Butlers〜千年百年物語〜(バトラーズ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Butlers〜千年百年物語〜』とは、原作である「Intouchable Butlers」をベースに「SILVER LINK.」により制作されたアニメ作品。千年の歴史を有し、特殊な能力を持つ『血族』。その一族から選ばれた『血霊』を守護する存在、バトラーズ。その血族達のある事故によって、神宮司高馬ことジェイは、時空のゆがみに巻き込まれてしまう。彼が降り立った場所は、自分のいた時代から百年も経過した世界だった。

『Butlers〜千年百年物語〜』の概要

『Butlers〜千年百年物語〜』とは、「Intouchable Butlers(インタッチャブル バトラーズ)」を原作としたアニメ作品。
ちなみにタイトルにある「千年百年物語」は、「ちとせももとせものがたり」と読む。

この原作である「Intouchable Butlers」とは、中国・上海の大手企業「SummerACG」による2014年に女性向けコンテンツとして企画されたメディアミックス作品であり、その第一弾であるコミックスを皮切りに、ゲーム・ドラマ等を展開しており、その活動は多岐に渡っている。
「SummerACG」では「元气之家」という中国で漫画・電子書籍事業を展開しており、アニメ・漫画等のサブカルチャー業界で活発な動きをしている企業の一つだ。
この度日本でのアニメ化するにあたり、原作のイメージを引き継ぎつつも、シナリオや各登場人物の容姿、名前等を日本向けに変更されている。
制作は『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』(以下、プリリヤ)シリーズを手掛ける「SILVER LINK.」であり、女性向け作品を手掛けるのは初めての試み。監督は『プリリヤ』シリーズの制作に大きく携わっている高橋賢、キャラクター原案は『キラーキラー』や『オネエと男子、時々ごはん』を手掛けた漫画家・湖住ふじこといった面々である。
主人公であるジェイを演じるのは鈴木達央と、そのジェイとは対に位置する羽早川翔に佐藤拓也を起用。
この他にも彼らを取り巻く登場人物には豊永利行、前野智昭等と、女性向け作品で数々の役をこなしている人気声優を取り揃えており、今作の意気込みを感じる。
またジェイ役の鈴木達央は、彼がアーティストとして活動しているバンド、「OLDCODEX」として今作のOPを務めてもいる。

「何度も、何度も繰り返し同じ夢を見る。もしも、あの日に戻ることが出来たなら、『運命』を変えてみせる」
舞台は良家の子女が通うとされる名門・京常見学園。
転入して間もない身でありながら学園内で多くの支持を受け、生徒会長となった神宮司高馬、通称・ジェイは、選ばれた他の生徒会役員達と共に、日々憧れや嫉妬の眼差しを向けられる毎日を送っていた。
しかし、周囲と何処か一線を画しているのが垣間見える彼には、ある秘密と、目的があった。
それはジェイがバトラーと呼ばれる特殊な力を持った能力者であり、現代より百年も前の世界からタイムスリップしてきた人物である。
そしてある儀式によって実の妹・天奈が行方不明になってしまった原因とされる人物、羽早川翔の行方を追っていることだ。
彼もまた、かつてジェイと同じバトラーの一人であった。

『Butlers〜千年百年物語〜』のあらすじ・ストーリー

京常見学園の生徒会長ジェイ

名門・京常見学園で生徒会長を務めることになった神宮司高馬(じんぐうじこうま)こと、ジェイ。生徒会の他のメンバーは、副会長の緋櫻春人(ひざくらはると)、会計監査の白鳥蓮(しらとりれん)、書記の青葉蛍(あおばほたる)だ。一見そつなく学園生活をこなしているように見えるジェイだったが、彼の目的は「羽早川翔(はやかわつばさ)」という人物を探し出し、妹が行方不明になってしまった原因を突き止めるというただ一点のみだった。

一方、学園近くのカフェで働く羽早川は、店長から学園の生徒会就任パーティに誘われる。パーティで羽早川の姿を見つけたジェイは、彼が働く店の名前を聞き、その夜、店じまいをする羽早川を問い詰める。

今から百年前、「血族」と呼ばれる特殊な能力を持つ一族がいた。ジェイの妹である如月天奈(きさらぎてんな)は一族の正当な継承権を有する「血霊」で、血霊を守護する者として血族の優秀な者達で構成されたのが「バトラーズ」である。ジェイはバトラーとして妹が執り行う儀式を見守っていたが、突如異変が起こり、天奈が消えてしまった。その場にいたバトラーの羽早川に問い詰めるものの、羽早川の返事は「もう戻らない」という言葉のみ。そしてジェイが羽早川に掴みかかった途端、2人とも光に飲み込まれ、ジェイは気付いたときには百年後の京常見学園の学園都市にいたのだった。

