スライドプリンセス(SLIDE PRINCESS)のネタバレ解説・考察まとめ
スライドプリンセスとは、bloom mushroom社が提供するステージ型の脱出ゲーム。
ある日、大きな音とともに古城の裏庭に現れた地下道の真実を解き明かしていくストーリーとなっている。
他の脱出ゲームアプリとは違い一人称視点でなく見下ろし視点での画面が特徴で、プレイヤーはキャラクターをスライドとタッチ操作でゴールに導いていく。
そして、「シークレットファイル」にあったとおり、コロニーは事故によって破棄される。
しかし重症患者であった娘はコロニーから離れることができない。コロニーでしかできない治療をやめてしまえば、娘は死んでしまう。
だからこそ研究員(娘の父親)は娘と一緒にコロニーに残ることを決める。
娘をコールドスリープさせ、自分は娘が目覚めた時にきちんと生活できるように準備を整えることにした。
そしてすべての準備を整えた研究員は、オウムに「娘を頼む」と言い残して寿命によってこの世を去る。
ストーリーの導入で「大きな音で目を覚ました」というのは娘がコールドスリープから目覚めたということである。
何故このタイミングで目覚めたのかというと、その時が「コロニーが地球に最接近する時」だったからである。
この千載一遇のチャンスを逸してしまえば、再びコロニーは宇宙空間をさまよってしまう。だからそのために、娘の父親はこのタイミングで目が覚めるように設定したのである。
そして父親の目論見通り、娘は脱出艇でコロニーを去り、地球に到達する。
姫のその後についての考察
「シークレットファイル」で判明した「コロニーでしかできない治療」という記述は言い換えれば、コロニーを離れると死んでしまうと考察される。
この状態でコロニーを離れ地球に到着してしまった娘は、恐らく長くは生きられない状態であるはずである。
また、長いコールドスリープ状態にあったことが推測されるが、眠っている間に奇跡的に病気が完治している記述もない。
つまりこのあと待っているのは娘が死んでしまう可能性が非常に高いということである。
仮に長らえたとしても、幻覚が解けてしまったことにより、自分とヨームは「姫と執事」ではないこと、親を含むコロニーの住人たちは事故によって死滅もしくは避難しててしまっていたこと、そしてその事故から長い年月が経っていたことなどの真実に直面しなければならない。
また、件の事故の真相が解明されていない以上、真相を解明しようとする人々の存在も無視できない。
エンディングのカットシーンでは無事地球に到達することができ遠くに船も見えるが、救助されたという描写はないため、そのまま遭難死という悪い想像もすることができる。
これらのことを踏まえると、この「スライドプリンセス」のシナリオはバッドエンドであるかもしれない、ということである。
以上がストーリーの真実であるが、1つ疑問が残る。
それは、「なぜ姫は地球に脱出したのか」である。
姫はコロニーでしか治療ができない重症患者である。コロニーを離れてしまえば死んでしまう。
姫自身がそれを理解しているかどうかはわからないが、少なくとも父親である研究員はそれを理解していたはずである。
なのにどうして脱出艇を用意し、そして地球に脱出するよう誘導したのか。
その行動については「それ以外なかった」としか言いようがない。
一度地球軌道を大きく逸れてしまったコロニーが再び最接近するには長い年月が必要になる。
事故から娘の目覚め(コロニーが地球に最接近する時)までに長い年月が過ぎている。それこそ1人の男性が寿命を迎えてしまうのだから、何十年という年月のはずだ。
この年月の間に地球の医療技術が進み、この難病が地球でも治療できる方法も開発されているということに賭けるしかなかったのだ。
だからこそ悲痛な努力で様々な鍵を遺し、脱出艇を用意したのだと考察されている。
その努力が報われたかどうかは、プレイヤーの想像に委ねられることとなる。