毒姫(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『毒姫』とは、朝日新聞出版よりNemuki+コミックスで発売された漫画。全5巻。作者は三原ミツカズ。
全身が猛毒の暗殺用の寵姫「毒姫」のリコリスは隣国グランドルの国王を暗殺するためにグランドルへと送り込まれる。そこで出会う3人の王子との激動の運命を描く。
キャッチコピーは「誰も抱きしめる事のできない姫と誰にも抱きしめられなかった王子。ふたりが欲しかったものは自分以外のぬくもり」。

マンドレーク

毒姫たちに「婆様」と呼ばれている老婆。毒姫たちの養母にあたる。

貧困家庭から赤ん坊を買い取り、毒姫として育てるという役目をミトラガイナ女王から任されている。

シッカ・ロール

グランドル国で生活するリコリスの世話係を任されたメイド。
元は戦争孤児であったが、グランドル国王(ハルの父親)にメイドとして雇われた。

育ちが良くないため礼儀に欠けるところはあるが真摯に仕えており、優しい少女。
リコリスは彼女に心をひらいており、友達のような親しい関係を築いていっていた。

ベガ

ガーレの側近。
主であるガーレに忠実な側近であり、その忠義は異常とも思える信念によって成り立っている。
ガーレの側近を決定する際、ガーレは候補者に「机に手を置け」と命じ、その手をナイフで突き刺すということをした。振り下ろされるナイフに驚き、思わず手を引っ込めた候補者の中、ベガだけは唯一手を引かず、手のひらをナイフで貫かれた。なぜ避けなかったのかと問われ、理由を答えるベガだが、その理由とは「手を引けという命令がなかったので」というものだった。

こういったふうに忠実にガーレに仕えるが、内心ではリーゼを好いている。
言葉を伝達するため、リーゼがベガの手を取った時には赤面するなどしている。
「毒姫」の最終盤でガーレが目の前で首をはねられた時、主人の仇を討たないのかと聞かれ「体の主はガーレ様ですが、心の主は別にいますので(=リーゼ)」と言い放ち、事切れたガーレを振り返ることなくリーゼの元へと走った。

ハオマ・ソーマ=イスキア

イスキア国の現国王の息子。
王位継承権を持つものの王位を継ぐ気はあまりなかった。しかし病に倒れた父の意思を継いで王位を継承した。
「毒姫」の最終盤では、毒を流されたと思い込み、兵を率いてグランドル国に攻め入った。「毒姫」作中ではその後のことは語られておらず、「毒姫」の外伝である「毒姫の棺」で顛末が語られるだろうと予告されている。

『毒姫』の用語

毒姫

今作のタイトルともなっている。
毒姫とは暗殺用の寵姫(愛妾、側室)のことで、赤ん坊の頃から毒を与えられ、全身が毒で形成された女性のことである。
涙や体液も毒になり、触れるだけ、抱きしめるだけで相手を死に至らしめてしまう。

ミトラガイナ国の秘密兵器であり、他国の王の暗殺を担う暗殺者。
自分が毒姫であることを隠しつつ対象を暗殺し、また暗殺成功後もミトラガイナ国からの刺客であるということがばれないように立ち回らなければならない。
そうして生きていても毒を摂取しないことによる劣化症状により、自身の毒に殺されるという運命を持っている。

鬼食い

国王や貴族などの権力者の毒見役。作中ではアザミが該当する。
また毒見役ということではマオも該当するのだが、鬼食いという用語は使われていない。

鬼食いという設定を作者が忘れたのか、それとも、毒見役は毒見役でも、(毒見役の)奴隷のことを指すので鬼食いという用語は王子であるマオに当てはまらないということで使っていないのか詳細は不明。第1話にしか使われていない単語である。

靴違え

戦争孤児を指す。作中ではシッカがこれにあたる。
物資を死体からも盗むほど困窮しており、死体から靴を盗むため左右揃った靴がはけず、靴が違うことが多いというのがその由来。

庶民の出であるグランドル国王(ハルの父親)はこういった靴違えの子供たちをメイドや兵士として分け隔てなく雇用した。
グランドル王城には、身分を問わず雇い入れるグランドル国王の人柄に惚れ、忠実に仕える靴違え出身のメイドや兵士も多い。

『毒姫』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

私は「毒姫」。この腕は何も抱くことを許されない。愛しい者であればあるほど

第1話の締めとなるシーン。
愛しいものほど遠ざけなければ自らの毒で殺してしまうというジレンマに悩むベラドンナの思いが吐露されたモノローグである。
愛しい者(アセビ)を自らの毒で殺さないためにあれだけ厳しく拒絶して遠回しに守ったのに、結局アセビは殺されてしまい、そしてアセビが遺した花すら手に握れば枯れてしまうという切なさが書きつづられている。

この第1話は毒姫がどのような存在であるかを説明するエピソードとなっており、この話をきっかけに「毒姫」を読み始めたという読者も多い。

3otrabant3373
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