ジェイは京常見学園の学園長・御国鷹司の協力の元、百年前に戻る手掛かりを求めて羽早川の素性を調べようとしていた。一方、羽早川のほうは根も葉もない噂によって、羽早川が勤めるカフェ・ド・ヴェインから突然客足が途絶えてしまっていた。羽早川が女性を手あたり次第ナンパしているという噂の調査のために、リニューアルオープンしたカフェ・ド・ヴェインを訪れた春人、蓮、蛍。彼らもなぜか店を手伝うことになったが、春人はジェイに羽早川は噂のような人物でなかったと報告した。

新たなバトラー

京常見学園では、町おこしであるイベントの準備にそれぞれが追われる中、ジェイは再び羽早川の後を追っていた。そんなジェイを不思議に思った春人もジェイの後を追い、ジェイと春人の関係はぎこちないものになっていた。そんな中、町おこしであるイベントでジェイと羽早川とで「執事対決」を開催することになり、互いにバトラーとして一歩も引かない攻防を繰り広げる。執事対決は事故によって中止になったが、その夜、ジェイのブレスレットが不自然に光り、「2220」という文字が浮かび上がった。そのブレスレットは、天奈がジェイに贈ったものだった。

生徒会室として使用している屋敷が取り壊されることになり、ジェイは断固反対の意思を示す。ジェイ達は新聞部である黒澤と茶野を利用しようとするが、失敗に終わってしまう。しかしこのことをきっかけに、黒澤はジェイに感じた違和感を突き止めるため、ジェイの身元を調査し始める。そして彼は、以前京常見学園に起こった「空のプラズマ事件」とと呼ばれる怪奇現象の直後にジェイの転入手続きが行われている気付いたのだった。

一方ジェイは羽早川が密かに隠していた妹のペンダントを見つけ、取り返すことに成功したが、その直後謎の黒服に奪われてしまう。ジェイは黒服に攻撃し、羽早川がペンダントを回収したが、ジェイの渾身の一撃によって黒服は屋敷の柱に衝突し、屋敷が倒壊してしまう。運悪く屋敷の倒壊によって重傷を負ってしまった春人。ジェイは今までの行動に自責の念を感じ、学園ではジェイを糾弾する勢力が現れ、生徒会長辞任に追いやられてしまう。一方、新聞部では黒澤達がジェイと羽早川の秘密に着々と近づいてきてた。

ジェイは天奈と交わした約束を胸に、春人に自分の素性とその目的を明かした。すると、春人の右手に血族を守るバトラーの証である痣が浮かび上がったのだった。

騒動の黒幕

ジェイは怪我から復帰した春人と共に、生徒会室に続く地下室を訪れていた。騒動になったにもかかわらず、ジェイは生徒会長を辞任するまでには至らず、満期まで続けることになっていた。ジェイは自分と天奈に起こった百年前の出来事、そしてブレスレットの謎の文字について春人に説明する。一方、羽早川も店長の橘は血族の末裔であることがわかり、橘と共にある予言の言葉を耳にしていた。そんな中、蓮や蛍、藤代までもが血族の末裔であることが明らかになる。みんなが記憶を失っていたのは、「全部忘れて遊んでいたい」と考えた蛍の力によるものだったのだ。

自身が血族という特殊な能力を持つ一族の末裔だという事実に、蓮は真っ向から否定の姿勢を取る。血族の末裔だという事実が判明した各々が不思議な能力に目覚める中、蓮は自分の不可思議な能力に戸惑い、翻弄されてしまっていた。一方、黒澤達はジェイ達の謎に迫っており、時空の歪みも目前に迫っていたのだった。

春人によって、ブレスレットの「2020」という数字が、実は「2○2○」という記号であることが判明した。ブレスレットのメッセージが解明され、心当たりのあったジェイは天奈と過ごした「祈りの間」へと足を運ぶ。そこには手紙が残されており、手紙には自分のペンダントが何者かに狙われているということと、それを羽早川がそれを調べているということが書いてあった。さらに「私に何かあったとしても後悔はしてない。私の力が必要なら羽早川さんに頼んでね」というメッセージを見て、ジェイはもう一度戦いを挑むために羽早川の元へ急ぐのだった。

一方、黒澤達は真相を突き止めるため、羽早川のいるカフェ・ド・ヴェインを訪れていた。黒澤達の調査によって5年前にも空のプラズマ事件が発生していたことが判明する。当時、現学園長の御国鷹司が学園長に就任するパーティが催されていた。黒澤達は御国を調査するために、毎日花を御国に届けている影山がいる温室を訪れるが、そこで黒澤達にも痣が浮かび上がり、血族の末裔であったことが判明する。しかし影山は以前ジェイからペンダントを奪った黒服で、黒澤達は攻撃されてしまうのだった。

