BEATLESS(ビートレス)のネタバレ解説・考察まとめ

『BEATLESS』とは、長谷敏司によるSF小説であり、水島精二が監督を務めるアニメ作品である。小説のイラストはredjuiceが担当している。「ヒト」であるアラトと「モノ」であるレイシアを中心に描かれる近未来SF作品で、SF好きから高い評価を得ている。
22世紀、人はhIEと呼ばれる人間型ロボットを、様々な場面で活用していた。高校2年生の遠藤アラトはある夜、hIEに襲われる。助けを求めるアラトの前に現れたのは、レイシアと名乗る謎のhIEだった。

『BEATLESS』の概要

『BEATLESS』とは、第35回日本SF大賞受賞の長谷敏司によるSF小説である。
また、2018年1月より 、MBS/TBS/BS-TBS "アニメイズム"枠でアニメが放送開始された。
監督は、『機動戦士ガンダム00』シリーズなどを手掛けた水島精二が務める。

人の代わりに多くのhIEが労働力を担う社会。
世間一般が“道具”と考えるhIEにさえ思いやりを持つ17歳のアラトは、時には友人たちにその事を指摘されながらも、平凡だが自分らしく日々を過ごしていた。
しかしある夜、アラトは暴走したhIEに襲われてしまう。間一髪のところを突然現れたhIEレイシアに助けられるが、さらに襲いかかってくる脅威に対抗するため、アラトはレイシアとオーナー契約を結ぶ。
その後、レイシアはオーナーになったアラトの家で暮らし始める。

アニメや小説の世界だけではなく、私たちの生きる現実世界でもロボット産業の成長はめざましい。
『BEATLESS』では今より少し進んだ世界で、「ヒト」と「モノ」との新しい関係性を描いている。

『BEATLESS』のあらすじ・ストーリー

hIEの存在

22世紀、人はhIEと呼ばれる人間型ロボットを様々な場面で活用していた。街には人の代わりに働くhIEが数多くいた。
物語の主人公、遠藤アラトは17歳で高校2年生。平凡だが心の優しい少年だ。3学期が始まったばかりの4月、学校帰りのアラトと友人の海内遼、村主ケンゴの3人は満開の桜街道を歩いていた。帰り道の途中で、アラトはふと目に留まった女性とその隣を歩くおばあさんに手を貸す。その様子を遼とケンゴは少し呆れたように眺める。なぜなら、アラトが手を貸した女性は人間ではなく、hIEと呼ばれる人間型のロボットだったからだ。他にもアラトは働くhIEを見て、「がんばってるなぁ~」とほほ笑む。そんなアラトに遼は「勘違いするな。hIEは道具だ」と厳しく指摘した。
その後通りがかった路地で、腕が落ちていることに気づきアラトは驚く。だがそれは、人の腕ではなくhIEの腕だった。その腕を拾い上げたケンゴは「最近hIEを壊してまわる奴がいるんです」と話す。

アラトとレイシアの邂逅

ある夜、hIE行動管理クラウドのプラットフォーム企業であるミームフレーム社の東京研究所から5体のhIEが謎の脱走をはかる。事態の収拾に乗り出した軍隊は、射撃用無人機や爆雷などの大型火器を使用するも全く歯が立たず、5体のhIEを取り逃してしまう。逃走したhIEはいずれも、ミームフレーム社が保有する超高度AI「ヒギンズ」が非常時のデータ運搬用に開発した「レイシア級hIE」で、量子コンピューターを搭載したデバイスを装備しネットワーク支援なしに高度な判断を行う能力を持つものだった。
同じ夜、夕飯の支度をしていたアラトは、妹のユカがつまみ食いと称して酢豚用の肉を全て食べてしまったため、買い出しにでかける。
買い物の帰りに近所に住むhIEと会い、話しながら歩いていると急に花びらが舞い落ちてきた。花びらは小さな虫のように動く。それに触れたhIEは様子がおかしくなり、近くに停まっていた車も暴走しはじめ、アラトに襲いかかってきた。必死に逃げるが、hIEにつかまり首を絞められるアラト。
そこに現れたのは美しい少女だった。彼女はレイシアというhIE。彼女から「アラトは私を信じますか?」と問いかけられたアラトが信じると告げると、レイシアは「あなたが私の最初のオーナーとして適切だと判断しました」と言って持っていたデバイスを変形させた。アラトの指示でレイシアが暴走した車を砲撃すると、車は止まり周囲の花びらも消えた。

モデル活動

アラトがレイシアを連れて家に帰ると、ユカは最初こそ驚いたものの意外なほどすんなりと受け入れ、すぐにレイシアに懐く。一緒に暮らすことになったレイシアに戸惑いを感じながらも嬉しく感じているアラトは、良い関係を築けるようにとレイシアの事を知ろうとする。レイシアは「自分は魂のない道具だ」とするが、アラトは「魂がないからって、響かないわけじゃない。それでも、僕の心は動いたんだ」と譲らなかった。

