海街diary(漫画・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『海街diary』(うみまちダイアリー)とは、『月刊フラワーズ』にて2006年から連載されている吉田秋生による漫画、及びそれを原作とする映画である。外に女を作り出て行った父と、それにショックを受け新たな男を作り家族を捨てた母親。そんな両親を持つ三姉妹が父の訃報をきっかけに腹違いの妹・すずと出会い、絆を深めながら生き生きとそれぞれの人生を生きていく様が鎌倉を舞台として叙情的に描かれている。

すずの姉で香田家の三女。物語開始時は19歳。少し変わり者で掴み所のない性格をしている。物語冒頭では髪をお団子に結わえていたが、恋人である浜田とお揃いにするため突如アフロヘアーにし、妊娠が発覚した際にはオードリーヘップバーンを意識したショートヘアーにしている。スポーツショップにアルバイトとして勤務しており、物語途中から正社員に昇格する。妊娠発覚と同時に浜田からプロポーズされ、快諾する。

多田裕也(ただ ゆうや)

すずが所属する湘南オクトパスのチームメイト。エースで主将を務めていたが、骨にできた悪性腫瘍が原因で利き足の右足の膝から下を切断することになり、それからはキャプテンを風太に譲ることになる。手術後は義足でチーム練習に復帰するが、義足をつけてのプレーに限界を感じプレーヤーとしてサッカーに関わることは断念する。それでもサッカーには関わりたいと思う裕也はオクトパスにはマネージャーのような役割で残り、スポーツ医学の道を志すようになる。ハンサムで誰に対しても優しく、性格もリーダー気質のさわやかイケメンである。

尾崎風太(おざき ふうた)

すずのクラスメイトで湘南オクトパスのチームメイト。実家は酒店を経営しており大家族。裕也の発病により主将を引き継いだ。すずが鎌倉に来た当初から彼女のことが気になっていたが、持ち前の煮え切らない性格から告白できないでいた。しかし同じチームでクラスメイトということもあり多くの出来事をともに経験するうち距離が縮まり、どちらかというと自然発生的に交際することになる。不自由な義足でのプレーを何とか向上させようとする裕也の努力に気付くなど、本人に自覚はないようではあるが独特の視野の広さや観察力を持っている。

緒方将志(おがた まさし)

すずのクラスメイトで湘南オクトパスのチームメイト。通称は「マサ」。小学校まで大阪に住んでいたため、ところどころで関西弁が口をついて出る。かなりのお調子者で、特に本人に悪気があるわけではないがしばしば空気を読まない言動も見られる。オープンな性格から隠し事をあっさりしゃべってしまうこともある一方で、その性格のおかげで聞き辛い情報を相手から聞き出すことにも長けており、一長一短なところがある。

井上泰之(いのうえ やすゆき)

湘南オクトパス監督で、普段は幸の勤務先と同じ鎌倉市民病院のリハビリ科で理学療法士をしている。通称は「ヤス」。飾り気なく朗らかで、少し悪く言えばどこか子どもっぽさを残す性格である。すずの保護者でもあり同じ勤務先の幸と面識を得て以降、すずの進路や幸の仕事上の相談にのっているうち次第に惹かれ合うようになり、後に幸と恋仲になる。

浜田三蔵(はまだ さんぞう)

千佳の勤め先であるスポーツショップの店長で、千佳の交際相手。その存在感のあるアフロヘアーから風太らにはアフロ店長と呼ばれているが、登山家時代の回想シーンや後にエベレスト登山に再挑戦する際には綺麗な短髪になっている。かつて登山家だった浜田は、エベレスト登頂に挑んだ際凍傷で足の指を6本失い、それ以降山から離れていた。しかしそのとき世話になったシェルパ(ヒマラヤの現地人登山ガイド)が亡くなったという知らせを受け葬儀に出るためネパールに飛んだことをきっかけに、山に残してきた未練が再燃する。その頃千佳が自身の子を妊娠していることを知り、慌てて病院に駆けつけプロポーズする。

坂下美海(さかした よしみ)

すずの湘南オクトパスのチームメイトである坂下美帆の長兄で、佳乃の上司の係長。国立大学を卒業した後都市銀行のエリート職から地元信用金庫に転職した経歴を持ち、物語途中から佳乃と組んで外回りをしている。都市銀行時代担当していた客が踏み切りで自殺したことが心の傷となっておりなかなか心を開かなかったが、海猫食堂の一件以降佳乃と距離を縮めることになり、後に恋仲に発展する。

『海街diary』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「子供である事を奪われた子供ほど哀しいものはありません」

父の死の直後という状況にもかかわらず、年齢や見た目と裏腹に毅然とした立ち居振る舞いをするすずを見て、幸が周囲の大人たちに言ったセリフ。
周囲を気にせず涙を流してしまう頼りなさげな亡父の妻・陽子に対して、中学生であるすずは感情を表に出すことなく気丈に振舞っていた。本来であれば逆であるはずの立場を誰も指摘しない状況にすずの孤独と気苦労を感じ取った幸が、周囲の大人たちに抱いた不信感を口に出した一言で、後にすずを引き取ろうと考えるきっかけになるシーンになっている。

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