時空の歪みを封じる戦い

春人達は黒澤と茶野から、これまでの不穏な動きが学園長の御国がきっかけだったことを聞かされる。羽早川との戦いに挑んだジェイだったが、全てを知っていた羽早川の口から真意を聞くことになる。それは、かつて血族が欲望のまま時空の行き来を繰り返していたことで、時空の歪みが生まれたということ。そして、血族は百年に一度歪みを封じるために血霊という存在を用意したが、天奈がその宿命を果たそうとしたとき、何者かによって阻まれ、天奈は自分の身を犠牲にして歪みを封じたのだということだった。さらに、羽早川とジェイが現代に飛ばされたのは、天奈の意思だったのだ。

思いもよらない事実に動揺するジェイだったが、そのとき、御国にペンダントと過去に戻るための鍵である羽早川のブローチが奪われてしまう。御国は蛍の姉を人質にとっていた。そしてついに、京常見学園上空に、時空の歪みが開き始めたのだった。時空の歪みによって周囲の時が止まる中、過去をやり直すのではなく今を生きるべきだと考える羽早川と御国の意見は真っ向から対立する。

御国の家も代々血霊がいたが、御国の父は過去に戻って時空の歪みが発生することを阻止しようとしたため争いに巻き込まれてこの世を去っていた。父の遺志をついで時空の歪みを治すことにした御国だったが、何度直してもきりがない。それならば、千年前の歪みがなかった頃の時代へ赴き、そこで新しく世界を構築すればよいと御国は考えたのだ。

御国はジェイにペンダントを投げてよこし、妹に会うために一緒に過去へ来ないかとジェイを誘う。ジェイは黙って御国の元へ向かった。だがジェイは御国に囚われていた人質を助けたのだった。羽早川はジェイの選択を受け、共に御国の野望を阻止しようと立ち向かう。

ジェイと御国は一騎打ちになり、ジェイは追いつめられる。しかしジェイの意思に反応して、御国の手から放れたペンダントが天奈の姿へと変わっていく。天奈の姿をしたそれはジェイに何事か囁き、ペンダントの姿で彼の手に戻った。羽早川がもう一つのブローチをジェイに渡すと、ペンダントとブローチは鍵に変わった。ジェイがカギを指すと、時空の歪みである光の柱が次第に細くなっていく。時空の歪みに巻き込まれそうになる御国の手をジェイは掴んだが、御国は「お前もきっと後悔するぞ」と笑いながら手を振りほどき、時空の歪みに飲み込まれていった。天奈のペンダントが砕け散り、ジェイは砕けたペンダントの核を握り締めて空を見上げたのだった。

季節は巡り、京常見学園に通う血族の末裔たちはそれぞれいつも通りの日常を過ごしていた。ジェイはコーヒーのデリバリー途中の羽早川に出会い、言葉を交わした。羽早川の表情は、かつて天奈へ向けていたような穏やかな表情に戻っている。羽早川と別れて学園の門へと進んだジェイは、新一年生の女子生徒とぶつかる。「あ、ごめんなさい!あの、一年生の教室はどちらですか?」と尋ねられたジェイは、何を思ったのか嬉しそうに微笑んだのだった。

『Butlers〜千年百年物語〜』の登場人物・キャラクター

主要人物

神宮司 高馬(じんぐうじ こうま)/ジェイ

CV:鈴木達央
周囲から通称・ジェイと呼ばれ、生徒会長に任命された高等部二年。
実は百年前の世界からタイムスリップしてきた人物であり、バトラーという特殊能力者。
行方不明になった実の妹の手がかりを求め、かつて同じバトラーを務めていた羽早川の行方を追っている。

羽早川 翔(はやかわ つばさ)

CV:佐藤拓也
学園の近くにある店、カフェ・ド・ヴェインで店員として働いている。ラテアートでフクロウを描くのが得意。
ジェイが血眼になって探していた人物で、彼もまたバトラーであり、百年後の現代に飛ばされてきた。

京常見学園(こよみがくえん)

緋櫻 春人(ひざくら はると)

CV:豊永利行
生徒会副会長に任命された高等部二年。
IT業界でトップを誇る企業の御曹司で、彼自身も例に漏れずその持ち前の技術をいかんなく発揮する。
何処か一線を引いているジェイに対して、気遣う一面がある。

白鳥 蓮(しらとり れん)

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