込んでしまったアンズだったが、瞳の提案で林夫婦に肩たたき券をプレゼントし、喜んでもらえたのだった。
ヤクザ特番の企画を任されたジャーナリストの瀬田は、番組のネタとして目をつけていた新田に密着取材を行う。しかし新田本人は言動も生活態度もまともな一般人で、中々ヤクザらしいシーンは撮れなかった。業を煮やした瀬田は、撮影箇所の切り貼りや追加ナレーションを駆使し、完全なる捏造番組を作成。それがテレビで放送された後、新田はその番組のネタで周囲に延々とイジられ続けるのだった。
林夫妻が旅行で居ない間、アンズは新田宅にしばらく泊まることになる。ヒナはスキー教室に行っており不在だ。アンズと過ごすうちにそのあまりの良い子っぷりに感心し、ヒナとの差を感じる新田。そのうち林夫妻を妬むようになった新田は、アンズを昔のワガママな性格に戻してやろうと企む。新田は水族館や遊園地など金の掛かる遊びを通じてアンズにワガママを言わせようとするが、アンズはあくまで新田と一緒に楽しもうとしていた。そんなアンズを前に、新田の邪心はあっけなく浄化されてしまうのだった。
一方その頃、中学のスキー教室でヒナのグループは雪山で遭難していた。かまくらの中で救助を待つ瞳、ケンゴ、タカシの3人を救うため、ヒナは自分が能力者であることを彼らに打ち明けた。超能力を見せて信じてもらうが、空腹のあまり力が出せない。空腹のヒナに何とか能力を使わせるため、3人は雪山で寿司屋を演じる。彼らの必死さを前に空気を読んだヒナは、最後の力を振り絞る。そうして雪で作り上げた巨大なイクラの軍艦を目印に、4人は救助ヘリに無事発見してもらうのだった。
無人島を離れて三年後、マオは中国にある超人拳法の道場で暮らしていた。ヒナやアンズに会うため日本に行く機会を窺っていたある日、イリュージョンを勉強中のロックバンドのアツシに出会い、彼に気功を教える代わりにヒナに会わせてもらうことに。しかしそれを嗅ぎつけた道場の連中に日本行きを妨げられてしまい、やむなく街中で交戦する。やがてその場に現れた師父の提案で、国を出る条件としてある試練を課されるマオだったが、これをあっさりクリアした彼女はアツシと共に日本へ向かうのだった。
『ヒナまつり』の登場人物・キャラクター
主要人物
新田義史(にった よしふみ)
CV:中島ヨシキ
暴力団『芦川組』に属するインテリヤクザ。高級マンションの一室でお気に入りの骨董品に囲まれた優雅な生活を送っていたが、ヒナが現れてからは親のごとく世話をする羽目になったり、彼女が遠因の厄介事に巻き込まれたりしていく。
時々ハメを外すこともあるが、基本的には世話焼きの良い人。なお額にうっすら見える傷は、若手時代に兄貴分の内藤から灰皿で殴られて出来たものである。
ヒナ
CV:田中貴子
『組織』からやって来た能力者であり、ある日突然新田の部屋に現れた。非常識かつグータラな性格で、たまに自発的に行動を起こしても大体空回りする。
組織に命令されるだけの生活を送っていたらしく、新田と出会った当初は力ずくで言うことを聞かせていたヒナだったが、命の危機が迫ってもなお能力者の自分を利用しようとしない新田に心を動かされた。それからはソコソコ言うことを聞くようになり、時には新田を喜ばそうとするなど、徐々に本当の親子のような関係になっていく。
組織のメンバー
アンズ
CV:村川梨衣
ヒナを処分するために『組織』から派遣された能力者。ヒナとの対決に敗れた後、色々あってホームレスの身になってしまい、それからしばらくしてラーメン屋『来々軒』の林夫妻に引き取られた。
初めはヒナと同じく力に物を言わせるタイプで、ヒナを探す傍ら街中で問題行動を起こしまくっていた。しかしその後のホームレス生活で、やっさんを始めとするホームレス仲間に色々な教えを受けたアンズは、最終的には新田に「父親の理想郷」と言われる程の良い子に成長する。
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目次 - Contents
- 『ヒナまつり』の概要
- 『ヒナまつり』のあらすじ・ストーリー
- 超能力少女登場
- 新田家に迎えられるヒナ
- アンズの新しい生活
- 日本へ向かうマオ
- 『ヒナまつり』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 新田義史(にった よしふみ)
- ヒナ
- 組織のメンバー
- アンズ
- マオ
- 斑鳩景(いかるが けい)
- 渡辺中学校の生徒と教師
- 三嶋瞳(みしま ひとみ)
- 相沢さよ(あいざわ さよ)
- 下田貴志(しもだ たかし)
- 中田ケンゴ(なかた ケンゴ)
- 新庄マミ(しんじょう マミ)
- 松谷翼(まつたに つばさ)
- 芦川組の組員
- サブ
- 若頭 / 馬場 清(ばば きよし)
- 親父 / 芦川良彦(あしかわ よしひこ)
- 内藤龍彦(ないとう たつひこ)
- 膳場(ぜんば)
- 浅賀商店街の人々
- 桜詩子(さくら うたこ)
- 林夫妻
- 田中(たなか)
- ホームレスの人々
- やっさん
- シゲさん
- 吉田(よしだ)
- その他
- 新田美佳(にった みか)
- 新田の母親
- 三嶋美奈子(みしま みなこ)
- CENTRAL PARK(セントラルパーク)
- アツシ
- 瀬田大介(せた だいすけ)
- 朝霧志保(あさぎり しほ)
- 『ヒナまつり』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「ゔわぁ、私のスマートフォンがぁ!」
- 「あいったー!」
- (サブ……このクソボケカス……っ!)
- 「立ったまま寝てるーっ!」
- 「川まで」
- 「アンズちゃんの中には、大勢の人がいるんだ」
- 「ヒナちゃーん、お母さんだよー。ヒナちゃーん、お待たせー。笑ってー。ほら、笑ってー」
- 「食べて寝るだけの存在かな」
- 「ただい……ま!? 俺、死んでるーっ!」
- 「ついて来な。お金が足りないなら、増やせば良いじゃない」
- 「オイオイ、瞬殺だよ」
- 「タダのうんこ製造機だと思ってた自分が情けねえ!」
- 『ヒナまつり』の用語
- 組織
- 玉
- 首輪
- 『ヒナまつり』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- OP(オープニング)ムービー
- イクラ丼
- 消える詩子
- ED(エンディング)ムービー
- 居たり居なかったりするヒナ
- 『ヒナまつり』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):村川梨衣『Distance』
- ED(エンディング):新田義史(CV.中島ヨシキ)『鮭とイクラと893と娘』
- 4話劇中歌:セントラルパーク(CV:八代拓)『エンジェル~翼は砕けてもまた生える~』
- 6話ED(エンディング):石田燿子『写真帖』
- 12話劇中歌:千菅春香『たいせつなひと』
- 12話ED(エンディング):マオ(CV.小澤亜李)『初めてのキモチ』