yuyu87d1@yuyu87d1

yuyu87d1
yuyu87d1
@yuyu87d1
0 Articles
4 Reviews
0 Contributions
0 Likes
yuyu87d1

yuyu87d1のレビュー・評価・感想

波うららかに、めおと日和
9

ほのぼの、うららかなる恋愛譚

西香はちが描く『波うららかに、めおと日和』は、海軍中尉である江端瀧昌(えばた たきまさ)とその新妻である旧姓・関谷なつ美、2人の関係を緩やかに描いた昭和初期を舞台とした恋愛物語。
女性読者からすると「結婚式を写真で行わせるという非道極まりない男」という形で話が始まるのだが、実際は感情を素直に表現することに慣れていない無骨な男性が、朗らかでかわいらしい奥様に骨抜きになっている様子をニヤニヤと楽しむ作品である。

2人は少しずつ関係を深めて一歩ずつ本物の夫婦となっていくのだが、その様子が大変かわいらしい。瀧昌はなつ美のことは大切だと思うものの、それを表現する術を持たないため、ぶっきらぼうになってしまう。なつ美は瀧昌のことが分からないながらも素直に、そして不器用に寄り添っていく。
そんな中お互いがお互いを一所懸命に思いやりながら進むストーリーには、心が温まらずにはいられない。

不器用同士のやりとりは見ていて面白いほっこりとする。序盤にあるエピソードで、お互い異性を名前で呼んだ経験すらない中、相手の名前を呼ぼうとするやり取りにはどうしても口角があがってしまう。大人2人がまるで中学生のような恋愛を展開していくのだ。
そしてこの物語のキーとなるのはなつ美の素直さである。その素直さに瀧昌は惹かれ、時に勇気をもらう。

しかし、この話は単にほっこりするだけではない。海軍という仕事の特性上、瀧昌はなつ美にいつ帰ってくるのかを伝えられない。この遠距離イベントが定期的にやってきて、関係性が変わるにつれて離れ方も変わり、胸の締め付けられ方も変わってくる。しかし、常に読後感は心地良い。
ほのぼのな話だと刺激が足りないが、かといって安心して読みたい方は是非読んでみていただきたい。ただしニヤニヤが止まらないので、読む場所は考えることをお勧めする。

アオアシ
10

――人間は考える葦である こんな言葉が出てくるサッカー漫画、他にない!

・アオアシってどんな漫画?
アオアシは、愛媛の田舎で自分のことを「天才フォワード」と思って過ごしていた主人公アシトが、東京でJユース(エスペリオン)の監督をする福田達也に声をかけられ、プロ、世界を目指していくというサッカー漫画です。まず、この漫画は舞台となるのが高校サッカーでもなく、プロでもなく、JユースというJリーグの第二種(男子高校生世代)なことに驚きました。他にいくつかサッカー漫画は読んできましたが、この作品を読むまであまり馴染みはありませんでした。アオアシを読み、サッカーに詳しくない私でものめりこみ、「考える」ことと「情熱」を感じながら読める、そんな作品です。

・他の漫画とここが違う!
作中において、サッカーを見ている人じゃないと分からないような単語がいくつか出てきます。実際、私も最初はわかりませんでした。実在するチーム名とその戦術、言語化、トライアングル、5レーン、ポゼッション、コーチング等々、いろんな用語が出てきます。ここが違う、というポイントはアシトが何もわからない状態から少しずつそれを学び、もがきながら身につけてゆくところを一緒に感じられるのが、これまでになく面白いです!驚くべき吸収力を持つアシトは、練習中や試合中に学び、身につけ、実行してそれが成果をあげていくという展開は本当に興奮します!

・考える葦の「アシ」と、ボールを蹴る「アシ」
これまでサッカーについてはキックの正確さやドリブルの速さ、派手なゴールなどの印象が先行していましたが、それはまったく見当違いな印象でした。その場の判断力がなければ次のボールの動きを止めてしまう。戦術を理解していなければチームとして対応ができなくなってしまう。そしてその多くの思考と判断を実現するフィジカルとテクニックがないと活躍することは出来ない。とにかく考えながらフィールドで動きつづけることと順応していくことの難しさについて身をもって体感しているアシトをはじめとした登場人物へは尊敬しかありません。本当にすごい…。

サッカーが好きでもそうでなくても、情熱のこもった作品に触れることできっと考えが変わるに違いないです。そんな作品です。

鬼滅の刃 / Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba
10

鬼滅の刃の推しについて

鬼滅の刃、蟲柱である胡蝶しのぶ、彼女は強い女性そのものだと思う。
鬼に親を殺され、花柱である姉、胡蝶カナエを殺され、鬼を憎む思いと姉の最期の願いである「人も鬼も仲良く」という相反する感情を抱きながら、戦い続けていた。
最終決戦に備え、鬼に対して猛毒である"藤の花"の毒を体に貯め続け、継子である栗花落カナヲに「鬼の頸を切って」と託した。
姉の仇である鬼との戦闘で命を落とすが、彼女の願いはカナヲだけでなく、伊之助にも届いていた。
戦闘に勝利した後、カナヲがしのぶと姉・カナエの髪飾りを抱き締めて涙し、姉さんと呼ぶシーンは本当に感動した。
カナヲが己の心の声(意見)を口に出せる様になったのは、主人公とのやり取りの後だが、それ以前のしのぶとカナエの愛情も関わっているのだろうと思った。

華奢な体に細い両手両足、鬼を殺せないと嘆きながらも戦いに身を投じる彼女。
頸が切れずとも、己の力で鬼を殺す毒を作り出し、柱まで上り詰めた彼女。
姉の仇を一人では殺せぬと察し、姉が買った栗花落カナヲに思いを託し、自らを犠牲に仇を取った彼女。
蝶の様に美しい彼女が、天国で姉と両親に再会する描写は本当に感動した。

彼女は本当に美しい女性だ。

NARUTO / ナルト
9

ナルトをもっと知るために知るべきこと

「俺は絶対火影になる。そんでもって、里の皆に自分の存在を認めさせてやるってばよ」
両親も知らず、九尾を封印されたことで里の者たちから疎まれ、ずっと一人で生きてきたナルト。里の長である火影になり、里の人々に認めてもらうため、ひたむきに努力を続け少しずつ成長していく。
「ナルト」には私たちの心を動かす魅力がたくさん詰まっている。それはナルトの成長とともに変化する周りの反応や、落ちこぼれと呼ばれた幼少期から血のにじむような努力と持ち前の諦めないド根性で強くなっていく姿である。
また、ナルトが敵をただ倒すだけではなく、敵の心に寄り添い、敵の持つ憎しみまでも何とかしよう諦めないナルトの姿も個人的はお勧めである。
しかし、それだけで満足してはいけない。「ナルト」にはもう一人主人公がいる。それはサスケである。サスケはこの葉隠れの里のうちは一族出身で、ナルトの所属するチームの一人である。ナルトは一族を殺され、1人ぼっちだったサスケと自分を重ねていた。いつしか、サスケを本当の兄弟のように大切に思い始めた。しかし、サスケは一族を見殺しにした兄・イタチへの復讐のため、この葉隠れの里を抜け、犯罪者となってしまう。ナルトとは対照的に憎しみに支配されていくサスケ。二人の心はどんどんすれ違っていく。憎しみに支配されたサスケの驚くべき行動とは。また、サスケをナルトは連れ戻すことができるのか。そして、ナルトは里のみんなに認められ、火影になることができるのか。岸本先生が描く、全72巻の超大作。読み進めるほどに夢中になれるお勧めの作品である。