レイシアとの新しい生活が始まった。ある日、モデルのマネージメントなどを行うファビオンメディアグループという会社のhIEモデルオーディションで、レイシアがグランプリを獲得したというメール通知が届く。オーディションにはユカが勝手に応募していた。正規購入していないうえに謎の残るレイシアが人前に出ることに不安を感じるアラトだったが、ユカは「せっかくの美人さんなんだよ。有効に使わなきゃもったいないじゃん」とあっけらかんと言う。当のレイシアも「私は問題ありません。それに、どのみち時間は戻りません」と動じない。
昼休み、アラトは遼とケンゴと一緒に弁当を食べていた。
普通でも自動車並の値段がするhIEを、しかもモデルオーディションでグランプリを取るほどの高級機を拾うなんてどういう事なのか、警察には届けたのか、と不審がるケンゴに、アラトは「モデルとして露出すれば、落とし主が名乗り出るかもしれないし」と答えてお茶を濁した。遼の言葉に従い、端末でレイシアを呼び出すアラト。レイシアの言動や彼女のシリアルを見て、遼は「アラト、こいつに深入りするな」と忠告した。

アラトとレイシアは、ファビオンメディアグループ・企画セクションの如月明日菜(きさらぎあすな)と面談することになった。そこで如月は、レイシアのターゲットは高校生から20代の女性で、超高級モデルのhIEでは共感を得にくいので、レイシアを謎のhIEモデルとして売り出すと伝える。面談後レイシアは、早速モデルの仕事を始める。
hIEはスタジオの撮影より街での撮影の方が注目を集めやすく、服も実際に街を歩く雰囲気が分かった方が良い、という如月の言葉通り、商品のアイテムを身に着けたレイシアは街中を歩くだけで注目をあびた。ショーのクライマックスでスクランブル交差点に、レイシア、前回グランプリのアンジェラ、ファビオンメディアグループトップhIEモデルのユリンの3人が集まる。すると、数千から一万人規模の観衆は最高潮に盛り上がった。

一方、ケンゴは自室で「上の人と連絡取りたいんでコード発行してください。こっちじゃ判断できなくなりました」と焦った様子で誰かと通話していた。その後、ケンゴの自室には紅霞(コウカ)というhIEが現れた。

レイシアを「お姉様」と呼ぶ少女

モデルの仕事をした翌日、レイシアが不審な車にひかれてそのまま連れて行かれるという事件が発生した。遼とケンゴの助力を受けながら、アラトはレイシアを取り戻すことに成功する。しかしそこで、犯人を危険視したレイシアが彼を殺そうとする。レイシアに人殺しをしてほしくないアラトが彼女を止めていると、突然紅霞が現れてレイシアを襲った。アラトはレイシアと共に戦う覚悟を決め、紅霞を退けた。

その後、抗体ネットワーク上層部と関わりのある紅霞は、抗体ネットワークで情報提供役をしているケンゴの部屋に侵入していた。そこで、ケンゴが抗体ネットワークのシステムをアラトの手助けに使ったことに関して「システムの不正利用はまずいよ。特に情報の管理役は上層に繋がってるってこと自覚ある?」と言う。そして、アラトの父・遠藤コウゾウが作っているアンドロイド議員の試験体(アンケートやネットワークから市民の意見を集約して議会で本当に答弁や質問をさせるhIEで、キャラクター性を付けて政治の意見集約を自動化するアンドロイド)を爆破する、というペナルティーが抗体ネットワークの上層部からケンゴに出たと伝える。さらに、断れば家族に手を出すとケンゴを脅す。ケンゴは逆らえず、hIE議員破壊のための訓練を受けることに。
ケンゴの妹のオーリガから「毎晩兄が出かけている」と相談を受けたユカは、アラトにその話を持っていった。アラトはレイシアと共にケンゴの部屋を訪れ、そこでケンゴが抗体ネットワークの一員で犯罪に加担していることを知る。アラトはケンゴを止めるため、彼が向かったであろう大井産業振興センターへと急いだ。

『BEATLESS』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

遠藤 アラト(えんどう アラト)

CV:吉永拓斗

主人公。17歳の高校2年生。
優しく温厚な性格で、奔放な妹のユカにはいつも振り回され、友人にはからかわれることが多い。
父は多忙であまり家に帰らず、普段は妹のユカと二人で暮らしている。
世間では「モノ」と認識されているhIEに対しても「ヒト」に対するように思いやりを持って接している。
そのため、友人たちから「hIEはモノだ」と指摘を受けることがある。
ある夜、買い物の帰りに暴走したhIEに襲われ、突然現れたレイシアに助けられる。
その際、危険が迫っていたためレイシアとの契約に応じ、レイシアのオーナーになる。
その後はじまったレイシアとの暮らしをに戸惑うことも多いが、嬉しくも感じている。

海内 遼(かいだい りょう)

CV:石川界人

アラトのクラスメイトで親友。要領がよく、社交的な一面があり、クラス中の女の子に声をかけたらしい。
世界有数のhIE行動管理クラウド・プラットフォーム企業「ミームフレーム社」創業者一族の長男。
妹に紫織がいる。

村主 ケンゴ(すぐり ケンゴ)

CV:山下大輝

アラトと遼のクラスメイト。よく3人で一緒に過ごしている。
吾妻橋の定食屋《さんふらわあ》の息子。妹にオーリガがいる。
抗体ネットワークで情報提供の活動をしている。また、紅霞と何度か接触している。

遠藤 ユカ(えんどう ユカ)

keeper
keeper
@keeper

目次 - Contents